深夜、今日も疲れた。早く寝よう。
「やぁ、少年。良い夜だね」
ブルースカイが窓際に立っていた。いつの間に来たのだろう。それとも最初からいたのだろうか。気になってみると窓が開いていた。
「身体は大丈夫なのか?」
「……大丈夫、ではないかな。独りでいると弱音を吐きたくなってしまって。エデンだと、ヨハンやセシルはいるけどあの2人はまた違うでしょ?」
「ドロシーやピナはそうじゃないのか?」
「1番知られたくないからね。特にピナには悪い事をしてしまった。恨まれても仕方がない」
そう言いながら彼女は月を見ていた。子供のようで、大人で、その横顔はとても儚く見える。
「恨むのは君が自分を大事にしないからじゃないのか?仲間なんだろう?」
「……うん、そうなんだけどね。自分じゃどうにも仲間だと思えなくて」
ぽつり、彼女は話し始める。
「例えばラプンツェルは卓越した回復能力を持っていて、紅蓮は近接戦闘に特化している。スノーホワイトは武器職人で遠距離のサポートはピカイチ。ドロシーはステゴロ最強。にも関わらず指揮官顔負けの指揮能力を持っている。ピナは最強の盾を持っていて、どんな攻撃も防いでしまう。僕は……そんな彼女達の能力を一つ一つ取って行った中途半端に過ぎない。万能型と言えば聞こえは良いけどね」
「ここ最近はインヘルトも強くなった。僕よりも強いんじゃないかな?……研究分野ではセシルに劣るし、指揮能力はドロシーやヨハンにも劣る。制空権だってイサベルがいるでしょ。ニケの状態だと僕より速いんだよ?」
「褒めるのが上手いな」
「よく見てるからね。……だから時々、満足してしまうんだ。自分が知っている光景と真逆過ぎて、こんなに仲の良い彼女達を見れるなんて、ってね。後はもう1人居たら完璧なんだけど……それはそれ」
「自分が知っているものと乖離が生じて、自分の居場所がないと錯覚してしまうだけなんじゃないのか?」
「あぁ、それもあるかも。昔は僕が支えなきゃと思っていたけど、今はその必要がないから……かなぁ?」
「なら、カウンターズの面倒を見てくれないか?」
「嫌われてるじゃん、僕は」
「わざとヘイトを自分に向けているんだろう?それがみんな分かっているから気に食わないのさ。それに来る度にお土産を持参してるじゃないか」
「…………そう」
「報告は受けていたからな__」
どんな話をしていたか、スカイは回想する。
ーーーー
前哨基地
「やっほ〜ラピ、元気?」
「ブルースカイ。何の用?指揮官は……今、席を外してるけど」
「他のニケに取られちゃったか。まあ、要件は大した事ないよ。マリアンの報告的なアレ。本命は今日はラピ」
「私?」
「じゃーーん」
スカイが持ってきたのはアコースティックギターだった。
「これは……楽器?」
「レッドフードが好きかなって。ラピの好きな物を考えてたんだけど、君その辺何も言わないじゃん?気持ちは分かるけど」
「……こんなもの、何の役にも立たないわ」
「そうかな?仲間達と一緒に音楽を聴くのもいいと思うけど。戦闘ばかりの日々を彩る、いいものだよ」
「少年がそんなんじゃ取られちゃうよ〜〜〜って冗談はさておいてだね。一芸はあった方がいい。戦闘に役に立たなくてもさ。心の余裕はあるに越した事ないんだよ」
「私たちがどれだけ過酷かは知っているでしょう?」
「だからだよ。自分達の置かれている状況が最悪な時ほど他者が良い状況だと妬んでしまう。そういうのって健全じゃないんだよ」
「……それは……そう、ね」
「それに帰ってきた少年の反応はどうだと思う?疲れた所に曲を弾いてくれる女が居たらさ」
「…………」
ラピは無言でギターを手に取った。
「弾き方を教えてもらえる?」
「彼女が知ってるよ」
そう言うとラピの指が勝手に動いてギターを弾き始める。たどたどしくもあるが、引き慣れているとも感じ取れる。
「……こう?」
「そう」
〜〜〜♪
「……貴女から見たレッドフードの事を、教えて欲しいのだけれど」
「僕の?」
「ええ。知りたいの。事情も知っていて、その上で話せる人は居なかったから」
「そうか……そうだね、いいよ」
「レッドフードはなんだろう。サバサバしているようで1本芯が通っていて、こうと決めたら曲げない気質がある。……って言うのは知ってるか」
「そうね」
「スケベな事は割と好きだし、ラプンツェルがスケベなのはレッドフードの所為。エロ本見せたからそうなった。ぶっちゃけラピも少年の事狙ってるならそうしなよって思うけど」
「……うるさい」
「違った?」
「いいから、続けて」
「誰よりも仲間想い。自分が侵食された時も仲間の事を考えてた。正しく英雄……って言葉が似合うんじゃないかな」
「……そう」
「今!今!!身体渡しちゃおうとか思ったでしょ!」
「……」
「沈黙は肯定とみなしま〜〜〜す。……良くないよ、自己犠牲は。僕が言うなって思われるかもしれないけどね。ラピはラピだ。もっと我を出していいと思う。それに、その身体の事は僕が何とかしてみせよう」
