絶望を希望に変える為に   作:スカイ⛅

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久々の投稿です。チャプター更新されましたね!!2.5周年も控えているのでどうしよう!となっています。
割愛も入ったり改変も入ってます。


chapter追放:ヴィランにはヒーローを

 

AZXの客室にて。クロウは車内で流れている中央政府の放送を聴きながら焦っていた。

 

(なぜバレた?いつからだ?あのピルグリムは一体どうやって……)

 

放送が流れる。

 

「アークにラプチャーが入り込むという前代未聞の事件が発生しました。しかし、中央政府の迅速な対応によって死亡者は0人という素晴らしい成果を収めました。アークは安全です。中央政府は__」

 

「……はあ。ピルグリム……やってくれたな」

 

目の前では負傷者がおり、医療チームが対応している。人々の反応は様々だった。

 

青いニケが助けてくれた。

死にそうだった所に空からビームが降り注いでラプチャーを倒してくれた。

ラプチャーは怖かったが、あの背中は頼もしいものだった。

ニケが助けてくれた。守ってくれた。自分はニケが嫌いだと言うのに。

 

「……これも読まれてるか?どうだろうな、スカイ」

 

クロウはトイレに爆弾を仕掛けようとした。その時、立っていた前後に防火壁が降ろされる。そこに突入してきたのはディーゼルとソリンだった。

 

「……!」

 

「対応が早いな。トイレにも行かせてくれないのか?」

 

「匿名からの通報がありました。エキゾチック部隊のクロウが列車に爆弾を仕掛けようとしていると」

 

「証拠は?」

 

「本当なら貴女は爆弾を持っている筈。荷物検査をさせて」

 

「ちっ」

 

クロウは舌打ちをする。最もAZXには爆弾の逆探知ができるので確実に防がれていた訳だが。

 

「本当に用意周到だな、アイツは」

 

「それで……どうしてこんな真似を?」

 

「銃を向けながら質問されたら、何でも答えなきゃいけないのか?」

 

「答えてください」

 

「断る」

 

「……じゃあ質問を変えるよ。AFXって列車を知ってる?」

 

「知ってる」

 

「それだけ……!?」

 

「何が聞きたいんだ?」

 

「AFXを爆破させたのは貴女?」

 

「ああ」

 

その時、ディーゼルが持っていた銃の銃口から煙が出た。クロウの足元には弾痕が残っている。

 

「貴女ですか……貴女が、私たちを……!!私の弟を……!!」

 

「そうか、お前たちが。悪趣味だな、エリシオンも」

 

「……何ですって?」

 

「列車テロで死んだ人間を列車を管理するニケにするなんて。悪趣味以外の何物でもないだろう?お前らは呪縛に囚われているんだ。人間だった時の。強烈な感情を利用した呪縛に。過去の記憶を担保としてお前らをとらえ、抜け出せないようにしたんだ」

 

「そうですか。最後に言いたいことはそれだけですか?」

 

「あたしを殺すのか?」

 

「……いいえ、貴女を捕らえます」

 

「リミットを気にしているのか?」

 

「いいえ。クロウは心を煽ってくる。復讐心につけ込んでくる。と伝えられました」

 

またスカイの入れ知恵か、とクロウは内心唾を吐く。アイツは一体何者で、どこまで知っているのか。全てが筒抜けみたいだ、気味が悪いと。

 

「いい教育が施されている。そしたら次にあたしがする事も分かってるか?」

 

「丁寧に……物の壊し方を教えてくれると」

 

「そうだ。お前の大事な弟を、乗客を殺したのはあたしだ。殺したくないのか?」

 

「殺したいです。弟の、あの日死んだ全ての人の復讐をしたい。でも……それをしてしまえば、戻れなくなる。貴女の思惑通りになってしまう。それは……嫌なんです」

 

「その通り……だから、貴女を逮捕するの」

 

キィィィ、とAZXが止まり、駅に着いた。

 

「逮捕って言ってもあたしには爆弾がある。間違えて起爆するかもしれないな?」

 

「っ……!!」

 

「仕掛ける前に焦って来たのは間違いだったな。物は簡単に壊れる。……見逃すしかないよな?」

 

「待って。爆弾と、リモコンを置いて行って、そしてAZXには二度と乗らないで」

 

「あたしがリモコンを1個しか持ってないとでも?」

 

「その前に爆弾を処理する」

 

クロウとソリンは暫く睨み合う。先に目線を外したのはクロウだった。爆弾とリモコンを取り出すと大人しく床に置く。時間稼ぎだと感じた。このまま行けばA.C.P.Uが取り囲んで来てもおかしくない。

 

「分かった」

 

「……行って」

 

クロウは駅に降りる。実際爆弾とリモコンは1つずつしかなかった。

 

「邪魔が入ったみたいね?」

 

