純白の花__見渡す限り白い花が咲いている。それらは太陽に照らされ、まぶしいほどに輝いていた。花弁が風に舞った。リリーバイスは頬をかすめた花びらにも気づかないほど、真っ白な花畑に見惚れていた。
「……わぁ……」
「絶景だな。近くにこんな場所があったのか」
「ずっと前に見つけました。まだ残ってるか心配してたんですけど、あってよかったです」
花弁がドロシーのてのひらに乗る。
「リリーバイス」
「うん。私の名前、この花から取ったんだって」
「花言葉は純粋な愛と……献身」
「えへへ、お姉ちゃんにピッタリですよね?」
「見事なものだ。一人で見るには、もったいない」
「その通りですね。こんな景色は……本当に久しぶりです」
「戦い続きだったからね。……戦場なんてないみたいに思えてくるよ」
リリスがスノーホワイトを見る。少しかがんで、頭を撫でながら。
「スノーホワイト」
「考えたら、みんなで一緒にこういう景色を見に来たことってなかったなって思ったんです。最近は特に、ずっと……だから、みんなで見たかったんです。……本当はレッドフードもいて欲しかったんですけど」
「写真でも撮って送ればいいよ」
「あはは、確かに。いいかもね」
「あ、撮る前に待ってください!」
スノーホワイトが声を上げて、花畑にしゃがみこむ。そして少しすると綺麗な花冠を持ってリリスに差し出す。
「はい!」
「……いいの?ありがとう」
「えへへ」
「じゃあ撮るよ~。指揮官とリリスは中心に」
「ふ。わかった」
「相変わらずぎゅうぎゅう詰めだ」
「けれど悪くはないですね」
「ええ。写真は恥ずかしいですが……こうして記録に残すのはいいものですね」
指揮官とリリスを中心に全員が並ぶ。カメラを浮かせたスカイはこのメンバーで並ぶのはこれが最後なのだろう。そう思いながら丁寧に記録に残そうと決めた。
「はい、チーズ」
パシャリ。
「よし。……うん、いい感じ。じゃあ次はリリスと指揮官で」
「なんだなんだ?」
「婚約の証だよ。アークについたら指揮官は常に持っておかないと。悪い虫がつかないようにね」
「それは……」
「リリスも並んで。悪いけど披露宴は全てが終わって、レッドフードも揃ってからで」
「ふふ、うん。ありがとう」
花冠を被ったリリスと指揮官はおしどり夫婦のようでも、少し浮ついた新婚夫婦のようにも見える。
「ほら、指揮官。サングラスと帽子を取って~~~」
「……わかった」
やれやれ、と肩を竦めた彼はサングラスを取る。青い目が象徴的で、やはり"彼"なのだとスカイは半ば確信に至る。
「仲睦まじいとはこの事か」
「お姉ちゃん、綺麗です!」
「2人共、本当にお似合いですね」
「夫婦……ということはつまり……はっ!」
「それじゃあ行くよ。3……2……1……」
パシャリ。写真を撮った。
「ふぅむ?おお、よく撮れているな」
「なんだか……恥ずかしいですね」
「現像するから待ってね~」
スカイはカメラを操作しながら、合計で3枚の写真を現像した。
「はい。厳重な写真立てに入れておいたよ」
「ははっ。これは助かる。胸ポケットに閉まっておけばお守りになりそうだ」
「リリスも」
「うん、ありがとう」
写真を受け取ったリリスは指揮官の影を指でなぞり、嬉しそうに微笑む。そして懐にしまうと、少女のように花畑に駆けだした。
「スカイ!もっと撮って!」
「……うん」
その光景を誰もが刻み込む。スノーホワイトは潤む目を、涙をこらえながら見ている。
「スノーホワイト!おいで!!」
「えっ……」
「行ってきなさい、スノーホワイト」
「あ……」
突然呼ばれた事に驚きながら、一歩踏み出す。そうして踏み出した足は駆けだして、リリスの元へと行った。2人は手を繋いで、踊る様に歩きながら花畑を進む。
「スノーホワイト!ありがとう!」
「うん……リリスお姉ちゃん、大好きです」
「私も、大好き!」
パシャリ、パシャリとシャッターの音が木霊する。更にその様子をスカイは一秒も逃さずに録画していた。
「(……これ、ちゃんと取っておこう。レッドフードの端末にも送って、後、オスワルド宛てにも。エイブもいるかなぁ)」
友人達や熱烈なファンを思い浮かべながら。
ーーーー
