RED ASH:"視る"事しかできないということ
システム起動
同調率30%
武装展開――不可
装甲展開――不可
身体ダメージ深刻、欠損を確認
何だろう、これは。無機質な機械音声。誘拐か?俺はただの一般人だぞ?そう声を漏らそうとしてもゴポリ、と泡になって消える。
システム構築中、ボディを????モデルへ変更
同調率80%に上昇
武装展開――可能
装甲展開――可能
損傷修復、起動確認
意識が浮上する。浮上して行く。なんなんだ、これは一体、なんなんだ?
俺は、私は、誰だったのだろうか。
意識が溶け合う。そして、最後に聞こえた音声は。
世界へようこそ、"ブルースカイ"
この世界を生きる"僕"の名前だった。
「――あの、あのー、ブルースカイ。スカイ。起きてください」
ゆさゆさと優しく身体をゆさられる。目を開けると白髪の可愛い可愛いスノーホワイトがいた。
「暇だったから寝てただけ。ごめんね、なんの用?」
「指揮官が呼んでます。みんなに話があるそうです」
「ん、分かった。行くよ」
「は、はい。じゃあ私はレッドフードの所に行ってきます」
1人残された部屋で僕は僕を思い出していた。
この世界はNIKKE、勝利の女神:NIKKEというゲームの世界だ。どこまでも絶望的で希望がない。そして、今は本編より100年前、ゴッデス部隊の面々がいる時のお話。まだ人類に希望があった時だ。具体的にいつかは分からないが、軌道エレベーター戦でシンデレラ……アナキオールと戦って人類は敗北する。そしてアークに行く事になる。
僕はその中でフェアリーテイルモデルの高機動戦闘型タイプ。超高速で空中を飛び回りながら多彩な武装でラプチャーを仕留める……原作にはない存在だ。コンセプトはシンデレラに近いか。
見た目?白髪青眼美少女。胸は貧乳なんだな、これが。
でもそんな事は問題じゃない。問題なのは。
「ここから本編まで100年か……?」
これから起こるアナキオールの戦闘。レッドフードの脱退、RED ASHから始まるOVER ZONE。同時空で行われているOLD TALES。
RED ASHはどうにもならない。レッドフードを押し止めてしまうと本編でラピがいない可能性が大いにある。最新話の事も考えると手出しはできない。OLD TALESも同様に。
どうにかできるとしたらOVER ZONEでピナを救出させる事、ぐらいか。それが良いか悪いかはさておいて、ドロシーのメンタルケアには繋がる筈……だ。
だが100年。頭がおかしくなりそうだ。それこそ思考転換を起こしそうになる程に。耐えて耐えて、絶望の中で生き続けなければならない?いつか来る希望の為に?
「そんなの無理だよ。そもそも死ぬかもしれないし……でも、でもなぁ……」
レッドフードが去り、リリーバイスが死んだ後のスノーホワイト。ピナを喪ったドロシーのその後、バラバラになったゴッデス。本編で後一歩の所を助けられたマリアン。etcetc
変えれるならこの手で変えたい。しかしその結果が良いか悪いかは分からない。未完成の状態で何かを変えれるか?そんなの、まずもって無理だ。リスクが伴う。絶望を希望に変えたいがこの作品はその絶望がいい塩梅を出している。重要なストーリーになっているのだ。無視する事はできないだろう。
「とりあえず、OVER ZONEまでは大人しくするか……」
よし、と席を立つ。大事な事は全て覚えている。本編で抜けている事は知らないが、それでもま、何とかするしかない。
そうやってブリーフィングルームに行くと、何故かプロレス技を仕掛けられているスノーホワイトとレッドフードがいた。
「プロレ……」
「違います!!!!!」
物凄く怒られた。様式美になりつつあるが、このイベントは……そうか、始まるのか。
「というかなんで1番早く声掛けたスカイが1番遅いんですか!!」
「ごめんって、考え事してたらつい、ね」
「もう!!」
レッドフードにヘッドロックをかけられたまま椅子に座っているスノーホワイト、かわいい。指揮官のコホン、という咳払いで僕も席に着く。
「それでは、全員揃っているか?」
「紅蓮」
