深夜、襲撃は起きていない。ビットにも反応なし。楽しい話題から一点、誰かがふと声をあげた。「どうしてここまで手伝ってくれるのか、と」
「君達も君の指揮官もこれからも幾度となく苦労を乗り越えるから。言ってしまえば物語の主人公みたいなんだよ」
「未来を知ってるって言ってるのに小出しにしてるのはどうして?」
「歩くネタバレ装置に全て指し示されて行動して得た経験値と、自分達で乗り越えた経験値、どちらがより大きく後に繋がると思う?」
「……むぅ、後者ね。でも、貴女の掌の上で転がされているようで嫌なのよ!」
はは、と思わず笑ってしまう。同じ事をドロシーが言っていた。
「僕もただ掌で転がされているんだよ。大事な事は隠されたまま。世界のうねりの中で足掻いているに過ぎない。……侵食の話をしようか」
「!!何か、知っているのか?」
「ああ、知っているよ。元々侵食はニケの行動を抑制する物だった。だけど、とあるニケがラプチャーに改造を施した。それを野に放ち、人類が理解する事のできない域まで達してしまった。遅かれ早かれあったのかもしれないけどね」
「……そのニケはどうなったの?」
「死んだよ。アナキオールと呼ばれたヘレティック。元の名前はシンデレラ。彼女はアンチェインドによって復活した最初のヘレティックだ。きっと君達も近い将来出会う。……癖はかなり強いけど」
「侵食から……復活したんですか……?アンチェインドがあれば、ヘレティックはニケに戻れるんですか?」
「それがあればカウンターになるじゃないですか!!安心安全!!」
「アンチェインドに関して、教えてくれないか?」
この情報はデリケートな問題だ。大きなネタバレになる。ここで話すのは得策ではないだろう。
「ダメだね、話すなら全員揃ってからだ。……それだけ重要な話題なんだ。僕達にはね。何の為に欲するかは知っている。でも、覚悟も痛みも伴うよ」
「……ニケが自分で選択できる世界を作りたい。理想論だとしても、私は仕方ないという理由で仲間を撃ちたくない」
「いい答えだ。少年、君はこれから更なる試練が待つ。裏切りにも遭うだろう。その上で、答えが変わらなかったら皆で話させてくれ」
「その皆ってのはピルグリムの事?そんなに重要な人達なの?スノーホワイトは……確かに強かったけど」
「当たり前だよ、誰よりも強い。最強だ。彼女達が負けるなんて有り得ない」
「……やっぱり、貴女達の部隊名は……」
「おっと、それは皆集まってからにしてくれ。多分1番言いたい人がいるからさ」
「……分かったわ」
「あの、私はどうなるんですか?……分かっていても、やっぱり怖いです。捨てられるんじゃないかって。救ってもらったのに、いない方がいいんじゃないかって」
「記憶も経験もあるけど、やっぱり怖いでしょ?異端だなんだって。癖はあるけど、優しく民を迎えてくれる王国だよ。特に王様はちょっと抜けてるけど民の願いを必ず聞いてくれる。近い将来仲間も増えるさ」
「それでも、怖いものは怖いです。いつか忘れるんじゃないかって……」
「大丈夫だ、マリアン。私が必ず迎えに行く」
「指揮官……!!」
ガバッとマリアンは少年に抱きつく。もう完全ヒロインだ。ごめんラピ。
「そんな君達にビデオメッセージを撮らせてあげよう!夜は楽しくね、ほら、自由に録画しなよ。思い出はいつまでも残り続ける」
「ちょっと、どこ行くんですか!!」
「夜風に当たりにね。それに君達の絆を邪魔したくない」
じゃあね、と手を振って部屋を出る。暫く歩いた所で装甲を展開。偽装用のフル装甲。カラーリングは赤に黒と名悪役の誕生だ。
「ニケだ……!!」
「全員で15名か。エンターヘブン。醜悪なテロリスト集団ね」
「何者か分からないがマリアンを渡せ……」
「断るよ。でも攻撃はしたくないからね、こうしようか」
プシュ、と機体から記憶処理剤を散布。一日分の記憶を無くす強い薬だ。
「なんだっ……これは…げほっ…」
