絶望を希望に変える為に   作:スカイ⛅

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ARK GUARDIAN~OVERZONE
スカイがゴッデスに馴染むまで


「……作戦終了。死傷者は0。帰還する」

 

私の戦いは楽だった。上空からロックオンを行い、トリガーを引くだけ。演算処理と莫大な火力で全てを薙ぎ払う。空は自由だが孤独だった。共に戦う仲間も、屍もなかったから。

 

卑屈で厭世家でこの世界に産まれた事に絶望したのが私だった。画面の向こうでファンとしてこの世界を愛していた。けれど、この世界の住人になどなりたくはなかった。ましてやラプチャーが進行を始める負け戦なんて。

 

徹底的に抗って、それでも1人の力では足りなくてニケになれた。なれたが、同じ事の繰り返し。毎回遊撃役として上空からの奇襲攻撃を行い、爆撃と攪乱で援護をする。少し間違えれば命の危機がある仲間と違って随分と楽な仕事だ。だから、負い目を感じている。

 

私はゴッデスではない。相応しくないと。

 

だからか、編入された今でも距離を置いてしまっている。

 

ーーーー

 

「スカイ。今回の出撃は許可していないぞ?」

 

「僕は僕にしかできない事をやっているだけだから気にしないで」

 

「おいおい、万能の天才になったつもりか?それは困る。仲間内でもしっかりとコミュニケーションを取ってくれ。その為に土産も持ってきてくれたんだろう?」

 

「必要だから持ってきただけだよ。ともかく、僕は皆とは違う。立ってる場所も、何もかも」

 

指揮官はふぅ……と溜息を漏らした。サングラスの奥で瞳がこちらを捉えている。

 

「そうかもしれないな。実際スカイが投入された事で被害状況も低下してる。このまま行けばクイーンを倒して勝利!完!という奴だが……何を知っているんだ?」

 

ドキリ、と胸が鳴る。話すか?いや、話した所で何がある訳でもない。であれば黙っておく方がいい。

 

「……何も知らないよ 」

 

「そんな事はないでしょ〜?スカイ。皆の好みや性格を把握して、戦い方も昔から居たみたいに息ぴったり。過去を洗っても研究員でその前はいい所の令嬢ってだけ。その研究員になったのもある日突然……何かあるって思ってもおかしくはないでしょ?」

 

ニコリと微笑むリリーバイス。過去を全部洗われて、それで尚自分から吐けと言われている。

 

「……分かった。話すけど、他の皆には内緒にしておいて。どんな影響が起こるか分からないから」

 

観念して、渋々……知っている事を話した。

 

「……そっか、深く知ってるって言われたけど私の寿命の事も知られちゃってるんだ。指揮官も行方不明って、何があったんですか?」

 

「私が知りたい。少なくとも放置をしてトンズラをこくような性格じゃないぞ?」

 

「ふふ、知ってます。……そっか、だからなのね。私達にとっては今だけど、スカイにとっては系譜をなぞるだけの過去でしかない。……うん、確かに立場が違うね」

 

「でしょ?だから無理なんだ。僕はゴッデスじゃない。改編はしたいけど……どうにも、情報が足りないから難しい」

 

「整合性って奴?確かに大変そう。……じゃあ、私達の為に、未来の為にいっぱい考えてくれてるんだね」

 

ポンポンと頭を撫でられる。子供扱いは否めないが悪い気はしない。

 

「ゴッデスは存続させる。レッドフードも何とかする。だけど、今の知識だとリリスは助けられない。指揮官も同様に」

 

「だろうな。私と似ている人物がいるのなら、それはもしかしたら本人かもしれない。主要キャラクターの早期退場は困るからな」

 

「ゲームや漫画の話ですよね、それ。でも、うーん、そっか。どうしても死んじゃうんだ。……悲しいなぁ」

 

「ごめん。人格の複製できるけど、器がないから無理なんだ。多分耐えられない」

 

「ふふ、ならコピーだけでもお願いしようかな。……なんて冗談。忘れて?あの子達の重荷にはなりたくないし……何かあったらお願いね」

 

「嫌だなぁ。僕はそういうの得意じゃないよ。自己犠牲ばっかりしかできないし」

 

「それは皆に直してもらって?その為にも、ほら、仲良くしようよ」

 

