「数だけはいるんだからねぇ!!」
スカイは上空から迎撃を行う。無限に見えるラプチャーへ向かって射撃を行う。しかし、黒い盾によって防がれる。
「来たね、ブラックスワン」
「「「「……」」」」
4機の黒鳥は何も言わない。ただ赤く明滅した目を向け、対艦刀を片手に、ビームライフルを速射し、更にビットを操る。
「くっ……!数では向こうの方が上かな!?」
ビームを掻い潜りながら舌打ちをする。自分もビットが通じれば撃ち落とせるというのに、相手はビームが効かない。これは実弾専用のビットも開発しなければならないか、と内心思うスカイ。
「なら、実力でねじ伏せるのみ!」
ギュン、とスラスターを逆噴射。慣性が強く働き、身体が軋む。ビームを手前で避けながら急速反転し、瞬間加速で逆手に持った対艦刀をブラックスワン1号機に振り抜いた。
「……!!」
「1つ!!」
ギャリィッ!!と音を立てて頭部を切断する。力なく落ちていく1号機を視界の横に収めながら、スカイはバックロールを行う。数秒前にいた空間をビームの雨が襲う。
残り3。死角から襲うライフルの光弾を、シールドビットが偏差射出で受け止める。ギリギリと圧力を喰らいながらも、彼女は速度を更に上げる。
「そこ!」
ダン!ダン!と重たい射撃音。ブラックスワン2号機の移動する位置を予測した射撃。レールガンから放たれた銃弾が2号機の頭部を捉える。そのまま着弾し、墜落して行く。
「残り2!」
ギャリリリ!!!!!!3号機と4号機が同時に対艦刀を振り上げ、スカイと鍔迫り合いを行う。その際にライフルの銃身が溶断される。
「クソっ……!!」
上空、青と黒が斬り結ぶ。世界は既に風の音すら届かぬ殺意の領域だった。
「ハッ――舐めないで欲しいね!!」
スカイは咆哮と共に力を込める。対艦刀を交差させた状態で機体を捻ると、斜め後方へと回り込むようにスラスターを吹かした。3号機と4号機の同時斬撃は空を切り、瞬間、機体が交差。
ギャアアン!!!!
断ち割られたのは4号機の上半身。滑らかな切断面を残して斜めに裂け、爆煙を尾にしながら墜落する。
その横をスカイはくるりと回転しながら潜り込み、最後の一機――3号機の懐へ踏み込んだ。
「お前で最後だッ!!」
斬り上げる軌道。逆手の一撃は刀身の途中でカチリと回転し、順手へ。まるで死神の鎌。刃が装甲を捉える瞬間、わずかに機体が軋む。
ガガガァァ!!
3号機の両腕が切断され、続いて胴体が裂ける。推進器が制御を失い、火花を散らしながら墜落していく。
「これで終わり……後は王国の援護に……!」
センサービットで状況を確認すればインディビリアは巨大化し、更にトーカティブと共に王国内部へ侵入していた。急がなければ。シールドビットをしまい、援護に向かおうとした時、背中が爆ぜた。
「ぐぅぅぅぅっっっ!!?」
爆音と衝撃と共に高度が落ちて行く。何とかスラスターで制御を取り戻し、状況を確認してみれば頭部のない1号機と2号機が奇怪に身をくねらせて動いていた。
「クソ……油断した。そういえばニケと同じ場所にコアがあるんだった」
はぁ、と溜息を漏らしながら対艦刀を構え、突撃する。その瞬間、溶断された頭部から触手のような何かが何本も勢いよく突き出してくる。
「これは……!?侵食誘発装置!?」
ブラックスミスやウルトラ、更にトーカティブが扱っているソレと同じ物があった。自分はNIMPHがないから問題ないと言えども、これが直撃したらまずい。そう実感する。
シールドビットを展開し、隙を狙って対艦刀でコアを破壊しようとする。しかし、もがれた羽根では先ほどのような高速起動に耐えられない。
「装備を変えるしかない……!!」
基本装備、普段のビット仕様にチェンジし、機体の速度を上げる。それを見計らっていたかのように、触手が赤く発光し、自身も包まれる。
「何……エラー!?ビットの制御が……!!」
機体に装備された各種ビットの制御が奪われる。侵食がビットに?中枢制御はこちらの脳の筈。もしくは制御AIが塗り替えられた?ヘレティックでもない相手に?……いや、まさか!!
