短編です。何をどうやっても関われないなと思いつつ、前なら行けるんじゃないか!?と思って執筆しました。エイブとスカイの関係性。元々のスカイの人間性など、誕生経緯も絡んでます。
OLD TAILES:すべての始まり
これは夢だ。過去の回想。変えられぬ夢。"諦めてしまった"夢だ。これから語るのは悲劇の主役達との邂逅。OLD TALES、その名の通り昔話だ。
ブルースカイ生誕のお話。フェアリーテールモデル第二世代とのお話。
ーーーー
エリュシオン第3研究所
頭が痛い。何日寝てないのだろうか。クラクラする。でもコレは完成させないといけない。そうじゃないと制空権が完全に奪われてしまうから。
ラプチャーが現れてから人類は敗北の一途を辿っていた。しかし、ゴッデス部隊が投入された事により各戦線で勝利を挙げ、人類に希望をもたらしてくれた。でも、それでも足りない。
「重要なのは数だ。少数精鋭なんていくら何でも無謀。制空権で活躍できる機体を増やさないといけないというのに上層部は何を……」
スカイ、と呼ばれる女性。勿論偽名だが。彼女はV.T.Cの研究員であり、ギフテッドと呼ばれる特別な才能を有していた。"完全記憶能力"と呼ばれるそれは1度見たもの全てを完全に覚えているという代物。しかし、能力には代償があり、彼女には寿命が存在していた。若くして死ぬ、決まっていた運命だった。
けれど彼女はそれを良しとしなかった。何故、と言えば簡単。この世界の事を知っていたから。遠いその先の事まで。
勿論指を咥えて見るつもりなぞなかった。蓄えた資金と資材である"ニケ"を制作していたのだ。しかし、この頃上手く行っておらず、難航していた。
「おい、そろそろ休んだらどうだ?」
「……エイブ」
金髪に青目。後にプロダクト23と呼ばれる量産型ニケのモデルになった人物、エイブが紅茶をテーブルに置いてくれた。
「カモミールティーだ。レッドシューズからお前に、と」
「ん、ありがとう。……第二世代フェアリーテールモデルだっけ。シンデレラ筆頭に。上手く行ってるの?」
「私を誰だと思っている。当然だ。……お前は難航しているようだな……見せてみろ」
エイブは画面を覗き込んでうげ、と顔を顰める。
「お前……量産型を素体にしてこのスペックは無茶があるだろう。何故特化型にしない?」
「コストがかかる。制空権は重要だ。ゴッデス部隊や地上で戦う部隊の支援として。……フェアリーテールモデルはコストが嵩む。だからこうするしかないのさ」
スカイは深い隈に見合う不快感を顕にしながら制作図を展開する。そこには万能型のニケの姿があった。
「ブルースカイ。人類に青空を取り戻す切っ掛けとなる存在。……上層部からは一体の素体だけ。資金援助なんかなし、だからこうやるしかないのさ」
「……素体をナノマシンで構成するのはどうだ?シンデレラと同じように。それと同時にナノマシンの工廠を用意すれば理論上は無限に活動できる。だが、問題なのは思考転換か……」
「工廠はある。装備もある。適合者が居ない。君の所と違って予算は降りないからね。私は所詮……君以下という事さ、天才には敵わないよ」
はぁ、と溜息を漏らしながら紅茶をすする。カモミールか、なんて呟きながら片手間で入力を進める。その姿を見てエイブは苦い顔をする。
「私は、お前も稀代の天才だと思っている。……そこ、出力は下げたままなのか?」
「どうもありがとう。……最初から全力出すバカが何処にいるのさ。多少の余力は持たせておかないと対応できない。お宅のシンデレラと違ってね」
「言わせておけば貴様……ッ!!」
エイブが怒る。スカイの襟首を掴みながら今にも殴りかかんと言わんばかりだ。
「ニケの身体でぶん殴られたら死ぬんだけど。……ごめん、言い過ぎた。ただ、これは全部未来の為。いや、自分の為か。君は以前なんでニケにならないかって聞いたでしょ?コレを使えないからだよ」
「何……?適合者がいないと……まさか、スカイ、お前ッ……!!」