「クソっ!こうなったら無理やりにでも__ッ銃が!?」
ライフルで銃だけを的確に破壊する。人間じゃないからセーフだよね。
「それ、即効性の睡眠薬も入ってるからさ……おやすみ」
ばたり、ばたりと倒れて行く人間。はぁ、と溜息を漏らしながら光学迷彩を展開し、アウターリムの入口まで纏めて連れて行く。ただ寝床がないだけのやつらに見えるだろう。どうでもいいが。
「よし、帰ろう」
そのまま前哨基地へ戻る。時間が経ったからなのか、それとも良い思い出も作れて疲れたのか、部屋に戻ると全員寝てしまっていた。
「見張り番は任せておやすみ」
ーーーー
それから数日後、地上エレベーター。
「待たせた」
「お待たせしました」
「久しぶり……という程でもないね、スカイ」
「皆さんと合流してからの移動だったので遅れてしまいました。申し訳ありません」
「皆さんで地上を歩くの久しぶりだからってドロシー様が楽しんじゃって……」
「いや〜集まってくれてありがとうね。助かったよ」
現存するゴッデス部隊全員が集まっていた。流石にカウンターズも呆気に取られている。
「それで……マリアンという嬢ちゃんはどの子かのう?」
「あ、えっと……私……です……」
「貴女ですか。……ふむ、ヘレティックから戻ったニケ。特異な存在に間違いありませんね」
「ちょっと!自己紹介ぐらいしなさいよ!」
「自己紹介を求めるならそちらからするのが筋ではないでしょうか?……スカイ、私たちのことは?」
「伝えてない。そういうのはリーダーの役目でしょ?」
「……ええ、ありがとうございます」
そのままドロシー達の方へと向かう。これで全員並んだ。
「本来は私たちの存在は秘匿です。しかし、大事な方を預かる身ならその正体をさらけ出さないとダメでしょう」
「ドロシー……さらけ出すなんて……そんな……」
「ラプンツェル……せめてここぐらいは格好つけたまえ……」
「コホン、では順に」
「ラプンツェル」
「はい」
「紅蓮」
「ああ」
「スノーホワイト」
「……ああ」
「ピナ」
「はーい!」
「ブルースカイ」
「うん」
「そして、私がリーダーのドロシーと申します。全員揃って、その名を"ゴッデス"……秘密ですからね?」
「んぅ!!!」
「はっ……!!」
「やっぱり……そうよね」
「??」
「ちょ、ちょっと待ってください!ほ、本当にゴッデスですか!?本物!?」
「……ゴッデス?」
「指揮官様ゴッデスも知らないの!?こんな常識中の常識も知らないなんて一体士官学校は何を教えてるのよ!」
「人類が最初に作り出したニケであり、最初のニケ分隊です」
「1次侵攻当時、人類に初めて勝利をもたらした方々です。……アークにも勝利の女神像がありますよね?あれはゴッデスの象徴なんですよ、指揮官」
「マリアンの言う通り!最強の戦闘力!最強の火力!それこそ、人類史にいつまでも残るヒーローです!」
「あれ?でも、アークができたとき、防衛線を守る戦闘でみんな帰らぬ人となったと聞いていたんですけど、違ったんですね?やっぱり火力は死なないんですね!」
ラピを除くカウンターズのキラキラとした反応。むず痒い物がある。
「あら、私たちってそんなに高貴な名前で呼ばれていたんですか?」
「……なるほど、神格化……確かに彼の言う通りでしたね。……私たちは忘れられていなかった」
「前もって言ってなかったのかね、まあ、スカイが言っても到底信じられないと思うが」
「そりゃあね!だって胡散臭いもの!!」
「こう見えてもゴッデスのサブリーダーはスカイだ。胡散臭いのは認めるが……」
「ねえ、スノー。酷いよ?」
「まあまあ、2人とも。その辺にしてください!」
ピナがなんだかんだ纏めてくれる。彼女ももうすっかりゴッデスに馴染んでいる。嬉しいなぁ。
「けれど、くれぐれも私たちの存在は秘密にしてください。何にも成し遂げられていません。今はまだ……反撃の狼煙さえ、上げられていないのです」
