「おかえりなさい!って……スカイ様!!」
「無事……とは行かなそうだな」
出迎えたのはピナとスノーホワイトだった。ドロシーが被害状況を確認する。食糧倉庫はやられていない。量産型ニケへの被害もない。
「よかった……」
「よかったはこちらのセリフです。貴女が死んでいたらどうするのですか?」
「……僕には代わりがいるから、大丈夫だよ」
「そういう問題じゃありません!!」
クローンがいるから問題ない。という訳じゃないらしい。ラプンツェルに修復されてる間、ドロシーにこっぴどく叱られた。
「思えばいつもそうです。貴女は平気で24時間稼働して、自分は適当に食べるからと食糧を分けて、スリープ状態でも常にセンサーは展開。その癖私達には休めといいながら――」
「はい……」
「レッドフードも中々無茶な事をしていましたが貴女は特に無茶ばかりします。何ですか超高速での一撃離脱戦法って。自分の身を削ってばかりじゃないですか。貴女が私達の身を案じて、心配してくれているのは分かりますがもっと自分の身体を――」
「はい……はい……」
「まぁまぁまぁ、その辺にしてやったらどうだい。本人も反省しているみたいだし、なぁ?」
「……反省してる。今回は思ったより規模が大きかった。ごめんなさい、ドロシー」
「……貴女に何かあった時、貴女だけの問題じゃない事を忘れないでください」
そう言ってドロシーは立ち去って行く。スノーホワイトはいつの間にか監視塔に戻っていた。恐らく上から聞いていただろうが。ラプンツェルは付きっきりで看病してくれていたので……全部聞かれていた。
「貴女の気持ちも分かりますが、それでもドロシーの言う通りだと思いますよ」
「……分かってる。不貞腐れてるとか、そうじゃない。守りたいんだ、皆を」
「私達も、貴女を守りたいんですよ」
修復が完了。武器の修復をコマンド入力で命令しながら、疲労を取る為にスリープモードに移行する。
ーーーー
「やれやれ、守れたから良かった物の随分と無茶をする」
「気持ちは……分かります。だって知っていたんでしょう?最悪の状況を」
「いくら完全記憶能力があると言えど、限度がある。……正直、あそこまで焦っているのは初めて……いや、久しぶりに見たか」
一行は作っていた夕食を食べながら今日の出来事を振り返る。勿論スカイには机の上に置いている。今はぐっすり寝ているので寝かせているが。
「アナキオール戦ですね。あの頃は……まだ勝てる希望がありましたから。その頃から知っていた、となると……分かっていても辛かったのではないのでしょうか」
ドロシーが食事の手を止めて呟く。
「レッドフードの離脱、リリスの死亡、指揮官の行方不明、スノーホワイトと紅蓮の思考転換。……後どれだけ、彼女は先を見ていると思います?」
「100年と言っていたか。その全てを網羅しているのであれば、心労はかなりの物。よく思考転換を起こさないと思うよ」
「それに付随する死も、忘れる事が出来ないのでしょう。それは……なんて、辛いのでしょうか」
「常に失敗したルートが見えている様な物だろう。何かを助けるには何かを犠牲にしなければならない。……知っていてもどうにもならない事もある。……姉さんが亡くなった時、スカイに当たってしまった事は、今でも申し訳なく思っている」
もぐもぐ、カチャリ、カチャカチャ。雰囲気は暗いが食事の手を止める者はいない。皆食糧が貴重な物である事を知っているから。この時間が大切だと理解しているから。
「今思えばスカイが私達にしてくれた事は沢山ありますが、私達が彼女に返せた事は……一体なんでしょうか?」
「「「……」」」
ブルースカイは自分の望みを言わない。最初にあった時タバコは?と強請ったぐらいで、後は部隊のサポート、メンタルケア、後方支援、偵察、幅広い業務をこなしていた。リリスが死んだ後、スノーホワイトが思考転換した時、当たられても彼女は謝りながら言葉を、行動を受け入れていた。そして、その後に一人一人ビデオメッセージを渡してくれた。レッドフードからのも同様に。そうやってメンタルケアまでしてくれたのに、自分達は?となってしまう。何かしてあげられた事はないだろうか、と。
「武器を作ろうかと聞いたが、それなら量産型ニケのを頼むと言われてしまった。自分で作るから問題ないと」
「釣りでもしようか?と誘ったんだがね。断られてしまったよ」
「私は……歌を聴かせてあげるくらいしかできませんでした。ドロシーは?」
「私、ですか。……困りましたね、私はスカイが何が好きなのかも分かりません。あ」
でも、とドロシーは続ける。
「ハッピーエンドが好き、と常々言っていました。このご時世に何を、と言ったら」
『僕は君達ゴッデスに報われて欲しい。今までの苦労も、これからの苦悩も、全て。それが唯一の望み』
「と」