エイブはスカイの意図を察する。彼女は全部自分でやろうとしているのだ。設計から、適合まで、全て。だからニケの適合化手術を行わなかった。迫り来る寿命があるのに。
「……データは完成。問題ないね。じゃ、一か八か賭けに出てくるよ。どうせ死ぬんだからさ。自我が有ったら喜んで」
「待て!別れの挨拶がそれか!?私ならもっとお前を……」
「それを待ったって、私の寿命は尽きるだけ。ごめんねエイブ。私は誰も信用できないから、こうするしかないんだ」
スっ、と彼女の横を通り過ぎるスカイ。データの入ったタブレットを手に取り、フラフラとした足取りで上司の元へと向かう。なんでこうなったのか、それは少し遡る。
ーーーー
「計画の打ち切り?」
「はい。人類連合軍は量産型と特化型の2つにニケを生産する事になりました。そこに他のタイプのニケが存在する、というのは心象的に良くないのでしょう」
以前、偶然出会ったオスワルドから告げられた言葉。計画の凍結は自分にとっての絶望に等しかった。私はエイブや第二世代フェアリーテールモデルの事を全く知らない。何故ここにオスワルドがいるのかさえ。……怖い。
「全部出してるのに?自分で」
「その資材や資金があるなら回して欲しいそうです。……特に貴女はもう長くない。それに跡継ぎもいませんから」
「……そっか、言いにくいのに言ってくれてありがとう。なら自分でやるよ」
「今、なんと?」
「自分でやる。私が私の作ったニケになる。成功すれば問題ないでしょ?」
「……はぁ、そうですね。……適合化の手術の手続き、進めておきます」
ーーーー
そして、ニケの適合化手術。
「……失敗したら量産型かぁ。こっわ」
知識はあるのに力のない量産型なんて、絶望そのものだ。生き残れる訳がない。改編なんかできる訳もない。
この世に未練を残しながら、ゴッデス部隊の事、ニケの事を強く思い描きながら手術に望む。
システム起動
同調率30%
武装展開――不可
装甲展開――不可
身体ダメージ深刻、欠損を確認
四肢が痛い。意識が、自分が泡になって消えるかのようだ。やっぱり設計者は適合者では無いという事か。……失敗か。
「邪魔だ!どけ!貸せ!こうやるんだ!!いいか、スカイ。お前を死なせも量産型にもさせない。お前はお前だけだ。私と同じく天才科学者であるお前を……死なせはしない!!」
システム構築中、ボディを????モデルへ変更
同調率80%に上昇
武装展開――可能
装甲展開――可能
損傷修復、起動確認
世界へようこそ、"ブルースカイ"
この世界を生きる"僕"の名前だった。
ーーーー
「……ん、ぅ……?」
「起きたか、マヌケ。随分縮んだな」
世界が低い。いや、自分が小さいのか。エイブが大きい。自分を見ると子供サイズになっていた。ナイスバディなお姉さんはいない。
「エイブ……手術は?」
「成功だ。問題はない。装甲を展開してみろ」
「ん、分かった」
起動、と呟いただけで瞬時に拡張装甲が展開される。青白いラインに周囲に展開されるビット。背中には大きな翼があり、飛翔もできる。
「……改めて見ると凄いな。コレを1人で、か」
エイブが感嘆の声を漏らす。
「フェアリーテールモデルを5機制作してる君に言われたくないんだけど?性能も下位互換。勝るのは手数の豊富さと高速移動だけ」
「シンデレラとテストしてみるか?」
「やだ、どうせ美しくないって言われて負ける。というかゴッデスにしか興味無いでしょあの子」
シンデレラと初めて会った日。こんな事を言われた。
『貴女、美しいのに美しく在ろうとしてないわ。美しくないの、それはダメよ』
ってね。お節介なお姫様だよ本当に。……これがアナキオールになるんだもんな。異常は特になさそうだったけど。
「かもしれないし、今のお前を見て意見が変わるかもしれないぞ?」
「どうだろうね。さ、テストテスト……」
『ブルースカイ研究員は至急、司令室に来るように』
アナウンスからの唐突な呼び出し。は?となった。疑問符を浮かべながら行ってみれば、作戦行動だと。味方への航空支援を単機で行え!なんて馬鹿げてるんだか。けれど断る権限はない。