「それって、人類に地上を取り戻すっていう?」
「当たり前でしょ。僕達はその為に100年前から行動してたんだ。切り捨てられて、裏切られることが分かっていてもね」
「今は彼女……マリアンを預かります。正式には預け先は私たちではありませんが、私たちに足り得る信頼がありますよ」
「……マリアンをお願い」
「ああ、マリアンを頼む。……マリアン、必ず迎えに行く」
「指揮官……っ……ありがとう、ございます……!!待ってます!ラピも、アニスも、ネオンも、待ってます!」
マリアンがこちらへ来る。
「では、指揮官様。機会があればエデンにいらしてください。それでは、行きましょう。別れが名残惜しくなってしまいますから」
「そうだのう。また縁があれば会おう、お嬢ちゃんに坊ちゃん達」
「皆様もどうかご無事で」
「……今度は本当に、信じて任せろ」
「すまない、ありがとう」
「マリアンを……お願いね、本当に大事な仲間なの」
「そうですそうです!火力の神様達なら大丈夫だと思いますけど!」
「……指揮官、報告はどうしますか?」
「地上に出たらピルグリム6人にマリアンを奪われた。そうしよう」
「マリアンがいない間に浮気するなよーー、少年」
「!?私をなんだと……!!」
「ニケたらし」
「……………」
「さて、そろそろ行くぞ」
「また会いましょうね、指揮官!頂いたぬいぐるみ大事にします!!」
「……ああ、大事にしてくれ」
ーーーー
マリアンを連れたゴッデス部隊はクラウン王国に向かって出発した。マリアンは下着を上に履くという癖はなく、ただ地上に慣れていない……Last kingdomの時のマリアンになっている。
「あの、ゴッデスの皆さんに聞くのも烏滸がましいというか……変だとは思うんです、でも、ラプチャーを殺さないといけない。というのに、どうしても……違和感を覚えてしまうんです」
「ヘレティックから戻った弊害かもしれませんね。エデンで観察しますか?もしかしたら何か分かるかもしれません」
「いやいや、それは良くないとも。何せスカイがそう言ったのだから」
「ぶっちゃけるとマリアンはそういう意味でも色々と鍵なんだよね。だから変に気負わなくてもいいよ。今から行く王国は僕なんかより強い王様がいるし」
「王様……王国……凄い所、なのですね……!」
「うん、癖強いけど」
「ラプチャーは殲滅する。敵だからだ。……だが、赤子にそう命じても理解するのは難しいだろうな」
「そうですね。今はゆっくり休んで、何をしたいかを考えるといいかもしれません」
「私も詳しいことは何にも分かりません!でも、ドロシー様がヘレティックになってしまって、それを守らなきゃ……ってなる私はいると思います」
「ピナ、冗談でもやめてください」
「う、ごめんなさい」
ラプチリオンの話題を出したらみんな困惑するんだろうなぁ……。
「あ、そうそう。王国に行きながらでいいんだけどマリアンに地上を生きる術を教えたいんだ。予め遅れるって予告はしてるから……手伝ってもらってもいいかな?」
「鹿の捕まえ方と解体なら私にお任せを!」
「歌と……その……本の事なら教えて差し上げられます」
「酒と釣りは任せたまえ」
「……何が食べられるか、それを教えることはできる」
「私は服が汚れない戦い方と、なんでしょう……」
「ドロシー、君は身体を使った戦い方でも教えればいいのではないかね?」
「身体を使う……ブラザーと、あんなことやこんなことをする為に!?」
「……美味しい紅茶の淹れ方をお教えします」
「僕は……常識を教える。みんなズレてるから」
「ふふっ、皆さん面白いですね。指揮官やラピたちと別れて、悲しいですけど、なんだかこう、楽しいです。伝説の存在でもありますし……」
ーーーー
旅は続く。和気あいあいと話しながら。けれどやはり、センサービットには一体のラプチャーも映らない。
そんなこんなで歩き続けて夜。ふと、ドロシーが歩みを止めた。