紅蓮は無言で軽く手を挙げた。
「ラプンツェル」
「はい、指揮官」
「ドロシー」
「はい」
「リリーバイス」
「は〜い」
「ブルースカイ」
「はーい」
「……どうしてそんなに離れて座っているんだ?仲が悪いのか?」
視線がレッドフード達に向く。
「仲良くなる為には飲み会が必要だよな。前にいつやったのか、もう覚えてないぞ」
「1週間前にやったでしょ?」
リリーバイスがそう言う。実際1週間にやってた。レッドフードは思いっきり酔い潰れてたけど。
「あん?」
「いつも酔いつぶれるまで飲んでいるのですから、覚えているはずがないでしょう」
「あ、う〜ん……ん…?」
「いや〜最近、ちょっと飲むだけでブッ潰れちまうんだよな…」
「レッドフードはお金を払いたくなくて寝たフリしてるのかと思いました」
「ただ酒癖が悪いんだよ。他人のお金で飲むお酒が1番美味しいからってさ」
「スノー……スカイ、あたしを何だと思ってんだ?」
「「無銭飲食をして捕まった事がある」」
「それは〜昔の過ちで……」
「静かに。そろそろブリーフィングをさせてくれ」
指揮官が話を遮る。ブリーフィングルームが静かになった。
「よし、それでは。ゴッデス部隊のブリーフィングを始める」
「……やはり部隊の名前が気に入らんな…「女神」なんて、私だけ仲間はずれみたいじゃないか」
「実際指揮官の役目って大声で叫ぶ事だけじゃん……」
「ブルー……」
「指揮官。ブリーフィングはいつ始まるんですか?」
「……始めよう」
こうして、ちょっと抜けたまま、ブリーフィングが始まる。これはRED ASHのオープニングだ。頭の中であのBGMが勝手に流れる。
結局反りが合わずブリーフィングはとっちらかっちらになるんだけれど。
「ラプチャーは増加の一途。数的にも、兵器の水準的にも、戦力の差は火を見るよりも明らかだ」
「降伏するという話はどうなりました?」
リリーバイスが白旗を振ろうって提案してたなぁ。
「言葉が通じない以上、通用するはずがないだろう」
「私が提案した白旗を振ろうって提案は?」
「僕が出したラプチャーに擬態するってのは?」
「……当然持ち出してもいない」
「「ひど〜い」」
声が重なる。そしてなんだかんだ、クイーンの話になる。クイーンは宇宙にいるとされている……らしい。実際どうなのかはさておき。少なくともこの時代の人類が掴めた唯一の情報だ。
「空からの援軍は?」
「例のストームブリンガーという奴のせいで、制空権は完全に失った……いや、1人だけいるか」
視線が合う。僕の事だろう。
「ストームブリンガー単体の相手はさておき、ビット攻撃の支援なら可能だよ。全域は無理だけどね。後ろからビーム攻撃を行ったりソードビットで撹乱するのが関の山って所。ICBMが新型に飲み込まれて吐き返されたのを見るとんまぁ、見込めないのが現状でしょ」
「その通りだ。同型機が1体しかいないとは考えられない」
「恐らく僕はそこら辺の相手で手一杯だと思うよ。凡そ20万匹の大群を突破する事になるだろうから頑張ってね」
「……勝算は?」
ドロシー。
「さぁな、結果は勝つか負けるかの二つに一つだろう?」
指揮官。
「生きて帰る確率はどれくらいでしょうか」
ラプンツェル。
「さぁな。生きるか死ぬかどちらかだから、50%と言うところか?」
指揮官。
「受けられる支援は量産機の皆さんだけですか?」
スノーホワイト。
「さあな。秘密兵器ぐらいは出るかもしれないぞ」
指揮官。
「ハッキリ言えることはねえのかよ?」
レッドフード。
「私達が勝つ」
指揮官。
「…………」
この戦いは負ける。シンデレラの登場によって。彼女がいつから侵食を受けていたのかは分からない。けれど、登場した結果は変えられない。この世界の元の身分が研究者であったとしても、彼女達の存在は秘匿されているのだから。
そして、何より。
「あたし、侵食されてんだ」
レッドフードが侵食されている。特殊なラプチャーにやられたニケはそうなる。だが、トーカティブは正気を保ったまま割れないガラス越しにイカれた自分を見ているようだと言っていた。それが事実なのだろう。とすると、ゾッとする物がある。
