絶望を希望に変える為に   作:スカイ⛅

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OVERZONE:改変への歪み

ここしばらく襲撃がない。大体20日程経過したかな。修復率も良好、だけど新たな装備に回せる余力はなくなった。

 

「時期としてはそろそろか」

 

本来なら彼女達は生存の為に生きる事になり、探索に移行する。その過程でドロシーらが残り、襲撃に遭い応戦し……という流れだ。それでも万全に備えた。だけどなんだろうか、一抹の不安感は。

 

「やっと来たか。身体の方は問題ないのか?武器は?」

 

「おはよう、スノーホワイト。メンテナンスは良好……とは行かないかも。修復率70%ぐらい。装備はビームライフルがやられちゃってダメだね」

 

「そうか、なら丁度いい」

 

スノーホワイトは背中に背負ったライフルを手渡してくる。実弾兵器は慣れないが……これは……

 

「レールガン?」

 

「ああ。取り回しは少し悪いが性能の良さは保証する。速射性にも優れているから可変時の戦闘にも問題ないだろう。専用武装ではない試作型なのが難点か……」

 

「大丈夫、ありがとう。流石だね」

 

武器・装備作りにおいてスノーホワイトの右に出る者はいない。自分の武装が専用武装だったから使ってなかっただけで、それがない状況だとやはり頼もしい。

 

「さて、全員揃ったのでブリーフィングを始めます。時期的にはそろそろ、ですよね?スカイ」

 

「そうだね。そろそろ襲撃が起こる筈。部隊は正面と別働隊の2つ。けど向こうもバカじゃないから何かしら手を打ってくると思う」

 

「ふむ。前回の襲撃で別働隊がなかったのはその布石かね」

 

「そうかもしれません……あの規模が襲って来たら私達も無事では済まないでしょう。スカイも万全ではありませんし」

 

紅蓮にラプンツェルも再起はしっかりできている様子。問題はやはりなさそうだ。

 

さて、どうした物か。この後に控えているのはエブラ粒子発生装置の破壊、特定座標のラプチャー部隊の殲滅、物資運搬用の大型エレベーターの破壊。最初にやっても良かったのだが、これは通信が繋がってからにしようとなっている。その為に戦力は減らしたくない。

 

「あの、戦力を2つに分けるのはどうですか?」

 

「ピナ。でもそれは……」

 

「別働隊が来る事が分かっているのならその方が良いだろう。人数配分はどうする?」

 

「そうですね……紅蓮、スノーホワイト、ラプンツェル。私、ピナ、スカイで分けましょう。皆さんは正面を、私達は別働隊を担当します。緊急事態が起こった場合信号弾で知らせましょう」

 

その時、センサーにラプチャーが反応した。警報が鳴る。このタイミング……想定より早い。

 

「距離7000!大規模なラプチャー部隊だ!」

 

監視塔に登ったスノーホワイトがそう叫ぶ。

 

「では、今の配置通りに行きましょう。行きますよ」

 

「皆さん、ご武運を」

 

「ええ」

 

「はい!」

 

そうして戦端は開かれた。量産型部隊を半分ずつに配置しながらの防衛戦。仕掛けた罠にかかり、制空権からの攻撃にラプチャーは壊滅して行く。

 

こんな物だったか……?何かがおかしい。そんな簡単に済む筈がない。杞憂か?

 

「っ、見慣れた物だね、ストームブリンガー!」

 

制空権に投入されるストームブリンガーは戦い方は熟知している。知っているパターンで行動し、倒されて行く。

 

『別働隊、こんな物でしたか?』

 

『いや、……正直分からない。未来が変わった可能性もある。1度周囲全体を偵察して――』

 

その時、どこからともなくミサイルの雨が降ってきた。

 

「ッ!?」

 

知らない攻撃、上空からの攻撃。太陽が出ている方向に黒い4つの影。

 

「アレは……ニケ……いや、違う。まさか……ヘレティック!?」

 

2機が多数のミサイルを放ち、残りの2機が急接近してくる。その手には大きなサーベルが握られ、左腕にはシールドが張られている。ビームサーベルを質量で押し潰すかのような見た目。その機体はニケ……のような見た目をしているラプチャーの集まりだった。急ごしらえ、というのがいい評価だろう。だが。

 

「速い!?」

 

ビットのビームを掻い潜って接近。シールドビットは蹴りで弾き飛ばされ、ソードビットは質量に砕かれる。

 

これは、まるで。

 

「ブルースカイへの対策……しかも4機も……」

 

すぐさま信号弾を放つ。それと同時に後方からも信号弾が上がり、ドロシーから連絡が入る。

 

『ラプチャー多数!!スカイ、戻れますか!?』

 

『こっちは新型4機……無理そう。侵食型が居るはずだから優先的に潰して!ピナ!』

 

『は、はい!』

 

『……ドロシーを頼む。その力が君の力になる事を祈ってる』

 

『分かりました……!』

 

通信を切断。さて、そうなったらコイツらをドロシー達の元に近付ける訳には行かない。

 

「4対1。恥ずかしいとか思わない……よねぇ。それで確実に殺そうって?……舐めるなよ!!」

 

レールガンと同時にビットを一斉射。それも避けられる。けど、レールガンの起動は読めなかったのか当たっている。

 

「お前らはここで殺す。後学の研究?得る物は何もないさ。僕に通用しても彼女達には通用しない」

 

ビームサーベルを引き抜きながらミサイル型にスラスターを吹かして急接近。そこに2機が割って入ってくる。鍔迫り合い。ビームの刃は装甲を焼くが、それでもお構い無し。左腕もサーベルを抜くも盾に防がれる。

 

