あれから何日か。ゴッデス部隊は会合を終えて解散。その後、具体的にはカウンターズがアンチェインドを調べたり、メティスやらと一悶着ある中、そろそろマリアンを救う作戦が発動される。その間僕はエデンから一歩も動く事が許されなかった。装備が整っていない状況かつ、この後の改変要素に備えたい。という思惑があっての事だ。ただ、何にもしていなかったかというと、そういう訳でもない。
「システム同調率80%……武装展開……可能
装甲展開……可能。損傷修復……起動確認」
世界へようこそ"ブルースカイ"
その文字と共にコフィンから出る。傍にはセシルがいた。
「ボディを最新世代にアップグレードしておきました。しかし、相変わらず同調率は80%ですね。100%はOVERLOADシステムを起動しないと到達しません。これはやはりボディへの負荷を考えての事でしょうか?」
「いや、違うんだ。当初のボディだと30%も出なかった。エイブ……天才が何かこう、上手くやってくれたみたいでね。システムもその時からの物。最初から全力だと相手が全力を上回った時の切り札がないでしょ?」
「それは……確かにそうですね。ブラック・スワンの例がこれから出ないとは限りません。戦力に余裕を持たせるのは否定しません。が」
強く念押しされる。
「くれぐれも死なないようにしてくださいね?分かってます?」
「うん……もうアレは懲り懲りだから。それに心配は掛けたくない。だから、死なない」
「五体があればいいとかそういう話ではありません。いいですね?」
「クローンには頼らない。大丈夫だ」
「言質を取りました。ヨハン」
ウィーンと扉が開く。ヨハンはギロ、と見下ろしてくる。
「お前が大破する度ドロシーがうるさい。どうにかしてくれ」
「あはは、ピナがいれば大丈夫だと思ったんだけどなぁ……ごめんって、ヨハン」
「……行くのか?」
「行くとも」
「そうまでして何の価値がある?本当に必要なのか?」
「必要だ。命を賭けてもいい。だけど死ぬつもりは毛頭ないよ。死にたくないもん、怖いし」
「そうか。ならいい。行ってこい」
「言われなくても」
そう言って部屋を後にする。自分の研究室に向かえば完全修復した装備を確認する。
「ここがターニングポイント2……命張らないとな。ハッピーエンドの為にもさ」
拡張装甲を内蔵。そして前哨基地に置いてきたドローンから情報を得る。原作通りの流れに沿って進んで行っているのは確認してある。
「さて、作戦開始だ」
カタパルトデッキ。そこには見計らっていたかのようにドロシーとピナがいた。
「もう行かれるのですか?」
「そうだね。必要だ」
「ニケと指揮官1人に……そんなに……?」
「ああ。この先、重要な存在だ。喪ったら人類は負ける」
「ええ!?そうなんですか!?」
その言葉に流石の2人も驚愕している。全部を話したいけど、この2人には実際に見て、感じて欲しい。
「ドロシーにとってのピナを救う手伝いをするのさ。大事でしょ?」
「それは……分かります。でも、本当に心配なんです。貴女はいつもいつも無茶ばかり」
「私も行きますよ?」
「……命は張ってるね。ごめん。でも僕ができるのはそれしかない。君達はまだ出会わないから。少しの間だけ、単独でも無理をさせて欲しい」
頭を下げる。思えば誰かに頭を下げたのは久しぶりかもしれない。
「今回の作戦について、知っている人は?スノーホワイトにも伝えてないんでしょう?」
「ああ。ここは不確定要素を無くしたい。だから、軌跡を辿る。そしてその僅かな隙間に僕という存在をねじ込む」
「…………分かりました。ご無事の帰還を願っています」
「そうですね……でも、ブルースカイ様なら大丈夫です。いけます。頑張ってください!」
「ありがとう2人とも。……ブルースカイ、出撃する!」
拡張装甲を展開、カタパルトデッキから射出されると同時に可変。光学迷彩を施して作戦地点に向かう。狙う隙はトーカティブがマリアンを侵食する瞬間。
ーーーー
カウンターズ視点
スノーホワイトから渡されたアンチェインドを調べる為に研究施設へ赴き、イングリッドとアンダーソンに協力を依頼。その後アブソルート分隊とメティス分隊と共同作戦をするも、メティスが侵食に陥ってしまう。メティスはコールドスリープ。そして、ヘレティックモダニア__マリアンを説得、ないしは破壊する為の作戦が行われた。
作戦の前日にはピルグリムであるスノーホワイトが合流。指揮官はブルースカイは来ないのかと尋ねたが「来れる状況ではない」と言われてしまった。
立案された作戦では、アブソルートとカフェ・スウィーティーが地下施設破壊を担当。無事成功し、AZXの協力もあり、モダニアへ近づく事ができた。しかし、そこで現れたのはトーカティブ。
「全ての作戦がお前たちの思い通りに進んでいると思っているだろう。しかし、違う。引っかかってやったんだ」
「お前ら精鋭共を一気に片づけるために」
「さ〜あ、片づけられるのはどっちかしら?」
「当然、お前たちの方だ、人間もどきが」
「相手を間違えたようだな」
「何?」
「スノーホワイト!」
ドォーン!
