ボンゴレファミリー所属の千束とたきな   作:たきな大好き0802

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本来は前回と合わせて1話にする予定でしたが思ったより長くなってしまったので分割。
そのせいでいつもより短いのはご愛嬌。


過去と今

時間は少し戻って、たきな達がサクラに出会っていた頃に千束達も移動した先の部屋――次の部屋に繋がる扉以外ない殺風景の部屋でミルフィオーレ隊員と対面していた。だが、その相手は――――

 

「よぉ、久しぶりだな。千束。あの世から戻って来たかと思ったぜ」

 

「フキ!」

 

千束達の現れたのは額をさらした濃い茶髪のショートヘアをアシンメトリーにセットした、鋭い面持ちの()()()()()()()少女――春川フキであった。彼女は千束の記憶よりずっと身長が伸びておりなにより――――ミルフィオーレの白い制服『ホワイトスペル』を着ていた。千束はその姿を見て、開いた口が塞がらなかった。

 

「まさか10年前の姿でしかも今度は敵として対面することになるとはな……」

 

「……本当にね」

 

「千束はあいつと知り合いなのか?」

 

「……うん。元の時代では私と同じファーストリコリスのフキだよ」

 

山本に聞かれて少し暗い表情をしながら千束は応えた。彼女もまさか同僚が敵側として立っているとは想像できなかったようだ。

 

「フキ、どうしてミルフィオーレに?あいつはボンゴレを潰そうとしているんだよ!?」

 

「……うるせぇ!10年前で時が止まっているテメェなんかにはわかねぇだろうな…ワタシはボンゴレに捨てられたんだ……」

 

「ボンゴレに捨てられた……?それってどういう……」

 

言葉の意味が分からずに千束はフキに聞き返す。フキはどもっては不愉快そうな表情をしながら答えた。

 

「…はん!そのまんまの意味だ!ボンゴレのお偉い方は最前線のワタシ達を囮に逃げようとしたんだ!……その時に生き残ったのはワタシとサクラだけだ!そして、絶望した時にあの方は私達に言ったんだ――――」

 

 

『このまま何もせずに無残に死ぬのは本当に正しいのかな?所詮、ボンゴレにとって君らは所詮使い捨て電池と変わらないんだよ』

 

『僕のファミリーに来なよ、フキちゃん、サクラちゃん。君達みたいな子が使い捨てなんて間違っている』

 

『悪いようにしないよ。君達の強さ的にもボンゴレにいたよりも待遇してよくしてあげるよ』

 

 

「――――ってな!…あのまま戦っていたらワタシ達は確実に殺されていた。あの方の言葉にすがるしかなかった……」

 

「つまり、優しい言葉に誘われてホイホイついて行っちゃったわけね」

 

「んだとテメェ!!もう一度言ってみやがれ!!!」

 

「捨てられて、うまく利用されちゃったの?フキって意外とそういうの信じやすいよね」

 

「……テメェ、あの地獄を体験してねぇくせに知ったように言うんじゃねぇ!!」

 

煽るように言ってくる千束にフキは言葉を荒げていた。

 

「そもそも奴らは先生を殺したかもしれないんだよ!!?それは知っているの!?私が知っているフキならミルフィオーレを許すなんてしないはずだよ!!!」

 

「……ああ、知っているよ。先生は仲間を逃がすために囮になったことも……」

 

「な、なら!どうして……」

 

「先生は……仕方がなかったんだ。あの人にも『仲間になったら見逃す』って言ったのに断って最後まで抵抗して行方不明に……素直に受けていればあんなことにはならなかったんだ……」

 

「そんな……」

 

千束はフキが自分が知っているフキとは違うことに言葉を失った。フキはミカの事を好いていたし、過去の彼女ならミカが行方不明になった時点でミルフィオーレから脱走していただろう。

 

「おかしいよ!なんであんなに好きだった先生のことをそんな風に言えるんだよ!!」

 

「死んでいてこの時代の事を知らねぇお前に何が分かる!!……ワタシは怖かった……一見優しそうな()()()だが、少しでも裏切る様子を見たら容赦なく消すだろう……あの人は引き入れる時に言ったんだ」

 

『僕は自分に役立つ人間は大好きだけど、それを裏切る人間は嫌いなんだよね』

 

『潰したくなっちゃうよ』

 

「……その言葉を聞いた時、私は寒気だって恐怖を感じた。『ああ……この男には勝てない』ってな……」

 

