LAST KINGDOM:キロとスカイ
本編から遡る事。具体的に言えばキロとカウンターズが出会った後の話。スカイは指揮官から相談があるとの事で前哨基地に赴いていた。
目の前には大型ロボットのタロスとパイロットである緑髪のニケ、キロ。
「万能型の君なら適任だと思ったんだ。どうか彼女に力を貸して欲しい」
「あーはは……キロとタロスか。なるほどねぇ」
しげしげとスカイは見比べる。一方キロはおどおどとしていた。
「め、目の前のって……ピルグリムだよね……危険じゃない……?」
「演算中……ピルグリム:ブルースカイは非常に友好的なニケとして知られています。問題ありません」
「そ、そっか……」
「で、君たちは単独運用になるんだっけ?コストがかかるだろうからねぇ、これは」
「……はい」
「万能型としてのアドバイスか……ふむ、折角の機会だ。地上で実際に活動してみよう」
「ええっ!?その……任務は……」
「ピルグリムの情報収集。簡単だろう?」
ニコリとスカイは微笑む。カウンターズの面々は呆れながらその背中を見送る。
「アレ、大丈夫なの?」
「分からないわ。私達には分からない感覚だもの」
「特化型ではなく万能型……それってつまり――」
「ネオン、そこまでだ」
指揮官が遮る。
「本質がそうだったとしても、何かが変わる訳ではない」
ーーーー
「さて、この辺りでいいか」
「え、ええと?」
スカイはキロとタロスを適当な古民家に案内する。周囲にラプチャーの反応はなく、落ち着いて話ができるだろう。とタロスは推測する。
「ここでは僕、ではなく"私"として話をしよう」
スカイの纏う雰囲気が変わった。ニケではなく、1人の科学者のような。そんな雰囲気だ。
「は、はいっ……!(な、なんだろう……)」
「私は元々量産型として設計された。いや、したと言うべきか。空戦仕様のニケとして中〜遠距離の支援要員として遥か昔に開発を行ったんだ」
「ええと、それって……スカイさんが自分を作ったということ……ですか?」
「概ね、そうなる。時にキロ、君は万能の定義を何と捉える?」
「何でもできる。何でも対応できるようになる。でしょうか……」
その言葉にゆっくりと頷く。
「うん、1つの定義だ。私はそれを間違っているとは思わない。ただ、その結果装備やコストは膨れ上がり、量産所か試作モデルで終わってしまうのが結果だ。何でだと思う?」
「必要な事が多すぎるから……?」
「正解。キロは賢いね」
わしゃわしゃ、と頭を撫でる。
「かつての私もそうだった。何でもやれるようにならなければならない。と大幅に設計を変更して、失敗をした。……親友が天才で、焦りもあった。その結果計画は凍結される事になり、その前に私が私自身に理想を託した」
「その結果、生まれたのがスカイさん……?」
いいや、と首を振る。
「結局、私だけの技術では作る事ができなかった。その親友の手によって、私はブルースカイになった」
「じゃ、じゃあ!結局万能型って……理想論に過ぎないじゃないですか……」
ガタッ、とキロが立ち上がる。それをスカイは優しく静止させる。
「安心したまえ。私は唯一の空戦型ニケとしてワンオフ運用をされた。あらゆる戦線に向かい、戦った。不眠不休でね」
「えっ……」
絶句した。そんな事をすれば思考転換を起こすに決まっている。そうでなくても疲労で死ぬ……と、キロはそう考えた。
「その中で分かった事がある。万能型は孤独だが、同時に戦局を左右する切り札だとね」
「……想像はできます。貴女みたいなピルグリムが現れたら戦局はひっくり返ります……でも、私はそうじゃない……から」
「どうして?」
「えっ?」
「どうしてそう思うの?」
「それは……貴女の戦闘データを見ました。戦場ごとに武装を変えて、負傷したニケを救助して、速攻で連携を合わせて……あ」
キロは何かに気づいたようだ。
「そう、万能型というのはやる事がとにかく多い。他のニケより何倍も。特化型は向いている事をやればいい。でも私達は向いている事も向いていない事も全部やらなければならないんだ。その経験は他のニケ何機分になると思う?」
「……それは、でも……私には……できません……」
「自分で自分を諦めてしまっているのかな。その様子だと」
「だって、私はタロスのパイロットですよ?タロスがやるんです。私はそれを指示するだけで……何にも……」
「他にタロスのパイロットになれるニケは?」
「……いません……だから、それだけが私の価値、なんですよね……タロスがいなかったら私は……」
それは違うよ。とキロの頭を撫でる。
「タロスは君がいなかったら動く事ができない。万能の天才もキロがいなければただのスクラップだ。そして、その万能の天才を扱えるのはこの世で君だけだ。メティスにだって扱えないんだよ?」
「う……うう……それは……」
「違うかい?」
「違わ……ない、です……」
「居場所がないのは苦しい。孤独に戦うのは苦しい。その気持ちはよく分かる。でもね、君は1人じゃない。タロスという相棒がいる。2人で1つなんだよ」
「2人で……1つ……?」
イマイチピンと来ていない様子だ。
「何よりも尊い、苦楽を共にする唯一無二じゃないか。どこに行ったって一緒なんだから」
「……!!」
「思うに私は、キロはまだ自分の殻を破れていない。可能性を信じきれてないだけだ。でもその内、近い内に……必ずその機会が訪れる」
「なんで、そんなこと……」
「私が保証する。君の居場所は必ずある。それに私だっているんだぞ?」
「どういう事ですか……」
「万能型と万能型。揃ったのなら競うべきだ。そうすれば経験はより積める。なんて、師匠面だね」
「タロス、スカイさんと戦って勝てる確率は……?」
「……1%と推定します。尤も彼女が全力を出せば0%になるでしょう」
「はぁ……いやだな……」
「色んな状況をシミュレーションする。その為にも付近のラプチャーを掃討しようか」
センサーにはラプチャーの一団が映っていた。
「お互い別々に戦う。いいね?」
「分かり……ました!」
戦端が開かれる。スカイによる上空からの飽和攻撃にキロは圧倒されている。
「凄い……」
「キロ、正面からラプチャーが来ます。迎撃を」
「う、うん、わかった!」
結果は。
「測定中……スカイ、撃破数492。キロ、撃破数495」
「……え?」
「あちゃー、負けたね」
「な、なんでですか?手を抜いた……とか?」
困惑そうに首を傾げるキロ。スカイは違う違うと言いながら。
「私のは上空からの飽和攻撃。つまりピンポイントでしか狙えない。危険な大型や侵食持ちを優先して撃破した。君は通常のラプチャーと中型のラプチャーをメインで撃破した。万能と言ってもそれぞれ役割があるだろう?」
「……はい、確かに……」
「万能型だからって全部やる必要はない。他のニケ同様やれる事をやればいいだけなんだよ、実の所」
「でも、私には仲間がいません……」
「慰めではないけれど、必ずいるよ」
「そう……ですか?」
「ああ。もし、何かあれば私の端末に連絡を飛ばしてくれ」
「……ありがとうございます。その、スカイさん」
「ん?」
「困った時、連絡してもいいですか……?」
「勿論だとも。先輩として何でも聞くよ」
ニコリとスカイは微笑む。そのまま彼女は飛行形態へと変形し、飛び立って行く。
「タロス。私もあんな風に……ううん、なんでもない」
「キロ……」
小説の方向性(セリフや描写など)
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積極的に改変が欲しい
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原作準拠で大丈夫
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原作準拠だが改変は間間に欲しい
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幕間エピソードが欲しい
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激しい改変はなくて大丈夫