「では、解散する。早朝から動く予定だ。今日は十分に睡眠をとってくれ」
「お先に失礼します」
……あーあ、レッドフードやっちゃった。つっても仕方ないけどさ。でも僕が関わる事じゃないね。……ここで関わっても何にも変わらないから。
「僕も失礼するよ、装備の改良をしてくる」
僕の方針はレッドフードとスノーホワイトの関係性には首を突っ込まない。僕には関係の無い、あの2人の話だからだ。
自分の部屋に戻る。言ってしまえば研究室。
装備品は数あれど、このブルースカイが扱うのはビット兵器。多分シンデレラの元になった技術じゃないかな。脳波でソードビット、ガンビット、シールドビットの3種類を多様に組み合わせて操る。その数総勢90機。つまり1種類30機。いくら小型化されてるとはいえふざけてるんじゃないのかと言いたくなる。開発者はよっぽど短期殲滅に特化させたかったのだろう。……だから、紅蓮みたいな悲劇が起こる。
「僕が出来るのは被害を最小限に抑える事だけ、なんだよねぇ。関われる範囲って言うのも限られるし……」
研究室の最奥、網膜認証でしか入れない部屋。
コツ、と踏み入れば冷気を感じる。ここにいるのは……。
「や、おはよう僕。といってもコールドスリープの段階か。記憶は常に共有しているから大丈夫だろうけど」
これは保険だ。自分が死んだ時の代わり。記憶を引き継いで何事もなかったかのように活動する為の。スペアボディと違って思考転換も起こさない。今は1体しか制作出来ていないけど、もう数体増える予定だ。……もしかしたらこの資材があれば紅蓮の部隊は救えたかもしれない。けど、過ぎた話だ。
「どうせ救えるなら全部救いたいけどねぇ!!無理なのは分かってるからさ、後はよろしく」
そう言いながら自分の装備の最終調整に入る。シンデレラには勝てない。けれど、その被害を少なくさせる事はできる。100体のニケの損害を、少なくさせる事は。
ーーーー
休憩がてら廊下に出るとレッドフードとすれ違った。
「レッドフード、その顔は上手く行かなかったのかい?」
「あぁ、スカイか。アンタは結構平然としてるよな。こう……僕の関係ない所で死ぬなら別にいいや!みたいな」
「ひっど〜、そんな冷たく見える?実際否定はしない。手に負えない、届かない事もある」
「あたしの一件はそうだって?」
レッドフードの目付きが少し変わったような気がした。
「侵食に関しては実態不明。なったら終わりってのは酷いよねぇ。レッドフードの欠けた穴は実際大変だろうし……君肝心な時に居ないイメージがあるからさ」
「おいおいおい……否定はしねぇけどさ」
「僕は確実性のある事しか言いたくないしやりたくない。だから、これだけは言っておく」
「なんだよ」
「次、もし、何らかの形でもいいから侵食を克服していた場合、ゴッデスの面々が生き残ってたら会え。多分その時は大変になってるだろうから」
「……ははっ、なんだよそりゃあ。確実性のある事しか言いたくないってのと全然反対じゃねえか」
彼女は笑う。笑った後に、ポツリと「そうだといいな」と聞こえた。そのまま別れて、結局部屋に戻った。
彼女が生きていたら、ちゃんと生きていたら。みんなはどうなっていたんだろうか、と思う。
ーーーー
エリシオン第3研究所、上空。
「降下ポイントに到着した。全員……いや、スカイ以外パラシュートの用意はいいか?」
「当然です」
「座標も覚えているな?」
「はい、問題ありません」
「よし、では準備が終わった者から降下を開始」
「先に行きます。みんな、あとでね」
リリーバイスは何も持たずに飛び降りた。
「ブルースカイ、これより飛翔するよ。いつも通り全域の索敵と哨戒から始めるからね」
降下をする。直後に装甲を展開して飛翔形態にチェンジする。イメージとしては……何だろう、ガンダムハルートとか、そこら辺?な気がする。
『対空砲を確認!』
少ししてリリスから通信が入る。方角は研究所の方。やっぱり、時既に遅かったか。
『パ、パラシュートがやられました!落下します!』
スノーホワイトの通信が入る。援護に行きたいけど、ラプチャーがいる。それも、ストームブリンガー。
