オークに救われた転生者   作:紀野感無

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この国の盟主かつ魔王のリムル様とやらから条件を提示されたが、2日後には会ってくれるとのことらしい。
条件の内容としては追加で幹部の2人を同席させる、とのこと。

……。

いいけど、いいけども。
怖い。
殺されたらどうしよう。

なんか私、ちょいちょい出会う精霊とか色んな種族からめっちゃ畏怖されてるけど、ただのちょっとゲーム好きな10代女子…なはずなんだけども?

いやうん。きっとなんとかなる。

ゲームの頃のRPプレイを思い出せ。
多分なんとかなる。

オークロードに縁があるのは本当なんだから、今すぐ素っ首刎ねろ!なんてことにはならない…


ならないよね?


魔王リムルとの邂逅

「なにこのホテル。リアルでも泊まったことないくらい高級なんだけど…」

 

案内役のオークの青年に連れてこられたのは、中心部にあるホテル。

それがまぁ見事なもので……。

リアルで行ってたら一泊数万〜数十万するんじゃない?

 

カラオケ行くお金すら必死に工面してた一般人なのに…。

 

使えるもんは使うけど!

 

 

 

さて改めて私について説明しよう。

…なんて、独り言増えたなぁ。

 

そもそもなんでこんな所にいるのか、数年経った今でもさっぱりわからない。

 

ただVRMMOのRPGをしてた一般女子高生なはずなんだけど。

 

事のきっかけは…ゲーム内でドチャクソ綺麗で美しいエルフのお姉さんをチラ見したことですね。

 

いやもう全プレイヤーと比べても圧勝と言わざるを得ないほどのキャラクリ。意気揚々とパーティ組んでた仲間に「あの人可愛すぎない⁉︎次の本に…」なんて言いながら振り返った時には見知らぬ場所にいました。

 

数年前からずーっと同じことを言ってたんですけど、もう一度言わせてください

 

 

 

なんで????ワッツハプニング(なにがおこった)あいどんとはぶあいであ(なにひとつわからない)

 

 

 

現実逃避はこの辺にして。本当に意味がわからない。

幸いなのはどーせ私が消えたところで心配する人が少ないってことくらい。

両親いねえ親戚いねえ彼氏もねえ友達少ねえ。

年齢イコール彼氏いない歴。

精々ゲーム仲間が「あいつとうとうバックれたか?」くらいに心配する程度だろう。

 

はっはっは。

 

我、悲哀ノ頂点也(訳 とっても悲しい)

 

さてはてこんな感じで意味わからん世界にいつの間にか居た私。

そして自分の姿を見て言ったんですよ。

 

人間の姿じゃねえんかい!って。

まあそんなツッコミは置いといて。

 

 

何故に私はゲームのアバターになっていらっしゃるんでしょうか。教えてください神様。

 

 

何故かステータスウィンドウ的なやつも開くことができて、それによると種族は始原の星霊。ゲームのまんまだね。

 

ゲーム上ではおそらく精霊の最上位種族。私以外にこの種族になってるやつ見たことない&あのゲーム作り込み深すぎて考察の域は出ないけどね。

 

いやまあ?リアルの私なんてちょっと周りより高身長かつ少し胸が大きかっただけの女子高生ですし。そっちの姿よりもこっちの方が好きだし?

いいんですけどね。

 

はいリアルの私の回想終わり。

こっちの世界に来てから何か起こるたびにこんな独り言しながら脳内シミュレーションしてます。妄想万歳。

 

「……シズさんに会いたいなぁ」

 

こんな妄想をするたびに命の恩人その1であるシズさんのことを思い出す。もう一度会いに行こうとしたら、既に還らぬ人となったことを知らされた時はとてもショックだったなぁ……。

 

「クヨクヨしても仕方ないや。とりあえずリムル様とやらに失礼のないようにしなきゃ……。本当に大丈夫だよね?ずっと見張られてるってことは警戒されてるってことだし…」

 

いやでもさ。後からオークロードに会いたいとか言っても絶対信用されないし。それなら初めから包み隠さずの方がいいだろうし。

 

「……いざとなれば異世界から来ましたーって言う?」

 

ま、そこはおいおい、と言うか出会った時に考えるとしまして…

 

「寝る!」

 

シュナさんの着せ替え人形地獄に疲れ果てていた私は面白いくらい素早く眠りにつくことができました。

 

 

 

 

〜2日後〜

 