「おい、スカイ……死にに行くようなものだ。やめろ……」
「命令だよ。仕方ない。シンデレラには悪いけどね」
「悪くないわ。それでいいの」
ガラスのような、宝石のような透き通った声。後にアナキオールと呼ばれるニケ、シンデレラがそこにいた。
「シンデレラ……お前……!」
「エイブが中々戻ってこないから見に来たの。……スカイ、だったかしら。ニケになって1日で出撃?」
「そうだよ、文句ある?」
彼女はふふ、と笑みを浮かべる。
「いいえ、ないわ。だって今の貴女は美しいもの。洗練されたボディに綺麗な身体。美しい装備の数々。量産型とは思えないわ。きっと、大丈夫」
「上から目線本当に何なのさ……まぁ、いい。行ってくるよ」
「あ、おい!待て!」
静止を振り切ってカタパルトデッキに出る。
「ブルースカイ……作戦行動に入る!」
スラスターを吹かして上昇。更に可変して高速機動を行う。戦闘機よりも速いスピードで作戦と座標を確認する。
「一般市民を護衛する部隊の支援。敵の数は多いから放置。ま、いっか」
埋め尽くすラプチャーの軍勢。それを人間の兵士や量産型ニケが攻撃しながら、一般市民を守っていた。どうせ皆死ぬのに。こんな事して本当に役に立つのか、なんて思いながらビットを展開する。
「ビットフルオープン。シールドビットはニケと兵士、市民を守って。それじゃあ……一斉射、開始!!」
ビームの弾幕と間を縫ってソードビットが駆け巡る。ラプチャーを焼き、コアを貫きながら殲滅する。それを何度も繰り返す。自分はただ、上空に浮いたまま、ビットを脳を使ってコントロールするだけ。そうすればやがて終わりが見える。ラプチャーを殲滅したのだ。雑魚とはいえ。
「……空からの攻撃だとこんなもの?対応できなかっただけ、か?」
「あ、あの!そこの人!!」
「ん?僕?」
「はい!援軍感謝します……所で、あ、貴女は……?」
ニケの1人が尋ねて来る。地上に降り立てば人間やニケ問わず感謝の言葉を貰う。気恥しいのでやめて欲しい。
「……ブルースカイ。特務部隊で単独で運用されてる。運があって良かったね。じゃなきゃ皆ダメだったかも」
「ええ……ええ……!だから、ありがとうございます!!」
「お姉ちゃんゴッデスの人?違うの?」
「まさか、新しいゴッデスか……?」
ニケ、市民、兵士、色々うるさい。
「今はゴッデスじゃない。いつかゴッデスになるかもね。ただ、忘れないで欲しい。空にも援軍がいる時があるって事をね」
空を指差す。そこには青い青い空が広がっていた。ブルースカイの華々しいデビュー戦は圧勝で終わった。数多の人に感謝をされながら。
「……やっぱり、彼女はこれでいいのよ。美しいわ。とっても」
「お前がゴッデス以外を見るとはな。私にはただ、くたびれた子供のようにしか思えないが」
「ふふ、エイブったら分からないのね。見て、スカイの頬がちょっと赤い。これは照れてるの。ぶっきらぼうで無愛想に見えるけど、ちゃんと受け取ってるのよ。それに今はって言ったわ。もしかしたら彼女もゴッデスになるかもしれないの」
「2人とも……ゴッデス、ですか?あら……これは……?」
テレビを見ているエイブとシンデレラの元にレッドシューズが現れる。彼女は珍しそうにテレビを見ている。そこに映っているのはゴッデスではなかったからだ。
「いつか、新しくゴッデスになる人よ」
「そうなんですか?エイブ」
「……はぁ、スカイだ。ニケになって子供になったがな」
「あら!あの無愛想なスカイが?……可愛いですね、抱き締めたくなります」
画面の向こうでは子供にじゃれつかれているブルースカイの姿があった。それを、レッドシューズだけが意味ありげな視線を向けていた。
ーーーー
「つ、か、れ、た」
基地に帰還後、寝っ転がる。個人的に戦闘よりも後の処理に疲れた。主に子供相手。私はもう大人なのに子供扱いされるのは納得が行かない。
「……内心の一人称はまだ私なのに喋ると僕になるのは本当に子供の頃みたい。慣れないなぁ」