「まるで自分はゴッデスではないと言いたげだね。君も報われなきゃ意味が無いというのに」
「その通りです。彼女もゴッデスなのですから」
「そうだ。……私は警備をする。ご馳走様」
一足早く、スノーホワイトが離れて監視塔に登って行く。談笑、というより相談会の食事会はこうして幕を閉じた。
翌朝。
目が覚める。身体の調子は良好。装備の修復も終わっている。これは……昨日のご飯だ。冷めてるけど食べよう。
「とりあえず第1波は乗り越えた。あと2ヶ月……気が遠くなる。ピナの生存は必要不可欠、残りの部隊もできれば死んで欲しくない。ドロシーのメンタルが心配だ。とっても」
「私のメンタルが自分より心配ですか?」
「……ドロシー……早起きだね」
いつの間にか部屋にいたのはドロシーだった。優雅に座っている様は正しくお嬢様。本人に言ったら怒られるので言わないが。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「……眠れたよ、おはよう」
「それで?何がそんなに心配なんですか?」
ジロ、とドロシーの視線が刺さる。
「前にも言ったけど、君はアークに絶望して闇堕ちするんだ。戻れない所まで行ってしまう。希望が絶たれて、なくなって、それで……ピナまで喪う事になる。それが、嫌なんだ」
「……」
「本来なら敵影は距離4000まで気づかなかった。砲撃型で量産型はピナ以外全滅、食糧倉庫はやられて2日3日程度しかない。どんどん絶望的になって行く戦況で、ゴッデスはバラバラになる。ドロシー、君はリーダーとは何かを苦悩して、それをピナに支えられる。でもそれも、最後、本当に最後の戦いで……ピナは侵食されてしまう」
「!!」
「そのピナを、君が終わらせる。終わらせた後、君はピナの幻覚を見る。壊れてしまったんだ、簡単に言えばね。だからそれが嫌だ。それをさせたくないし見たくない。侵食型のラプチャーを僕が徹底的に潰してるのはその為、少しでも侵食による被害を少なくさせる為だ」
「結局貴女は人の為。自分の為に何かしようとは……何か望みはないんですか?」
「……ないね。リリスやレッドフードに動画を撮って貰ったのもそうなる事を"知っていたから"阻止しようと思ったら出来たかもしれない。でも、阻止したらどうなるか分からない。だから、無視するしかなかった。そうやって切り捨てて、選択して、そんな僕が何かを望む?できないよ、それは。スノーホワイトの思考転換も、紅蓮の思考転換も見てしまったから。僕は知ってる。紅蓮の過去もね。助けられなかったのさ、助けなきゃいけなかったのに。ラプンツェルは……まぁ、止めなくてもいいのかなって、元々そういう才能はあったし、スノーホワイトは、ごめんね。でも辛い記憶だけじゃなくて、優しい記憶を与えたかったんだ。君のお姉さんを助けられなくてごめん、レッドフードも、助けられなくてごめん。その代わり僕は忘れられない。ずっとずっと覚えているんだ。忘れる事ができない。ある意味狂ったまま、終わりのない物語を辿っているに近しいね」
溜息を漏らす。こんな事を言って何になるのだと言う。はぁ、と溜息を漏らしながら席を立ち上がると。
「だそうですよ?皆さん」
ザザ、と通信音がなる。まさか、聞こえてたのか?今の会話。
『スカイ、今からそっちに行く。待っていろ』
スノーホワイトの少し怒った声。
『全て覚えているということは、あの事も……ちょっと今から行きますね』
ラプンツェル。
『こうなったら洗いざらい話して貰おうか。何、斬りはせんよ。前々から不思議に思ってはいたがね』
紅蓮。
『ちょっとー!!止まって!1人ずつ!1人ずつ!!だーめー!!』
ピナの声。
「私はリーダーです。なので仲間のメンタルケアも必要不可欠だと思っています。……最近の貴女はとてつもない重荷を背負っている。それを1人で抱え込んでいる。ですから、それを私達に分けてください」
「……………最悪だ」
ドロシーは退出して行く。入れ替わるようにスノーホワイトがやってきた。
ここから個人面談です。
小説の方向性(セリフや描写など)
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積極的に改変が欲しい
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原作準拠で大丈夫
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原作準拠だが改変は間間に欲しい
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幕間エピソードが欲しい
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激しい改変はなくて大丈夫