自分がラプチャーのクイーンである事を明かしたマリアン。彼女に関して説明をするナユタ。それに対しての反応は……
「お前がラプチャーのクイーンだぁ?じゃあ空に浮かんでるアレはなんなんだよ。おばあちゃんか?」
レッドフードの茶化しによってなんとも言えない空気になったのだった。
「だってそうだろ?あたしらが戦ってたのは空にいるクイーンで、マリアンじゃない。お前が新しくクイーンになってラプチャーどもを集めて人間もニケも滅ぼす……ってなったらあたしらは止めないといけない。でもそうじゃないんだろ?」
「……はい」
「ならそれでよし。そもそもクイーンを倒せるかどうか分かんないんだ。勝ってから先の事は考えようぜ」
「いいん、ですか……?」
あのなぁ、とレッドフードは溜息を漏らす。クラウン王国も、ゴッデス部隊も、エデンでさえも、呆れた様子でいる。
「お前が危険だったらスカイがとっくのとうに排除してる。排除しないって事は安全か、この先に必要って事なんだよ」
「そんな理由で?」
「充分さ。ここにいる奴らはスカイを信用してる。或いはスカイに助けられた。そいつの判断を後からわーきゃー言う奴はいないって、なぁ?」
「そうだ。お前が何者でも私達の為すべき事は変わらない」
スノーホワイトはそう締めくくった。
「みなさん……ありがとうございます」
ーーーー
薔花とミラーは離れた所で戦略を練っていた。ほぼミラーの独白だが。
「……いけません、これでは計画が……」
「どうしたの?」
「マリアンがクイーンであると打ち明けた上に、それをあっさりと受け入れられてしまいました」
「ダメなの?」
「頃合いを見て流布し、責め立てられた所を確保する予定でしたので」
「でもそうしたらみんなマリアンを倒そうとしない?クイーンには変わりないんだし」
「スカイとレッドフードがいる限り無理でしょう。彼女達は私の計画の大きな障害です」
「そうなの?」
「ええ。彼女達は幾度となくスカイの判断に助けられてきました。その絆と信頼は確固たる物です。それを破壊するには大きな事件や悲劇が必要ですが……全てを回避されてきました。時には仲間と、時には己の限界を、時には予知すら乗り越えて」
「その結果が今ってこと?」
「そうですね。彼女達の中でスカイが否定しない=今は様子見をしても安全、或いはこの先も安全である。というのが立証されてしまっています」
「でも千里は見通せないんでしょう?スカイより先を見れば……ああ、そっか」
「はい、問題はそこです。"どうやって見るか"これに尽きます」
「侵食は?」
「アンチェインドを彼女は常に常備しています。侵食の恐ろしさはよく理解している為ですね。彼女を侵食しても意味ないでしょう。そして、今の彼女の仲間で侵食を受けるような相手はいません」
「現状私はある程度予測を立てる事はできますが、それすら彼女は読んでいるでしょう。或いはもう私の存在に気付いているかもしれません。後手に回るしかないのです」
「何そのチート!ありえなーい!」
「正直万策は尽きています。ブラックスワン達も全滅していますし、アレの改良を作るにも時間がかかります。せめて、この戦いで大きな被害が出ればよいのですが……」
ミラーは苦々しそうな表情をする。最も、この時点でスカイはミラーの企みなど完全に気付いている訳もなく、彼女の思い込みなのだが。
ーーーー
「感動の再会は終わったか?」
エデンで、ヨハンが口を開く。だが、直後に顎に手を当てて考える仕草をした。
「……いや、まずは援軍を感謝する。正直な所、これ以上持ちこたえるのは難しかった」
「素直だねぇ、ヨハン。指揮もお疲れ様。作戦は一緒に立てようか?」
「指揮官は私だ。……だが、今回はその申し出を受け取ろう。頼む」
「オーケー」
スカイがデバイスを開き、空間に映像を投影する。