「インディビリア!!」
そう叫ぶのと同時、3号機と4号機の残骸から、追加のビットが開放される。それは"棘"のような形をしていた。通常のガンビットと違い、近距離高速突撃用。まるで自爆特攻用のようだ。
「疑似ソードビット……それに引っかかるわけ……ないでしょ!!」
青の光が彼女の背から噴き上がる。迎え撃つは、"首なしの黒鳥"と"無数の牙"。
その間にもスカイは解析を進める。
「なるほど、自己複製とデータリンクによる擬似神経網ね……全機繋がってる。上等じゃないの」
ギィイイイ――ィン!!!!
突如、咆哮のような電子音が空を震わせる。
頭部を欠いたブラックスワン1号機、その機体全体が赤く発光し始めていた。自己過熱、限界出力。制御不能というよりも、破壊のためだけに動いている――まさに鬼火。
その能力を、スカイは知っていた。
「システムOVERLOAD……!?なんで、あり得ない!その技術をいくら模倣しているとはいえ、それは……エイブの……私の……!!」
まさか、と脳裏に巡るのはレッドシューズの姿。
「レッドシューズ!!!!!!!!」
周囲に展開したビットは空気を裂く速度で軌道を描き、スカイを包囲するように配置される。棘のような突撃ユニットは、まさに彼女の動きに合わせて同調するように蠢いていた。
「甘い!避ければ____ッ!?」
回避しながらの戦闘で自分が追い詰められていた事に気づく。自分の背後、下にはクラウン王国が。仲間達がいる。もし回避をすれば全て彼女らに降り注ぐことだろう。
逃げ場は――無い。
ブラックスワンは対艦刀を突き出し、2機共に突撃してくる。それに合わせてビットが放たれる。
「__ははっ、私の詰めが甘いか」
諦めたような言葉と共にビットが直撃する。爆炎に包まれて真っ逆さまに落ちて行く。機体の殆どが破損しながら。そこにトドメと、2号機が対艦刀を振りかぶる。
「でも、そっちの詰めも甘いね」
足先から発生させたビームサーベル。それを高圧縮して青色の短身刃にし、コアに突き刺す。グリ、と抉りトドメを刺す代わりに足が抜けなくなる。舌打ちをすると、ブラックスワンの対艦刀を手に持ち、突進してくる赤い1号機に向けて差し違える形で向ける。
「はぁぁぁぁぁぁッ!!」
1号機へ対艦刀を投げる。それに遅れて反応を示すように1号機も対艦刀を投げ飛ばす。
先にコアを貫いたのはスカイが投げた方で、これでブラックスワンは全機倒した。しかし、自分も死ぬかもしれない。毎回毎回ボロボロになって、今回は平気だと思った。予定調和どころか完全勝利で王国の勝ちだと思っていた。その安直なまでの予想が間違っていたと自嘲する。
「はーあ、本当私って詰めが甘いんだから」
迫り来る刃に成す術もなくやられる。そう直感した。
「本当ですよ!!スカイ様のバカ!!!!!」
ガキン!!と目の前に大きな盾が現れ、対艦刀は弾かれる。
「もう!あなたも邪魔です!!」
足先の2号機を誰かが蹴り飛ばす。重力に従って落ちて行く自分を誰かが支える。
「……ピナ」
「スカイ様のバカ!!強くなってもこうやって無茶するんですからぁ!!」
「毎回それを言われてるよ……でも今回は予想外だったの、ごめんね」
「えーーん!!」
彼女は目に涙を溜めながら、スカイを支えて王国に着陸する。目の前にはトーカティブがいた。
「青い巡礼者、無様な姿だな」
「いやはや全く……乙女の柔肌を晒す事になるとはね……君の趣味かい?トーカティブ」
「ふはは、その状態でも軽口を叩くか」
「この状態だからだよ……まだ戦える」
「その量産型もどきとか?」
「黙ってください!本当におしゃべりですね!」
ピナがトーカティブの剛腕を防ぐ。その間にクラウンが槍で攻撃するも、トーカティブはその図体に見合わない挙動で回避する。