『ブルースカイ、次の任務だ』
「は?いやいや、任務終わったばかりなんですけど」
『有用性を示したいんだろう?必要な戦線は沢山ある。それが終わったら次はここ、その次は――』
絶句。なんだこいつら、人の心がないのか?散々予算渡さなかった癖に成功した途端使い潰すつもりか、ふざけてる。……こんなのの為に死ねるか、全く。
「……了解」
結果は――全成功。ただの1人の損害も出さずに報告書を突き出した上司の顔はざまぁみろとしか言いようがなかった。
「な、なんだと……貴様ッ!休みがあると思うなよ!!」
その代わり、任務はどんどん熾烈な物に変わって行った。寝ないのが当たり前。24時間365日戦い続ける。
「あのさぁ!単機でストームブリンガー撃破とかふざっけんなよ!!」
初めてストームブリンガーと戦った時はシミュレーションしてても死を覚悟したし。
「侵食型の殲滅……ああもう、マルチロックオン!一斉射!!」
侵食の驚異にならないように高高度からの狙撃を行って。
コンディションは最悪だったけど慣れた。上層部はすぐに思考転換を起こすのだろうと思っていたらしいが、そんな事は一切なく、ピンピンしている。そんな作戦が何日続いたか分からない。でも、確実にブルースカイという存在は戦線に影響を与えていた。
「で、今日も生き残ったって訳」
「凄かったな。高度からの狙撃、ビームの嵐か。巷じゃ新たなゴッデスみたいな風に言われているが、感想はどうだ?」
「感想も何も……僕はゴッデスじゃない」
「いいえ、貴女もゴッデスよ。美しいもの。貴女は分からないと思うけど、貴女が現れた時の翼、後ろから見るととても素敵なの」
「シンデレラまで……やめてよ。気恥しい」
「お前は照れると年相応に可愛いな。……いや、身体が身体だから本当に子供に見える」
「ふふ、そうね。妹みたい」
任務後、今日もエイブやシンデレラと話をしている。そこに、複数の足音が響く。
「あら、皆さんこちらにいらしたんですね」
「あぅあ」
「ヘンゼルより子供がいるの。グレーテルも難民キャンプの子供みたいって思ってるわ」
「ねぇ何?この失礼なガキは」
思わずエイブを睨み付ける。彼女はお前達……とこめかみを抑えながら紹介してくれる。
「まずはお前の知っての通り、レッドシューズ」
「随分ちっちゃくなりましたね。スカイ。抱き締めてもいいですか?」
「コイツがリトルマーメイド……セイレーンだ」
「あう……よろ……しく……」
「それでコイツらがヘンゼルとグレーテル。見分け方は――」
「胸がでかい方がグレーテル。小さい方がヘンゼル」
「ヘンゼルより胸が小さいのに何を言ってるの?グレーテルも貧乳だって思ってるわ」
マジで失礼過ぎない?なんなの?ねぇ、何?
私だって人間の頃はナイスバディだったけど何?
「1つ、僕は抱き締められる人形じゃない。2つ、クソガキは嫌いだ」
「ならヘンゼルとグレーテルは違うわね」
「お前達の事だよ!!ガキが!!!ったく、やってらんねぇ」
懐から漁ってタバコを吸う。今だと高価な物だけど、まあまあいい。人間の頃からその辺は変わってないらしい。
「タバコを吸うなんて美しくないわ、エイブ」
「ここは禁煙だ」
取り上げられてしまった。高価な物なのに……。
「折角の娯楽なのにさぁ……こっちはもうずーーーーーっと稼働してるの、分かる?」
「分かるさ、態々モニター2つ用意して見てるからな」
「ストームブリンガーとの航空戦、素晴らしい物でした。単独撃破なんてそれこそ大金星ですよ」
「あう……すご、い……」
「ヘンゼルは凄いと思うわ。でもグレーテルは逃げてばっかりだったって思ってるの」
「最初は美しくなかったわ。でもパターンを見つけた最後の方は美しかった。武装を全て破壊してからの羽根をもいでコアを貫く。美しい手順だったわ。でも、私の方が倒すの早いわね」
「う・ざ・い!!!!なんて奴らを作ったんだエイブ!!!」
「……すまない」
第二世代フェアリーテールモデルってこんなに癖強かった?ねぇ、おい。マジで言ってるの?……愛着湧くだろうが。