「クイーンの本体は宇宙ステーションと合体している。ある程度上空まで行くと自動撃墜装置があるから空からの攻撃はほぼ不可能、自律起動のセンサービットも破壊されている」
「この弾幕は無理ね。私も回避できるか分からないわ」
イサベルが映像を見て呟く。
「まあでも、私の場合はモード:ラプンツェルとスノーホワイトで吸収して撃ち返す事ができる。ある程度まで近付けば撃墜は可能だろうね」
「私のウイルスは?」
「ハランの効果は絶大だけどキミの身体が持たなくなったら困る。それで落ち込むのはここにいる全員だ。不意打ちを行ってくるであろうインディビリアへの対策……巨大化のカウンターとして余力を残して欲しい」
「あら残念。手柄を立てられると思ったのに」
「ゴッデスがいるんでね、ごめんよ」
「う~~~、スカイ、私は?」
「ノアは療養。出力もほぼ限界を超えてるからメンテナンスだね。お疲れ様」
「まだいけるのにぃぃぃ」
「ノアはこっち!早く来なさい!」
「やだぁぁぁぁ!」
パピヨンに引きずられてノアは退出して行く。ふ、と誰かが笑った。
「ナユタの分身、残存戦力を使えばクイーンの足元にはいけるだろう。だがどうする?」
「露払いはエデン・クラウン王国の戦力。エデンの防衛は量産型部隊。クイーンと交戦するのはゴッデス。これに変わりはないね。どうやって倒すかの算段はナユタに任せるよ」
「私にですか?それはあまりにも重大ですねぇ」
「もう用意はあるんでしょ?」
「ふむ……貴女には後ほど共有をしておきましょう」
「分かった」
「クイーン降下まで私以外のゴッデスは戦力温存。無暗な消費は避ける事」
「了解。ならちゃっちゃと落としてくれよ」
「勿論。で、クラウン」
「どうかしましたか?」
「ネイキッドキングは使える?」
「1回が限度ですねぇ、スカイ。威力は1度、しかし反動は1人前。また集め直すしかありませんねぇ」
代わりにナユタが答える。
「なるほど……恐らくインディビリアの事だから使える前提で仕掛けてくると思う。クラウンと真正面から戦うのは避けそうだね……」
そう言いながらスカイはチャイムを見る。
「む、なんなのだ?」
「もしかしたらネイキッドキングはチャイムが持っていた方がいいかも。予想外・隠し札として」
「なっなななな!!!!そんな畏れ多い事はできないのだ!!」
「……いいえ、チャイム。先の戦いで彼女は私達にぬるま湯を飲ませられています。その上侮る癖は治っていないようですから、充分有り得るかと。……私を囮に、インディビリアを仕留めるように」
「ははっ……はっ!煮え湯でございます!しか、しかし!よ、よよよ、よろしいのですか!?」
あからさまに慌てふためくチャイム。
「構いませんわ」
「それと、もしエブラ粒子を使われたらコレを使って」
スカイが手渡したキューブのような代物。曰くエブラ粒子を吸収してビーム砲を放てるらしい。ただ使い切りで燃費も悪く量産には向かない装備との事。
「シンデレラみたいな飽和攻撃が常に出来ればと思ったんだけど、そう上手くは行かなかったね」
「ふむ……分かりましたわ。頂いた以上、私達が必ず勝ちますわ」
「あの……スカイさん、私とタロスの武装は……」
おずおずと今度はキロが手を上げる。
「ふむ、トーカティブの形態から着想を得たみたいだね。火炎放射器のように扱うのもいいけど、掴まえて爆発させるのもいいんじゃないかな。或いは出力を上げて貫く、とか」
「分かりました。同じく切り札として取っておきます」
「スカイ、ネイキッドキングと同じく、使用時の脱衣は必要でしょうか?」
「タロス!?」
「脱げば強い理論……まあ、否定はできない、ね?うん。世の中にはツインテニケばかり作る開発者もいるし……スケベな格好させてるし……」
「分かりました。キロ、脱いで強くなりましょう」
「嫌だよ!?!?」
青ざめた顔で叫ぶキロ。しかし、既にその機能は搭載されているのだった。