ぐいぐい背中を押されて連れ出される。廊下に出れば鼻歌を口ずさんでいるレッドフードと出会った。

 

「リリスにスカイ?珍しい組み合わせだな。……あ!さては怒られてたな〜?何回目の独断出撃だったっけ?」

 

「おい待てレッドフード。私もいるぞ」

 

「お、悪い悪い。いつもだからいいかなって」

 

「……全く」

 

「ふふ、スカイがゴッデスに馴染めるようにお話してたの。ほらスカイ、何も言わないの?」

 

「ん……ぐ……改めて……よろしく」

 

「っく……あっははは!おいおいマジかよ。おちびちゃんよりシャイだな?」

 

「……うるさい。そんなんじゃない。人間の時はまだマシだった」

 

「悪化してんじゃねぇか!?ったくしょうがねぇな。昔の曲は好きか?」

 

「好きだよ。とても。今の曲は分かんないからさ、古臭い故郷の歌とか、カントリーミュージックとか、そういうのは好き」

 

「おいリリス、話が分かるやつが入って来たぞ……!?」

 

「ふふ、2人とも良かったね〜」

 

「むぐ……昔の映画も好きだよ。映像はサルベージできるから」

 

「よっし見よう!皆で見よう!今すぐ見よう!な!指揮官いいだろ!?」

 

「……ふむ。確かに今日は珍しく何も入ってないな。いいだろう。休息は大事だ」

 

「よっっし!じゃあ全員呼んでくるぞ!ほら行くぜスカイ」

 

「ちょっ、引っ張らないで!?あーーーーっ!!」

 

そのままずるずると引っ張られてしまう。

 

「指揮官」

 

「なんだ?」

 

「賑やかになりましたね」

 

「ふ……そうだな、悪くない」

 

「で、本当に休暇なんですか?」

 

「ん?ああ。丁度"今"休暇になった」

 

「優しいんですね」

 

「仲間の為さ」

 

「そういう所、好きですよ」

 

「おっと、キスの1つでもしてくれるのか?」

 

「まだお昼ですよ?そういうのは皆が寝静まってからにしてくださーい」

 

「……やれやれ」

 

ーーーー

 

「映画?いえ、興味はありません」

 

「なんでだよドロシー!折角ハカセがサルベージしてくれるんだぞ!?」

 

「折角の休みをそんな事に費やしている暇はありませんから。好きに過ごさせてください」

 

ドロシーは紅茶を啜りながら優雅に過ごしている。この時期はピナもいないから性格はややきつめかな。

 

「おいおい……あたしとスカイが可哀想だろ。それともアレか?お〜っほっほっほ!お嬢サマは下々と映画を観る趣味なんてございませんわ!って感じか?」

 

「やめなよレッドフード……」

 

「……お嬢サマではないと言っていますよね?そもそも私は新人と関わりは殆どありませんから。不要です」

 

「そこを何とかさぁ!!」

 

「お断りします」

「たは〜……あたしの説得じゃダメだ。スカイ!頑張れ!」

 

「はぁ!?無茶ぶりだぁ……いや、うん。観たくないなら観なくていいよ。どうせ僕は君達の隣に立つのは相応しくないし」

 

「……どういう意味ですか?ゴッデスに選ばれたのにゴッデスの自負がないと?」

 

「それは違うよ。ちゃんと役割をこなすけど、君達みたいに賞賛されるに値しないだけ」

 

「では何を求めるのですか?」

 

「うーん、ハッピーエンド?」

 

「……そうですか。とんだ理想主義者ですね」

 

「現実問題"今は"勝てないからね」

 

「後々勝てると言いたいのですか?」

 

「さぁ。100年経っても足掻き続ければ或いは。僕は元よりそのつもりかな。過程が苦しくても結果が良ければそれでいいよ」

 

「その過程が辛く険しい道のりだとしても?」

 

「僕は別に構わない。誰かがその道を行くなら隣で支えるし、肯定する。まぁ、愛情の一種?無償の愛的な」

 

「……なるほど。少し興味は湧きました。1回だけですからね」

 

「ほんと?ありがとう、ドロシー」

 

「やったなぁスカイ!」

 

レッドフードとハイタッチ。

 

「映画……?不要だ。それが何の役に立つ」

 