「ふーん……つまり、フキは恐怖に負けてミルフィオーレに入ったことだよね。はぁ~~~……つまんなくなったね、フキ」

 

話を聞き終わった千束は本当につまらなさそうな顔をしてそう吐き捨てた。千束からしたら今のフキの話は自分と知っている彼女とは違い過ぎて落胆としていた。

 

「好き勝手なことを言いやがって!!テメェは大人しく10年前に戻って未来を受け止めて過ごしやがれぇ!!」

 

フキはそう吐き捨てると懐から拳銃を取り出す。戦闘態勢を示すしており、千束も背中の学生鞄から自分の拳銃を取り出す。

 

「山本……悪いけど、ここは私一人でやらせてもらっていい?フキは私がケリを付けないとだめなんだよ」

 

「……ああ、いいぜ。話を聞いていてお前とアイツは因縁があるようだし、オレが手を出すわけいかないよな」

 

「…!ありがとう、山本」

 

千束は自分のわがままを聞いてくれた山本に感謝の言葉と頭を下げる。山本を傷ついて疲労しているラルをおぶりながら後ろに下がる。そしてラルを地面に降ろしては床に腰を下ろした。

千束は山本が後ろに下がったのを確認した千束は銃を斜め下に向けてはフキと向き合う。

 

「…千束、冥途の土産に教えてやるよ。この基地のおかしな構造と部屋の移動についてをな」

 

「……?どういうこと?」

 

「カモフラージュされているがこの基地は縦・横・高さはどこも正方形に区切ることができて、ほぼすべての区域を立方体で分割することができる。そして各階には同じく立方体の形に空いた何もない空間がある。つまり、これは立体のパズルってわけだ」

 

「……それで?」

 

千束はある程度推測はできていたがその推測があっているか確認するためにフキに話を振る。フキはその態度に気に障るが話を続けることにした。

 

「……ピースを上下左右にずらしていけば思い通りの場所に思い通りの部屋を移動させることも可能だ」

 

「なんだって!!……もしかしてあの黒い部屋だと思っていたのは空洞だったのか!!」

 

「……空洞の隙間に生えていたカビは活性で作用して部屋の移動に貢献していたわけだね」

 

「……だろうな、これで話は終わりだ」

 

フキはそう言い切ると千束の方へ走り出しては手を伸ばして攻撃する。千束は勿論、それを余裕で躱す。フキはそれでも攻撃を止めずに金属製のカップが仕込まれているローファーで千束の腹を蹴ろうとする。千束はその攻撃を見切って後ろに跳んで避けるが――――

 

「がっ」

 

次の瞬間、千束は蹴り飛ばされていた。近くで見ていた山本も一瞬何が起きたか分からなかった。避けたはずフキの攻撃を千束が受けていたからだ。

千束は吹き飛ばされた後に千束は一瞬、横で回転していったがすぐに態勢を立て直して足でブレーキをかけてスピードを殺してその場に留まる。

 

「千束は!」

 

「くっ……!」

 

(思ったより飛ばなかったな……気が付いて後ろに飛んだか……なら――)

 

フキは千束が地面に手をついてその場を踏み止まっているを確認しては、匣を取り出して自分の右手のリングに藍色の炎を灯しては匣を開匣をする。

開匣された匣から霧が出されて周りを一気に霧で包みだす。

 

「ま、前が!!」

 

(周りが見えなくなっているここでさらに畳みかける!!)

 

フキは千束が戸惑っている隙をついて彼女は更に匣を開匣する。そこには霧の炎を灯した霧蜻蛉(リベッルラ・ネッビア)が現れる。

それが羽を動かすと周りに密かに霧の炎でフキの姿をした幻覚を構築する。

 

(よし!これで千束は幻覚のワタシだと錯覚するだろう。相手がワタシだと思ったものの陰に注意を引かれている瞬間に別の場所から射殺する……単純だが、この手が一番効く)

 

フキは今までやってきた手を使って千束を仕留めようとしていた。手には拳銃を持っては幻術の自分を先行させて千束がいる斜め左あたりに銃を構える姿勢を取らせて拳銃を発砲させる。これは霧の炎の『構築』によって作り出された幻覚のために発砲されるのは霧の炎の塊である。

それを先に発砲させて相手がそっちにいると勘違いさせては本人は別の方から霧の炎を纏った弾丸で撃つ―――それがフキの基本戦術だった。

 

