魔界にやって来た元神   作:さすらいの旅人

11 / 30
予選抽選会

 幽助達が黄泉と軀の会話に選手達だけでなく、観客側も注目されていた。その観客の中に妖怪ではない男女の二人組がいる。

 

「コエンマ様、幽助と一緒にいるあの人間は一体何者なんでしょうか?」

 

「ワシが知る訳なかろう」

 

 ポニーテールで結っている青髪の女性からの問いに、おしゃぶりを加えてる黒髪の青年は知らないと首を横に振っていた。

 

 二人は妖怪でも、魔界の住人ですらない。霊界からやってきた者たちなのだ。

 

 女性の名は、ぼたん。死者を霊界に連れていく霊界案内人で、嘗て人間時代の幽助が死んだ時に霊界へ連れて行き、それから色々とサポートしていた事で友人関係となっている。

 

 男性の名は、コエンマ。霊界の長であるエンマ大王の息子であり、霊界探偵だった幽助の元上司。ぼたんと同様の付き合いもあり、今回行われるトーナメントの発端が幽助だと分かった事で魔界へ行こうと決心した。

 

 本来であれば魔界の住民からすれば招かれざる者達である為、霊界から来た事がバレないよう変装している。尤も、幽助やその関係者が見ればすぐに分かってしまう下手な変装だが。

 

 会場に来て早々幽助を発見するも、彼の隣にいる見た事のない人間に対して二人は疑問を抱いている。

 

 魔界の空気は人間からすれば猛毒も同然で、軽く吸い込んだだけでも一時間経たずに死んでしまう。そうせずにピンピンしている時点で、普通の人間ではない事になる。

 

 幽助と一緒にいるだけで相当な実力者なのかもしれないが、そんな人間がいたのは全く予想外だった。魔界でも通用する人間の実力者は、桑原や死んだ仙水ぐらいしか思い当たらない。

 

(どちらにしても、一度あの人間とは会ってみなければいかんな)

 

 魔界に来た経緯は不明であれ、コエンマは幽助から詳細を聞くつもりでいる。父親のエンマ大王から人間の審判を任されている事もある他、もし彼が人間界に戻りたい意思があるのであれば手を差し伸べなければならない。

 

 本当ならすぐにでも幽助の元へ行きたいところだが、これから予選抽選会が行われる予定なので、一先ず静観する事にした。

 

 二人が見守っている中、蔵馬と飛影が幽助に接触しようとしていた。

 

 

 

 

 

 

「蔵馬と飛影、だったね。二人の事は幽助から色々聞いてるよ」

 

「俺としては、貴方が幽助に勉強させていると知った時は驚きましたよ」

 

「ふんっ……」

 

 幽助が蔵馬と飛影に再会の挨拶をした後、隆誠は改めて自己紹介をしてから三人に混ざろうとしていた。

 

 友好的に話し掛ける蔵馬とは別に、飛影は素っ気ない態度だった。

 

「すいません、彼はこう言う性格でして」

 

 初対面の相手に失礼な態度を取る飛影を見た事で、蔵馬はお決まりのパターンみたいな感じで謝罪する。

 

 すると、肝心の彼は幽助に向かってこう言った。

 

「幽助、予選で俺に当たらないように祈るんだな」

 

「相変わらずだな。にしても飛影、この前より強くなってるじゃねぇか。戦うのが楽しみだ」

 

「………ふんっ」

 

 笑顔で言う幽助に飛影は急にそっぽを向いた。隆誠の時とは少々異なる感じがする。

 

(もしやコイツ、ツンデレか?)

 

 隆誠は飛影の性格を何となく察した。

 

 男のツンデレなど大して需要など全くないのだが、隆誠の世界にいる腐女子であれば絶対に食い付くだろう。彼女達曰く、ツンツンしたチビのイケメンほど受けに回りやすいみたいな発言をするかもしれない。

 

 四人が会話をしている中、突然ブザーが鳴り響いた。

 

『それでは、これより魔界統一トーナメント予選抽選会を行います』

 

 始まったと言わんばかりに、観客達が大きく騒ぎ始めようとする。

 

 彼等は予選抽選会での誰が戦うのかを見たいが為に、半日以上前から会場に来ているから、こうして騒ぐのは無理もない。

 

『総合実況は勿論この方、嘗て暗黒武術会の名司会者!』

 

 しかし、アナウンスは抽選会の前に誰かを紹介しようとしていた。

 