「……通知?この端末は非常用の筈でしたが」
「どうした?上からの通達か?」
ピりついた雰囲気で対峙するエイブとオスワルド。先程までシンデレラに関して睨み合っていたのだから無理もない。オスワルドは緊張した面持ちで端末を開くと、匿名からファイルが届いていた。
「どうやら写真のようです。……!!これ……は……!」
「……なんだ?……!!」
驚きで2人は目を見開く。白い花畑を背に映るゴッデス部隊。更に指揮官とリリスのツーショットだった。
「一体誰が……」
「スカイだな。全く……今から戦いが始まるというのにあいつは……これ、シンデレラに見せてもいいか?」
「……構いません。寧ろ見せるべきでしょう。第二世代は特に」
写真を見た第二世代の反応は。
「美しいわ……とても」
「綺麗……王子様みたい……」
「ヘンゼルとグレーテルも綺麗だと思うわ。やる気が出てきたわね」
ーーーー
「~~~♪ん?なんだ?」
レッドフードは自分の端末に着信があった事に気付く。もうすぐ故郷。しかし、疲れて廃屋でひと眠りをしようと思っていた所だった。
「……ははっ。こりゃいい。あいつら元気そうじゃん」
その写真はスカイから送信されたもので、特にメッセージはなかった。
「寝る前に良いモン見れたなぁ。……指揮官、リリス、ドロシー、ラプンツェル、紅蓮、スカイ、スノーホワイト……頑張れよ」
返信を送るのは野暮だと思いながら、彼女は睡魔に襲われて瞼を閉じるまで、その写真を大切そうに眺めていた。
ーーーー
それから暫し。量産型部隊は第3次封鎖作戦にも参加。今後もゴッデスとともに作戦を続行する意思を示した。第3次封鎖が開始された。
「……よし、第3次封鎖が始まった。さっそくだが、いい知らせと悪い知らせがある。悪い知らせはスカイから頼んだ」
「えぇ……。仕方ないなぁ……軌道エレベーターに集まっていた精鋭の大多数がこっちに集まってる。今回で終わりっていうのを察知したかは分からないけど激戦になりそう。で、いいニュースは?」
「今朝は快便だった」
「はい。そうですか。よかったですね」
死んだ目をしたリリスが言う。そこにザッと前に出る紅蓮とラプンツェル。2人の装備が一新されていた。
「2人共よく似合ってる」
「性能を大幅に上げられました!……リリスお姉ちゃんとドロシーの分までは作れませんでしたが……」
「私は今のままで充分ですので」
「それは私も」
「生身の人間の分はないんだろうな?」
「そんな余裕ありません!そもそも指揮官は下がっててください!」
「やれやれ……辛いな。スカイは用意してくれていないのか?前にやっていたゲームに出てくるスーツみたいなものだ」
「アレはスニーキングスーツだし……まあパワードスーツはその内作るよ。ロケットパンチとかできるようにしておく」
「ありがたいな」
「さてと……僕の方の新装備も時間はかかりそう。内部OSの向上で稼働時間は増やせたぐらいかな」
「さて、それじゃあ行くぞ」
「ゴッデス部隊、レディ……エンカウンター」
指揮官の声を皮切りに、第3次封鎖作戦が始まった。
ーーーー
「露払いは任せて」
ラプチャーの攻撃と見間違えるほど圧倒的な火力が上空から降り注ぐ。それらは進軍/撤退の援護に的確であり、戦場を支配して行く。そしてその隙間を縫うようにリリーバイスが突出し、次々と撃破して行く。
『2人とも無理しすぎじゃないか?』
「見せつけないといけませんから。ゴッデスのリリーバイスはここだって」
「同じく。空からの攻撃は派手に越したことはないでしょ?」
『ふ、そうだな。素晴らしいショーマンシップだ』
「リリス、調子は?」
「……ちょっとよくないかも。もう少し耐えて欲しいんだけど」
『リリス。無理をするな。……スカイ、リリスを頼む』
「了解」
「……もう」
スカイはビットを完全自立軌道に変更し、拡張装甲を変更して対艦刀を手に取る。援護はビットの各判断に任せてリリスと共にラプチャーを屠る。
「だいぶ限界が来てるんじゃない?また量産型ヘレティックが来た時に動けないとかなったら困るけど」
「まだ……大丈夫。皆に見せないといけないから」
「わかった。でも力は温存しておいて。強化されたとは言っても今のゴッデスにアレは重い」