「今日はこの辺りで野営しましょう。私たちは慣れていますが、マリアンはアークから出てきた身、慣れていないはずです」
「ぜぇ……はぁ……大丈夫……っ……です!」
「賛成だ。思考転換を起こすリスクは捨てておけない」
「そん……な……」
「まぁまぁ、悪い事ばかりじゃないさ。お酒でも飲んで、美味しい物でも食べて休もう。確か……川があった筈だね。運が良ければ川魚が釣れるやもしれぬ」
「!!」
「カワザカナ……ってなんですか?」
「気になるかい?」
「はい」
「それなら着いてきておくれ。スカイも、全員分は用意しておきたいだろう?」
「ん、分かった」
近くの小川、3人で釣りをしている。
「ふむ……思ったより手ごたえがないね。スカイ、わざとセンサーを切っているのかい?」
「これは……なんですか?」
「釣りだよ釣り。釣竿って道具を使って水の中にいる魚を釣るんだ。運が良ければ大量、悪ければ数時間かかってもすっからかん」
「大変ですね……でも、アークのものと比べるとやっぱり格別ですか?」
「あぁ。だが、"急いては事を仕損じる"というものだ。君もゆっくりやってみたまえ」
「こう……ですか?」
マリアンは水面に釣竿を垂らした。
「……」
「……」
「釣れぬな」
「釣れませんね」
「まあ、いいこともあれば悪いこともある。スカイがいる時はセンサーで魚影を投影してくれているのだが、サボっているようだ。話せ、ということだろう」
バレてる。でも、こっちだって空気に浸りたい時もあるんだよ。
「嬢ちゃん、君は気丈に振る舞っているが悲しいだろう?我々と親しくなっても、別れてしまう。捨てられてしまったのではないかと考えたり」
「……そんなことは……あり……ます。悲しいものは、悲しいんです」
「それだけぼっちゃんと過ごした日々が良いものであったのだろう。しかし、いいことばかりとは……行かぬのだよ。悲しい日々が続く」
「いい日は、いつ来るんですか?」
「それは……」
ちら、と紅蓮の瞳が僕を見る。
「……君次第、もしくは彼女次第さ。ただ、いいことだけを考えたまえ。そうすれば、いい日はより長く続き、悲しい日は早く消え去る。良いことだけを考えて、その為に努力をすれば今日の悲しみなど、いずれ雨の中の塵のようにすっかり洗い流されるはすだ」
「でも、それだといい事もいつか消えてしまいませんか?」
「……花無十日紅。いくら綺麗に咲いた花もいつかは風化してしまうものさ。でも、なかった事になる訳ではない。"思い出"を作るといい。決して忘れぬ自分だけの思い出を」
「あ、それなら指揮官達とビデオテープを撮りました!」
「ふぅむ、スカイの入れ知恵かね。やはり君らしい」
「未来に残るものが何にもないはあまりにもでしょ。……会えるかどうかはぶっちゃけ分からない。でも、会わせてあげたいと思う。希望は抱かないで欲しいけどね」
お、釣れた。小魚だ。バケツにしまう。
「スカイさんは、どれだけ凄いんですか?」
「ふふ、彼女かい?そうだねぇ。語るなら縁の下の力持ちと言うべきか。単なる力でいえば我々の中でも1番下。ピナにすら実力では及ばないだろう」
「ええっ!?」
「でも、彼女の強みは手数の豊富さ、気の配り方。未来を見通す力だ。我々と出会った時、彼女は100年先を見通して行動していた。掌の上かと思ったがそうではない。そうではないのだよ。……これは笑ってしまったがね、彼女の目的はなんだと思う?」
マリアンは少し考え込む。出会ったばかりの相手に何を聞いてるんだか。本当に。
「……難しいですね。やっぱりクイーンを倒すこと、ですか?」
「ふむ……それも確かにあるが、彼女はこう言ったのさ。"ハッピーエンド"がいいとね。我々の旅路は果てしなく遠く、犠牲も生じる。それでも、終わる時は誰もが笑えるハッピーエンドが良いと。ただそれだけの為に戦っておる」
「そうなんですか……?でもそれって、凄く大変なことですよね。だって、1人じゃ到底できないことです」