「……どうにかなるの?」
「なるさ。やってみせる。その為に準備もしてきた。だから任せるといい」
「レッドフードは……貴女の事をハカセって呼んでた。自己肯定感が物凄く低いけど、仲間の為なら何でもやるって」
「できる事しかしないだけだよ。何者でもないから、誰かになろうとしてるだけ」
「……私は私って言ったのに、自分は違うの?」
「自分が違うと思うからこそ、人を肯定するのさ。君は君らしくあればいい。君は彼女じゃない。彼女も君じゃない。似て非なる存在だ」
「どうして、そこまで?」
「ファンだからさ。君たちの」
「そう……」
「だからもっと楽しんで。日常の中にある非日常を。彩りを持って過ごして欲しい。これはその為の……きっかけになればいいかなって」
「スカイ」
「ん?」
「ありがとう」
ーーーー
「〜〜〜♪……って、ブルースカイ!?なんで人の部屋にいるのよ!?」
「掃除。あまりにも部屋が汚過ぎて……指揮官に嫌われるよ?」
「うるっさ……乙女の部屋に勝手に入るとかホントあんたね……いい加減に……!!」
「流石に下着とか見られたくないでしょ。何かの間違いで入ってきたらどうすんのさ。女として少しは考えなよ」
「……それは……そう……ね、うん」
「後お土産、美容品をいくつかと炭酸水とアップルパイ。手作りだから感想聞かせて」
「何?嫌味?わ〜〜全部良い〜!って言えば良い訳?」
「違うよ。まともにレポしてくれんの君ぐらいだと思ったから」
「そう。テスターって事?」
「うん。君は割とケアしてるでしょ?地上奪還した時にノウハウがなかったら困るでしょ。あったとしても企業が独占して高くなるし、民間用に出せるようにしておきたいんだ」
「あのねぇ、私たちにそんな余裕ないの。明日死ぬかもしれないって思いながら戦ってるのよ」
「だからベストを尽くすんだろう?明日死ぬかもしれないのに何もしないのかい?明日死んでも悔いが残らないようにする為に今日を生きるんだろ」
「……貴女に何が……!ゴッデスで、どんなニケよりも強くて、死から1番遠い貴女に何が分かるの!?」
「ニケになる前の私は……寿命がある程度決まっていた。脳の異常でね。20代そこらで死ぬ運命だったんだよ」
不意にスカイの口調が子供から大人のように、ガラリと変わった。
「明日死ぬかもしれないと思いつつ、毎日を生きるのに必死だった。覚えている事全てを書き起こして、新たに覚えて、少しでも人類の役に立ちたかった。けれど天才は沢山居て、その度に自分の不出来を呪った」
「何、急に自語り?自分は不幸アピール?」
「最後まで聞きたまえ。ラプチャーの侵攻が来ると分かっていながら何も行動に移せず、備えるだけが私だった。私は私を作ったが、上手く行かなかった」
「……自分で自分を作った?」
「ああ、コンセプトは私が作ったのさ。適合者も私だ。……そこに少しのイレギュラーが有ったが。ともかく私は昼夜を問わず戦線に投入された。上層部は使い潰す予定だった。ここは……今とそんなに変わらないか」
「そうね、昔からそうなのね……」
「振り返って見れば私は常に戦いと隣り合わせで、女らしい事は何にもしてこなかった。……人類がアークに行く事になった作戦で、もっとこうしていたらといつも思い出すよ。裏切りに気づいていれば……他のニケやアニスがこんな思いを抱えながら今も戦ってはいなかったのかもしれないとね」
「何、綺麗事?やめてよ。そうはならなかったんだから」
「そうだ。そうはならなかった。だから今も足掻いている。ラプチャーに勝つ為に。アーク云々ではなく……ニケやこの物語がハッピーエンドを迎えられるようにね」
「だから人を掌でころころころころ転がしてるって?」
「君達から見たらそうなるだろうね。申し訳ないと思っている。ドライな君に、他人を信じない君にとっては地雷だろう」
「ええそうね。いつもいつも腹が立ってるわ、お陰様でね!!」
「……ぶっちゃけ、私に対してはそれでいい」
「何……え、そういう趣味?」
「違う。決して分かり合えない者同士、無理に分かり合う必要もないという事だ。それでも、表面は仲良くする事は可能だろう」
「メリットは?私に対してメリットがないじゃない」
「ははっ、言われてみればそれもそうだ。だからまぁ、こうして貢いでいるんだが」
「うわ……言い方キモイ、やめてよね」
「実際問題どうかはさておき、少年の事が好きなんだろう?」
「…………」
「バレバレだ。取られたくないんだったら努力をしたまえ。いつ死ぬか分からないなら死んでもいいように生きてみろ。鬱屈した毎日を生きるのではなく、今を生きろ。特に、少年の直接の部下なのは運が良いのだから」
「そうね、そうかもね!でも余計なお節介って言葉があるの分かる!?」
「分かるさ。これは単なるお節介。でもよく考えてみろ。ヒロインレースで何か武器があるのは大きいぞ?料理なら尚更」
「……レシピ置いておいて。美容品は次会った時にどうだったか報告する。それでいい?」
