絶望を希望に変える為に   作:スカイ⛅

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ゴッデス回です。


~幕間~ エデンで過ごす巡礼者たち

ピッ、ピッ、ピッ、電子音が聞こえる。目を開けると液体の中にいた。ここがすぐにコフィンの中だと気付く。アレから少年達はどうなったのだろうか。

 

プシュー、と音を立ててコフィンの扉が開く。セシルが立っている事からここがエデンだと分かる。

 

「やっと起きましたか。おはようございます、ブルースカイ。大破状態だったのを完全修復、システムも問題ありません。しかし……一体どんな無茶をすればこんな事になるんですか?」

 

「仕方ないじゃん。ヘレティックとトーカティブ相手だったんだから。自己犠牲青二才の少年を助けるのも一苦労ってね」

 

「そうか。そんな指揮官はダメだな……いや、お前が出たという事は遂に目当ての人物なのか?」

 

ヨハン……気の所為かいつもより眼光が鋭い。目を逸らしつつ話そうとすると、セシルの冷たい目が僕を見る。

 

「あーうん、お人好しでニケの為なら自己犠牲を厭わない。それでもって行く所にヘレティックだったりトラブルに巻き込まれる。……でも、良い奴だよ。ヨハンもなんだかんだ言って気に入られる。先輩と呼んでもいいですか!!って」

 

「……それは止して欲しいが、楽しみにしておこう。……ああ、楽しみと言えば彼女達が集まっているぞ。早く顔を見せて来い」

 

「嘘でしょ?」

 

「はぁ……本当です。全員エデンに来ました。私達も言いたい事は山程ありますが……一先ず無事に帰還してくれて助かりました。武装の確認は後でしてください」

 

コフィンから出ると身体の調子がいい。目の前の扉からは異様な雰囲気を察知するけど。

 

「まあ、その、ありがとう。うん、行ってくる」

 

ウィーン、と扉が開いた瞬間。目に入ってくるのはゴッデス部隊のメンバー。紅蓮は珍しく昔のような顔付きに、ラプンツェルはニッコリと笑みを浮かべ、ドロシーは原作で見る悪辣な笑み、スノーホワイトは何故かフェイスアーマーを展開している。ピナは後ろでひょっこり顔を覗かせている。かわいいね。助けてくれない?無理?あ、そう。

 

「ロビーに集まってくれてありがとうね。でもほら、お見舞いとかいいから、大丈夫だからさ、ね?」

 

「座れ」

 

スノーホワイトの冷たい声が響く。即座に座る、勿論正座だ。

 

「お前……また無茶をしたな?アークへの侵入に加えて、バンカーでのコア動力の譲渡。間に合ったから良かったものの死んでいたらどうするつもりだ?」

 

「いや、はい、あの、その通り……です……」

 

「エネルギー波が来る瞬間、シールドビットを全員に飛ばして、更に人間も守った。そして私の事も庇った。そうだな?」

 

「……直撃コースだったなって、あそこでスノーが無事じゃないとダメだから……」

 

「ほう、なら自分は重症を負っていいと?」

 

語気が強くなる。ヤバい。

 

「……すみませんでした……………」

 

「お前が居なくなったら、私は悲しい。お前が傷付いたら、私は苦しい。代わりがいるとしても、それは私達と過ごしたお前ではない。お前はお前だ、1人しか存在しない」

 

「スノーが、デレた……!?」

 

ガンッと頭に拳を叩き込まれる。ふん、とスノーホワイトは後ろに控える。

 

「彼女が貴女を連れてここに来た時どんな表情だったか分かります?」

 

「……いや」

 

「泣いていました」

 

泣く……!?あのスノーホワイトが!?あの、スノーホワイトが!?思わず空いた口が塞がらない。

 

「泣いていたのです。彼女が。それなのに貴女はいつもの調子で……一体いつまでそうしているおつもりですか!?本当に私達が心配しているのをご存知ないのですか!?昔にもいいましたが、貴女は掛け替えのない仲間です。失いたくない存在です。家族同然と言っても差し支えないでしょう。貴女が居なければ私達はバラバラだったかもしれません。いえ、バラバラだったでしょう。それなのに、当の本人が仕方の無い事だから無茶をする、だのなんだのと、他の方々にしっかりと心労がかかっているんですよ!?そもそもこの前、エデンから出る時も"そろそろだから様子見てくるね"って勝手に出て行って……!!」

 