「なるほど、大口を叩くだけのことはある」
ズン、と音を立ててトーカティブが地面を蹴る。狙いはマリアンで、彼女を掴むと勢いよく壁に叩きつけた。
「!!」
「マリアン」
「……私の名前を……呼ばないでください!」
「思い出せ、自分が何者か。どういう存在か。お前の起源、お前の生きる目的を」
「……」
「マリアンから離れて!」
「大事な話をしている所だ」
ドガン!トーカティブが振り回した腕がタロスの左腕に直撃する。
「うぅっ……」
「左腕、中破」
「一発で……!?」
「動力不足により、ナノコーティングが活性化されていません。特殊個体の攻撃が命中した場合、致命的なダメージになります。ご注意ください」
「……もし、操縦席に当たったら、どうなるの?」
「私は即座に機能停止し、操縦席のキロ様は死亡するでしょう」
「……」
「ふん、一度で戦意をなくしたか。鋼の身体を持ちながらさらに別の鋼の後ろに隠れる臆病者め」
「なっ……!」
「なんだ?」
「キロを……!バカにしないでください!」
バキ、バキ、トーカティブの腕をマリアンが引きはがした。
「この力……!そうか……!始まっていたか!」
「本当に口数の多い方ですわね」
「急ぐ必要はなかったようだ。ふはは……王とやら、マリアンの正体を知っているのか?」
「当然ですわ」
「ほう……ならば、なぜだ?」
「私は王。マリアンはその民だからですわ。王は民を選びません」
「大したものだ」
「それほどでも」
「用は済んだ。後は時を待つだけだ」
「待て__!!」
スカイがそう叫ぶも、トーカティブは姿を消した。
「……」
「うっ……ああ!!」
「マリアン!?」
「頭が……痛いです……!!」
「タロス!マリアンの状態を確認して!」
「スキャンできません。原因不明です」
「もうっ……!じゃあ何ならできるの!?」
「私は戦闘及び生存支援に特化した機能を持っています」
「そういう話じゃなくて!」
「キロ、ピナ、マリアンとスカイを任せます。安全な場所へ」
「安全な場所って!?見てたじゃないですか……!私は何も……!」
「信じていますよ」
クラウンは飛ぶように戦場へ戻って行った。
「指揮……官……!」
「私に……私は……何もできないのに……!」
「手を繋ぐことで、心身の安定をもたらせます」
「そうだよ、キロ。手を握ってあげて」
「スカイさん……わかりました……」
コックピットが開き、キロがタロスから降りた。キロは優しくマリアンの手を握った。
「が、頑張ってください、マリアン」
「はぁ……!はぁ……!!」
「わ、私に頑張れって言ってくれましたよね。が、頑張ります。だから、マリアンも頑張ってください」
「ピナ、ここはもう大丈夫。他の皆は?」
「インディビリアの相手はドロシー様と紅蓮様が。前線は残りのお二方が担当しています」
「そう。ならピナも援護に行ってあげて」
「……大丈夫、ですか?だって装備もボロボロで、その……」
「自己修復機能はあるし、前線が崩壊したらここもダメだから。それに、ここにはキロがいる」
「……はぁ、分かりました。もう、本当……次はないですから!」
「何回も言われてるよ……本当にごめんなさい」
「後で怒られてくださいね!!」
ピナはスノーホワイトとラプンツェルの援護へと向かう。
その場に残されたスカイはキロとマリアンの様子を見ながらライフルを構える。
「本当……手痛いね。やっぱり油断はダメだなぁ……」
小説の方向性(セリフや描写など)
-
積極的に改変が欲しい
-
原作準拠で大丈夫
-
原作準拠だが改変は間間に欲しい
-
幕間エピソードが欲しい
-
激しい改変はなくて大丈夫