「……にしても、全員凄い格好をしてるけどソレ、エイブの趣味?ロリっ子にそんな格好……体型……もしかしてエイブ……」
「なっ……待て、違う、誤解だ、誤解だ!!」
「知らないの?肌を出すのは美しいのよ」
「シンデレラ!!!!」
エイブの怒号が響き渡る。でも実際ロリ巨乳はどうなのかと思うけどね、おねーさんは。
そうやって暫くはオールドテイルズと楽しく話をしていた。何となく、食事は避けていたけど。特にレッドシューズのスキンシップ。やめて欲しい。
任務を遂行する内、とうとう上層部は根を上げた。
「……お前をゴッデス部隊に配属する。勿体ないとの指摘を多方面から受けた。この活躍ですり潰しもできんとは……クソ……」
「そりゃ全部自分で作ってるからね。ぜ・ん・ぶ。完全記憶能力持ちのギフテッドを舐めるんじゃないよ。本当に」
けっ、と吐いて捨てて後にする。……しかし、ゴッデス部隊か。恐らくもう少しでRED ASHの時間軸になるだろう。となると、だ。……シンデレラはアナキオールになる。侵食を受けている様子はない。
「まぁ、世話を焼かれた礼くらいはしておかないと」
エイブを片付けた自分の研究室に呼んだ。唯一ある、カードキーでしか入れない部屋に呼ぶ。そこにはコフィンに入っている"ブルースカイ"の姿を見せて。
「こ……れは……?」
「僕が死んだ時の予備。人格は共有されてるから稼働に問題はない。言わばクローン生成だね。……餞別にあげる」
「あげるって、お前……これをどうしろと……!?」
「これから先のことなーんも知らないんだ。君達の事もね。だから人格共有は上手く行ってない。このリモコンを押すと動作する。もしこの先、君達が絶望に直面した時にでも使ってよ」
「何故、そこまでする?」
「ハッピーエンドが望みだから。バッドエンドも書き直せばいいんだよ。それじゃ、皆に挨拶してくる」
「……ああ、ありがとう。世話になった、また会う事があれば……その時はまた、よろしく頼む」
「ん、エイブも元気でね」
研究所の一角だけを残して、カードキーはエイブに渡して。
「あう……行くの……?」
「セイレーン。もう行くよ、時間がないからね。元気でね?……届かない」
頭を撫でようとしたら背伸びしても届かない。くそう。
「うぁう」
セイレーンが屈んでくれた。わしゃわしゃと頭を撫でる。きっとオールドテイルズとは最後になるだろうから。今生の別れだ。
「元気でね、セイレーン」
「あう……スカイ……も、元気で」
「ヘンゼルは行かないで欲しいわ。グレーテルはそれより頭を撫でて欲しそうに思ってるけど」
ヘンゼルとグレーテル、そしてレッドシューズ、シンデレラ。全員が総出で見送りに来てくれた。
「ごめんね、任務だから。ほら2人ともおいで」
「……こういう時はクソガキって呼ばないのね」
「グレーテルも……ビックリ、した」
優しく抱き締めると2人の頭を撫でる。サラサラしてて撫でやすい。……胸が大きいなとはやはり感じるものの。
「別れの挨拶はちゃんとした方がいい。そうでしょ?それともしんみりした方がいいか?」
「「思わないわ」」
「つまりそういうこと。元気でね、ヘンゼル、グレーテル」
「ヘンゼルは分かったわ。グレーテルは泣きそうなのを我慢してると思うわ」
「あーはいはい、泣いていいよ。泣きな泣きな。大丈夫……また会えるとは言えないけどさ何かの拍子で再会できるかもしれないし」
嘘だ。大嘘つき。フェアリーテールモデルは後世に存在しないのを分かってるのに。胸が痛い。
「少し、羨ましいですね。元気にしてくださいね。これ、お土産なんですが……」
「いらないいらない。荷物が手一杯で重量過多なんだ。気持ちだけ受け取っておくよ、レッドシューズ」
「そうですか……気に入ってくれると思ったんですけど……」
「ま、それはまた会った時にでも。じゃあね。レッドシューズ」
チクリ、胸が痛い。いや、ざわめきか。何か大事な要素な気がする。ここで行動したら何かが変わるような。……そんな考えはシンデレラの声で消されてしまう。