(元々霧の炎は高度は低いがそれを補うための特殊能力がある。そして霧の炎は一点集中することで鋼鉄も焼き切ることも可能だ)

 

フキは右上から霧の炎を拳銃に灯して千束に向かって霧の炎を纏った弾を撃ちこんだ――――が。

 

(―――手ごたえがない?……しまった!これは罠――――)

 

「チェストオォォォォォォッ

!!!」

 

「!!?」

 

違和感を感じてフキはすぐにも行動を動こうとするが、その前に千束が霧の中から現れては叫んでフキの傍に駆け出す。フキは驚愕しながらもリングの炎を灯してガードをするが千束は非殺傷弾を撃ち込む。非殺傷弾は嵐の炎と晴の炎と雲の炎を宿していて嵐の炎で霧の炎を破壊しては雲の炎で弾を増やし、晴の炎で不規則な加速をする。

 

「があああああっ!!!」

 

霧の炎のガードを打ち破った非殺傷弾が何発かフキの体に当たっては彼女は悶絶しては地面に転がり込む。痛みでうつ伏せ状態のフキは何とか意識を保ち立っている千束の方を見る。

 

「て、てめぇ……どうやってあの攻撃を避けた……そもそもこの霧の中を動くことができた……お前の自慢の目もここじゃあ……」

 

「へへっ。これなーんだ?」

 

「あん?」

 

フキは体をなんとかうつ伏せの状態から反って顔を上げるとそこには目に掛けていたフチが黒い軍用のゴーグルを頭に上げる千束の姿があった。そのゴーグルには晴の炎を纏っていた。それを見たフキは何があったのかすぐに察する。

 

「て、テメェ……もしかしてそのゴーグルに晴の『活性』を纏わせて目を活性化させて幻術を見破ったのか」

 

「せーかい♪目を強化することで霧の炎の幻術を見破ることができたんだよ。ついでに霧の中も普通に見ることができるよ」

 

「だ、だが!それで霧の中を見れたとしてもすぐにワタシの場所が分かるはずが……」

 

「それはこの子と視界を共有しておいたからね」

 

千束は地面の方に手を向けるとそこには雲の炎を纏った細長いひものような体の長さが30cmほどの丸みがある生物――チンアナゴだった。

 

「なんだよ、そいつは……」

 

「あれ?知らないの?チンアナゴの『チーちゃん』!この子を増殖させて床に穴をあけて配置させては私のゴーグルと視界共有させてこの部屋全体を見ることができるんだよ」

 

「ちっ……潰したと思ったらその上をいくのかよ……」

 

「そしてフキが本物の私だと思ったのは……この子!」

 

千束はそういうと彼女の所に50cmほどの茶褐色のたぬきが近づいては千束はそのたぬきを両手でだっこする。その体からは雲属性の炎が出ていた。

 

「そいつは…」

 

「この子は雲狸( カーネ・プロチオーネ・ヌーヴォラ)の『ポンタ』。さっきのはこの子の『増殖』で作った私の分身―――と言っても雲の炎で作ったハリボテなんだけどね」

 

「けっ……ふざけた名前しやがって……」

 

フキは千束から匣兵器の花絵を聞いて吐き捨てながら彼女が銃が効かなかった理由になっとしていた。雲の炎の『増殖』でダミーとして増やすとしても霧の炎で作るのと違って一人一人を精密に作り出すことはできない。だが、遠目でしかも霧の中で相手を誤認させるくらいなら中身はハリボテの雲の炎で作った分身で十分囮になったのである。

 

「それじゃあ、私は行くね」

 

「おい……トドメを刺さねぇつもりかよ……」

 

「もお、私のスタンスは知っているでしょ?『命は大事』だよ」

 

「……相変わらず甘い考えだな。それで足をすくわれなきゃいいがな」

 

「忠告どーも。そうそう最後に言っておくよ」

 

「んだよ、まだ言うことでもあるのかよ。さっさと行きやがれ」

 

フキはまだ話すことがありそうな千束を見て不機嫌な顔をしていた。

 

 

「先生のことを今でも思っているなら―――先生が今のフキを見てどう思うか考えて、これからを決めて欲しい」

 

「…………………うっせえよ。ばーか」

 

 

千束の言葉を聞いたフキはバツが悪そうに体を仰向けにして目線を隠すように腕で目を隠す。それを見た千束は色々と察してはその場を後にして山本達の所へ向かったのは。

 