「ドロシー様!ドロシー様!一旦その辺に!落ち着いて、落ち着いて!」

 

「ボロボロの貴女を見て、私が……っ、私達が、どんな気持ちだったか知っていますか…っ!うっ…うぅ……」

 

ドロシーも泣いた。スノーホワイトがフェイスカバーをしているのはきっと、涙で腫れた目を隠す為、なのだろうか。

 

「貴女もゴッデスなんです、忘れないでください……失いたくないんです。お願いします……」

 

「ごめん、泣かせたい訳じゃなかったんだ。ごめんね、ドロシー。スノーホワイトも、ごめん」

 

「……いい」

 

ドロシーはハンカチで目を覆うと、そのままピナに連れ去られて後ろに下がる。続いて前に出たのは紅蓮だ。

 

「まぁ……私も心境は皆と同じだとも。お主の姿を見た時は肝が冷えた、死んでしまっているように身体が冷たくて、ボロボロだったさ。眠るように死んでいるのか、死んでいるように眠っているのか、セシルの嬢ちゃんがいなければ分からなかっただろうね」

 

「紅蓮はいつから……?」

 

「ラプンツェルと一緒に最初に合流したのさ。応急処置の為にね。スノーホワイトもボロボロだったから、君がくれた通信機がなかったら危なかっただろう」

 

「そっか……」

 

「私は酒は好きだが、弔い酒だけはどうにも苦手なのだよ。言いたい事が分かるかね?」

 

「はい……」

 

「……昔の思い出話をする者が居なくなってしまうのは悲しい。それは誰で在ろうと同じだ」

 

「ありがとう」

 

紅蓮も後ろに下がる。ラプンツェルが笑顔を浮かべたまま、座って目線を合わせる。

 

「貴女は本当に、沢山の傷を付けますね。それだけ守りたいものがあるのだと思います。でも、守るには力が必要で、貴女自身が必要です。それが死んでしまっては願い叶わず、だと思いませんか?私は……貴女の故郷だけには行きたくありません」

 

「……そうだね、未来を見てても辿り着けなかったら意味がないし、皆に影を落とすのは嫌だ。……ごめんなさい」

 

「分かっているのならいいんです。きっと貴女はこれからも命を張るでしょう。必要な事ならなんでも。けれど、絶対に死なないでくださいね」

 

「分かっ……た。死なない」

 

「では、スノーホワイト。こちらに」

 

「……断る」

 

彼女は壁にもたれかかったまま、動かない。

 

「困りましたね。スカイ、行ってあげてください」

 

「……でも、僕は……リリスの代わりにも、レッドフードの代わりにもなれない。隣に居ていいのは僕じゃ……」

 

「本当にそう思いますか?今のスノーホワイトを見て、何にも感じませんか?」

 

もう一度見る。悲しそうだと感じる。寂しそうだと感じる。

 

「……」

 

無言で立って、スノーホワイトに近づく。彼女からは反応がなかった。

 

「……ごめんね、スノー。色々言いたい事はあるけど、ありがとうと、ごめんねしか見つからないや。頑張ってくれてありがとう、怖い思いをさせてごめん」

 

ガシッと身体を掴まれる。それが抱き締められたのだと理解するのに時間を要した。

 

「……怖かったッ……!!お前の姿を見た時、何が過ぎったと思う……!?」

 

「何……?」

 

「姉さんの……顔だ……!眠ったように亡くなっていた、姿が過ぎった!怖かった!私はまた、自分の力不足で大事な人を死なせてしまうのかと!!」

 

「……そっか」

 

「合流した時に帰せば良かったと思った!そうでなければお前はこんな目に遭わなかった。寒くて、お前は冷たくて、それでも死んで欲しくなかった。だから、なのにお前は呑気で……!!」

 

「ごめんね、勘違いしてたんだ。スノーホワイトの隣に立っていいのはリリスか、レッドフードだけだって。僕は相応しくないって」

 

「いつ、いつ、私がそんな事を言った!?」

 

力が強まる。声に涙が混じる。

 

「嫌なんだ、嫌なんだ。だから、頼む……死なないでくれ……逝かないでくれ……お願いだ……」

 

「昔もこうやって、君は泣いてたね」

 

そっと、彼女を抱き締めながら長くなった髪の毛を撫でる。

 

「うる……さい……」

 

「リリスと僕どっちが好き?」

 

「姉さん」

 

「レッドフードは?」

 

「レッドフード……」

 