「先にゴッデスに行くのね。羨ましいわ。けれど、また会いましょう?私も行くもの」
「そうだね、君はゴッデスにふさわしい。どんな目に遭っても、君はゴッデスだよ、シンデレラ。……何があっても諦めるな、君なら大丈夫だ」
「……美しいデビュー戦、楽しみにしてるわ」
「あぁ」
「おい!!私には……別れの挨拶はなしか!?」
「エイブ……まぁ、君とは昔から世話になったね。大事な友人だと思ってる。マジで色々ムカつく事もあるけど、その天才的な頭脳とか本当に羨ましいよ」
「偏屈なのは相変わらずか。……私は誇らしいよ。友人が認められて、生きている。死を待つばかりだったお前が、生きている事が。お前はお前の人生を書き直せ。ハッピーエンドが好きなんだろう?」
「それはお互い様じゃないか。……100年かかろうともハッピーエンドを目指すさ。だから、お互い頑張ろう」
エイブとグータッチを行う。別れの挨拶はキチンと済ませて。いつの間にか胸のざわめきは無くなっていた。
「それじゃあね。……ブルースカイ、出撃する!!」
大型の輸送機を持ち上げながら可変。負荷がかかるが問題はない。空輸で、ゴッデス部隊のいる飛行艇に向かう。
これで、昔話はおしまい。あ、いや、まだ続きがあった。
ーーーー
アークガーディアン作戦、最終段階中。オスワルドと通信越しにご飯を作っていた。いるのは2人だけ。
「所でオスワルド。1度か2度くらい会ってるんだけど覚えてない?エリュシオンの第3研究所で」
「……!!まさか、いや、名前が同じだとは思っていましたが。……貴女が彼女だったとは……お久しぶりです」
「久しぶり。彼女達の事はありがとう。レッドシューズの件は……僕も、いや、私も知らなかったんだ。最近思い出してね……書き直さなきゃ、と思ってる」
「貴女の事だからそうだと思いました。しかし、第二世代のデータは全て削除されています。もう見る事はできないでしょう」
「だろうね。でも私はもう見たよ。設計図も全部頭の中に入ってる。保険は幾らでも入ってるに越した事はないね」
「……本当に貴女は、どこまで未来が見えているのやら」
「見える所までしか見えてないよ。見えた所で手の届かない事もある。ん、出来たかな?」
「完成ですね。味は……どうでしょう?」
「うん、美味しいよ。折角ならオスワルドも輪の中に入ってよ。今は私人だろ?」
「それは……」
「ファンなんだからさ、お互い」
「はぁ……分かりました。お邪魔させて頂きます。この後の事を考えると心苦しいですが」
「そこは大丈夫、気にしない」
ーーーー
目が覚める。懐かしい思い出だった。OLDTALESのその後はどうなったのだろうか。クローンは……何か活躍したのだろうか。分からない事だらけだが、それでも1つ言えるのは。
「レッドシューズマジであいつ本当に殺してやる気持ち悪いクソ女が」
レッドシューズがクソ野郎だって事アイツをもっと早く排除していれば、あの時に知っていれば人類は勝ったかもしれないのに。はぁ……と溜息を漏らす。
「もうそろそろ主人公のお出ましか……様子を見に行った方がいいかな」
とりあえずトーカティブがいる北に向かおう。スノーホワイトと合流出来る筈だ。
エイブ→スカイ→苦労人。私を頼れ!!放っておけない友人。一緒に語り合えるかけがえのないもの存在。後ニケになれ!!ニケにならないならフェアリーテールモデルで作るぞ!!みたいな気持ち。
スカイ→エイブ→天才。眩しい。こっち来ないで。やめて、目が焼ける。本当の天才いるとか聞いてないし、来ないで!ねぇ!来ないで!?後お前のニケみんなお前の趣味だよな……?おい!こっちみろ!!
みたいな感じです。OLDTALESに関してはその後が明かされてからちゃんと書くと思います。
小説の方向性(セリフや描写など)
-
積極的に改変が欲しい
-
原作準拠で大丈夫
-
原作準拠だが改変は間間に欲しい
-
幕間エピソードが欲しい
-
激しい改変はなくて大丈夫