「こちらブルー、ストームブリンガーとの戦闘に入る。援護は要らない」
「エンカウンター!!」
ストームブリンガーからミサイルと大量の機銃がばら撒かれる。それを高速で回避しながらビットを射出、肩のタレット目掛けて火力を集中させる。
「生憎お前らの弱点は知っててね!邪魔しないで欲しいんだよ!」
バリアの隙間を拭うようにソードビットが装甲を抉る。ストームブリンガーはまるで生きているかのような声のない音を発すると大技を放ってくる。
「地面は……無理!!」
上空で回避行動を取りながらシールドビットを正面に張る。即興の盾と言えど、防御力はピカイチだ。
その間にも両肩のタレットを壊して武装を剥ぐ。バリアが壊れたのと同時にソードビットを集め、吶喊させる。
「終わりだよ」
コアを貫いてストームブリンガーは機能停止。1番早く戦闘が終わったのはリリスで、恐らく僕は2番目くらいだろうか。一足先に研究所に向かうと、やはり、壊滅していた。
人員及びニケは全滅。まともな抵抗はできなかったのだろう。……恐らくシンデレラのコーリングシグナルか?データを確認しようとしたが、その直前にリリー達と合流してしまった。
何より悲惨だったのは、ラプチャーとニケをぐちゃぐちゃに固めた代物。ニケは死んでいるのにラプチャーは生きている、不愉快極まりない。
結局シンデレラと合流は叶わず、レッドフードは侵食によって調子を崩した。作戦会議は指揮官とリリスの2人きり。
結論は何にも変わらない。現在の戦力だけで軌道エレベーターに向かう事になる。
敗北確定の、決戦開始だ。
「ブルースカイ、先行します」
量産型ニケの援護をするように単機でラプチャーの群れに吶喊。ビームとソードで殲滅しつつ、量産型の前にシールドを張る。
「これだけの操作で脳も結構使うねぇ……!!」
戦局のあちこちを見ながら武器をそれぞれ操作してる。常人なら脳が焼け焦げて死ぬだろう。でも僕は演算システムを利用してるからまだマシ。嘘、それでも全然辛い。
「対空火器……落ちろッ!!」
ガンビットを連結、巨大なビーム砲撃が母艦を狙う対空火器を破壊する。それと同時に後方センサーから仲間が降下してくるのが見える。Jポイントで合流した後、こっちに向かってくるのだろう。
「あ……あ、たすけ」
量産型ニケの声が聞こえる。即座にシールドビットを派遣させ、展開。ソードビットでラプチャーを貫く。
「無事か!?体勢を立て直せ!」
「ゴッデス……!ありがとうございます……!!」
礼なんて後にしろ、と思いながら前線を張る。各所に全神経を注ぎながらの作業、それでも零れは出る。誰が死んだとか、被弾したとか。そりゃ当然。20万匹もいるんだ。勝てる見込みなんて0。
「それでも、何にもやらずにいるよりはマシってね!!」
一直線にビーム砲を放つ。零れた敵はソードビットで一掃。反撃はシールドビットで防ぐ。
「量産型ニケは僕に続け!時間との勝負だ!早く突破するぞ!!」
もしかしたら、シンデレラが来る前に宇宙へ行けるかもしれない。そんな淡い期待があった。後方からリリスの物と思われる攻撃が聞こえる。間に合う、これなら、間に合う。
『こちらブルースカイ!ウルトラと交戦中!応援求む!指揮官はもっと走れ!!』
侵食型のウルトラと交戦。十分に距離を取りながらビット兵器だけで攻撃を行う。手持ち武装もあるにはあるが、それで侵食されたら終わりだ。
ドン、と背後から砲撃音。レッドフードだ。
侵食が限界なのだろう、全速力で向かって来ている。
『レッドフードに合わせて!』
リリスからの命令。了解と返す。
「「エンカウンター!!」」
ーーーー
ウルトラを倒して、宇宙エレベーターに辿り着く。
「はぁ、はぁ……流石に堪えたぞ……」
「5キロぐらい走破したんだっけ、お疲れ様。……早く行こう」
「宇宙服ってどんな感じなのかねぇ」
付近にラプチャーの影なし。よし、行ける、行ける。後もう少し、もう少しで。
その瞬間、レーダーに影が写った。
これだけ尽力しても間に合わないのか、そもそも敗北が確定されているとでもいうのか。ギリ、と歯を食いしばる。
