絶望を希望に変える為に   作:スカイ⛅

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~何者でもない彼女②~

カウンターズとの面々の話を軽くした後。

 

「君は私の知らない間に色々と来ていたんだな。顔を出してくれれば良かったのに」

 

「毎日ニケの相手をしてたら疲れるだろう?そういう事さ、少年」

 

「……」

 

確かに、と思ってしまったのは言えない。休みが欲しいと思うのも……事実ではある。

 

「それで、嫌われるような真似をするからカウンターズの面倒は見れないと?実際には見ているのに」

 

「うぅん……心配ではあるから、ね。かわいい後輩だし」

 

「でも、止める楔にはならないと。いや……止められたくない?」

 

「止められたって解決しない」

 

「そんなの分からないだろう。全員で協力すれば……」

 

「例えば」

 

少年の声を遮る。

 

「??」

 

「ドロシーを連れて捜索に行こうとした時、ニヒリスターの襲撃があった。この前も1人で行ったらヘレティックと遭遇した。ただの偶然にしては確率が凄いとは思わないかい?」

 

「それは……そう、だが」

 

「……阻まれているように感じるんだ。自分の命をどうにかするのを。まるで、世界が僕という存在を許さないようにね」

 

「……考えすぎだとは思うが、君からしたらそうではないんだろうな」

 

「何ができる?」

 

「何も。できる事があるなら黙っていて欲しい。時が来るまで」

 

「……その後は?」

 

「進化できなかったら終わり。死ぬ。できたら、まぁ、なんとか……なるかも?」

 

「あっさりと言わないでくれ。何も返せていないのに」

 

確かにね、と笑ってしまう。

 

「そういうものさ。救えなかった命を救えて、見れなかった未来がこうして見れたんだ。なら、ねぇ、いいんじゃないかって思うじゃん?」

 

「良くはないだろう。残された者達はどうなる?どう思う?今まで会った君の知り合いは君の事を大切に思っていた」

 

「……例えば、どんな?」

 

「ラプンツェルに助けられた時、ドロシーやスノーホワイト、紅蓮と出会ったんだ」

 

巡礼の時の話か。なるほど。

 

ーーーー

 

「ブルースカイ、ですか?そうですね……本人の前では言えませんが無茶をしがちな末っ娘でしょうか」

 

「なるほど……?」

 

「生き急いでいるように見えます。速くしなきゃ、もっと速く、と。それで助かっている部分も勿論あります。でも、それでは本人が持ちません」

 

「そうなのか……私から見ると凄く、謎に包まれたニケだと思っていた。思考を読めるのかと思う程機転が利くからな」

 

「ブラザー達からすればそうかもしれません。彼女は難しいんです」

 

「でも、一つ言えるのは彼女は常に誰かの為に行動しているという事です」

 

ラプンツェルはそう締めくくった。

 

「ブルースカイをどう思っているか……ふむ、中々に難しい質問だね。何でもできてしまうが故に苦しんでいると感じているよ」

 

「何でもできるのに苦しむ……?」

 

「その通り。目の前に問題が2つあったとして、どちらかしか解決できないとしよう。でも本人は2つとも解けており、その上で片方を選んでいる」

 

「それは……」

 

「非常に複雑だと思わないかい?その選択を常にし続けて生きている。間違った選択をしないように、徳利に注いだ酒が溢れぬように……とね」

 

「それを本人は私達には明かしてくれぬのだよ。どんな苦しみがあるのか、何を背負っておるのかね。だから坊ちゃん。坊ちゃんがスカイと会った時、少しでも彼女の秘密を知ってくれると嬉しい」

 

「……伝えなくていいのか?」

 

「本音は伝えて欲しい。だが、我々に伝えぬというのはそういう事なのだ。伝えてしまってはダメだと本人が判断している。そしてそれは概ね間違っていないのだよ。それに誰しも秘密はあるからね」

 

「わかった」

 

「物分りのいい坊ちゃんで助かるよ」

 

紅蓮はそう締めくくった。

 

「スカイか?……奴は、なんと言うべきか。ああ見えて私よりも合理性の塊だ。一見感情的に見えるがな」

 

「そうなのか?それは意外だった」

 

「ここでこうなるから助ける。ここで助けると後々に響くから助けない。そうやって機械的な判断をしているのがあいつだ。……そしてその計算にあいつ自身の身の安全は乗っていない」

 

「死ぬ前提、ということか?」

 

「それも仕方ないと割り切っているのだろう。ふざけた話だ。自分の命を犠牲にして助けられても、助けられた側は何も救われない。私はスカイが嫌いだ」

 

「……随分懐いているそうだが?」

 

「うるさい。ともかく、その姿勢のスカイが嫌いだ。……とても、儚くて、どこかへ行ってしまいそうだ。それが凄く嫌なんだ」

 

スノーホワイトはそう締めくくった。

 

「スカイは……欠けた穴を埋めるのに必死です。指揮官にリーダーのリリーバイス、そしてレッドフード。2人が居なくなってからのゴッデスは……あまり良い物ではなかったかもしれません。そこにスカイが居てくれなければ瓦解していた事でしょう。驚く事に、彼女はある程度の事は何でもできてしまいます。常に80%のパフォーマンスを出し続けられると言えば分かりますか?」

 

「全ての教科で80点を取る。みたいな感じか?」

 

「ええ。それをスカイは文字通り全てに対してできます。けれど100%には敵わない。天才のように見えながらも実の所は秀才で、それが原因で彼女自身は自分の事を凡人だと思っています」

 

「そこから自己に対する劣等感は来ているのか?」

 

「それだけ、ではないでしょうが恐らくは。レッドフードもリリスも言っていましたが、彼女もゴッデス。誇って良いのです。なのに自分はゴッデスではないと言い続けてもう100年。あの2人がいたとしてももう飽きて肩を竦めてしまっているでしょうね」

 

「そんなにか……」

 

「特にここ最近は精細を欠いているように見えます。こそこそ影で何かしているみたいですし……でも、結局は当人の問題なのでしょうね」

 

「外野が言っても分からない?」

 

「分かっている上で受け止められないのです。私にはその気持ちがよく分かりますから」

 

「何者にでもなれるというのは祝福でもありますが、同時に呪い……ですね」

 

ドロシーはそう締め括った。

 

ーーーー

 

「ははっ、そんな事を話してたのか……うん、概ねあってる。私はそういう存在だ」

 

「変わろうとは思わないのか?」

 

「変われるなら変わりたいよ。でも手段がない。変わった所で身体の問題が解決しなければ、死んでしまう」

 

「死にたいのか?」

 

「死にたくないよ、怖いんだ」

 

「ならそれを伝えたって……」

 

「恐怖は伝わる。他の皆の邪魔をしたくない。いつもと同じように過ごして、終わる。これが私なりの別れの挨拶なんだよ」

 

「……私には、分からないな」

 

「分からなくていいよ、少年は」

 

さて、とスカイは踵を返す。

 

「何者にもなれないまま死ぬか、何者かになって生きるか、見届けてくれると嬉しいな」

 

「……」

 

「じゃあね、おやすみ」

 

そう言ってスカイは部屋を出て行った。

小説の方向性(セリフや描写など)

  • 積極的に改変が欲しい
  • 原作準拠で大丈夫
  • 原作準拠だが改変は間間に欲しい
  • 幕間エピソードが欲しい
  • 激しい改変はなくて大丈夫
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