「さて……イサベルは私がクイーンに近付くまで飛行型ラプチャーを引き付けておいて。万が一攻撃を吸われるとかはしたくない」
「分かったわ。任せて」
「どう?ヨハン」
最終的な判断を仰がれたヨハンはふぅ、と溜息を漏らす。
「良い作戦だ。だが、ダメだった場合はどうする?」
「託す先はある。違う?」
「……ふ、愚問だったな。では全員準備をしろ。クイーンの攻撃が来る前に補給をととのえておけ」
了解!と各員が解散して行く。スカイは準備を整える中で、ナユタに呼び止められた。
ーーーー
「クイーンの毒殺計画?リリスのボディを使って……?アンチェインド……?」
「ニヒリスター主導の計画です。不安要素は多分にありますが、恐らくクイーンを倒せる唯一の方法でしょう。問題はニヒリスターが弱っているという事ですが」
「それならインディビリアを食べさせればいい」
「ふむ、その手がありましたか。どうせ倒せませんし、それなら生贄に……スカイ?どうしました?そんなに顔を青ざめさせて」
「いや、最悪の予感があるかもしれないと思っただけ。その時は私が何とかするよ」
「ふむ……そうですか。では、ご武運を」
「そっちもね……ってか、戦う覚悟は?」
「ありますとも。分身を犠牲に……と思っていましたが、しかし出る幕は無さそうですねぇ」
「当たり前でしょ。分身にも自我があるんだから。私はソレを見捨てることは許さない」
「ですが……」
「私もクローンはいるからね。度々記憶を同期する。アレはかなり疲れるんだよ。しんどいし、生に感情が流れ込んでくる。キミもそうであると仮定するなら……味合わせたくない」
「……全く、お優しい事で」
「ふふ、そうだね。じゃ、また後で。皆の支援頼むね」
スカイは勢いよく飛翔し、飛行形態になってクイーンへと接近して行く。
「(もし、クイーンがリリスのボディを乗っ取ったら、私は勝てるか?)」
回想するのは最強のイメージ。彼女の能力がそのまま敵になったらと思うと、ゾッとする。だが、勝たなければいけない。もしそうなったとしたら、いや、しなくても、リリスを取り戻さねばならないのだ。たとえそこに彼女の意思がなかったとしても。
「っと!飽和攻撃か!大きなビームはもうやらないのかな?モード:ラプンツェル!」
髪が金色に光り、シールドを展開。赤いビームを吸収するように防いでいく。地上に降り注ぐ赤い雨を見ながら、スカイは進む。
「怖いものはシンデレラだけだって思ってる?もしくはセイレーン?どっちもこの場にはいないから怖くないって?それはそう。でも__」
シールドが吸収限界に達すると同時、空中で動きを止めた。ガコン、とビットがパージされて展開されて行く。
「私だってエイブが作った!共に作ったニケだ!あまり舐めるなよ!!モード:スノーホワイト!ガンビット……撃てぇぇぇぇ!!!!」
収縮したエネルギーが青白く輝く。まるでシンデレラのガラスの靴のように放たれたソレは、クイーンのステーションに直撃する。
「!!」
はっ、と不敵な笑みが溢れる。今の攻撃で乱射するだけだったクイーンの砲撃が明確に自分に向かってくる。スカイはそれを避けながら、地上に被害が出ないように立ち位置を取る。
「さぁ堕ちろ!モード:リリーバイス!」
髪がより白く輝き、スカイの手から巨大な閃光が放たれる。それと同時にクイーンから赤い光が飛んでくる。ギャリリリッ!!!!ビーム同士が競り合う。
「ぐ……リリス……頼む……よ!!」
気圧されそうなビームの奔流。スカイは飲み込まれそうになりながらも出力を上げる。その瞳は、リリス本人のように、或いはマリアンのように煌めいて輝いていた。
「はぁぁぁぁぁ!!堕ちろ!!」
光は一気に勢いを増して、赤い光を貫いてステーションに直撃した。
「いっけぇぇぇぇ!!!!」