「……未確認物体をレーダーで確認。人型、方角は……上です」
「アレは……シンデレラ……!?」
全員が上を向く。そこにいるのは美しいニケ、堕ちた英雄、シンデレラ。
「時間を稼ぐ、みんなは行っ――」
飛翔し、ビットを展開しようとした瞬間、腹に鈍い痛みが奔る。シンデレラのガラスの靴。そのビームが僕の腹を貫いていた。
「が……くっそ…ッ…!!」
「全員!ハイド!」
空から雨が降り注ぐ。それは全てビームの雨。青い空を埋め尽くす勢いで僕達に向かって押し寄せる。
「な、何だこれ、全部ビームかよ!?」
「回避不可能!ラプンツェル!」
ドロシーがそう叫ぶ。ラプンツェルが作り出した黄金のリングが浮かび上がり、ビームを曲げる。でもそれじゃ、足りない。
「「第二波が来る!(来ます!)」」
ドロシーと同時に叫ぶ。またも降り注ぐ光の雨をリングが曲げる。レッドフードはその隙にシンデレラを狙撃する……が、反射され、レッドフードに直撃した。
「やらせ……ないッ!!ビット、フル展開!!」
血を吐きながら、全てのビットを展開する。シールドビットは仲間を守る為、ガンビットで狙撃しながらソードビットを叩き込む。
「乱反射するなら、こっちも反射する!!今の内にエレベーターに行け!ここは僕が抑える!!」
シンデレラのビームが押し寄せる。ディストーションリングの生成の時間は稼げる筈だ。
「スカイ!!無茶だ!」
指揮官が叫ぶ。
「やるしかないだろ!ガンビット最大出力……落ちろッ!!」
ガンビットを1点に集める。高エネルギーを出力し、収束させる。銃身が焼き切れたって構いやしない。ここで、シンデレラを倒す。
「終わらせる!!」
太い、太いビーム砲がシンデレラを包む。反撃はなく、その隙にソードビットを吶喊させる。万が一に備えてシールドを展開し――パラ、と熱気が揺らめく。振り払うようにビームの雨が光り輝き、シールドビットにダメージを与えて行く。
「無傷……だと……!?」
分かってはいた。だが、これはあまりにも強過ぎる。この段階で?1番弱いであろうこの段階でコレか!?
「クソッが――!!システムOVERLOAD、起動!」
手持ちの武装、ビームサーベルを引き抜いて突撃を試みる。機体が青く光り、機体性能を底上げし、超高速で接近する。その瞬間、シンデレラがニコリと微笑んだ。
「あ」
次の瞬間、遅い来るビームの嵐。シールドビット毎粉々にされ、翼は折れて叩き落とされる。勢いよく地面に叩き落とされ、展開していた全てのビットの接続が切れる。
「バカな…!こんなものを単独で運用できるはずが…!」
「ディストーションリング、出力不足!次は耐えられません!」
「私が斬る!」
「ふざけたこと言わないで、みんなしっかりつかまって!」
リリーバイスが全員を背負って走り始めた。
「ダメ……だ、リリ、ス……逃げたら、もう……希望が、ここで…」
「喋らないで!退却するよ!」
「退却!?何を…!」
「勝てない!」
「ふざけんな!あたしはここで…!」
「死ぬなら勝ってからにして!負けっぱなしなんて恥でしょ!」
リリスとレッドフードのやり取り。
「アイツ…は、今が、1番ッ……よわ、い……それ、に……レッド……フード……も、人類……の、存亡も……ぁ……」
ガクン、と意識が落ちる。
万全のゴッデス部隊、量産型ニケ100機以上、大量の長距離兵器が投入されたクイーン討伐作戦。損耗率をかなり抑えつつ、そして撃破した敵の数は多かったが、失敗に終わった。
そして、人類連合軍は地下に、「アーク」へと人類を移動させる事に決定した。
人類はラプチャーに敗北したのだ。
ーーーーー
悲壮感に包まれる中、スカイとリリス以外が集まっていた。
「……リリスお姉ちゃんと、スカイは?」
「どちらも重度のオーバーヒートで整備中だ。暫くは指一本も動かせないだろう。……特にスカイはほぼ全ての武装が破損している」
「……はい」
その後の顛末を話しながら、唐突にレッドフードが呟いた。
「じゃ、あたしはここまでだな」
「…はい?」
レッドフードが故郷で死ぬ事、これから出て行く事を告げた。スノーホワイトは泣きながら止めた。
