DirtStar ~Sound of spark~   作:滄碧

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初めに
この物語は以降展開の都合上所々に重い展開が入ります。
なので人によっては胸が苦しくなることがあるかもしれません。
それを理解した上で読んでくださるようお願いいたします。


第0小節

無音から

 

 

 

 今日はトレセン学園の入学式だ。私は地方で生まれたしウマ娘の友達はあまりいなかったから小学校からの友達は誰一人としていない。なので少し寂しいけど...

でも、今は寂しいという感情よりも、今は興奮が勝っている状態だ。私の戦いの始まりでもあるこの場所に立っている、それだけで心が沸き立っている。

 おっと、ここで突っ立っているわけにもいかない。早く教室へ急ごう。

 ...遅刻してるし。

 

 

 

 入学初日に遅刻をかましてしまった事で、先生からはかなり絞られてしまった...だが、それは置いておこうか。

 そうだなぁ...まずは同じクラスにいる子についての話をしようか。結論からして、ダートを主戦場とする子はいなかった。少しショック。まあ、こういうこともあるよね。と、これに関しては割り切ることにした。あ、でも直ぐにクラスの友達はたくさんできたな。元々私は明るい性格だし、友達作りに難航することはなかったよ。そのおかげか、気になる情報も貰うことが出来たんだ。なんでも、友達がダートを主戦場とする子がいるらしいんだ。私としては早い所同じバ場で走る友達を持っておきたかったので、この後直ぐにでもその子の元に向かいたいな。

 と、その前に......私は外に出て学園の周りにある芝生に寝転がり、音楽プレーヤーを付けながら暫く故郷での出来事を思い返すことにした。今でさえこんなに落ち着いてはいるけれど、故郷ではかなりのやんちゃだったんだよね...

 

 何しでかしたかっていうと、まず黒板消しをドアに挟むあの古典的な悪戯だね。あの時の先生の顔は傑作だったよ。こってりと絞られたけど...

 それに親に何も言わずに川に泳ぎに行ったときがあったな...水着なんてものは持ち合わせてなかったからTシャツと短パンだけで4から5キロは泳いだよ。まあ夕方になって心配した母が警察に迷子だなんてはた迷惑な事したから違う意味で警察のお世話になっちゃって、大目玉くらっちゃったけど...あ、その時父はなんとも破天荒な娘だ、将来が楽しみだな、なんて言ってたな。

 まあその後案の定高熱だして暫くダウンしてたんだけどね。母からは全く誰に似たんだか...なんて言われちゃったよ。

 

 そういえば、やんちゃするときに限らずいつもそばには葦毛のウマ娘の親友がいたな...あの時私はまだ髪の毛が黒だったから、私たちの事をパンダ同盟なんて言ってた子もいたっけ。とにかくあの頃はそばに親友がいて毎日が楽しかったよ。あの頃は、ね...

 

 そういえば、私がトレセンに行こうとした理由を話してなかったね。あれは10歳くらいの時だったか、近くの競技場に中央の子がレースの為に来るって話があって、気になって一人で見に行ったんだよね。あれが私が初めて見たレースだったよ。

 必死に先頭を目指して走る先輩ウマ娘達の姿を見て、とても心が震えたんだ。その時からいつか私も走ってみたいって思うようになったよ。

 そんなことを考えていたら出走してた先輩ウマ娘のうちの一人が中央への帰り際に私に話しかけてきて、お前、ずいぶん目を輝かせてたな、って言ってきたんだよ。私は、私もあなたみたいに輝いてみたいです!って返したんだ。そしたらその先輩ウマ娘は上機嫌になりながら、なら中央に来い、もっと輝けるし皆に認めてもらえるぞ!って言ったんだ。私はすぐに、はい!って言ったよ。その先輩ウマ娘の名前は聞いてなかったけど、確か自分の事を親分って言ってたな。

 で、そのことを葦毛の親友にも話したら、親友も一緒に行こうって言ったんだ。だから、中央に行くときは二人一緒に行こうって約束したんだ。

 

 ...でも、その約束は無慈悲にも破られたんだ。

 それは私が11歳の頃。親友と一緒に都会に飯を食いに行った時の話。その時は父が運転してて私が後ろの左側の席、親友が右の席に座ってた。父はずっと安全運転を心がけていたよ。でも、交差点に差し掛かった時にトラックが信号無視して右側から突っ込んできたんだ。

 かなり交通量の多い十字交差点だったからか、現場は大混乱。私も何が起こったのか分からなかったけど、隣にいる親友の状態を見て、嫌でも何が起こったのかって言うのを悟らされたよ。

 結論を言うと、父は即死、母は重症、親友は意識こそあれど今考えればもう助からない状況だった。

 私は真っ先に親友の部屋に向かったよ。両親はきっと生還するって思ってたから。

 親友は息も絶え絶えで、長い間喋る生命力も残ってなかった。

 ねえ、目を覚ましてよ!あの時の約束は!?私たちの未来は!?誓ったよね!?

