絶望を希望に変える為に   作:スカイ⛅

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OVERZONE:それからのお話

50年以上後の話をしよう。まず、輸送機は無事に着陸。簡易拠点を作りながら光学迷彩とセンサービットで万全な守りを構築した。襲撃はあったがさしたる問題ではなかった。

 

僕の装備は万全。いくつかの装備を組み込み、アクセサリータイプに収納して場合に応じて装甲を展開、という形にした。

 

そして30年の間にレッドフードの家の地下室に研究所を作った。レッドフードの新たな素体を管理。来る時が来るまで保存。万が一の為に自分のクローンを起動させて警備に当たらせている。クローンの性格は基本的に同じなんだけど、向こうの方が面倒臭がり屋らしい。

 

よく『暇ー!!』という連絡を耳にする。

 

それから、エデンは無事に完成した。セシルやヨハンを迎えながら、元々いたニケ達の手伝いもあって、という感じ。ピナや他の改良した量産型達のデータもあってピルグリムの姿は知っている物に近づいた。

 

エデン完成後は僕もスノーホワイト達と同様に単独行動が多くなった。クイーンの情報が掴めないのはさておき、地上で戦うニケや指揮官を捨ておけはしないからだ。

 

「……アレは指揮官とニケか。あのラプチャーの数は無理だね……助けるか」

 

アークの面々とは関わらないスノーホワイト達と違って僕は関わっている方だ。フェイスアーマーを付けて偽装用の拡張装甲で戦闘している。セシルが来てから光学迷彩を施して貰ったのでステルス性も抜群って訳。

 

『そこのニケ達、指揮官を守って後方に下がって』

 

「な、何!?誰!?」

 

突然の通信。からの上空から降り注ぐビームの雨。自分達に飛んでくるラプチャーの攻撃をシールドビットが防いでくれ、その隙間から見えるのは一方的な蹂躙。十数分で戦闘は終了した。

 

「す、凄い……」

 

「大丈夫?全員生きてる?」

 

「あ、は、はい、生きてます!あの……助けてくれてありがとうございました……!貴女は……?」

 

その時、指揮官らしき男が叫ぶ。

 

「こ、こいつはピルグリムだ!青き巡礼者……連れ帰らなければ……!!」

 

「もうそんな名前で呼ばれてんの?僕。やだなぁ。要らないって締め出したのはそっちなのに。そもそも僕が助けなかったら君、死んでるよ?手柄でも焦ったのかい?」

 

「それ、は……」

 

「……私達は大型ラプチャー、ブラックスミスの討伐を命じられました。当初は5機いたのですが、2機は先程の戦闘で大破……生きてはいますが長くは持たないかと……」

 

「お前っ!何を勝手に!内情をペラペラと!」

 

「しかし!ピルグリムが居なかったら私達は死んでます!!」

 

勝手に喧嘩を始めないで欲しい。

 

「で、負傷したニケはどこ?生きてはいるって事は放置してきたんだ?はぁ、これだから……」

 

「こちらです……治せるんですか……?」

 

「多少は。君達名前は?あの子はプロダクト23なのは分かるけど……ミシリスタイプか」

 

「流石!よくご存知ですね。私はプロダクト08……隣はプロダクト12です」

 

この頃になると本名的な物もない。分かっているけどピナに慣れていると不思議な気持ちだ。元々人間なのに。

 

「僕はブルースカイ。地上を彷徨ってるニケの1人。この子達は……ふむ」

 

案内された場所は岩陰。両腕を破壊されたニケと両脚が破壊されたニケ。

 

「両腕がないのがソルジャーO.W……両脚がない方がソルジャーE.G.です。あの……助けられますか……?2人ともまだ意識があるんです。なのに置いて行こうって……指揮官が」

 

「なるほど、生きてる?2人とも」

 

破損したニケに尋ねる。彼女達の装備はボロボロ。バイザーも割れて素顔が見えてしまっている。

 

「貴女は……青き巡礼者……」

 

「……う……私は、いいから……」

 

「意識もある。侵食もされてない。うん、問題ないね。――拡張装甲展開」

 

支援型の装甲にチェンジ。ラプンツェルのデータを元に作ったモデルで、彼女程完璧とまでは行かないが部品があれば問題なく修復できる。部品は探索中に見付けた物だ。

 

「腕……脚……あった。ヒールドローン展開」

 