ソードビットが損傷箇所に入り込み、中を食い荒らす。同時にハラン用に開発された新ウイルスをばら撒く。クイーンの高度はみるみる内に下がって行き、墜落も時間の問題だろう。
「よし!作戦成功……次」
スカイは降下して行く。
ーーーー
「あの様子だと、無事落とせましたか」
「よっし!後はケリをつけるだけだな?」
「クイーンとの決戦、誰かが欠けるかもしれぬと思ったが……存外そうでもないようだな」
「油断するな。戦いはこれからだ」
「……勝てますかね?」
「いいえ、勝つのです。我々が」
「その通り。さて、全員揃ったんだ。100年前の因果を清算しに行こう」
「オーケー。んじゃドロシー!アレ、やってくれよ」
「……はぁ。分かりました」
こほん、とドロシーは咳ばらいをする。目前にクイーンが迫っているというのに、不思議な高揚感があった。
「ゴッデス部隊、エンカウンター!」
ーーーー
地上、クラウン王国部隊。
「……落とせたようですわね」
赤く光っていた空が消えて行く。
「宇宙ステーションの墜落を確認。次のプランに移行する必要があります」
「……後方へ退却、でしたわね。ですが__」
クラウンが槍を振るう。その先にインディビリアの刃が当たり、弾かれる。
「やはり不意打ちを狙ってきましたわね」
「早々当たるものでもありませんか……では、こちらはいかがでしょう?」
「ひいっ!?」
チャイムの首へ目掛けて何度も刃が振るわれる。クラウンがそれを守る様に防ぐ。しかし、違和感に気付く。狙いがチャイムであるのならこんな回りくどい攻撃はしないだろう。スカイ曰くインディビリアは真正面から戦ってこないと判断していた。それが堂々と姿を現している。なら__。
「ここ、ですわね」
「何?」
クラウンが懐からキューブを取り出し、展開する。青色に輝いたそれはネイキッドクラウンのように周囲に散布されたエブラ粒子を吸収し……ドォォォン!!とインディビリアに向かってビームを放つ。
「なっ!!」
咄嗟の攻撃に避ける事は敵わず、直撃する。
「お嬢さま!」
「ふぅ……油断は厳禁ですわ。っく……」
それでもエブラ粒子の効果は重く、少し身体が重いと感じる。直後、土煙から煌めく刃が見えた。
「ッ!?」
「お嬢さま!」
「クラウン!」
「人間もどきが……これ以上私を舐めるのもいい加減にして欲しいものですね」
損傷こそしているものの、インディビリアが立っていた。そして、クラウンは肩に傷を負っている。
「はぁっ……はぁっ……」
「咄嗟に避けたのはイイ判断です。あのまま行けば貴女の身体は斜めに泣き別れしていたでしょうから。追い詰められた獲物の怖さは体験しています。そして、貴女達がどれ程仲間思いなのかも」
「クラウン!?貴女は……!」
そこに現れたのはマリアンだった。負傷したクラウンは深手を負っている。ドクンとマリアンの胸に怒りが込み上げてきた。
「マリアン、クイーンの器。丁度いいですねぇ……全て奪ってしまいましょうか。トーカティブ」
ドン!と地面を砕いて空から現れたのはトーカティブだった。その肩にはニヒリスターもいる。
耳障りな音を立ててインディビリアが巨大化する。エブラ粒子を更に散布しながら。
「先ほどの攻撃でアレを使わなかったのは使えない事の証左でしょう?大好きなエブラ粒子を吸いながらここで惨めに死になさい」
『マリアンを、返してもらおう』
「さっさとしろよ。俺は戦えねえんだからよぉ?」
「クラウン!ここは私が!退却してください!」
「マリアン!私とタロスもいます!一緒に……!」
キロがそう言葉を続けようとした時だった。インディビリアの頭上からドン!と攻撃が降り注ぐ。
「何ッ!?」
ズシャ!!ハランが巨大な頭部に落下してきた。その上にはイサベルがいる。
「全く、図が高い臣下だこと。卑怯とは言わないでしょう?貴女達が大好きな不意打ちなのだから」
何の迷いもなく振り下ろされた鎌から電撃が奔る。
「さぁ、お前も落ちなさい」