「うん、分かってる」
青白い流星が戦場をひたすらに駆ける。そうして戦局は序盤を乗り越えつつあった。
『ストームブリンガーと多数の飛行型を確認した。スカイ、出番だ』
「OK。スノーは?」
「はい!スノーホワイト、勝利の翼号、増援に来ました!」
上空を見上げれば、そこには我らが船がいた。スカイよりも圧倒的な火力を誇る巨大な光線が通り過ぎた場所を薙ぎ払っていく。
「リリス。ここは任せた。僕はスノーの援護に回る」
「うん。ありがとう。少し楽になったかな」
冷や汗を滲ませるリリスに心配の視線を向けながらも、スカイは上空へと飛翔する。
「さて……ストームブリンガーが13機に飛行型が数百機か。……頑張らないとね」
「システム:OVERLOAD、起動」
スカイの身体が全身青く発光する。クリアになった視界と脳。全身の能力の向上。それらを元にしてラプチャーの群れへと突っ込む。
「遅い!どこを見てるんだい?」
ダン!ダン!正面から滑る様に側面を取り、ビームライフルを連射。背後に回って背部ウイングの高エネルギーライフルでコアを撃ち抜く。
「襲い掛かるだけが取り柄なんだね」
逆に背後を取ったストームブリンガーには対艦刀を手に取り、叩きつけるように装甲を切断する。
距離を取ろうものなら羽根をソードビットで捥ぎ、隙を狙う相手にはガンビットで風穴を開け、次々に屠って行く。
最後の1機を倒したその時だった。
『後方から更にストームブリンガー20機接近!』
ドロシーからの通信が入る。ハッと振り向けば勝利の翼号が囲まれる寸前だった。
「やらせない!フルバースト!」
ビットを走らせ、全火力で薙ぎ払う。それでも何体かは突破し、勝利の翼号へと攻撃をしかける。
『ッ!エンジンに被弾しました!……このまま引き付けて殲滅します……!』
「スノー!今すぐ不時着をしろ!ストームブリンガーは全機僕が落とす!離れるな!」
『でも!……!?左舷エンジンダウン!?ダメ!墜落……!全員対ショック姿勢を取ってください!』
「クソっ!いつもいつも!邪魔なんだよ!」
煙を上げて墜落していく勝利の翼号。追い打ちをかけようとするストームブリンガーを薙ぎ払い、殲滅して行く。その後方で一際大きな爆炎が見えるのはすぐの事だった。
ーーーー
「おい!しっかりしろ!意識が戻ってない奴は遮蔽に隠れろ!スノーホワイトを守れ!」
I-DOLL・サンのフィルの怒号が響く。敵陣のど真ん中に墜落した勝利の翼号は包囲されつつあった。残骸を遮蔽にしながら、起き上がった者達は次々と武器を手に取る。
「フィル!前に出すぎ!私も行くからエリーはスノーホワイトを見てて!」
「分かってるけど……!いくらなんでも限界が……!」
「いいから!」
I-DOLL・オーシャンのミラはI-DOLL・フラワーのエリーに激を飛ばす。
スノーホワイトは頭を強く打ったのかまだ目を覚まさない。
「攻撃が来る!ハイド!っとあぶねえッ!」
フィルの頭があった所に弾丸が飛来する。遮蔽に隠れながら狙いを定めず、銃口だけ突き出して弾丸をばら撒く。
「ミラ!カバー!他の量産型は!?」
「ありったけの弾薬を集めてる!もう少し待って!」
「う……ぅぅ……」
「スノーホワイト!大丈夫!?2人共!起きました!」
「ッ!ミサイル!!!!」
スノーホワイトが起きたのと同時、その地点にミサイルが飛来する。ドカン!と爆発音が鳴り響いた。
「……あ……ああ……!」
痛みも衝撃もスノーホワイトには来なかった。何故かと言えば、フィル、ミラ、エリーの3人が庇っていたからだった。
「あっ……くぅ……いっっった……ごめん、左腕がない」
「くっそ!こっちは左足!エリーは!?」
「……ごめんなさい。両腕よ」
「撤退は……無理か。スカイの援軍を待つしか勝ち目はないな。スノーホワイト!」
「あ……ああ……」
「落ち着いて。今は爆炎でラプチャーから視認されてないよ。……うん、無事だね。よかった」
「いい?私達はここに残るから部隊長を連れて後方に撤退して。幸い弾薬は残ってるから。大丈夫」
「え……待って、待ってください!わた、私だって!私がやるしかないんです!」