キュィィと音を立ててニケの修復が始まる。暫くすれば問題なく接合され、動けるようになる。本当はこうやって技術を見せびらかすのは良くないのだが、みすみす見捨てる訳にもいかない。

 

「おい!お前、何を勝手に……は?」

 

「ちょ、ちょっと待ってください指揮官〜!!」

 

後から追っ掛けてきたプロダクト23と指揮官。その光景を見て驚愕する。助けられないと思ったニケが何事もなかったかのように修復されているのだから。

 

「――拡張装甲収納。助けてやったけど何か文句でも?」

 

「や、やはり貴様は何があっても連れて帰らねば……!!そうだ、お前らもそう思うだろう?その方が安全だ!な?」

 

「そもそもこの戦力でブラックスミスに挑むのは無理がある。侵食誘発装置だってあるし、君捨て石にされたな?失敗前提の作戦、何かが上手く行って成功したらよし、って感じか」

 

「っぐ……黙れ!!」

 

「恩人に対して酷いなぁ。ブラックスミス討伐手伝ってあげてもいいよ?死にたくないでしょ、皆」

 

「何……?それで、何を……」

 

「時々アークの情報を送ってくれればいい」

 

「……分かった」

 

「あの、いいんですか……?」

 

プロダクト08が尋ねてくる。そんな危険を犯していいのか、という話だろう。

 

「問題なし。本気で捕まえる。なんてしてみなよ、あそこに転がってるラプチャーになるのは君達だよ。フルバーストなら人間が巻き込まれても仕方ないし。だから敵対は薦めない。精々窮地に陥った時に助けてくれるかもしれない……神頼みだと思ってくれればいいよ。さ、出発」

 

「ど、何処へ行く!?」

 

「ブラックスミスの所。場所は分かってるから」

 

そう言って案内する事数時間。途中で指揮官がもう無理、と根を上げたので休憩する事に。

 

「あの、食糧は……」

 

プロダクト08が心配そうに伺ってくる。ふむ、と頷きながら食糧袋を開けて、保存していた鹿肉の燻製を全員に手渡す。

 

「わ、お肉だ……初めて食べます!」

 

「これは……何のお肉ですか?」

 

「……我々にはパーフェクトがある。得体の知れない物を……」

 

「うるさい指揮官だねぇ!本当に!!鹿肉の燻製!パーフェクトよりマシだろ。それでも文句付けんなら食うな!!」

 

感謝は多分に、文句はピシャリ。各々もごもごと食べ始める。

 

「……美味い。これは……想定外だ」

 

「普段パーフェクトばっか食べてるからそんなんなるんだよ。狩りの練習もしておきなね。後、その腐った性格を直す事も」

 

「う、うるさい……俺は……こんな所で死にたくないんだ。そもそも捨て駒って、俺が何をしたんだ……折角、ゴッデスのように地上奪還をできると思ったのに……」

 

「私達も、ですが指揮官も実戦は初めてなんです。いきなり大型ラプチャーの討伐なんて任務を命じられて……最初出会った時の指揮官の落胆は目に見える物でした……」

 

新任で捨て駒かぁ。可哀想だなぁ。でも知らないだけで沢山いるんだろうな、こういうタイプは。

 

「んーー……新人なら多少は目を瞑るか。ゴッデスの話って具体的には?」

 

「抽象的、だが……それでも素晴らしい物だった。個人のデータこそなかったが勝利の象徴。伝説的な存在だ。俺も、そうなりたかった」

 

「なれるさ、心根が真っ直ぐならね」

 

「はっ、生きて帰れたらの話だろう……」

 

「生きて帰れる。だって僕がいるからね。あ、これクッキー。量産型は食べた事ないか」

 

「はむ……美味しい……指揮官!美味しいですよコレ!」

 

「甘〜い!サクサクしてる〜!」

 

「……確かに、美味い……」

 

「絶望に蹲っちゃダメ。希望を持つんだ。上層部が捨て石にした?そんなの選別だ。生き残ったら待遇はよくなる。死んだらそれまで。振るいと一緒。丁度いい、盤面演習でもしてみようか」

 

「時間は、あるのか……?襲われる心配だってあるだろう」

 

「付近にラプチャーは居ない。ブラックスミスは移動してないね。問題ない」

 

「そ、そうか……じゃあ、ブラックスミスの演習を行う。私が想定していたのは――」

 