黒い粉末が爆発的に飛び散った。巨大なムカデは瞬く間に錆びついた。
「ぐ、ぅ……トーカティブ……!」
「やらせません!」
ガァン!とトーカティブと真っ向から組み付くタロス。
『出力が……上がっている……!?』
嫌な予感を察知したトーカティブは急いで火竜に変形しようとする。
「させると思うなぁぁぁぁ!!タロス!!」
「了解」
タロスの右手が真っ赤に燃える。それと共にタロスのスピーカーから燃えるような音楽が流れる。
「お前を倒せと轟き叫ぶ!喰らえっ!」
『何ッ……!?』
トーカティブの頭を掴み、持ち上げる。
「爆熱!ゴッド!フィ〇ガァァァァ!!」
「ヒート!エンドォォォォ!!」
爆熱と爆音がトーカティブを襲う。前回は頭を吹き飛ばされたが、今は全身が灼熱に焼かれている。更に自身の火も相まって連鎖爆発し、吹き飛ばされて物言わぬ鉄塊と化す。
「……決まった……!」
「やはり着想を得たのは正解でしたね。そして、戦闘中に脱衣する気分を教えてください」
「へ、ふぇぇぇっ!?なんで!?なんでタロス!?」
「実際服を脱いだ時の心拍数とアドレナリンは通常時よりも高い数値を出しています。問題がありますか?」
「あるよ!!」
「……省エネモードに入ります」
「黙らないで!?」
そんなツッコミとボケをしている相手にやられたトーカティブ。インディビリアはまだ健在。しかし多勢に無勢。傍にいたニヒリスターを睨みつける。
「貴女も戦いなさい……!」
「おいおい、装備がねぇのにどうやって戦えってんだ?それより見たか?アイツ、俺の装備を使ってるのにそれ事爆散しやがった。自分で使いきれない物を持つ奴ってのはな、ああなるんだよ。お前もそうなんじゃねえか?俺から装備を奪ったのに人間もどきの一体も殺せてねぇ。俺のこんなよっっっわい力があったら勝ててたか?そんなちんけな物に頼らないといけないぐらいお前は弱くなったのか?なァ?」
「貴様……ッ!!」
「一体でも倒して見せろよ、なァ?そしたら協力してやる」
「ふ、は、まぁ……いいでしょう……!」
「ハラン、どうする?」
「ええ、私達だけで充分倒せると思うわ。でも__それは違うのでしょう?クラウン王国との因縁だもの。自分達でケリをつけなさいな」
「ええ、感謝いたします。……マリアンをお願いしても?」
「……分かったわ。マリアン、貴女は切り札でもあるのだから不用意な事はしないように。イサベル、運んでちょうだい」
「行くわよ、マリアン」
「でも……」
「こういう時はね、仲間を信じるのよ」
イサベルによってマリアンは運ばれていく。同伴するハランもまた、口を開く。
「それに、王の仇を取るのは臣下の役目よ?」
ーーーー
「負傷した王、チビに、ガラクタが相手だってよ。随分とナメられてんじゃねえか!なァ!?傑作だぜおい!ハハハハ!!マジでお笑いだ!」
「黙りなさい。今は貴女に割く時間すら惜しいのです」
「こりゃあ、面白いモンが見れそうだ」
ニヒリスターはその場に座り込む。心底愉快そうに。
「チャイム。言わずとも、分かりますわね?」
「……ははっ!」
クラウンの前にチャイムが立つ。それを見てインディビリアは更に顔を顰める。
「何もできない貴女が私に勝てるとでも?不出来な何の能力も持たない貴女を守った所為でその人間もどきはそうなっているのですよ?それとも、充分だとお思いで?」
「充分なのだ!貴様こそ、度重なるお嬢さまへの狼藉!その命を持って贖え!なのだ!」
クラウンがトロンべをチャイムに渡し、彼女は走らせる。インディビリアは溜息を吐く事もなく、心底苛立った顔をする。
「その驕りを対価に、死ね」
トロンべを駆るチャイムはその背を蹴り、上空へと飛び出す。それを見るクラウンらに、不安な顔は一つもなかった。それがインディビリアの苛立ちを加速させ、判断を鈍らせる。チャイムの首を斬ろうと刃を振るう。