「そうとも。だから我々がいるのさ。……実の所、彼女が居なければ私たちは分裂してしまっていただろうね。そして二度と戻ることができなかっただろう」
「今はこうして、和気あいあいとしているのに?」
「それも彼女あってのものだ。だから言ったであろう?彼女は縁の下の力持ちと。我々の知らない存在と戦い続け、我々のいい日が少しでも長く続くように尽力してくれておるのだよ」
「……紅蓮が何か言ってるけどそんなに綺麗な事じゃないからね?僕は多くの悲しみを知っている。守れない命もあった、これからもある。……君達からしたら恨んでいい存在なんだよ。だって、掌で転がしているのは間違いないから」
「それは私たちを虐めたいからですか?わざと危険な目に遭わせたりするのも……守ってくれなかったのも……あ、違います!今のは、そうじゃなくて……守れる筈なのに私たちを試しているような気がしてしまって」
ふむ、やはりこの子は勘がいい。……記憶を有したまま成長して行くとなると、末恐ろしい気もするが。
「経験値が必要なんだよ。手を差し伸べて方向を正すのは簡単だ。でもそれは自分の力じゃない。差し伸べる手が無くなった時に困るのは自分達だろう?だからさ、自分達で危険を乗り越えて、窮地に陥っても打開策を考える。……本来の人間の在り方とはそういうものだ」
「どれだけ危ない目に遭っても、ですか?」
「ああ。命を削る行動だとしても、必要なら僕はそれを見守る。……じゃないと、実力不足で君達を死なせてしまう事を永遠に後悔してしまうから」
「!!どういうこと、ですか?」
「スカイは完全記憶能力持ちなのだよ。この100年間。あらゆる記憶を有しておる。楽しい日々も悲しい日々も、永遠に。それ即ちどういうことか……人やニケの死も、刻まれているということだよ」
「そんな……そうなったら普通は思考転換をする筈……未来を見ているから、耐えられてしまっているんですか?」
「近いかもね。……その昔、指揮官やニケをただ助ければいいと思っていた時期がある。でも、1度窮地を救ったからと言って次も助けられる訳じゃない。……同じ顔の指揮官が死んでいたのを見付けて後悔した。戦う術を教えるべきだったとね。だからそれからは、ただ救うんじゃなくて、生き残る術を教えている。自分達で考えて、生み出して、それでも足りなかった時の後一歩を僕が支える」
お、釣れた。今度は中くらいの。バケツにはまだまだ余裕がありそうだ。
「だから、指揮官達の死亡率が下がったんですね。昔は70%だったのが50%になって、危険なのは間違いありませんが、それでも格段に下がりました。それはやっぱり__」
「スカイのお陰だろうね。まるで弟子を取るかのように旅に同行し、知識を授ける。細々としているかに見えるが、それも未来で大きく役に立つ。こういう事を任せるなら彼女が1番良いのだよ」
「なるほど……あの……紅蓮さんはどんな生き方を?」
「私かい?……ふむ、美しい自然のことを、命が芽吹く様を見守りながら生きておる。昔と比べて変わってしまったがね……ん……!!」
「難しいですね……やっぱり時期が経つとそれだけ……ん!?」
「慌てずに引くのだよ、よ!っと」
「は、はいっ!」
紅蓮とマリアンが釣竿を上げる。すると腕くらい大きな魚がぴちぴちと跳ねている。
「う、動いてます!ピチピチ言ってます!どうしたら!」
「はい、バケツに入れるよ」
「これが魚さ。実際に見てどうだい?」
「すごく変な顔をしています!」
「素直な感想だね。もう何匹か釣って行こうか」
「はいっ!紅蓮!」
結局、沢山釣れた。僕らはバケツいっぱいの魚を抱えて皆の元に戻る。
「!!」
「あら、大漁ですね。やはりスカイがいると野営が楽です」
「わぁ!焼き魚にしましょう!私が調理します!」
「ピナ、私も手伝います。これだけの数、1人では大変ですから」