「いいとも。アニス、君だけは私の事を信じないでいてくれて、嬉しいよ」
「〜〜〜ッ!!本当にムカつく〜〜!!」
「すまない、そういう性分なんだ。いつも君と私はバッドコミュニケーションで楽しいかもしれない」
「私は!!楽しくないわよ!!」
「だろうね。……でも、私は君達の行く先が良い結末な事をいつも望んでいる」
「あ〜〜〜ほんっとに嫌!!」
「すまないね、それじゃあ」
ーーーー
「火力を教えてください!」
「スノーホワイトが詳しいと思うよ」
「そんなぁ!!だって会えないんです……」
「まあ、冗談はさておいて。僕はビット兵器、君はショットガン。遠距離ならともかく近距離なら君の方が火力高いと思うけど」
「ブルースカイは巨大なビームが出せるじゃないですか!!アレ出してみたいんです!!」
「あれは……かなり扱い難しいよ。ビーム砲の収束地点を1つに合わせて放ってるからね」
「うぅ〜っ!ロマン!!どうしてそんな武器にしたんですか!」
「え、誰も万能型がいなかったから……?」
「……」
ネオンのメガネが白く光る。
「でも万能型って火力は落ちるよ?出来る事は多いけど突出した能力は持ってない」
「ぐ……それでも派手じゃないですか。変形とか……」
「うーん……確かに。言われてみれば派手だね」
「そうなんです!!だから、教えをください!!」
「武器の1本化、空気や雰囲気をぶち壊さない言動」
「最後!!余計だと思います!!」
「いや事実だと思うけどねぇ?雰囲気明るくしてくれるのはいいと思うんだけど。なんかこう、間違っているというか……シリアスをぶち壊す時もあるっていうか……良くない時もある」
「そんなの分かりません!見えないです!」
「そうだねぇ……火力か……敵を滅ぼす為の火力が欲しいのか、それとも味方を守る為の火力が欲しいのか。ただ単に強ければそれでいいのか。色々あると思うんだ。それがネオンの中で1本化できれば、いいと思う」
「ふむふむ……」
「青色にショットガンか……昔のゲームで指からビームを放ちながら敵にスタン当てて、スライディングをして薙ぎ倒すキャラがいて、それもネオンなんだよね。いっそスタンと射線切るカーテンと指ビームを追加すればいいか……?」
「なんですかそれ!!」
「速い、ウザイ、弾が当たらない。なのに自分は一瞬で溶かされる。相手に常に不快感を与える。ラプチャーに不快感があるかどうかはさておき……ヘレティック相手ならアリかも?」
「ふむふむ……社長に相談するべきですかね?」
「あの人タクティカルが好きでしょぉ……?全然タクティカルじゃないと思うんだよなぁ……シミュレーターやってみる?」
「やります!!」
やらせた結果。
「コレ!!コレがいいです!!社長に相談してきます!!ありがとうございますブルースカイ!!」
「……」
ネオンが持ち込んだコンセプトは「タクティカルではない」と社長に一蹴されてしまったらしい。当然だろう。
……夏イベに実装してあげようかなぁ。とふと思うブルースカイであった。
ネオンがギャグとオチが着いたので一旦ここまで!!
Q.カウンターズとの相性
A.ラピ→普通。アニス→最悪。ネオン→やや高め。
ラピは何者でもない同士話ができる相手。
アニスとは性質が真反対で常にバッドコミュニケーションを取り合う相手。
ネオンはノリが良いと手を付けられなくなる相手。
アニスに関しては作者が1番面談難しい相手だと思ってるので……でも理解し合う必要もなく、仲が悪いならそれはそれでいいかなぁと。スカイとは根が同じなのは分かってるけど、やり方が違うので相性最悪みたいなイメージです。
ネオンはちょっと教育しなきゃいけない所があるなぁ。くらいで悪ノリする時は全然する。スカイがカウンターズ所属なら毎日のようにネオンと悪ノリして頭痛のタネになりそう。
そんな未来はありませんが。
Q.最後のネオンって?
A.タクティカルさんとショットガンと青色で連想しました。
知らない人はVALORANT ネオンで検索してください。知ってる人は一度は過ぎるネタだったかもしれません。SSRがアレぐらい壊れてたらネオンの人気ももっと高い筈!!
小説の方向性(セリフや描写など)
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積極的に改変が欲しい
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原作準拠で大丈夫
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原作準拠だが改変は間間に欲しい
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幕間エピソードが欲しい
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激しい改変はなくて大丈夫