 

「ごめん、心配掛けたね。終わったよ」

 

「……話はお終わったのか?」

 

「うん。あとはフキの問題だから」

 

「……そうか。じゃあ、行くか!」

 

「うん!」

 

千束の返事を聞いた山本は再びラルを背負っては彼女と共にその部屋を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それぞれ動き出したか。お前の大切なものを奪ってやる……待ってろ、錦木千束」

 

別のトレーニングルームにて黒いヘルメットを被った者がヘルメットを弄りながらそうつぶやいていた。




かなり戦闘あっさりですが、ここのフキが暗殺スタイルなのも関係しています。
作中で行った雲の分身ですが、あれはデコイで消耗がそこそこあるためそこまで簡単に仕える戦法でありません。今回みたいに霧で相手を隠れて暗殺しようとした戦法に対して使っただけで……。
たまたまポン太が使えたのとこういうのはどちらかと霧属性の分野なのでモブや使えたとしてもスカルぐらいしか本家の雲属性は使いません(使えてもラルでも消費が激しい方なので使わない)
今回、匣の解説が長いのでいつもの省きます。

匣兵器シークレット解説シリーズ
霧蜻蛉(リベッルラ・ネッビア)
匣タイプ:インセクト 属性:霧 設計者:イノチェンティ
大きさ7.5cm パワーD スピードA スタミナC 賢さD 性格:お堅い
技:噛みつき 体当たり 幻覚構築
備考:霧と類似した炎で幻覚を構築する霧属性の支援(サポート)型匣兵器。
日本では『ギンヤンマ』と呼ばれるトンボの一種。飛行速度は平均時速60km、種によっては最大時速100kmのスピードを出す。
相手に捕らわれずに羽を動かしては周りに霧の幻覚を構築して使い手をサポートするのが表の使い方である。
最終手段で最大時速で体当たりがあるが、体を破壊する自爆する技なので使われることはほぼない。
BOX DESIGN
側面にミルフィオーレの紋章がある。

雲狸( カーネ・プロチオーネ・ヌーヴォラ)
匣タイプ:アニマル 属性:雲 設計者:ロレンツィニ 
大きさ52cm パワーC スピードC スタミナC 賢さB 性格:臆病
技:噛みつき 体当たり ひっかり 雲ダミー 雲大量増殖
備考:増殖能力を持つ雲属性の匣兵器。
直接攻撃はできるが、そこまで攻撃性はないのでどちらかと支援向きである。
増殖の炎を使っては相手を錯乱するのがメインで人をもした雲形のデコイを作れるが物を作れる霧属性と比べると触れたら雲散してしまう。また、自身を増殖して物量で押し出すなどの戦法をとったりする。
基本的に臆病だが、千束に懐いており、彼女に呼ばれた時は怖りながらも必死に戦う。
千束は『ポンタ』と名付けた。たきなの『ペンタ』と合わせてだと思われる。
BOX DESIGN
紫のボックスの側面に彼岸花のデザインがあるボックス。

雲チンアナゴ
匣タイプ:フィッシュ 属性:雲 設計者:ロレンツィニ 
大きさ35cm パワーB スピードA スタミナC 賢さB 性格:警戒心が強い 
技:穴掘り 尾びれドリル セメント固め 体当たり 増殖
備考:体の紫の雲の炎を纏った匣兵器
尾びれドリルで穴を掘りどこからでも隠れることができる
隠れて相手を狙って襲い掛かるのが基本戦法
雲の属性の特性で数を増やすことができ、相手はどこから攻めてくるか警戒させることができる
この匣兵器は千束用に少し改造しており、チンアナゴの視覚を千束が持っているゴーグルの匣兵器と合わせて共有できるようになっている
これにより幻術や本体の目をやられても他の視点から見ることができて、弱点の補強ができる。
千束は『チーちゃん』と名付けている。
BOX DESIGN
紫のボックスの側面に彼岸花のデザインがあるボックス。

晴のゴーグル
匣タイプ:ウェポン 属性:晴 製作者:ケーニッヒ
大きさ:高さ15.5cm
備考:晴属性の補助用匣兵器。
晴の炎の活性により目を活性化させては視力を上げることができる。
だが、観察眼を持つ千束が使うことで幻術などを見破るほどに向上する。
また、雲チンアナゴと組み合わせることで視界共有で見える範囲を広げることができる。
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