かたかたと銃を持つ手が震える。更に通信機が故障したのか仲間と連絡が取れない。目の前の仲間は負傷している。自分がやるしかない。けれど、恐怖が押し寄せる。
「あ……怖い……お姉ちゃん、レッドフード……スカイ、助けて……ううん。違う。ここは私がやらないと……ああ……逃げ出したい……ここから……でも……私が、やるしかない」
スノーホワイトは覚悟を決めた。
思考転換。その実態は極限状況を切り抜ける為の能力。情報を取捨選択し、人格が変わったようになる。不必要な情報は消去、必要なものだけ残す。しかし、この過程によるもので大体のニケは狂人同然になる。
「ああ……うっ……頭が……」
頭の中の情報が、再構築されて行く。だが、その時、上空から青いニケが飛来した。
「スノー!忘れるな!無理かもしれないけど今から言う事をやれ!」
「ラプチャーの倒し方を強化、戦闘技術も強化、武器製造、改造の技術も強化。恐怖心は薄く保持!人肌が恋しくなるくらいには持ってなよ!」
スカイはスノーホワイトを見る事もなく、ラプチャーへ攻撃を行いながら続ける。
「ゴッデス部隊、並びに量産型ニケの情報は全部保持!リリスもレッドフードも忘れるな!個人的な関係もだぞ!?後指揮官も忘れるな!可哀想だからね!」
飛来するミサイルをスラスターを吹かして回避する。
「それでもって……ラプチャーを倒して、クイーンを倒して、皆で幸せな未来にたどり着こう!何年、何十年、例え100年かかったとしても!……あ、やっば」
ぷす、とスラスターがスカる。ここまで酷使し続けた結果、一時的にオーバーヒートしたのだ。スカイに向かってミサイルが集中する。
「……前方にミサイルを確認。撃ち落とす」
ダン、ダン、ダン。スノーホワイトが規則的に引き金を引いてライフルを放つ。ミサイルを的確に破壊した。
「……おお……」
「まったく、無茶な注文をする。だが、問題ない。全て任せろ」
「知ってるスノーだ……知らないけど……」
「しゃべっている暇があるなら遮蔽に隠れろ。ミラはエリーを連れて後方部隊と合流。フィルは武器のリロードを頼む」
「……思考転換?マジか。いいぜ、分かった」
「大丈夫か!遅れてすまない。支援に入る!」
「隊長!エリーを頼みます。守って!」
「これは……予備パーツと修復キットがそのままで助かったな……」
残っていた乗員たちが現れる。
「部隊長。負傷したニケは修理をするか後方に運べ」
「スノーホワイト……?だが、後方が安全かどうかも分からない」
「なら信号弾を上げろ。遮蔽を構築して陣地を作る」
「分かった」
「戦えるニケはミサイル型を集中狙いで撃破しろ」
「オーケー!」
「スカイ」
「何?」
「好きにやれ。いつも通り」
「了解」
「行くぞ、エンカウンター」
スノーホワイトが前に出て射線を広げる。ラプチャーの狙いがそちらへ向かったのをスカイがビームライフルで撃ち抜く。ミサイル型は構築した陣地に向けて狙いを定めるも量産型の集中した火力とソードビットによって瞬く間に殲滅される。更に上空からはガンビットの飽和攻撃が降り注ぐ。
「ッ!」
銃弾がスノーホワイトのライフルを掠める。誘爆し、右腕がはじけ飛ぶ。すぐにハンドガンに切り替えて射撃を行うが、次は左足を撃ち抜かれた。蹲りそうな所をスカイに拾われる
「爆発したから義手と義足だなぁ……無茶しないの」
「必要だからそうしただけだ」
「部隊長、スノーホワイトの修復をお願い」
「了解だ。互換性の心配はあるが……量産型のもので代用できるか試してみよう」
「お願い。残りラプチャーは……30機か。終わらせるね」
そう言ったスカイはフルバーストを放つ。瞬く間に戦闘は終わった。周囲にラプチャーの気配はない。
「……よし、戦闘終了。僕は一旦後方の様子を見てくる」
「分かった。私も補給と整備が済み次第合流する」
「うん。じゃあまた後で」
再び上空を飛翔する。先程からリリスと指揮官と繋がらない。
冷や汗が滲む。OVERLOADの稼働時間も限界を迎えつつあった。
ーーーー
リリーバイスを背負ったドロシーが立ち止まる。
「指揮官!リリスが……!」
しかしそこに指揮官の姿はない。少し下をみやれば、倒れているのが目に映る。