「マリアンの手柄だ。やはり才能がある。すぐにコツをつかんでいたよ」
「……えへへ」
「この小さいのと中くらいのは……スカイか」
「よくわかったね、スノー」
「では、焚き火をしましょうか。私は火を起こします。スカイはセンサービットをお願いします。ドロシーとピナは調理を……ってもうしてますね」
「では、私は食べる準備をしよう」
「あの、私は……」
「マリアンはあそこで座るか、横になって休んでいてください」
ラプンツェルが指さした先には畳まれた古い毛布があった。
「あれ?お布団……」
「近くに民家があったので助かりました。アークにいた時ほどではないですが、少しは心地いいでしょう」
「さあ、どうぞ」
マリアンは少し躊躇いながら古い毛布の上に座った。
「鱗は私が取ろう」
「ありがとうございます。ピナ、この魚はどうやって調理するのですか?」
「ドロシー様、この魚は頭を持って、こう……後ろにぐっと骨を折って内蔵を引き出します」
「こう……!!……どうですか?」
「凄い!流石です!綺麗に内蔵が取れてますよ!」
「やはり、ドロシー。君は身体を使った方がいいのではないのかね?わざわざエプロンをして調理などと」
「身体を使うのは野蛮です。エプロンは服に血や材料が跳ねたら汚れてしまいますから」
「身体を……使う……!?はぁ……はぁ……」
「この内蔵は食べれないのか?」
「食べれません!えぐみがあります。川に撒いた方が魚の餌になって、次来た時は沢山釣れますよ!」
「なるほど、撒いてこよう」
「食べないでくださいねー!!」
「えっと……私は……」
「休んでください。私たちがお守りします」
ラプンツェルがそう言い終わる頃には、マリアンはまぶたの重みを感じていた。柔らかい寝床に薪の燃える音、揺らめく炎に喧騒。ゆっくりと眠りに落ちた。
「ぐう……すう……」
「寝付くのも早いのう」
「……それだけ大変だったのでしょうね」
「これからより辛くなることでしょう。人類の側に立つヘレティック……特異な存在には違いありません。ニケからは敵視され、ラプチャーからも敵視されるでしょう」
「スカイ様からのお話がなかったらもうちょっと緊張感があったかもしれませんしね」
「君たちの所のニヒリスターもこうなったら可愛げもあるんだがね」
「ヨハンとセシルが許さないでしょう。解析を進めると思いますし、キャンキャン吠える犬は苦手です」
「さて、それは置いておくとして。私たちは何をしてやれるかね?」
「1人でも生きていける力……様々なことを教えましょう。スノーホワイトやスカイはもう教え始めているようですが」
「私も教えますよ!料理の仕方だったり、鹿の取り方だったり!」
「綺麗な所作も学ばせましょう。礼節が人を作りますから」
「おや、古い映画の影響かね?昔みんなで見たのう」
「ええ、古いものほどいいものですから」
ーーーー
スカイ視点
念には念を、センサービットを展開したがラプチャーはいない。ふむ、と息を漏らしつつ、踵を返す。すると、丁度スノーホワイトと出会った。
「スカイか。センサーはどうだ?」
「反応なし。問題ないよ。……違和感を抱いてるね?」
「ああ、地上にいれば必ずラプチャーと遭遇する。しかし……マリアンと行動を共にしてからは何もない。ただ、旅だ」
「いいじゃない、楽しい旅があっても」
「それは……そうかもしれないが……」
「この先ラプチャーと遭遇する確率は0に近い。だから君も、今を楽しみなよ」
「……むぅ、お前という奴は」
そんな話をしながら戻る。
「あら、2人とも丁度。デートでしたか?」
「おやおや、仲が良い事だのう」
「なるほど、私たちが準備をしている間にデートですか」
「はわわ……!」
「そうだよ、スノーがどうしてもって「違う。帰りが同じになっただけだ」……」
「ふふ、振られてしまいましたね。もうすぐできますよ。マリアンを起こしましょうか」
塩を振って、焼き魚を食べ始める。
