「また新人?」
「そうらしい。なんでも物凄い科学技術者らしいぞ?」
指揮官とリリスが話している。けれど2人は疑問に思う事がある。同じフェアリーテールモデルという訳でも"紅蓮"のようにスカウトした訳でもないのだ。それが一体何故?
「紅蓮のように野蛮な方ではないといいのですが」
「……ほう?誰が野蛮だと?」
「おや、失礼。ケダモノに言葉が通じるとは思いませんでした」
「普段は私からの誘いに乗らぬというのに今日は煽るのだな?」
「ストップ!ストーップ!!新人さんが見たら困惑しますよ!」
「そうだぜ!もしかしたらあたし達ゴッデスを崇めるタイプかもしれないだろ!ガッカリさせんなって!」
喧嘩をするドロシーと紅蓮、止めに入るスノーホワイトとレッドフード。ラプンツェルは心配そうに、リリスはもうそろそろ続くようなら止めようか。指揮官は溜息を漏らす。ゴッデス部隊のいつもの光景だ。
ウィーン、と自動扉が開く。入ってきたのは背丈の低い少女……だろうか。ボサボサの長い白髪に青眼、科学者と言わんばかりの白衣。そして……貧乳。
「子供だ」
「子供ね」
「子供ですね」
「ほう、童か」
「ひょっとしたらおちびちゃんよりおちびちゃんなんじゃねえの?」
「失礼ですよレッドフード!」
「えーと、皆の事は記録してる。機体名称は僕だけなのでどうでもいい。ブルースカイとだけ覚えてて」
ブルースカイと名乗った少女はくたびれた顔をしていた。一行は何でだろう?と?マークを浮かべながら、指揮官はそうか、と頷く。
「確か唯一の超高速機動型タイプ。可変機能を持って敵陣の偵察と哨戒を行いながら豊富な武装でラプチャーを殲滅する……だったか。結局投入されたのは1機だけだと聞いていたが、君がそうか」
「うへぇ〜それじゃあめちゃくちゃ大変だったんじゃねぇの?」
「どうも、お褒めに与り光栄。ゴッデス部隊とは別の所を転々……というかほぼ孤立無援で作戦行動をしてたよ。唯一の制空権を握れるニケだからって人使いが荒い……いやニケ使いか……」
少女に見合わない口調でグチグチと疲れたようにスカイはソファに座る。
「皆の事はよーーく知ってる。活躍もそれ以外も裏の事情も諸々ね。……タバコとかないの?研究所にいた時はあんまり吸わせて貰えなくて」
「悪いがここは禁煙でね。知っているというのはやはり研究者だからか?」
「ん〜〜まぁ、そんな所かな。指揮官がリリスに脇腹をよく抉られてる事も、ラプンツェルがピンク色に興味津々な事も、スノーホワイトがリリスをお姉ちゃんって慕ってる事も、レッドフードが古いもの好きだって事も、ドロシーと紅蓮が仲悪い事も、……紅蓮の部隊で何があったかも、知ってる」
「ほう?消されたいみたいだな、新人は」
紅蓮の切っ先がスカイの首筋に当たる。けれど本人はそんな事気にせず、ポケットをまさぐってやっぱりないか、と溜息を漏らす。
「完全記憶能力って知ってる?1度見た物を全て記憶する……って感じの能力なんだけど、それがニケになってからより顕著でね。なんでか知らないけど君達の事は深く知ってる。多分ニケになった時に色んなデータが干渉したんじゃないかな。けど、知ってるからと言って何かをする訳じゃない。……知ってるだけで何もできないが正しいか」
諦めきった顔。一体どれだけの絶望を見てきたのだろうか。少女だというのに雰囲気はもう、くたびれた老兵に近しい物を感じさせた。
「紅蓮、君の部隊も、彼女の事も僕は忘れてない。当人じゃなかったとしてもね」
「紅蓮、刃を仕舞え」
「……分かった」
指揮官に応じて紅蓮は刀を下げる。
「単刀直入に聞こう、君には何ができる?」
「君達のサポート、バックアップ、メンタルケア。酔い潰れたレッドフードの介抱。指揮官の脇腹を労る事。紅蓮とドロシーの喧嘩で散らかった部屋を片付けるお掃除ロボットの作成。ラプンツェルには……レッドフードがいつか上げるでしょ。リリスには……何かいる?」
「何も要らないかな、気持ちだけ受け取っておくわね」
「あたしの扱い……酷くない?舐められてるって奴?コレ?」
「貴女の普段の態度の所為でしょう」
「レッドフードには昔の曲のテープを何種類か用意してる」
「うぉ、マジか!!ありがとうハカセ!!」
「……ハカセ?」
きょとん、とスカイの顔が固まる。憑き物が落ちたと言えばいいか。
「いや〜ほら、古いものって中々手に入らないだろ?だから有難いんだよ!助かる〜!!」