刃が当たる瞬間、チャイムが身体を捻った。刃は背中に当たるも致命傷ではない。
「……なっ……!?」
「くっ、ハハ、おもしれぇ!」
一回転したチャイムの眼がインディビリアをとらえた。
「インディビリア!お嬢さまが私に預けてくださった誇り高き力!味わうといいのだ……!!」
ネイキッドキング:アクティブ
「これは……!」
「王からの賜りものである!つつしんで受け取るのだぁぁぁぁぁ!!」
輝く王衣を纏ったチャイムが拳を振り下ろす。
強烈な衝撃波がインディビリアを襲う。過去に受けた恐怖と苦痛を思い出しながら地面にひざをついた。チャイムはその場に倒れた。
「吹き飛ばして!タロス!」
「了解」
インディビリアの尻尾をタロスが掴み、上空へと吹き飛ばす。
「ぐ……うぅっ!」
「これでおしまい。ですわね」
その上で見た光景は槍を構えたクラウンとトロンべだった。インディビリアは空中で叩き落され、地面に落下する。
「ハハ!ハハハハ!!傑作だぜ!おい!俺から力を奪ったってのに一方的にボコられてるだけじゃねえか!挙句の果てには読み負けてただのチビにやられる?ほんっっっとにオマエは学習能力がないなァ!?」
「だま……れ……」
「……待てよ?考えてみたら俺はお前に喰われたよな?」
「……それが、なんだと……!」
「武装もくれてやって復活させてやったのに、お前らは俺を裏切ったよな?」
「今更何を……!」
「それなのに、どうしてお前は俺に怒鳴ってんだ?なんで俺に命令できるんだ?……気に入らねえな」
「は__ッ!?」
その瞬間、ニヒリスターがインディビリアの首筋に嚙みついた。
「えっ……」
「……これは……」
「おや、全員ご無事でしたか。それに……おやおやまあまあ。随分な光景ですね。キロ、クラウンとチャイムを連れてここから退避するように」
「でも!ニヒリスターが復活したら勝ち目は!」
「大丈夫です。問題ないでしょう」
「……そのようですわね。全員後退を」
クラウンがチャイムに羽織を着せて、キロと共に後退して行く。
後に残ったのはナユタとインディビリアを捕食するニヒリスターのみ。
「あァ゛……クソみてえにまずいな」
「そうですか」
「ありえないだろ?まずいのに俺を喰ったんだぜこいつらは。それなのに負け、負け、負け、恥ってもんを知らねえのかねぇ?」
ミシミシミシ、ニヒリスターの背中から武装が生える。
「はぁ……やっとバランスが取れたぜ」
「断ち切れたのですか?」
「だってムカつくだろコイツ。ああ、もう死んだか」
「産まれ持った運命を自分で打ち破るとは……クイーンが弱いのか、貴女が強いのか分かりませんね」
「後者に決まってんだろ?んで、さっさとクイーンをぶっ殺すぜ。……んで、戦況は?」
「スカイからの通信で、旗色はよくはないと聞いています」
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パロディネタ、技術チートのオンパレードです。
マリアンの巨大化は入れたかったけど……!入る余地がありませんでした。
小説の方向性(セリフや描写など)
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積極的に改変が欲しい
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原作準拠で大丈夫
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原作準拠だが改変は間間に欲しい
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幕間エピソードが欲しい
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激しい改変はなくて大丈夫