轟音とともに地面を貫いて発射された弾丸がトーカティブを攻撃した。
「!!」
スノーホワイトが下から現れた。
「奇襲を準備している人の名前を呼ぶなんて、相変わらず気が利かないな。お前とアイツくらいだ」
……アイツ、というのはブルースカイの事だろうか。
「ピルグリム……」
「ええっ?いつからついて来てたの?」
ラピとアニスが驚いた声を上げる。
「最初からだ」
「わぁ、全然気づかなかったです!」
私もだ。だが、いると、そんな気がした。
「ちょっとは助けてくれてもよかったのに」
「今助けている」
「ううん……」
「行け、こいつは私に任せろ」
「頼む」
スノーホワイトは静かに頷いた。それに反してトーカティブは
「ふざけるなー!!」
衝撃波を広げ、怒りに満ちている。
「トーカティブ!出力上昇!これまで感知されたことのない数値です!」
シフティーの通信が入る。
「お前たちはここで死ね!全員!1人残さず!」
「……それはよくない。手伝え、あいつをまいてから行くのは難しそうだ」
「そうみたいね!」
その時、排気音が聞こえた。どこからか現れたバイクがトーカティブを吹っ飛ばした。シュガーのバイクに私達4人が搭乗、スノーホワイトがトーカティブと交戦する。
「ピルグリム……いえ、スノーホワイト。ここを任せてもいい?」
「信じて任せろ」
「ふざけるな!逃がさない……!」
ドオオン!!スノーホワイトのライフルが炸裂する。
「貴様の相手は私だ。セブンスドワーフ、レディー!」
そうしてシュガーのバイクに乗り、燃料が切れたが辿り着いた。後もう少し、もう少し。もう少しで、彼女を、マリアンを取り戻せる。筈だった。
「がは……っ……!」
マリアンの説得は失敗。アンチェインドも弾かれてしまった。そして、腹に何か熱いものがすっと入ってくる感じがした。足から力が抜け、視界がぼやける。
下を向けば触手と腹が繋がったように刺さっていて、足元には血溜まりができていた。……明らかな致命傷だ。
「指揮官!!」
「ああっ!お前__!」
「ダメ__!」
ドドドド、カウンターズの銃声が響く。
「指揮官も、あなたたちも。みんな、私を殺そうとするのですね。もういいです。もう何もいらない」
モダニアの銃口がこちらを向く。
「さようなら」
その時だった。
「コード解放。サブジェネレーターを一時的に稼働。シークレットボディー。アクティブ」
『認識終了。コードネーム・レッドフード。アクティブ』
ラピの髪が赤く燃え上がり始めた。
「!?」
「ラピ……!あなた……!」
ラピが自分の体に刺さった触手を腕で抱きしめると、触手は引きちぎられた。
ーーーー
スカイ視点
最終攻撃が始まった。原作通りだ。モダニアを覆っていた部品が消え、風に舞う。声は聞こえないがマリアンが指揮官に駆け寄っているのは確認した。
これでハッピーエンド、とは行かない。それがこの世界。
その時、劈くようなうるさい、あの声が聞こえた。
「くあああっー!!」
半分だけ残ったトーカティブが、空から凄いスピードで落ちてきた。それを撃墜するカウンターズ。だが、トーカティブは身体を奇妙に曲げて必死に方向を変えた。その先は、マリアンだ。
「システムOVERLOAD、起動」
光学迷彩を解く。機体が青く光り輝き、音速を超える速さとなる。
「さぁ……行こうか__!!」
ーーーー
カウンターズ視点
トーカティブの頭だけが残り、マリアンの頭上に落下するその瞬間。青い閃光が迸った。
「ッ!?」
「な……に……ッ!?」
落下する筈だったトーカティブの頭は巨大な盾によって阻まれている。それを知っている。青い装甲は光り輝いているが、その後ろ姿を知っている。
「ブルースカイ!?」
「ここから、出て行け!!ガンビット、一斉射撃!!お前には何も!」
「貴様ァァァ!!!!お前たちには!何一つ!」
「「渡さない!!」」
巨大なビームがトーカティブの頭を呑み込む。閃光が収まれば、そこにはブルースカイだけが浮遊していた。トーカティブは倒れ、転がる。
「ブルースカイ!?なんでここに!」
「来ないんじゃなかったんですか!?」
「それより少年とマリアンを!悪いけどこの形態は長くは持たない!早く帰還しろ!ガンビット、ソードビット。付近のラプチャーを殲滅しろ!!」
素早くビットが飛んで行く。シールドビットは指揮官とマリアンだけを守りながら。
「指揮官、作戦は成功しました。早く撤退を!」