そう私が叫んでも親友は首を横に小さく振る事しかできなかった。

最後に親友が喋った言葉は、中央で、ダートの頂点を...ダートの星を...目指して...だったよ。

私は必死に、分かったから死ぬな!約束だろ!って叫び続けたよ。でも...

 この世界は、理不尽だった。結局親友は助からなかった。

 親友の手は窓ガラスがまんべんなく突き刺さっており、とても握れる状態ではなかった。

皮肉なことに、私は長年手を取り合ってきた親友を、最後の瞬間に手さえも握ることが出来ずに亡くしたんだ。丁度その時に父の死亡も確定した。私は声が1週間枯れる位に泣き叫んだよ。

 

 それからは私と母の二人で生活していたけど、そのうち母も事故の後遺症が悪化して死んだ。その時はこの世界全体を恨んだね。態度も不良そのものになってたし、あの出会いが無ければ自暴自棄になって首を吊ってたかもしれない。

 とまあ、事故の後私はかなり荒れてたんだけど、とある出会いが私を救ってくれたんだ。

それはあの時の先輩ウマ娘のトレーナーさんとの出会い。どうやら私の父と昔からの知り合いだったみたいで、私が一人になったことを知って急いで駆け付けたらしい。それからは一時的保護という名目でそのトレーナーさんの手配した部屋(都会のアパート)で暫くの間生活させてもらえることになった。食事には困らなかったよ。私は料理が得意だからね。でもそれよりも心配だったのはこれからどうやって中央に行こうかってことだった。両親がいない以上、資金的な影響で中央に行くことなんてできないからね。

でもそれはトレーナーさんが何とかしてくれた。特別措置を適応して貰う為に理事長に直談判しに行ったらしい。今思えば肝が据わってたなぁ。

 

 とはいえ中央に入るためには厳しい試験を乗り越える必要があったね。そこはトレーナーさんの指導も受けつつ、しっかり座学もこなして万全の状態で臨むことが出来たからよかったよ。

 そしてその数週間後、中央から封筒が送られてきた。その中身は中央への入学を許可する内容のものだった。

私とトレーナーさんはその時すごく喜んでいたのを今でも覚えてる。念願の中央に行けることがどんなに嬉しかったか。

 あの時の先輩ウマ娘も祝いに来てくれた。本人としても後輩が増えるのは嬉しかったみたいで、私の事を子分と言って親分の後についてこい!みたいなことを言ってたよ。これを言うのは失礼かもしれないけどあの時の先輩はすごくはしゃいでてちょっと可愛かったな。

 

 丁度この時に髪が黒から灰色掛かった葦毛に変わり出した。トレーナーさん曰く、黒や茶色から白や灰色になる子はそこまで珍しくないらしい。私は亡くなった親友と同じような髪の色になったことで、いつでも一緒に居たい気持ちを込めて髪型をロングヘアーから親友の髪型のショートヘアーに変えたんだ。

 そして気持ち新たに、いよいよ中央トレセンへと向かう時が来たんだ。

 




これからの登場人物

主人公

明るい性格。前はやんちゃだったが今は抑えられている...はず。
親友の死をきっかけに決意を高め、中央でダートの頂点を目指す。
ダートを主戦場とし、距離適性はマイル、中距離。脚質は差し。条件を満たした時の爆発力が凄まじく高く、そこだけを切り取ってみればG1級にも引けを取らない。ただ本人にも制御は難しいらしいが。

先輩ウマ娘

語尾に"のだ"が付くおなじみのアプリにもいるウマ娘。主人公の事を子分呼ばわりし、連れまわすのは原作と変わらない。ただ主人公のやんちゃが再び解放されると振り回されるのはこの娘のほうだったりする。
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