駆けよればまだ生きてはいるが、いつ死んでもおかしくない状況だと分かる。
「ああ……どうした」
「指揮官……リリスの状態がよくありません。見ていただけますか?」
「ああ……そうか。分かった。任せておけ。誰にも……見られていないな?」
「ええ、誰も見ていません……」
「……!指揮官!」
丁度そこにスカイが降り立ってくる。彼女自身も息が上がっている。
「……見られたじゃないか」
「……知りません。スカイ、ここを頼みます」
「分かった。このポイントに勝利の翼号が墜落した。今はラプチャーを殲滅して補給と整備を行ってるけど、また来るかもしれない。後、スノーホワイトが思考転換をした」
「なんだと……」
「……分かりました。紅蓮の所に行った後、様子を見に行きます」
「うん。何かあったら信号弾を上げると思うから、見えたら最優先で行ってあげて」
「ええ……また、後ほど」
ドロシーは青い顔を隠すように、走って前線へ戻って行った。
「指揮官。装置の様子を見せて」
「……こうか……?」
「故障はしてない……あくまで延命が限界。前線で立って指揮するのには耐えられないのか……」
「はは、充分役立ってくれたさ……リリス」
「……はい」
「もう……いいだろう」
「私には……まだ、やるべきことが、ありますから」
上空には2体の量産型ヘレティックがいる。ゆっくりと降り立って、リリスを狙う。
「リリス。指揮官を連れて下がって」
「スカイ……ここは」
「いいから、休んで……指揮官の傍にいてあげて」
「……ちゃんと、勝ってね」
「勿論」
リリスはふらふらの身体で指揮官を連れて、遮蔽に隠れる。それを追おうとしたヘレティックにスカイが攻撃を行う。
「エンカウンター」
ーーーー
「リリス、見ろ。私達はよくやった……」
「でも、ダメです。また、やる事も……約束も……ありますから……」
「それは……そうだな……だが、現実はこうだ。受け入れないとな……」
「受け入れたくないから、足掻いてるんです。指揮官も、そうしてください」
リリスは震える身体を抑えながら指揮官を背負う。
「……なんだ」
「指揮官はアークに行ってください。スカイもそう言っていたでしょう?」
「信じるのか?」
「私ならそうします。……それに、仲間ですよ?信じない理由はありません」
「私に100年待てと?君を失ってまで?」
「約束は果たしてもらわないと困りますから……それに、ふらっと復活するかもしれません」
「無理だな。耐えられない。燃え尽き症候群になりそうだ」
「クールになりそうですね」
「かもしれんな……本当に、待ってはくれないのか?」
「……待ちません。私は今日死ぬでしょう。でも、未来で復活するかもしれませんから」
「どうやって?」
「スカイにお願いしました。私も運命に抗ってみようって思ったので。……だから、お願いします」
「……聞けんな」
「愛してる女の頼み事ですよ?アンダーソン」
「……ずっと引きずってしまう」
「ふふ、そうじゃなきゃ嫌です」
「……まったく、独占欲の強い」
「好きでしょう?」
「愛しているとも。……キミはどうなんだ」
「愛してます、アンダーソン」
「そう……か。別れ、だと思わないぞ。そこまで言うからには」
「……ええ、別れじゃないです。また、未来で逢いましょう?」
「ふ、ああ。もっといい男になっているさ」
「楽しみにしています」
そう言いながら、リリスは指揮官……アンダーソンをアークへつながるエレベーターへと運んだ。
戻ってみれば、量産型ヘレティックは倒されていた。スカイは立ちながら、壁によりかかり、息を荒げていた。
「……ははっ。システムに負荷をかけすぎた……この後の方がつらいのにな……」
「……お疲れ様。強いね」
「一時しのぎに過ぎない。フェアリーテイルモデルじゃないからね」
「……?……そっか」
まだ気づいていないんだ。とリリスは心の中で思う。けれどそれを口に出すのも違う。そう思った。
「戦況は……?」
「こっちの勝ち……紅蓮とスノーホワイトが思考転換をしたけどね」
「そっか。大きくなったね、皆。立派よ、私の妹たち」
「それって僕も?」
「そうに決まってるでしょ」
「……そっか」