シフティーがそう告げる。
「お前達!無事か……!ブルースカイ!?何故ここに!?」
「ああもう話は後!全員掴まれ!!この形態は長くは持たないから、急いで安全地帯に運ぶ!」
ブルースカイが全員を抱えると、物凄い勢いで後退する。
ーーーー
ブルースカイ視点
前哨基地に戻った僕ら。マリアンと少年はすぐさまアークへ運ばれた。残った僕らだが。
「くっ……ううっ……!」
レッドフードを使ったラピの後遺症、か。体内温度が下がらない。
「ネオン!冷却水!」
「つ、使い切りました!5箱もあったのに……!」
「くそ……!何で体内温度が下がらないのよ!」
「ヒールドローンの出力も限界!!スノーホワイト!バックパックから冷却水を!」
「分かった!」
「大……丈夫……!もう、安定しつつあるから……!」
「意地張らないで、行こうよ。このままだと死んじゃうってば!」
「……っ……大丈夫。もう……本当に落ち着いたから」
「……正常温度に戻ったね、もう大丈夫だ」
「はぁ……」
「ふう……」
「ごめん。みんなありがとう」
「……髪が赤くなったのと何か関係があるんですか?」
「……うん」
「もう2秒稼働してたら、脳まで燃えてしまうところだったのよ!……あなたのおかげで助かったけど、本当に危なかったんだから!」
「……あれが何だったのか、説明してくれないんですか?」
「体を蝕むけど、最後の切り札みたいなものよ。よくある話よね」
ちら、とラピが僕を見る。
「それは君達が知らなくていい。知り得なくていい情報だ。そうだろ、ラピ?」
「はぁ!?私達仲間なんですけど!?」
「ッ、そうよ!ピルグリムの癖に何が__!」
「ピルグリムだから分かるんだよ。正確には僕はソレを知っている。名前は、僕達か」
アニスがガシッと僕の襟を掴む。スノーホワイトが駆け寄ってくるが、それを手で制する。
「貴女に何が分かるって言うの!?ラピの事何にも知らない癖に__!!」
「"知っている"んだよアニス。それが何かも。その名前を僕達は知っている。ただ、この場で話すと面倒臭い。けど、話さなくても面倒臭い」
この際、どうなるか分からない。ここから先は未知の領域だ。マリアンに関しても分からない。大きく事が進展する可能性がある。
「ラピ、君は今から凡そ……70年程前にとあるニケに助けられた。そうだろう?」
「何故……それを……」
「そのニケの名前は"レッドフード"。口癖は古いものほどいいものなんだ。赤いニケ、そうだろ?あの場には君達しかいなかった。でも僕はそれを知っている。それで納得はして貰えない?ダメ?」
「……アニス、離して」
「何でよ!?」
「……合っているから。けど、深くは話せない。少しの間でいいの、アニスとネオンは外に出てもらえる?」
「…………分かったわ、行きましょう、ネオン」
「私たちには話せなくてピルグリムには話せることってなんなんですか!もう!」
怒って2人は退出する。残ったのは僕とラピとスノーホワイトの3人。
「レッド……フード……!?」
スノーホワイトが目を見開く。
「貴女達は、レッドフードとどんな関係?」
「仲間……だ……でも、レッドフードは、侵食で……」
「スノー、落ち着いて。大丈夫。大丈夫だから、彼女は生きている」
「……ええ、レッドフードは生きているわ。……正確には私とボディを共有している」
「そこに、いる……?」
頭を抑えながらスノーホワイトはラピに手を伸ばす。その手を優しく掴むと、下ろさせる。
「レッドフードは生きている。僕は知っている。……僕の目的はラピとレッドフード、2人の状態を何とかする事。その地盤は整えてはいるんだ」
「そう……なの。ということは、やっぱり貴女達は……分かったわ。この事は黙っていてくれる?」
「過激派がいるから、一応。スノー、僕らの秘密に一旦しない?」
「……分かった。ラピの事はまだ信用できない。だが、スカイの言葉なら信用できる」
「2人を呼んで来るわ」
ーーーー
戻ってきたラピは、更に不服そうなアニスとネオンを引き連れていた。
「そもそもね、ここは任せろって言ったじゃない!私たちを騙したってこと!?スノーホワイト!」
「……止められなかったのは本当にすまない。だが、ブルースカイは来ないのは確定していた。そもそも来られるような状態じゃなかった」
「ふざけないで!信用できると思ってるの!?」
「思っていない。だが、事実だ。ブルースカイの事だから何か噛んでいるとは思ったが……」