このままの勢いでと紅蓮に話を持ち掛けたが一蹴されてしまった。

 

「娯楽は必需品だぜ~?そ・れ・に、大事に締まってるその刀、スカイが持って来たんだろ?その借りはなしかよ」

 

「……それだが、キミはどうしてこれを?そもそもどこで手に入れたのか聞いてもいいだろうか」

 

ジ、と紅蓮の視線が僕を見る。

 

「V.T.Cの研究所で偶然見つけて、コアごと回収されそうだったのを刀だけは取っておいたんだ」

 

「それで私に?」

 

「……量産型の好さ。活躍は聞いていたから」

 

「そうか……剣は得意かね」

 

「近接戦闘もやってるからそこそこ?紅蓮程剣の達人でもないよ」

 

「なら、偶に手合わせをして欲しい。それを承諾してくれるのなら今回は付き合おう」

 

「それはもちろん。接近戦のデータは僕も欲しかったから」

 

「ああ。……礼を言う、ブルースカイ」

 

紅蓮は折れた十日紅をそっと撫でた。

 

ーーーー

 

「映画ですか……え、え、……卑猥な物ではないでしょうね?」

 

「あたしを何だと思ってるんだラプンツェル……キスシーンくらいだろ、あって。なぁ?ハカセ」

 

「え、うん。多分。まあ他にも濡れ場のあるシーンの映画はあるけど」

 

「へぇ!そりゃよかったなぁ!」

 

「み、み、観ません!!」

 

「でもそういう知識に抵抗ないと将来困るよ?」

 

「こ、困るとは……?」

 

「色仕掛けへの抵抗手段はないと。将来教皇なんでしょ?」

 

「……それは……そうですが……」

 

「それにさ、今の内だと思うんだよね。皆で何かできるって言うのも」

 

「そうそう。だから頼むよ~~~~!」

 

「……分かりました。いいですよ。断る理由も元々ありませんでしたから」

 

「よっし!後はおちびちゃんだな」

 

「……ブルースカイ、少しいいですか?」

 

こっそりラプンツェルが話しかけてくる。

 

「何?」

 

「その……これはあくまで勉強なのですが……ぬ、濡れ場……というものがある映画……今度見せてくれませんか……?」

 

「いいよ。好きな物を好きなだけ見せるよ」

 

「あ、ありがとうございます……!」

 

ラプンツェルの変態度が上がった!

 

ーーーー

 

「映画……ですか?それより武器の整備をしないと……」

 

「まぁまぁ、ここ最近詰めすぎだろ?ちょっと休もうぜ」

 

「レッドフードの武器が一番整備が必要だと思います」

 

「はっはっは。撃てるから問題ないんだって」

 

「それに……」

 

ちら、とスノーホワイトの視線が僕を見る。

 

「……いえ、何でもありません。とにかく私は行きませんから」

 

「アレか?新人を認めたくないって奴?」

 

「違います!」

 

「うーん、じゃあキャラが被ったなぁって?」

 

「違います!」

 

「撫でられなくなって嬉しい?」

 

「違います!……あっ」

 

ぎゅっとレッドフードがどや顔でスノーホワイトを抱き締める。

 

「ふふ~ん、引っかかったな?かわいい奴め」

 

「うう、話しますから離してくださーい!……ちょっとだけ、ブルースカイに負けたくないなって思ってるんです」

 

……彼女が、僕に?兵器開発の天才が?

 

「提出された設計図と部品の数々は確かに必要でした。それが本職じゃない分野の人で私が見抜けなかったのが少し悔しくって、頑張らないとなって思ったんです」

 

「でも僕のは全部プロトタイプだよ?」

 

「それが充分凄いんです。どれも実戦で使えるレベルでした。それを作れること自体がまず凄いんですよ。どうやったんですか?」

 

「僕の武装は全部自分で作ってるからそれかなぁ。よかったら見る?何かの役に立つかもしれないし。本来なら秘匿しないといけないんだけど」

 

「!!いいん、ですか?」

 

「……まぁ、いいよ?」

 

「是非!見せてください!」

 

目をキラキラと輝かせる。その様子はどこか子供っぽい。かわいいなぁと思う。やっぱり癒し枠だ。

 