そして背後にミサイル型。ロックオンアラートと共に一気に放たれる。咄嗟に避けようとするもサーベルが刃に引っかかって抜けない。その間に背部に直撃し、翼の何本かが破壊される。

 

「ぐっぅ!!舐め、るな!」

 

手がダメなら脚で。脚先のビームサーベルを展開し、持ち手を離すと斬り掛かる。左腕を持って行き、1機はそのままコアを貫いた。ミサイルアラートが鳴る。

 

「うるさい!!」

 

貫いたラプチャーを無理やり振り回して背後に投げる。ミサイルの雨は僕の代わりにソイツに命中する。

 

「そこ!」

 

ドン、ドン、とレールガンを放つ。貫通して直撃した音が聞こえる。更にガンビットを乱射。体勢が乱れた所にソードビットを集中して突っ込ませ、コアをぶち抜く。

 

「これで……2機!!」

 

左腕を失った機体と、ミサイル型。これなら行ける。そう思ったのも束の間、再び大量のミサイルが接近。今度はミサイルの後ろに隠れるようにサーベル持ちが機会を伺っている。

 

「撃ち落とす!」

 

ミサイルの雨を張り巡らせたビームの雨で切断。残ったのはレールガンで的確に撃ち落とす。爆煙が目の前を包む。何も見えない。

 

「シールド――」

 

シールドビットで防ごうとするが、それよりも早く敵のサーベルが見える。そして、それは自分の左肩に突き刺さった。

 

「ッ――!!」

 

仕返しと言わんばかりにソイツは持ち手を握り、無理やり動かす。ソードビットで突き刺されながらも執念深く、"僕の左腕を斬り落とした"

 

「ア゛ァ”ァ”ァ”ァ”ッ゛!!!」

 

悲鳴が木霊する。血が溢れる。痛い、痛い。動けない所をミサイルが追尾してくる。シールドビットで守らなきゃ行けないのに脳が痛みで働かない。だから直撃してしまう。

 

「が……ぁ……ッ……」

 

翼が折れて降下する。無防備に落ちて行く僕を、奴らは逃がさない。ボロボロの機体で、サーベルの刃先を向けながら突進してくる。狙いはコア。

 

「やら、せな、い……!!」

 

何とか体勢を持ち直して、脚先のビームサーベルで1度目を防ぐ。こちらの一撃目でサーベルを弾き飛ばして、二撃目でコアを貫く。急いで引き抜いて回避行動を取る。

 

降り注ぐミサイルの雨をガンビットで撃ち落とし、シールドビットで盾にしながら。それでも足りない。質量に敵わない。そして意図的に左側に火力が集中している。

 

「コイツ……左腕ばかり!」

 

鈍る思考の中で、コイツを倒さなければならない。残るビットを守りに集中させるか、攻めに向かわせるか。少し悩んだ末に、相手に向かわせた。その瞬間、なんとなくコイツが笑ったように感じた。

 

「ミサイルの動きが――」

 

変わった。正確には混ざっていた。途中から軌道が代わり、ボロボロの背後に叩き込まれる。完全に装甲と装備が破壊され、地面に叩き付けられる。

 

「ご、ふ……ッ」

 

地面に這いつくばりながら血反吐を漏らす。左肩の血は止まらず、脳はほぼ働いていない。ビットは動かせない。手持ちの武器はなし、あったところでそもそも立てない。

 

僕の負けだ。

 

「……ああ、ここまでか」

 

死んだ時、最悪クローンに任せればいい。なんて考えていたけど。やっぱり死ぬのは怖い。

 

ガチャン、ガチャン、とソイツは近付いてくる。そのまま折れた刃先を拾い上げて、僕の頭へ向けて振り下ろす。

 

その瞬間。ソイツの腕が爆ぜた。狙撃だ。

 

「スノー……ホワイト……」

 

次いで、ミサイルが降り注ぐ。それを遮るように視界の端で金色の髪が揺れた。盾が展開されて守られる。

 

「ラプンツェル……」

 

勝てない事を悟ったのか、飛翔しようとするが、紅い刃が羽根を捥いで、コアを貫いた。

 

「……紅蓮……」

 

「よく耐えた、というべきだろうね」

 

「今すぐ治療をします!もう大丈夫ですからね!」

 

「待たせた。左腕も見付けた。後は私達に任せろ」

 

あぁ、やはりゴッデスは……素晴らしい。それでも、行かないと。

 

「ピナと……ドロシーが……」

 

「私達がなんですか?もう倒しましたよ」

 

ザッ、と足音がする。そちらを向けばドロシーがいた。

 

「ピナも無事です。大丈夫、終わりました」

 

「そうですよ!自分の心配をしてください!!」

 

ピナが上空を舞っていた。身の回りに大きな盾が浮遊している。姿は量産型のソレではなく、ドロシーに似た白に金色の装甲。彼女だけの翼は、どうやら無事に羽ばたけたらしい。

 

「はぁ……良かった……」

 

力が抜ける。意識が強制的に落ちる感覚。安堵をしながら、そのまま気を失った。

 




紅蓮のエピソードでニケ一体の為にラプチャーは進化しないと言われてました。しかし、制空権を争う存在がいるのならどうなんだろう?と。
ヘレティックのプロトタイプの更にプロトタイプ。ラプチャーだけで生み出した人型兵器だと思ってもらえれば。
ピナはノアの盾を大きく増やしたイメージです。装甲はドロシーと同じタイプ。50年先の技術を持ってるエデンですが、何事にも始まりは存在する訳で、ピナがその始まりだったら嬉しいなと思いました。

小説の方向性(セリフや描写など)

  • 積極的に改変が欲しい
  • 原作準拠で大丈夫
  • 原作準拠だが改変は間間に欲しい
  • 幕間エピソードが欲しい
  • 激しい改変はなくて大丈夫
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