「それだとニケが侵食に晒される。大事なのは――」

 

「ではこういうのは――あぁ、クソ、全滅か」

 

「手持ちの戦力減らしたらそりゃ勝てないよ。こういう時は――」

 

「……確かに……原始的だが事前に用意していれば……でも他のラプチャーはどうする?」

 

「目標はブラックスミスなんだろ?ならブラックスミスだけ倒したら後は撤退しつつ殲滅すればいい。特にこの道なら狭いから火力が集中するでしょ?」

 

「…………なる、ほど……俺の完敗だ。流石……ピルグリム……」

 

10戦9勝1分。でも最後のはニケを捨て駒にせず、しっかり動かしていた。少なくとも掃いて捨てるほどではない。磨けばそれなりに光るだろう。

 

「量産型って言っても貴重な戦力なのを忘れない。それを忘れて捨て駒にすると後々痛い目を見るよ。最後は変えたね」

 

「その方が上手く行くと思ったんだ……」

 

「――あの人も捨て駒にはしなかった。憧れるならそれを心に刻む事だね」

 

「……?……!!」

 

指揮官の目が大きく開かれる。何かに気付いたと言わんばかりに。

 

「まさか、お前は……いや、貴女は……ゴッデス……?」

 

「さ、どうだろうね。その真似事をしてるだけかもしれない。……ほら、行くよ」

 

「わ、分かった」

 

こうして僕達は移動する。部隊の緊張も解けたのか少し会話が出てきた。それに対して指揮官も咎める様子はなかった。

 

「いた、ブラックスミス。作戦はどうする?新人くん」

 

「……ブルースカイの奇襲攻撃で付近のラプチャーを殲滅と同時にブラックスミスの地盤を破壊する。脚がハマった所を物陰から攻撃。武装を破壊しつつコアを狙う」

 

「「「「「了解……!!」」」」」

 

「OK。ブルースカイ、出撃するよ!さぁほら!言ってくれよ新人くん!」

 

「……エンカウンター!」

 

その声と共にスラスターを吹かして上空に飛翔。ビットを展開して、ロックオン。

 

「FIRE!!!」

 

ビームの雨。その隙間を縫うようにソードビットがラプチャーに襲いかかる。マルチロックオンを行い、掃討しながら火力を集中させて、地盤を破壊し、ブラックスミスの脚を切断。侵食誘発装置もオマケに壊しておく。これはまあ、オマケ。

 

「準備整ったよ!今!!」

 

ブラックスミスと量産型ニケが戦闘に突入。事前に教えこんだだけあって、しっかりと勝ちきった。

 

「ブラックスミスは完全に沈黙。付近にラプチャーの影なし、初勝利おめでとう!」

 

「ありがとうございます……!もうダメかと思いました……!!天使です!」

 

「……貴女のお陰で、俺も変われた気がする。大事な事を教えて貰った。ありがとう」

 

「君達の運が良かっただけ。次はこんなに上手く行かないから頑張るんだよ新人くん。さ、アークの途中まで送り届けるよ」

 

そうやってアークのエレベーターに乗る瞬間まで、彼らは僕に手を振ってくれた。少なくとも1人の指揮官の更生はできた。その後を見るに、僕の事はしっかり黙ってくれたらしい。結局彼と再び会う事はなかったが優秀な指揮官として活躍し、引退したらしい。

 

そんな風にニケや指揮官を助けながらの50年……いや、100年間か。ゴッデス部隊の会合はエデンが完全に作られるまではドロシーと交代で参加をしていた。作られてから共に参加し、全員の装備を点検したりしていた。流石に脳の老化による思考転換は防げなかったが100年に上るそれぞれのデータは保存してある。問題はない。

 

そして、僕はようやく本編に突入するのだった。




最初の指揮官の死亡率は70%、それを乗り越えても更に死亡率が高まるそうですね。盤面演習はヨハンと同じ事をしていたオマージュです。
ブルースカイにとっては取るに足らないモブ指揮官と量産型ですが、目の前の命をみすみす奪わせる訳には行かない。という心情が働いています。次回からは本編に突入なのですがどうしようかな!!

見立てではスノーホワイトと共にトーカティブを捜索しつつ、ミハラ達の所で出会うのかな……と。

このエピソード見たいよ〜とかあれば気軽に教えてください。

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