 聞き慣れない大会名だと思いながら、隆誠はスクリーンの方へ視線を向けている。

 

『皆様、大変長らくお待たせ致しました! マイクを持たせれば魔界一! バーニングアクティブマイクパフォーマーの小兎(こと)、ふっかぁぁぁつ!』

 

 狐のような尻尾と耳、ひげが特徴の女妖怪が派手なパフォーマンスをした後、身軽だと言わんばかりな宙返りをして実況席に座った。

 

『魔界統一トーナメント実況は、小兎でお送りします!』

 

「良いぞぉ~! 小兎ォォーー!」

 

 自己紹介する小兎に、何処からか酎の声が聞こえた。

 

「へぇ~、あの姉ちゃん。魔界に戻って来てたんだな」

 

「知り合いなのか?」

 

「ああ。俺が人間だった頃、暗黒武術会って大会に出てな――」

 

 当時の事を語る幽助に隆誠は興味深そうに聞く。

 

 詳細は省くが、小兎は暗黒武術会で審判と実況をやっていて、常に中立の立場を取り続けていた。何かある度に不利な状況に追い込まれた幽助達だが、彼女は妖怪であっても人間相手に一切差別はしなかったと。

 

 因みに幽助が語っている時に実況席の方では角が生えた青鬼がいたが、何かを感じ取ったかのようにそそくさと去って行ったが、隆誠達は全く気付いていない。

 

『さて、予選抽選会は当初、浦飯選手が黄泉選手に送った国宝石によるクジ引きの予定でしたが、大会参加者が余りにも多い為、カードによるクジ形式で行われます』

 

 小兎が観客に抽選についての説明を行われている中、参加者達はクジを引いている。

 

 優勝候補と見られている軀と黄泉がカードを引くだけでも注目されており、観客だけでなく、選手達も固唾を飲む程だった。軀は74ブロック、黄泉は34ブロックと表示される。

 

 その後に幽助は106ブロックと表示された後――

 

『魔界統一トーナメントで唯一出場する人間、兵藤選手は71ブロックです!』

 

 隆誠も注目されているのか、小兎がやたらと強調するような紹介をしていた。

 

 飛影に蔵馬、そして酎達もそれぞれカードを引いたが、それぞれ違うブロックが表示される。

 

 しかし、悲しい事に北神達四人は全員同じブロックになってしまった。どんよりとした雰囲気を醸し出す四人に、幽助が『悪巧みするからだ』と笑い飛ばしている。

 

 すると、突如周囲が先ほどとは違うざわめきが広まる。

 

 一体何事だとブロックが表示されるスクリーンを見ると、驚くべき光景が映っていた。

 

『何と、黄泉選手とその娘である迦楼羅選手が、同じ34ブロックにぶつかってしまいました! そして息子の修羅選手は兵藤選手がいる71ブロックとなりました!』

 

「ほう……」

 

 まさか予選でいきなり修羅と戦うのは少々意外な展開であった。

 

 とは言え、隆誠からすれば相手が黄泉の息子であっても関係無く、負ければそれまでとしか考えていない。

 

「俺達と違って、リューセーは予選で修羅が相手か」

 

「相手が誰であろうと勝ち進むだけだ」

 

 不敵な笑みを浮かべる隆誠に、相変わらず冷静な奴だと見ている幽助。

 

 そして参加選手達の抽選が終えるも、その直後に情報が入った。早くも出場選手の辞退が続出していると。

 

『解説の妖駄さん、これはどう言う事でしょうか?』

 

『そうですね。先ず軀や黄泉選手と同じブロックに当たった者が諦めたんでしょうな。あとは売名行為、冷やかしで来た者が帰って行ったんでしょう』

 

 小兎の隣に座っている妖駄は黄泉の参謀だったが、国家解散した事で魔界統一トーナメントの解説に転職していた。

 

 彼の言う通り、軀や黄泉のブロックに当たっていた選手達が抽選を終えて既に帰っている。

 

『それでは、これより予選を開始いたします!』

 

 抽選会が始まって早々に波乱を呼ぶも、小兎の宣言によって漸く予選が始まろうとしていた。




修羅は隆誠と戦います。

本当はオリキャラの迦楼羅は隆誠と戦わせるつもりでしたが、修羅に変更しました。

因みに名前は出ませんでしたが、アニオリのジョルジュ・早乙女は個人的に好きです。

感想お待ちしています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。