「うん、それでいい。代わりじゃなくて僕が必要?」

 

「……ああ、お前が必要だ」

 

「分かった。死なない。死なないように努力する。自分の事は念頭に入れてなかったけど、ちゃんと入れる。だからもう、泣かないで」

 

「……」

 

しばらくスノーホワイトは抱き着いて離れてくれなかった。

 

「やれやれ、ここはロビーだと言うのに。他の嬢ちゃんも見ておるよ?」

 

「皆に見られながら……はっ……!2人ともいけません!そこまでですよ!」

 

「うぅ……うっ……良かった、本当に無事で……」

 

「ドロシー様、新しいハンカチです……」

 

恥ずかしい。物凄く恥ずかしい。影からイサベル達が見てるのが見えるし、他のニケも見てるのが分かる。ヨハンとセシルも見てる。ねえ恥ずかしい。恥ずかしいよスノーホワイト。

 

ひっく、ひっく、と彼女が泣く。まさかこんなに彼女が感情を顕にするとは思わなかった。改変の結果、なのだろうか。

 

「スノー……流石にこれは、恥ずかしいな。離れよ?」

 

「……いやだ」

 

「うぅん、そっか。分かったよ」

 

ポンポンと、背中を撫でる。リリスやレッドフードが見たらなんて思うのだろうか。

結局、離れてくれたのは暫く経ってからだった。その後にはドロシーにも抱き着かれ、紅蓮とラプンツェルにもハグをされた。

 

そこから皆でご飯を食べた。エデンのご飯はやっぱり美味しい。ゴッデス部隊の面々がエデンで、食事を共にする光景は見れないから、嬉しかった。

 

けど。

 

「なんか僕の量多くない?」

 

「怪我人は沢山食べろ。そうだろドロシー」

 

「ええ、怪我人は沢山食べないといけません。ピナが作ったものですから、残したらいけませんよ?」

 

「あっ、うん、はい、いただきます」

 

「ニコッ!!」

 

満面の笑みのピナは怖かった。心配させて、とドロシー様を泣かせて!!!!!の笑顔だろう。

 

「ん〜〜、ワイン、初めて呑むがこれも中々……前々から楽しみにしていたが美味しい。熟成に時間が掛かると言っていたが……確かにそれだけの代物と言えよう」

 

「ええ、ワインは熟成させた方が美味しいのです。……会う度にワインはまだかと強請られる事もこれでないでしょうか」

 

「いやいや、何を言っているのかね。呑む酒の種類が増えただけだ。もっと作ってくれても構わんのだよ?確か……白いワインもあるのだったか……?」

 

「はぁ……ピナ、持ってきてください」

 

「分かりました!」

 

ドロシーと紅蓮が酒を嗜み、ピナが白ワインを持ってくる。

 

「ビーフステーキも美味しいですね。こちらのアップルパイもとても美味しいです。ピナが作ったんですか?これ全部」

 

「勿論です!ドロシー様の盾兼エデンの料理当番ですから!」

 

「これは……パイの中にお肉?シチュー?ですか?」

 

「はい!おかずとしても食べられますよ!」

 

「おかず……!?はっ!そんな、オカズだなんて……」

 

ラプンツェルの脳がピンク色になり。

 

「スカイ、私の肉を半分やる。その代わりアップルパイを半分くれ」

 

「おふ……スノーがあーんしてくれてもいいんだよ?」

 

「……ほら、食え」

 

スノーにあーんしてもらったり。

ややぶっきらぼうに肉を口に突っ込まれたけど。代わりにアップルパイを切り分けてスノーの皿に載せる。

 

「ん、ありがとうスノー。スノーもあーんする?」

 

「……やりたければやればいい」

 

「ふふ、はい」

 

アップルパイを1口サイズに切り分けて食べさせる。可愛い。リリスやレッドフードが可愛がるのも納得しちゃう。

 

ゴッデス部隊の食事会は楽しい物だった。

腹がパンパンに膨れて動けなくなったけど。




Q.スノーホワイトヒロイン?
A.ヒーローでもありヒロインでもある。かっこいいスノーも大好きだけど可愛いスノーの供給もあって、いいかなって……。

小説の方向性(セリフや描写など)

  • 積極的に改変が欲しい
  • 原作準拠で大丈夫
  • 原作準拠だが改変は間間に欲しい
  • 幕間エピソードが欲しい
  • 激しい改変はなくて大丈夫
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