何はともあれ、これで全員揃った。

 

今回見るのはとあるブリティッシュな国が舞台のスパイ映画だ。

 

「傭兵時代の経験から言わせてもらうと、手榴弾に覆いかぶさっても効果はないぞ」

 

「指揮官は覆いかぶさっても生きてそうですね」

 

「私を何だと……!?」

 

ーーーー

 

「礼節が人を作る。なるほど。確かにそうですね、礼節は弁えないといけませんから」

 

「そういう君こそ弁えていないのではないのかね?」

 

「いえ、紅蓮に言われたくはありませんね」

 

「ほう?では今すぐ表に__」

 

「いいでしょう__」

 

ガンッ!ガンッ!

 

「2人共~~~、上映中は静かにね?」

 

ーーーー

 

「この無双シーン、リリスお姉ちゃんみたいです!」

 

「確かに彷彿とさせるな」

 

「ええ、そうかな?ちょっと恥ずかしいかも。でも……こんなに時間はかからないかなぁ?」

 

(((((怖い)))))

 

(リリスお姉ちゃん、かっこいい!)

 

ーーーー

 

「なるほど、最後はこうなるんですね」

 

「満足の行く映画だった。だが、続編があるのだろう?」

 

「そうだね。このまま流す?」

 

その言葉への返答は沈黙だった。つまりそういう事だ。

 

ーーーー

 

「……全……滅……?」

 

「はっはっは、ここまで来るといっそ清々しいな。まあ続編映画ではよくある。キャストの出演が不可能になったりなんだったりな」

 

「指揮官、うるさいです」

 

「むぅ……」

 

ーーーー

 

「感染者を隔離……というかこれは、助けるつもりがない……?そんな……助けなければいけないのに……」

 

「どこも自分の命だけが惜しいのでしょう。現実にあったら恐ろしいですね」

 

「我々もラプチャーと戦っているからどちらとも言えないだろう」

 

ーーーー

 

「カントリーロードッッッ!!!!マーリン!!!」

 

「え、えっ、え、え」

 

「ああ……そんな……」

 

「嫌な予感はしていたが……そうか……」

 

「主人公の父親に助けられたことをそのまま返したのでしょう……」

 

「劇的な最期だな」

 

「そうですね。でもかっこいいと思います」

 

レッドフードは慟哭して泣き、スノーホワイトももらい泣き、紅蓮は感情移入をして静かに俯く。ドロシーはショックで口元を手で押さえ、ラプンツェルは原点を振り返った。指揮官は帽子を深く被り、リリスは拍手を送った。

 

そして、映画の最後で一同はうわぁ……となったのだった。

 

感想は「しばらく肉はいらない」で一致した。

 

「スカイ、見せてくれてありがとう。とっても面白かった!」

 

「……そうですね。同意します」

 

「偶の息抜きには丁度いい」

 

「ちょっと恥ずかしいシーンもありましたが……いいですね」

 

「こりゃしばらく聴く曲は決まっちゃったな」

 

「武器の構想も色々と参考になりました!」

 

「ふ、どうだ?よかったじゃないか」

 

「……恥ずかしいね。でも悪い気はしないかな」

 

この時間が彼女達の思い出になったら、嬉しいなと思う。

そして、この日を境に無断出撃をしなくなった。しっかり命令を守るようになった。その間に武器をスノーと一緒に作ったり、誰かと過ごす時間が多くなった。

 

ーーーー

 

「スカイ、今日は一人か?」

 

「あ、指揮官。うん、昔のゲームをしてる。潜入ミッション」

 

「ほう……なんだ?このキャラは段ボールを被って潜入するのか?何故バレない……?」

 

「ステルス性能は最高だからね」

 

「そして、この……私の服と声が似ている人物は誰だ……?」

 

「……ダレダロウネー」

 




メタルギアに出てくるカズヒラミラーとゴッデス指揮官って似てない?と思って最後は作りました。ゴッデス部隊にもこういう余暇があって欲しいなと思う世界。

次からイベント本編かなぁ……

小説の方向性(セリフや描写など)

  • 積極的に改変が欲しい
  • 原作準拠で大丈夫
  • 原作準拠だが改変は間間に欲しい
  • 幕間エピソードが欲しい
  • 激しい改変はなくて大丈夫
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