斉木楠雄は告らせない   作:のぞむ

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石上優のΨ難

「すみません会長。僕の為に時間作ってもらって…」

 

まったくだ。これから見たいアニメがあったというのに。

 

「あ、会長もアニメ見るんですね」

 

ああ。アニメは日本が誇る立派なコンテンツだ。当然嫌いじゃない。僕がアニメを見るのは変か?

 

「いえ、意外だな~って思っただけです…って、それより、相談があるんですけど…」

 

なんだ?また気に食わないカップルでも見たのか?

 

「いえ…生徒会を辞めたいんです

 

なるほど…じゃあ辞めろ。

 

「…いや、あっさり過ぎません?今のは引き留めたり訳を聞いたりするところじゃないんですか?」

 

確かにお前のおかげで生徒会の仕事は成り立っているが、別に辞めたいのなら僕は止めはしない。

 

「会長ってめっちゃドライですね…」

 

何とでも言え。

 

 

…えっ?さっきから誰と話してるのかって?そういえば何の説明もせずに今回の話が始まった気がするな…

 

こいつは生徒会会計の石上優。秀知院学園の高等部一年だ。

一年前のある出来事が切っ掛けで僕は石上と出会い、その後四宮さんの勧めもあり、高等部に入学してすぐに生徒会に入ってもらったのだ。

 

…石上。お前が生徒会を辞めたい理由は四宮さんなんじゃないのか?

 

「そ、そうなんです…よくわかりましたね」

 

やはりな。どうも石上は四宮さんに並々ならぬ恐怖心を抱いているようなのだ。まぁ同じ生徒会に入っているんだ。ある程度四宮さんを信用して…

 

「多分僕…このままだと四宮先輩に殺されると思うんです」

 

ないな。重症だこれ。

 

「僕、眼を見ればその人の本性が5~6%わかるんです」

 

数字が微妙じゃないか?それを言ったら僕はテレパシーのせいで嫌でもその人間の本性が100%わかるんだぞ。

 

「四宮先輩は、時々凄い眼で僕の事を見てくるんです。あれはそう…紛れもなく殺意です…!」

 

一体お前は四宮さんに何をしたんだ?

 

「それは…脅されているので言えません」

 

…悪いが石上。テレパシーでその時の出来事が全てわかったぞ

 

 

一ヶ月ほど前、いつも通り仕事をしていた石上は喫茶店で使える二人分のコーヒーゼリーの引換券が机の下に張られているのを見つける。もちろんそれは四宮さんが僕を喫茶店に誘う為に張ったものだ。しかしそれを知らない石上がそれを手に取ってしまう。それに気づいた四宮さんが圧を放ちながら石上に他言無用だと口止めしたそうだ。

 

「多分あの人、二~三人は殺ってますよ…!」

 

もしそうだったら四宮さんはとっくに逮捕…されないだろうな。多分四宮家の力で事件自体を揉み消す気がする。

 

ふむ…もう少し石上の頭の中を覗いてみるか。

 

 

--------------

 

 

『四宮先輩って、会長の事が好きなんですか?』

 

『な、何を言ってるんですか!?』

 

『いえ、なんとなくそうかなって…』

 

『私が会長を!?馬鹿な事言わないでちょうだい!そんなわけないでしょう!』

 

『じゃあ、恋愛対象として見てないって事ですか?』

 

『も、もちろんです!むしろそんな噂されて迷惑なくらいです!』

 

『…わかりました。じゃあそれとなく脈無しだって会長に伝え…グェッ!?』

 

『絶対にやめなさい…!』

 

 

--------------

 

 

…お前、結構核心ついてたんだな。

 

「あの人は根っからのシリアルキラーです…眼を見ればわかります」

 

精度5~6%の眼を信じすぎじゃないか?

 

「藤原先輩なんて僕より危ないんですよ。時々藤原先輩を人として見てない眼をしています。あれはもって二ヶ月といった所ですね」

 

藤原さん、今までご苦労だったな。

 

「他人事みたいな感じ出してますけど、会長だって危ないですよ?偶に会長を獲物を狙う眼で見てますよ」

 

それは当然だろ。四宮さんは僕を(恋愛対象として)狙ってるんだからな。

 

「その顔、やっぱり心当たりあるんですね!今すぐ手を打つべきです。ああいうタイプが一番ヤバ…「会長…」っ!?」

 

 

 

 

 

「石上くん、来てますか?」

 

「ギャアァァァァーーーーッ!!」

 

 

 

 

 

ここにいるぞ。ほら。

 

「ちょ、会長!?」

 

「石上くん…先程の会議…」

 

「い、命だけはなんとか!」

 

「演劇部の予算の話で…」

 

「お願いします!どうか命だけは!!」

 

「話を聞いてください!!これは演劇部の衣装です!!」

 

「…え?」

 

「今演劇部の助っ人に借り出されてるって言ったじゃないですか」

 

「…会長。もしかしてその事を知ってて…」

 

 

「何で無言!?」

 

すまない。ついな。

 

ここ最近四宮さんは演劇部の助っ人に行っており、今の彼女は血まみれの服を着ており、更には包丁を持っているのだ。もちろん包丁は玩具なのだが石上のように事情を知らなければ誤解をしてしまうかもしれないな。

 

「驚かせてしまってごめんなさい。これはその…ちょっとしたいたずら心だったんです」

 

笑顔があざといぞ。

 

「会長。騙されちゃいけません。ああやって可愛い風を装って、油断した所をザクッ、ですよ…!」

 

やれやれ。すっかり石上は四宮さんを信用しなくなったな。いくら四宮さんでも人を殺めるような真似は…

 

 

 

「会長~…石上く~ん…助けて~…!」

 

「ふ、藤原先輩…胸に包丁が…!」

 

「か、かぐやさんに、刺されちゃいました~…」

 

…もしもし警察ですか?

 

「会長!あれはただの特殊メイクです!だから携帯をしまってください!」

 

そうだったのか。本格的過ぎて気づかなかった。

 

「絶対に気づいてましたよね…藤原さんも悪ノリしないでください」

 

「エヘヘー!ごめんなさ~い」

 

…とにかく石上。確かに四宮さんは策謀をめぐらせたりナチュラルに人を見下したりするが、むやみやたらに人を殺すことはしない。少しは信じてみる事だ。

 

「…わかりました。ありがとうございます、会長」

 

さて、面倒事は片付いたし、帰ってアニメを見るとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

「石上くん」

 

「し、四宮先輩。何ですか?」

 

「あの件、黙っててもらえて嬉しいです。口が固いのは美徳ですね」

 

「そ、そうですか…?」

 

「えぇ。もし喋ってたら…玩具じゃ済みませんでしたから

 

「っ…!」

 

「それと、会長を困らせてはいけませんよ…もう、生徒会を辞めるなんて言わないでくださいね?

 

「は、はい…(この人、もしかして最初から聴いてたんじゃ…!)」

 

 

 

 

 

 

 

やれやれ。石上の四宮さん恐怖症はまだ治りそうにないな。

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