「わあ!初めての味です!」
「おいしいかい?」
「はい!」
「では、私の分も食べるといい」
「いいんですか……?」
「私の分もどうぞ」
「はい!」
「こちらもどうぞ」
「ありがとうございます!」
「お刺身にしてみました、どうぞ」
「美味しい!」
「……私の分も……やるべきか?」
「……もう私たちの分をあげましたから、気にせず食べてください」
「それにしても、よく食べるな。まともな地上の食べ物は初めてだろうから、気持ちは分かるがね」
「もぐもぐ……美味しいです!」
「……受け取れ」
スノーホワイトは手にしていた焼き魚をマリアンに手渡した。
「「「「!!」」」」
「これも食べていいんですか!?」
「……ああ」
「えへへ、いただきます!」
「スノーホワイト……」
「……思考転換でも起こしたのかね?」
「あのスノーが……人にご飯を譲る……」
「初めて見ました……!!」
驚く一行。嬉しそうに頬張るマリアン。涎を垂らすスノーホワイト。
「もぐもぐ……」
「うまいか?」
「はい!すごくおいしいです!」
「スノー、口開けて」
「……なんだ?」
「いいから」
「むぅ……」
渋々、口を開けたスノーに焼き魚を食べさせる。
「!!」
「食べていいよ、それ」
「……いいのか?」
「僕が釣ったから僕の物。食べなよ」
「……なら、半分にしよう」
「いいの?」
「ああ。それならお前も食べられる」
「……ありがと」
もぐ、もぐ、と半分にした焼き魚を2人で食べる。
「……変わりましたね、2人とも」
「前より仲が良くなったと見える」
「自然と距離が縮みましたね」
「ちょっと肩が当たってます……!」
……何か聞こえるが無視しよう。炎の光が目に反射して、美味しそうに頬張るスノーホワイトの光景で、今はお腹いっぱいだから。
しばらくして、たき火を囲んでの食事は終わり、マリアンは眠りについた。
「エデンに連れて帰りたくなりますね。ヘレティックという事を除いても……愛着が湧いてしまいます」
「純粋さには弱いですからね」
「私もだよ。危険と隣り合わせなのだがね」
「ええ。彼女には拠り所が必要です。その為に預けるのでしょう?」
「ヴァイスリッターはなんて言っている?」
「歓談の用意はしているってさ。大体3週間後に着くって言っておいた」
「長いですね」
「その分、教えることが多くなるからね」
「飲み込みが早いですし、きっと良い子になります。……その結果がどうあれ、ですが」
「そうだね」
ーーーーー
Q.アンチェンイド関連黙ってるのは何故?
A.自力で掴まないと意味ないだろ!!人から与えられてばかりじゃダメだよ、の気持ち。
Q.スカイの実力は?
A.装備無しだと全員に負ける。装備ありでもんまぁ、弱いんじゃないですかね。万能型と言いつつ全員の下位互換なので。でもビット兵器の扱いだけには負けない。尚シンデレラには負ける模様。第二世代フェアリーテールモデルと戦ったらシンデレラにはボコされ、セイレーンは顎を潰して勝利。レッドシューズは脚の斬り合いで勝利、ヘングレにはボコされるぐらいの感じ。
Q.スカイの服装
A.エイブと同じだと思ってもらえれば。でも装備を展開すると背中の装備の都合上童貞を殺すセーター&スカートみたいになりそう。誰の趣味?エイブじゃないですかね、知らんけど。
Q.スノーホワイトってツンデレ?
A.デレはないです。(当社比)ツン9割、デレ1割。デレと言ってもロリホワの時の言動をイメージしてます。
Q.クローン・スカイってどれだけいる?
A.クローン・スカイA(レッドフード製作者)、クローン・スカイB(エイブと同行してるが本体と同期はなし)、クローン・スカイC&D(まだ起動してない)の系4体いるよ。
小説の方向性(セリフや描写など)
-
積極的に改変が欲しい
-
原作準拠で大丈夫
-
原作準拠だが改変は間間に欲しい
-
幕間エピソードが欲しい
-
激しい改変はなくて大丈夫