「スカイ。後の事、皆の事、指揮官の事、全部、押し付けちゃうけど……お願いしても……いい?」
「……安心して……任せて」
「……うん、頼むね」
そう言いながら、リリスは静かに目を閉じた。
ーーーー
「スカイ!リリス!戦闘は……」
駆け寄ってくるラプンツェル。しかし、目を見開いて立ち止まり、それに気が付くと大粒の涙を溢し始めた。
「リリ……ス、リリス……!ああっ……!!ああああっ!!」
「……スカイ、最期は何と……」
「大きくなったね、皆。だった」
「……何も及んでいないというのに……」
紅蓮は笠を深め、静かに涙を流す。
「指揮官は……スカイ……」
「……多分リリスがアークに運んだ。かなり危ない状態だったから」
「そう、ですか……よかった……」
せめて、リーダーらしく。そう思うのにドロシーには気丈さがない。無理もない話だが。
「……お姉ちゃん……」
「……スノー」
「棺を作ろう。お姉ちゃんに似合う、白い棺を」
「……ああ。立派な物を作ろう」
「全員で、弔いましょう」
「勝利の女神、その人を」
ドロシーが、そう締めくくった。
ーーーー
「……そうか。あたしがいない間にそんな事になってたんだな」
悪かった。とレッドフードは頭を下げる。
「構うまい。リリスの死はどうにもならなかった。多少伸びた程度だろう」
「けれど……ラプチャーに盗まれる事もなかったのではないかと」
「しかし、スカイの話によればアークは私達を何らかの方法で始末するつもりだったのでしょう?であればアークにリリスを渡すのも得策ではなかったでしょう」
「ゴッデスとしての方針は変わらない。そうだろう、スカイ」
「リリスを救う。寧ろクイーンがリリスを乗っ取ってくれた事でボディは目前。後は……アレに勝って人格をインストールする」
「それに勝つのが無理だという話ではなかったのかい?」
「今のあたしらで勝てないんだ。強化はぜっっったい必要だって」
「不服ですがアークの協力も必要でしょう。向こうは第三次地上奪還作戦を企てています。上手く炊きつけられないか私とピナで交渉してみましょう」
「そうですね!それに何やら私達の正体を探っているようですし……いっそ正体をバラしてしまうのも……」
「一旦はなしかな。ああ見えてバーニンガム副司令は手強い。だからあくまで向こうの出方を伺おう。……それに」
「それに?」
「恐らくクイーンの狙いは人類の絶滅だ。向こうから仕掛けて来るかもしれない。その危険性を訴えるだけでもいい。こっちから正体は開示しない。けれど調査の邪魔もしない。必要なのは"エデンの全戦力"と"ゴッデス部隊"が合わさっても"クイーン"に勝てなかった。という情報だけ。それをアークに伝えて、私達の正体を突き止めさせる。きっとうろたえるだろうね」
「ふむ……分かりました。では、私とピナは先行して向かいましょう」
「お願い。こっちも打てる手は全て打つ。今度こそ、勝利をこの手に」
ARK GUARDIAN:END
ということでアークガーディアンは以上でおしまいです。
辛かった~~~~という気持ち。確定イベントはやっぱり難しいですね。
原作はこうはならなかったし今もバラバラだけど、いつか全員が集結する所を見てみたいなぁと思いますね。
次回からは間隔空けつつ、ストーリー書けたらいいなの気持ちです。でも多分アークの話は全カットかも……原作と変わりないので……
小説の方向性(セリフや描写など)
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積極的に改変が欲しい
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原作準拠で大丈夫
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原作準拠だが改変は間間に欲しい
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幕間エピソードが欲しい
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激しい改変はなくて大丈夫