「お疲れ様ゲルド。悪いね折角の休みの日に呼び出して」

「問題ありませんよリムル様」

「早速で悪いんだけどさ、この黒髪の精霊に覚えはある?なにやらオークロードと縁があるらしいんだよね」

「父王とですか?」

 

朝一番にリムルの元へゲルドが訪れる。

リムルは今日の夜に会食をする事とゲルドに同席してもらうことを伝え、その相手の写真を見せながら聞く。ゲルドはしばらく考え込みながら1人思い当たる節があったのか顔を上げる。

 

「はい。記憶にございます」

 

「どんな奴か聞いてもいいか?」

 

「勿論です。確か……あれはまだ父王が『ゲルド』を名乗る前です。まだオークの種族全体に大飢饉が訪れる前…とは言っても飢饉自体は各地で発生していた頃ですが、父王は行き倒れている1人の精霊を拾ってきたのです。

その精霊は当時の我らオークとは比にならないほど極度の飢餓に陥っていました。みかねた父王は看病し、数少ない食糧を分け与えていました」

 

「凄いな……。自分達が一番辛いだろうに、それでも助けたのか。やっぱりゲルドは優しい王だったんだな」

 

「はい。1ヶ月程は共に暮らしておりましたが、彼女は我らオークに偏見を持たず、自らに出来ることだからと怪我をしていたり病弱な者を治療してくれました。ですが、やり残したことがあると人間の街へ戻りまして、見送ったあと父王は『彼女と約束をした。彼女と再会できれば、みんなを飢饉から救えるかもしれない』と言っていました。しかし…」

 

「再会する前に『ゲルド』の名前をつけられたと」

 

「はい。その後はリムル様やベニマル達の知っての通りです」

 

「その精霊と交わした約束についてはわかるか?」

 

「申し訳ありません。そこまでは…」

 

「大丈夫。気にするな。ゲルドのおかげでどんな会談にするか纏まったよ。ありがとな。それじゃあゲルドとベニマルは夜まで体を休めてくれ。ディアブロは引き続き精霊の監視を」

 

「御心のままに」

「承知しました」

「わかりました」

 

 

 

ちなみに当の精霊本人はと言うと…

 

「あの…そろそろ…」

 

「いえまだです!次はこれを!」

 

シュナの元で着せ替え人形にされていた。

曰く「素材がいいので腕が鳴ります!」だそうな。

 

精霊本人は死にそうな目をしていたが。

 

 

 

 

 

シュナさんによる着せ替え人形地獄から解放され、指定された建物へ向かう。何やら会談用の建物…らしい。

めっちゃ立派だなぁ(遠い目)

 

「お待ちしておりました。リムル様の執事を務めているディアブロです。以後お見知り置きを。我らの主人は一番奥の部屋でお待ちです」

「アッハイ…」

 

もう変な声出てる自覚はあるけどそれ以上に冷や汗が止まらないまま、執事服着た人に案内されるがまま、中に入る。

 

怖い。この人怖い。絶対強い。粗相したら死ぬ。体を物理的に真っ二つにされる。

 

シュナさんが選んでくれた着物-なんで日本の着物があるのかは一旦置いといて-のおかげで格好だけはマトモな為、出会って即首チョンパにはならなかったのが幸いか。

 

「(ていうか、ずっと見張ってたのこの人…だよね?いくらイケメンとはいえ流石に怖いデスワ…)」

 

私をずっと見張っていたヤベー奴の1人は絶対この人。

だって気配全く同じだもん。

 

「では私はこれで失礼します。くれぐれもリムル様に失礼の無いよう。もしもの時は……わかっていますね?」

 

「も、もも、もちろん、でごさいまます」

 

自分でも何言ってんだと思いながら案内された先に向かう。途中でディアブロさんとは別れ、別のメイド服っぽい何かを着てるゴブリンに案内される。

 

 

可愛いなおい。

ゴブリンオーガって私の世界じゃ《ピーーーーーー》の定番なはずなのになんでこんなにかっこいいし可愛いの?反則でしょ。

 

 

私もここに住みたい。理想郷はここに有リ。

 

 

「こちらへ。中でリムル様がお待ちです」

「わ、かりました。ありが、と、ございます」

 

現実逃避できたのはここまででした。

よし、覚悟未完了。逝こうか。

 

豪華な扉を3回ノックするとやけに中性的な声で『どーぞ』と言われる。

正直ここから何してたんか、自分でもさっぱり訳わからん状態だったんですけども、私が第一声何を言ったかだけは覚えてる。それは…

 