「はぁ、皆へのお土産は沢山持ってきた。その他に空いてる部屋が欲しい。自分の研究室にしたいから」
「ふむ……知っている。だけではなく行動も共にする、か。それは何の為だ?足掻く為か?過去に戻る為か?」
「簡単、僕はハッピーエンドが好きなんだ。少しでも早く終わって欲しいし、君達の日常が穏やかな物であって欲しい。勿論他の兵士も含めてね」
「……どうだ、リリス?」
「いいんじゃない?最初は怪しい。と思ったし、傍観も見られたけどそれだけじゃない。ここぞって時はやるタイプね、君」
「そりゃあ24時間365日稼働してたらこうなるよ。思考転換は起きないけどね」
その言葉で全員ギョッとした。いくらニケとは言え休まずに作戦行動は不可能だ。思考転換を起こす、確実に。
「思考転換は……起きなかったのか?何故」
「人間の時が特異体質だったから?じゃない?あ、でもちゃんと飲食はしてる。作戦行動しながらだけど!だから平気平気!」
「……とりあえず、ブルースカイ。お前に最初の命令をやろう」
「へ……?あ、はい」
「休め……ッ!!」
指揮官に両肩を押さえられて懇願される。疑念の目はいつしか哀れみの目になっていた。
「……了解。スリープモードに入るね、この飛空挺は安全そうだし……あ、荷物は部屋に入れるだけでいいから、触らないで……」
そう言うとブルースカイは目を閉じる。そのまますぅすぅと寝息を立てて寝始める。
「本当に寝てんのかぁ?」
つんつん、とレッドフードがほっぺをつつくも起きる気配はない。完全に寝ている。
「うーむ……リリス、どう見る?」
「扱いが難しい子だな、と思います。完全記憶能力は見た物全てを記憶してしまう能力。それはつまり、忘れたくても何も忘れられないんです」
「……悲惨な光景も、全て、という事でしょうか?」
「でしょうね。流し読みをしていてもそれだけで彼女にとっては充分なの。それで全て把握してるから。でもそれは――」
「把握はしているだけ。全知というのは強い事に間違いないが全能ではない。……無力感に苛まれた事だろうな」
「彼女は我々のメンタルケアやサポートに徹すると言っていたが、まずは我々が彼女のサポートをしなければならないだろう。ズバリ、飲み会だ」
「ちょうど明日までに使わないといけない会費があってな。それを使おうと思う」
という、指揮官の一声で飲み会が開かれる事になった。
因みにスカイの部屋はあっという間に魔改造され、完全に研究室となった。飛空挺にはお掃除ロボットが配置。ドロシーと紅蓮の喧嘩後、スノーホワイトとお掃除ロボットが片付けをするのが日課になった。
因みに、お土産は多岐に渡った。
「こりゃあ掘り出し物だな。レコードまであるぜ?」
レッドフードには古いものが沢山。レコード、カセットテープ、懐中時計など。
「た、沢山のパーツが!凄い!!」
スノーホワイトには新しい部品、様々な武器の設計図、プロトタイプ品。
「……これは、いつ開ければ良いのでしょう……?」
ラプンツェルには"その日が来るまで開けるな"という宝箱。
「私の好きな紅茶を……なるほど、知っているとは確かに合っているみたいですね」
ドロシーには紅茶とティーセット。
「……!!これ、は……」
紅蓮には"薔薇の花"と「百日紅」の刃が修復された形で鞘に収められていた。
「ふふ、そうね。それでいいの、ありがとう」
リリスには、不自然に何もなかった。けれどリリスはそれでいいと指揮官と共に頷いた。
初めての出会い VI END
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小説の方向性(セリフや描写など)
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積極的に改変が欲しい
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原作準拠で大丈夫
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原作準拠だが改変は間間に欲しい
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幕間エピソードが欲しい
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激しい改変はなくて大丈夫