カウンターズとの面々の話を軽くした後。
「君は私の知らない間に色々と来ていたんだな。顔を出してくれれば良かったのに」
「毎日ニケの相手をしてたら疲れるだろう?そういう事さ、少年」
「……」
確かに、と思ってしまったのは言えない。休みが欲しいと思うのも……事実ではある。
「それで、嫌われるような真似をするからカウンターズの面倒は見れないと?実際には見ているのに」
「うぅん……心配ではあるから、ね。かわいい後輩だし」
「でも、止める楔にはならないと。いや……止められたくない?」
「止められたって解決しない」
「そんなの分からないだろう。全員で協力すれば……」
「例えば」
少年の声を遮る。
「??」
「ドロシーを連れて捜索に行こうとした時、ニヒリスターの襲撃があった。この前も1人で行ったらヘレティックと遭遇した。ただの偶然にしては確率が凄いとは思わないかい?」
「それは……そう、だが」
「……阻まれているように感じるんだ。自分の命をどうにかするのを。まるで、世界が僕という存在を許さないようにね」
「……考えすぎだとは思うが、君からしたらそうではないんだろうな」
「何ができる?」
「何も。できる事があるなら黙っていて欲しい。時が来るまで」
「……その後は?」
「進化できなかったら終わり。死ぬ。できたら、まぁ、なんとか……なるかも?」
「あっさりと言わないでくれ。何も返せていないのに」
確かにね、と笑ってしまう。
「そういうものさ。救えなかった命を救えて、見れなかった未来がこうして見れたんだ。なら、ねぇ、いいんじゃないかって思うじゃん?」
「良くはないだろう。残された者達はどうなる?どう思う?今まで会った君の知り合いは君の事を大切に思っていた」
「……例えば、どんな?」
「ラプンツェルに助けられた時、ドロシーやスノーホワイト、紅蓮と出会ったんだ」
巡礼の時の話か。なるほど。
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「ブルースカイ、ですか?そうですね……本人の前では言えませんが無茶をしがちな末っ娘でしょうか」
「なるほど……?」
「生き急いでいるように見えます。速くしなきゃ、もっと速く、と。それで助かっている部分も勿論あります。でも、それでは本人が持ちません」
「そうなのか……私から見ると凄く、謎に包まれたニケだと思っていた。思考を読めるのかと思う程機転が利くからな」
「ブラザー達からすればそうかもしれません。彼女は難しいんです」
「でも、一つ言えるのは彼女は常に誰かの為に行動しているという事です」
ラプンツェルはそう締めくくった。
「ブルースカイをどう思っているか……ふむ、中々に難しい質問だね。何でもできてしまうが故に苦しんでいると感じているよ」
「何でもできるのに苦しむ……?」
「その通り。目の前に問題が2つあったとして、どちらかしか解決できないとしよう。でも本人は2つとも解けており、その上で片方を選んでいる」
「それは……」
「非常に複雑だと思わないかい?その選択を常にし続けて生きている。間違った選択をしないように、徳利に注いだ酒が溢れぬように……とね」
「それを本人は私達には明かしてくれぬのだよ。どんな苦しみがあるのか、何を背負っておるのかね。だから坊ちゃん。坊ちゃんがスカイと会った時、少しでも彼女の秘密を知ってくれると嬉しい」
「……伝えなくていいのか?」
「本音は伝えて欲しい。だが、我々に伝えぬというのはそういう事なのだ。伝えてしまってはダメだと本人が判断している。そしてそれは概ね間違っていないのだよ。それに誰しも秘密はあるからね」
「わかった」
「物分りのいい坊ちゃんで助かるよ」
紅蓮はそう締めくくった。
「スカイか?……奴は、なんと言うべきか。ああ見えて私よりも合理性の塊だ。一見感情的に見えるがな」
「そうなのか?それは意外だった」
「ここでこうなるから助ける。ここで助けると後々に響くから助けない。そうやって機械的な判断をしているのがあいつだ。……そしてその計算にあいつ自身の身の安全は乗っていない」
「死ぬ前提、ということか?」
「それも仕方ないと割り切っているのだろう。ふざけた話だ。自分の命を犠牲にして助けられても、助けられた側は何も救われない。私はスカイが嫌いだ」
「……随分懐いているそうだが?」
「うるさい。ともかく、その姿勢のスカイが嫌いだ。……とても、儚くて、どこかへ行ってしまいそうだ。それが凄く嫌なんだ」
スノーホワイトはそう締めくくった。
「スカイは……欠けた穴を埋めるのに必死です。指揮官にリーダーのリリーバイス、そしてレッドフード。2人が居なくなってからのゴッデスは……あまり良い物ではなかったかもしれません。そこにスカイが居てくれなければ瓦解していた事でしょう。驚く事に、彼女はある程度の事は何でもできてしまいます。常に80%のパフォーマンスを出し続けられると言えば分かりますか?」
「全ての教科で80点を取る。みたいな感じか?」
「ええ。それをスカイは文字通り全てに対してできます。けれど100%には敵わない。天才のように見えながらも実の所は秀才で、それが原因で彼女自身は自分の事を凡人だと思っています」
「そこから自己に対する劣等感は来ているのか?」
「それだけ、ではないでしょうが恐らくは。レッドフードもリリスも言っていましたが、彼女もゴッデス。誇って良いのです。なのに自分はゴッデスではないと言い続けてもう100年。あの2人がいたとしてももう飽きて肩を竦めてしまっているでしょうね」
「そんなにか……」
「特にここ最近は精細を欠いているように見えます。こそこそ影で何かしているみたいですし……でも、結局は当人の問題なのでしょうね」
「外野が言っても分からない?」
「分かっている上で受け止められないのです。私にはその気持ちがよく分かりますから」
「何者にでもなれるというのは祝福でもありますが、同時に呪い……ですね」
ドロシーはそう締め括った。
ーーーー
「ははっ、そんな事を話してたのか……うん、概ねあってる。私はそういう存在だ」
「変わろうとは思わないのか?」
「変われるなら変わりたいよ。でも手段がない。変わった所で身体の問題が解決しなければ、死んでしまう」
「死にたいのか?」
「死にたくないよ、怖いんだ」
「ならそれを伝えたって……」
「恐怖は伝わる。他の皆の邪魔をしたくない。いつもと同じように過ごして、終わる。これが私なりの別れの挨拶なんだよ」
「……私には、分からないな」
「分からなくていいよ、少年は」
さて、とスカイは踵を返す。
「何者にもなれないまま死ぬか、何者かになって生きるか、見届けてくれると嬉しいな」
「……」
「じゃあね、おやすみ」
そう言ってスカイは部屋を出て行った。
小説の方向性(セリフや描写など)
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積極的に改変が欲しい
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原作準拠で大丈夫
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原作準拠だが改変は間間に欲しい
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幕間エピソードが欲しい
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激しい改変はなくて大丈夫