「泣かずに撃てるか?撃てないだろ?バカみたいにいい奴らばっかだよ。そうなったらあたしが最後に見るのは、お前らの泣き顔になっちまう」
「それを見ろってのか?」
「それを見て死ねって?」
「あたしは見たくない。絶対イヤだ。……だから、行かせてくれ。行って…静かに死ぬんだ」
「…そうか」
指揮官が呟く。
「指揮官!」
「君がそう決めたのなら、止めはしない。本当にご苦労だった」
「隊長もな。みんなご苦労さん」
「ドロシー、スノーホワイトを抑えろ」
ドロシーがスノーホワイトを拘束する。その時、部屋に入ってくる誰かがいた。
「はーっ……はーっ……人がいないとこで、大事な話するの、やめて、もらって……いいかな……」
息も絶え絶え、立ってるのがやっとなくらいのブルースカイ。こうなる事を見越した上で、無理やり身体を動かして来たのだ。
「……スカイ。アンタにも随分世話になったな」
「行くな……とは、言わない…けど……ね、……別れ方が選べるんだから、後悔しないように……すれば、いい、でしょ……」
「その結果がコレだよ。だから、……悪いとは思ってる。特におちびちゃん……かわいいスノーにはな」
「元気でな。楽しかったよ」
「レッドフード!行かないで!」
「ここにいてください!わ、私が撃ちます!撃てばいいんでしょ!?な、泣きませんから!表情1つ変えずに撃てます!」
「だから行かないでください!行かないで!!」
レッドフードは無言で背中を向け、歩き始めた。
「本当に……それでいいの……?後悔はないって、言え……る…?ダサい、って、思わないのか……!?」
「自分の!!大事な相手を!!泣かせて、いいのかよレッドフード!!」
「だから行くんだろ!!」
怒号に怒号で帰ってくる。それにスカイは驚いた表情を向ける。
「……そんな姿、見たくないから、泣かせたくないから、去るんだろうが……」
寂しい、寂しい狼の声だった。
「分かったよ!行って!行っちゃえ!1人で寂しく死ねばいいんだ!」
スノーホワイトは叫ぶ。
「私は泣かない!レッドフードが死んだって泣かないから!最低!嘘つき!大っ嫌い!」
「大っ嫌いだ!!」
「……ごめんな」
レッドフードは去り際、ポツリと言葉を残した。
「レッド……フード……!」
「うっ……行かないで……行かない……で」
彼女が去った後、スノーホワイトは泣いていた。泣きじゃくっていた。
「……大馬鹿者……自分が、居なかったら、どうなるか……ぐらい……考えて…ほし、い……」
げほ、とスカイは床に膝を突く。ラプンツェルが慌てて駆け寄る。
「大丈夫ですか……酷い怪我なのに……」
「はぁ……戦友が、出て行くってのに……顔見せない訳にも、行かない……でしょ…?」
内心止められなかった癖に、と思う。こうなる運命だったと言っても、それでも、心に影は差す。これが後何回あるのだろうか。そう思いながら、意識は暗転する。
RED ASH 前編終わり
ーーーー
NIKKE沼から出れそうにないです。
思い付きで書きはしたものの最新話辺りを読んでアレ?コンセプト……となっています。イペントストーリーも読んであれ!?!?!となりました。オリ主であるブルースカイの目的は彼女と同じです。
どんなエピソードが見たい?
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クラウン王国とブルースカイの出会い
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カウンターズとマリアンとブルースカイ
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エデン側のドロシー、ピナ、ブルースカイ
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ゴッデス部隊の
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ちしかんとブルースカイの個別エピ