オークに救われた転生者   作:紀野感無

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ようやく、ようやく来れた。

()()()()から既に2年以上経ってしまったけれど、ようやく……

でも、こんな異端児である私をこの国は受け入れてくれるのだろうか。
噂だと化け物ばかりの国って…

もし殺されたら……


いやいや、考えたらダメ。
まずは()()()()()()会わないと……



来訪者

ジュラの森に位置する国【魔国連邦テンペスト】

 

ゴブリンからオーガ、リザードマンや獣人族など多種多様な魔物、更には人間までもが住むこの国に1人の来訪者が現れる。

 

来訪者自体は珍しくも無いが……その当人の姿と訪れた理由が余りにも珍しすぎた。

 

「えーと…もう一度確認したいので再度お願いします。テンペストへは何をしにこられたのですか?」

 

入国者を審査するゴブリンは、困惑しながらも再度尋ねる。

特に何も思う事なく来訪者-肩より少し下まで伸ばされたストレートの髪、所々に紅、藍、翠、金などの色が混ざっており、少し身長は低め(大体160cm弱)の女性-は再度同じ言葉を続ける。

 

「オークロードを倒したと言うスライムに会いたい。それと…叶うのならばオークで一番偉い者も同時に会わせてくれると非常にありがたい」

 

「失礼ですが、貴女は…」

 

審査官の疑問も尤もだろう。相手もそれに気付いたのか自らの素性を明かす。

 

「すまない、申し遅れた。私は……

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

()()()の方が俺とゲルドに?」

「はい。直ぐに会うことは難しいと返答しましたが、それなら時間ができるまではこの国へ滞在する、と」

「分かった。なんとか時間を作って会えるようにすると伝えてくれ」

「畏まりました」

 

魔国連邦テンペストの盟主リムル=テンペストは、今しがた受け取った報告を聞きながら考える。

 

そしてその場に誰もいなくなったのを確認し()()()()()()()()()へ問いかける。

 

「何が狙いなんだろうな」

『告。具体的には分かりませんが、あまり怒らせるようなことはしないことが賢明かと思われます』

「おいおい。そんなにヤバい奴なのか?」

『是。個体名『ディアブロ』と同等の強さを持つ可能性があります』

「いっ⁉︎」

 

自らの持つスキル【智慧之王(ラファエル)】からの答えに思わず固まってしまう。

『ディアブロ』とは原初の悪魔の一柱であり、それこそ化け物じみた強さをしているのを良く知っていたからだった。なんせ、名前がない頃でも化け物だった悪魔に名付けをしたのは自分自身なのだから。

 

「ん?でもラファエルさんや。持つ()()()()()()ってどう言うことだ?」

 

最初こそ驚きのあまり、どうやって相手をしようか考えてしまったが、普段は断言するように喋るラファエルの言葉に疑問を持つ。

だが聞かれるのを予想していたのかラファエルは流暢に返答する。

 

『告。種族としては精霊、それは間違っておりません。私の感知にもそう出ております。中でも原初の精霊とでも言うべき上位の存在です』

 

「それってめちゃくちゃ強いってことじゃ…」

 

『否。魔素量のみではありますが個体名『紅丸』と同等、もしくはそれ以下です。更に言うとまだ生まれて数年レベルだと思われます」

 

「原初だって言うのに生まれて数年…?ていうと…ラミリスやトレイニーさんならその辺なら知ってるかも?」

 

『是。なので先にそちらへ聞いてみるのがよろしいかと』

 

「了解。確認できるまでは悪いけどここに留まってもらおう。だけどそうだな……誰に見張ってもらおうか」

 

『告。有事の際も踏まえて個体名『ディアブロ』、もしくは個体名『紅丸』を推奨します』

 

「わかった。どうせなら2人で見張っててもらうか」

 

方針を固めたリムルは2人を呼び出し、事のあらましを伝える。

それに、今の時期に暴れられては困るため慎重に事にあたることにした。

 

 

 

 

 

 

 

「本当に…色々な種族がいるんだね」

 

「リムル様のお力のおかげですから!」

 

「リムル様…か。一つ聞くんだけど、君たちから見た『リムル様』とやらは、どんなお方なんだい?」

 

「私たちを救ってくれたすごい人!でもとっても可愛らしくてお優しいんですよ!」

 

「そう…。よかったね。良い主人に仕えられて…。みんな、幸せそうだ。()()()()()()()()()…」

 

精霊は、案内役を頼んだオークの子供と一緒に国を巡っていた。

国を見て周る最中、国の造りにどこか懐かしさを覚えながら様々な場所を巡る。

 

「にしても、いつまで見張るつもりなんだろう…」

「どうしたの?」

「なんでもないよ。それよりも、幾つか服を見繕って貰えないか店主に聞いてくれないかな。流石にこの格好でリムル様にお目通りするわけにはいかないから」

「わかりました!シュナ様に聞いてきます!」

 

 

 

「……どう思う?」

「まるで生まれたばかりの子鹿ですね」

 

主人からの命令により鬼人のベニマルと悪魔公(デーモンロード)のディアブロの2人は、件の精霊を少し離れたところから見張っていた。

が…2人して少し拍子抜けしてしまっていた。

 

「そうだよな。あまり脅威に感じないが…リムル様は何かを感じ取ったのだろう」

「おそらく、『現時点では』脅威になり得ない、と言うことかと。確かにあの精霊は、何かキッカケ1つあれば私と同じ強さになってもおかしくありません」

 

今現在もシュナに着せ替え人形にされまくっている精霊だったが、明らかにベニマル達を警戒していることに、2人も気づいていた。

だからこそ『もしも』が無いように、全身全霊で任務に当たった。

 

 

 

 

 

〜数日後〜

 

「え?」

「だーかーらー。知らないってばそんな精霊。と言うか本当に精霊なのその子」

「トレイニーさんも知らない?」

「はい。私の記憶ではそのような方は…」

 

リムルの元に2人の精霊、魔王ラミリスと樹妖精(ドライアド)のトレイニーが訪れ、今回現れた精霊について情報を求める。だが2人すらも知らない相手だと言うことがわかっただけになってしまい、途方に暮れる。

 

「その子といつ会う予定なの?」

「2日後。ゲルドの予定がつくのもちょうどその日だから」

「じゃあ私もその場に居てもいい?」

「いいけど、何でまた」

「面白そうだから!」

「じゃあ却下」

「なんでよ!」

 

その後、なんだかんだ押し切られてしまい、2日後にゲルド、ラミリス、念の為ベニマルと共に精霊と会うことに。

 

「(何も起きないといいけど)」

 

リムルとと同じ心配をラファエルもしていたが、余程のことがない限り大丈夫だろうと結論付けた。そう……

 

 

 

余程のことがなければ。




5話くらいで完結予定です

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