「じゃあ全部ブルースカイの陰謀ってことですか!私と同じ青色担当!!」
「陰謀じゃない。隙を狙ってた。どうやってもトーカティブはマリアンに直接侵食誘発装置を埋め込んで、起動する。その後、彼女は侵食されて、脳を漂白される。つまり記憶喪失って事、分かるか?それを防いだんだよ。君たちの頑張りを無駄にしたくなかったからね」
「何よそれ……ッ……!!」
「じゃあ僕がいない状況をシミュレーションしてみろよ。最初からいた所でどうなる?もっと楽に進行できたか?トーカティブを確実に押さえつけられたと思うか?この世に確実なんて言葉はないと知っているだろう」
「じゃあ私たちは駒だってこと!?これも見えてた訳!?お陰で指揮官様は腹に穴が空いて、ラピもこの状態。ふざけないで!未来が見えるならもっと__「いい未来があったか?」ッ……!?」
「逆に考えてみなよ。最悪なのはマリアンの記憶を喪ってこの状態になる事だろ。それを回避したんだ。落ち着け。回避できるなら最初からそうしていた。でも、不可避だったんだよ」
「何よそれ……未来がただ見えるだけじゃない……あ、そっか……見えるだけ、だから……そう、ね。分かったわ、ごめんなさい。助けてくれてありがとう」
「あ、アニス?」
「……見えるだけで、最適解は分からないってこと。落ち着いて考えたら何となく分かったわ。じゃなきゃ多分、こうはなってないはず」
「物分りがよくて助かるよ。……多分君は僕のことを嫌いだと思う。信用も信頼もできないだろうね。それでも未来の為。クイーンを倒して地上を奪還する為に、できる事は全てやる。その1つの改変がマリアンを助けることだった」
「口論は落ち着いた?もうすぐ指揮官が帰ってくるわ」
「私たちは戻ろう、まだ、正体を明かす訳にはいかない」
「バレてると思うけどね」
そう言いながら前哨基地を後にする。
ーーーー
マリアンは少年達のことは覚えているがそれ以前のことは思い出せていないという状態だった。
「皆さん……ありがとうございます」
「おかえりなさい、マリアン」
「おかえり」
「あ、えっと……ネオン。でしたよね。初めまして、マリアンと言います」
「ネオンです、よろしくお願いします。初対面から申し訳ないですけど、私がスパイってことは秘密にしてくださいね」
「??はい、秘密にしておきます」
「改めて私からも、おかえり、マリアン」
「っ……!はい、指揮官……ただいまです……!!」
マリアンは指揮官に抱き着き、指揮官もマリアンを抱き締めた。
ーーーー
スカイ視点
「スカイ、どういう事だ。レッドフードが生きている?」
「うん。ラピの中にね。詳しい事はまだ分からないけど……2人を同時に存在させる事は難しい。多分レッドフードが嫌がる」
「そうか」
「難しいと言っただけ。不可能とは言っていない。やれる方法はある。ちょっと無理強いだけどね」
「お前は……ッ!!……はぁ、信じるぞ」
「任せてよ」
そう言いながら白と青は上空を飛行する。
Q.作戦に介入しなかったのは何故?
A.ブラック・スワンのような例外を防ぐ為、ギリギリでの介入。
Q.カウンターズと仲悪くない?
A.アニスと相性悪いからね。本編でもあったけどアニスとネオン疑り深いというかなんというか、そんな感じです。これから仲良くなる予定。カウンターズからしたら怪しい!でも助けられてる!複雑!!な印象(ラピとちしかんを除く)
Q.ブルースカイのボディって?
A.エイブがなんかやらかした。
Q.マリアンとカウンターズのあれこれは書かないの?
A.要望があれば……書くかも……
小説の方向性(セリフや描写など)
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積極的に改変が欲しい
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原作準拠で大丈夫
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原作準拠だが改変は間間に欲しい
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幕間エピソードが欲しい
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激しい改変はなくて大丈夫