箱根神社で七五三のお参りをする碇一家のエピソードを描いた短編です。
碇アクア、碇ウミ、そして末っ子の碇マリンが繰り広げるドタバタ劇です。
※pixivにも投稿してます(自作表紙)

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短いので公開するか迷いましたが、エピソードが出来たのでお楽しみ頂けたら幸いです。


末怖ろしい末っ子娘!

 今日は11月15日。

 29歳となった碇シンジ、来年に29歳の誕生日を迎える妻のアスカは、3人の子供達と箱根神社へとやって来た。

 シンジは、末っ子の娘が幼いからと歩きで行ける近所のお寺での参拝を提案したが、アスカは“赤い”鳥居が無いとダメ!主張して曲げなかった。

 彼女の赤へのこだわりは幼い時から親になった今でも変わらない。

 碇一家の目的は子供達の健康と幸せを願う七五三のお参りだ。

 長女の碇アクア、その下に長男の碇ウミ、そして次女であり末っ子の碇マリン。

 別に狙っていたわけではないが、7歳・5歳・3歳と、姉弟妹は見事にこの日にピタリとそろうように生まれた。 

 この偶然から誕生した着飾った3人の“主役”は、他の参拝客達の目を引いた。

 末っ子で3歳のマリンは、以前の七五三でアクアが着ていた赤を基調とした着物を着ていて、アタシが真の主役だと言わんばかりに胸を張って参道の真ん中スレスレを進んでいる。

 物珍しさから周囲の人々からスマホのカメラを向けられ、後に続く7歳のアクアとアスカら女性陣はランウェイを歩くパリコレモデルの様に堂々と歩んでいる。対照的に、5歳のウミとシンジは顔を伏せてアスカから距離を置いて速度を鈍らせた。

 先頭を往くマリンがカメラのフラッシュと「可愛いと」称賛の嵐を浴びているうちに、2番手のアクアの顔色が曇ってきた。

 この姉妹は事あるごとに自分がナンバーワンだと張り合っているのだ。

 アクアもマリンに負けじと元気な明るさを感じさせる黄色い着物を着ているのだが、誘目性は赤の方が強い、と言う理由だけでなく、特に御年配の方はマリンに声を掛けて握手を求める。

 さらにアクアの後ろを青色の上着と袴姿でオドオドと歩いている5歳のウミも、黄色い声を出す女性たちに「こっちを向いて」などと歓声を浴びせられている。

 シンジは注目を集める子供たちを見て、ちょっとした優越感のようなものを覚えていたが、ふと気が付いてしまった。

 3人の子供達の人気に嫉妬しているモンスターが居る事に。

 

「アスカの着物姿も綺麗だから、惚れ直しちゃったよ」

「そ、そう?」

 

 顔色を察したシンジが声を掛けると、アスカの引きつった笑みは柔らかくなった。

 普段は鮮やかな赤や黄色の服を好んで着る彼女だったが、七五三は子供達が主役。

 アスカは上品な薄い紫色の着物を着ていたのだ。

 5人とも違う色の着物を着た方が面白い。

 それが彼女の提案だった。

 芦ノ湖の縁にある事で有名な箱根神社の鳥居の前で、戦隊モノのようなポーズを取って記念写真にしようとしたアスカの案は良識ある夫シンジに却下された。

 箱根神社は七五三の時期でなくても観光客が行列を作るスポットだ。

 真ん中にマリンが仁王立ち、左右にアクアとウミが立ってアクアの両手は姉兄に握られる記念写真となるはずだったが、アクアは手を繋ぐのを頑なに嫌がった。

 

「フン!それなら勝手にしなさい!」

 

 アクアとウミはマリンの手を握る事を諦め、シンジの構えるカメラに視線を向ける。

 シンジがカメラのシャッターを押そうとする直前!

 真ん中に居たマリンがカメラに向かって走り出したのだ!

 カメラのピントは前面に出たマリンへとオートフォーカスされた。

 

「これが手を握るのを嫌がっていた理由か」

「アタシでもここまで機転は利かなかったわね」

 

 シンジとアスカは複雑な表情で顔を見合わせた。

 その後は順番待ちをしていた人たちに謝って三人の記念写真を撮り直した。

 マリンの大胆不敵な行動を褒める人もいた。

 なにしろ3歳の子供がしたイタズラである。

 他の子達に影響を及ぼさないかシンジとアスカは少しだけ心配した。 

 

 どうにか記念写真を撮り終えた後、千歳飴を手にして弾みながら碇一家の中心を歩くマリン。

 次の7歳の七五三ではアクアのお下がりをおとなしく着てくれるのだろうか。

 それとも赤い着物を新調したいと言い出すのだろうか。

 シンジとアスカにとってこのわんぱく娘が頼もしくもあり、心配の種でもあった。




七五三の時期を逃してしまわないようにしました。
来年はイラストの方も頑張りたいです。

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