魔界は妖怪が住む世界。世界全体が障気で満たされており、普通の人間であれば魔界の空気を少し吸っただけで、何の対処もしなければ死に至ってしまう。
他にも人間界、霊界と呼ばれる二つの世界もある。その中で魔界は、とてつもなく広大な世界で、無限に続く地下ビルのような構造になっている。そして地下深くになるほど強力な妖怪が多く、弱肉強食の世界とも言われている。
『強さこそが全て』と言う
その妖怪達の名は
しかし、その三すくみで成り立っている魔界のバランスが崩れかけている。その要因は雷禅が死に掛けているからだ。当然その情報は軀や黄泉にも知れ渡っており、二人は雷禅の死を確認すれば一気に動き出そうと、着々と準備を進めている。
雷禅は己の死を受け入れながらも、部下を使ってある一人の少年を自身の国に来るよう招いていた。少年の名は浦飯幽助。人間界で生まれ育った人間だが、妖怪の遺伝子上における雷禅の息子。
経緯は省略するが、幽助は現在魔界で特訓をしており、雷禅の部下である北神、東王、西帝、南海が修行相手になっている。
幽助が特訓をしては雷禅に挑んで敗北、と言う繰り返しの日々を送っている中、予想外の事態が起きていた。
「冥界だと! まさかてめえ、
「誰だよソイツは……って危なっ!」
突如人間と思わしき青年が雷禅の国に現れ、冥界について訊いてきたから、幽助は嘗て倒した冥界王『耶雲』の関係者と思って挑んでいた。
いきなり攻撃を仕掛けられた事に青年――兵藤隆誠は仕方ないと言う感じで迎撃している。
「う~ん……冥界とは雰囲気が違うな」
元聖書の神こと兵藤隆誠は現魔王アジュカ・ベルゼブブより冥界に来て欲しいとの緊急要請を受け、単身で冥界へ向かってる最中に予想外のトラブルに見舞われていた。
先ほどまでアジュカより用意された転送ルートを使っていたのだが、人間界から冥界へ向かう境界線を越えた瞬間、次元に異変が生じる。隆誠はそれに気付くも、既に異なる次元を通ってしまった後の為に戻る事も叶わなかった。
そして辿り着いた周囲を見渡すも、隆誠は何度も行き来していた冥界とは全く異なる世界だと既に認識している。
「それより何なんだこの音……」
見知らぬ世界へ来て早々、聞き慣れない音が大きく響き渡っていた。まるで誰かの腹の虫が鳴っているような感じがするような凄い音だ。
冥界では絶対に聞く事が無い音だと思いながら、隆誠は一先ず調べてみようと飛翔術を使い、音が発生している場所へ向かう。
「……………あそこか」
飛翔術を使って数分後、隆誠は響き渡る音の発生源を捉えた。岩で作られた多くの建物が並んでおり、その内の一つから大きな音が響いている。
本当ならすぐに行って調べたいところだが、それは無理だった。音の発生源となっている建物の周囲には、魔力と思わしきオーラを持つ多くの生命反応がある為に。
「さて、気になって来てみたが……」
音が気になって思わず来てしまった隆誠だが、どうしようかと悩み始める。
話が通じそうな相手がいてくれれば良いと思いながら一旦地上へ降りていると――
「おいおい、まさか本当に人間が魔界に来たのかよ……」
「ん?」
振り向いた先には、何と隆誠と同じ人間の姿をしている不思議な少年がいた。
人間でありながらも、悪魔と思わしき
「君は……」
「アンタ、普通の人間じゃねぇな。この魔界の空気は人間が吸っただけでお陀仏みたいなんだが」
少年は隆誠を見て只者じゃないと思ったのか、少しばかり警戒している。
「やはり此処は冥界じゃないのか」
「!?」
向こうから教えてくれた情報に、隆誠はやはり自身が知る冥界ではなかったと改めて認識した。
だがそれとは別に、冥界と言う単語を聞いた少年が突如驚愕の表情となる。
「冥界だと! まさかてめえ、
「誰だよソイツは……って危なっ!」
少年がいきなり襲い掛かって来た事に隆誠は戸惑いながらも攻撃を躱す。
隆誠は魔界と言う見知らぬ世界に来て早々、突然の戦いが始まるのであった。
終盤となる魔界編で隆誠を登場させてみました。
場合によっては削除しようと思います。