「……ちびシズさん?ていうか、ラスボスどころかレイドボスじゃん…」

「は?」

 

はっはっは。みんなの言いたいことはわかってる。よーくわかってる。けど先に私に言わせて欲しい。

 

「(あ、わたし死んだ)」

 

 

 

 

 

「(ちびシズさん?俺の姿を見てシズさんの名前が出たってことはコイツもシズさんにお世話になってたのか?)」

 

今し方変なことを口走った目の前の精霊は、やらかしたと言う顔をして顔面蒼白になっていた。心なしか口から魂が出てるような気もする。

 

「(それに俺のことをレイドボスだって?……まさかとは思うけど)」

 

ラスボスだとかレイドボスやらの言葉が出るってことは十中八九、俺の同郷な気がしてならない。

 

「(よーし!ここはいっちょかますか!)」

 

人間形態からスライム形態に戻り、ぽよんと跳ねながら机の上に乗る。

 

「はじめまして!俺はリムル。悪いスライムじゃないよ!」

「ブフッ⁉︎」

 

確定だな。この精霊、異世界人かつ元日本人だ。

その証拠に、愛くるしい言葉に精霊は思わず吹き出して口を押さえていた。

 

俺としては同郷の人間だーやったぜ!くらいに思っていたが、熱感知無効なのに熱いなーとふと思い周りを見ると、ベニマルたちの顔が険しくなっていた。それに気づいたのか姿勢をビシッと決め直立不動に。

 

ベニマル達は俺へ無礼を働いだと思ったのか、今すぐにでも斬りかかりそうだったので慌てて止める。特に外にいるディアブロ。殺気を隠す気がない。

 

「すまんな。大丈夫か?」

 

「……」

 

「あれ?おーい」

「……リムル様。気絶しているようです」

「え?」

 

ゲルドが精霊の頬をつつくと、ビターンと横に倒れる。

 

「はは…」

『告。近づいてはいけません』

「え?」

 

苦笑いしながら起こすために近づこうとすると、ラファエルさんから警告される。

 

『自動迎撃モードを使用します。精霊召喚【炎の根源精霊・イフリート】」

 

「「「「⁉︎」」」」

 

警告の直後、精霊の口から無機質な声が響く。本人の体が光り、炎を纏う雄牛の顔をした巨大な精霊が現れる。

 

『我が主を危険に晒す愚か者は汝らか』

 

見た感じ最低でも4〜5メートルはありそうなソイツは、俺の知っているイフリートとは全く違うモノだった。少なくともベニマル達といい勝負できるくらいには強い。

 

「リムル様お下がりください!ゲルド!」

「わかっている!」

 

「待て待て。落ち着けお前ら。ディアブロも手を出すな」

 

一触即発の中、ベニマルがイフリートの前に、ゲルドが俺を守るように立ち位置を変える。それを何とか止めながらイフリートの前に歩み寄る。心配されるが負ける気はしないし、これ以上刺激するわけにはいかなかった。

 

「初めましてイフリート。俺はリムル。ウチのが驚かせてしまって悪かった。俺たちにこの人を傷つける気は全く無い。だからここは引いてくれないか?」

 

『拒。鬼人、オーク、悪魔を従える汝に、主を傷つけないと言う保証は無い』

 

「ああ。確かにその通りだ。だからこそ君はその子を守るために出てきてくれたんだろ?でも俺たちには戦う気はないんだ。矛を納めてくれないか?」

 

『………………。是。だが、主の中で同胞と共に見張らせてもらおう。もしもの時は……わかっていような?』

 

「ああ。魔王リムル=テンペストの名にかけて誓おう。炎の根源精霊イフリート。俺たちは決して彼女を傷つけない」

 

『その言葉、(ゆめ)忘れるな』

 

イフリートは白く光り、その場から消える。

 

「あはは…前途多難だな」

 




この精霊の強さ的な立ち位置


ディアブロ>>鬼人のメンツ>>>>>精霊
ただし、とある条件を満たした場合のみ
ディアブロ≒精霊>>鬼人

本人が呼び出す精霊の強さはベニマルたちとタイマンしていい勝負する程度の強さ。名付けなどされたらまた話は変わってくる。

ま、戦闘描写はほとんど無いけどな!
理想としては若干コメディ寄り(転スラ日記みたいな感じ)を意識しつつ残り書いていきます
がんばるぞい

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