バイパーが待っていた。

 

「ああ」

 

「あらら、暗い顔して……何かあったの?」

 

「別に何も」

 

「ジャッカル、無事かな?」

 

「さあな、あいつの動き次第だろ」

 

「あはっ、ホントひどいね。ジャッカルに死ぬ気で戦えって命令したくせにあいつの動き次第って?」

 

「あたしの言葉に忠実に従ってれば死んだはずだし、そうでなければ生きてるはずだ」

 

「ジャッカルが命令を破ったと思う?」

 

「いや」

 

「じゃあ、死んでるね」

 

「そうかもしれないな」

 

「お別れの挨拶でとしておけばよかった。残念」

 

白紙の仲間へ別れを告げて、クロウとバイパーはAZXから降りた人々の中へと消えていった。目的地はミシリス医療センター。

 

「ミシリス医療センターはどこだ!?こっちか!」

 

ブルーマイトが目指す場所でもある。

 

ーーーー

 

ミシリス医療センターの院長室。

ミハラはおらず、ユニだけだった。そこにシュエンがやってきた。

 

「ちょっと、ふざけてんの?いないじゃない。あいつらはどこなの?なんで1人なの?」

 

「シュエン、早かったね」

 

「そりゃね。アクセル全開よ。それで、あいつらはどこにいるの?」

 

「まだ来てないよ」

 

「この近くにいるのは確かなの?」

 

「うん」

 

「そう?ならいいわ」

 

シュエンは携帯電話を取り出し、エキゾチックの自爆起動アプリを表示した。そうして押そうとした瞬間、ユニがシュエンを攻撃した。

 

「……何よこれ。手が……」

 

「手の感覚を遮断したよ」

 

「……?」

 

「それを押したら、クロウやバイパーが死ぬんでしょ?」

 

「そう、だけど……?そもそもお前、ミハラは……」

 

シュエンは異変を察知し、逃げようとした。しかし、目の感覚を奪われる。

 

「ごめんね、シュエン。こうしないとミハラが殺されるんだ」

 

「何……言って……!?」

 

「クロウとバイパーと一緒にいるの。ユニが命令を聞かなかったら殺される。だから……放送も……」

 

「……!!お前がやったの!?本当に!?馬鹿じゃないの!?」

 

「ミハラが死ぬですって?鉄くずが壊れたって元に戻るでしょ!それの何が不満なのよ!?」

 

「……シュエン。シュエンはどうしてユニたちを叩いて、壊して、雑に扱うの?どうして鉄くずって呼ぶの?どうして酷いこと言うの?」

 

「ねえ?ユニたちのこと、どうして?」

 

「くそっ……この鉄くずが……!お前……絶対に廃棄処分に……!!」

 

その時、扉が開く。入ってきたのは指揮官、カウンターズとミハラだった。

 

「ユニ!!もうやめて!」

 

ミハラが叫ぶ。

 

「ミハラ……ごめんね。こうするしかなかったの」

 

「ユニ、ミハラは無事だ。もうやめるんだ」

 

指揮官が止めに入る。シュエンは大きな怪我は負ってはいないが、それでもCEOが負っていい傷ではない。

 

「指揮官。どうしてユニの事を止めるの?ユニ達の事を助けてくれなかったのに」

 

「それは……私にできること全てで、今度こそ助けるから。あの時は力がなかった。あの時は……ブルースカイに頼ってばかりだったが……」

 

「__それは今もじゃないか?」

 

再び扉が開く。入ってきたのはクロウとバイパーだった。サイレンサー付きの拳銃を向けて。

 

「指揮官!射撃許可を!」

 

「止めないとダメ!」

 

「師匠!」

 

「まぁ、待つんだ。お前達が武器を構えたら、こっちは怖くてつい引き金を引いてしまう。そうしたら、ソイツの頭を撃ち抜いてしまうかもしれない」

 

「ダーリン、ごめんね」

 

クロウの向ける先は指揮官だった。リミッターが解除されていないとはいえ、クロウならやる。その確信がカウンターズにはあった。

 

「ユニ、お前は良い子だ。やれ」

 

「うん……約束してね」

 

パン!とユニは自分の腕に拳銃を撃った。それは、アンチェインドだった。次の瞬間、ユニの攻撃によってミハラを覗く全員が床に倒れる。

 

「ユニ!どうして!」

 

「ごめんね……ごめんね……ミハラは私が守るから……」

 

「バイパー、やれ」

 

「本当に、酷いね」

 

バイパーはクスリと微笑むと、ミハラを拘束し、銃を向ける。

 

「……クロウ、なんで?ユニ、約束守ったよ?」

 

「あぁ、お前はよくやった。でも、まだやる事があるだろう?シュエンを殺さないとバイパーが誤って引き金を引いてしまうかもしれない」

 

「ミハラ。お前がバイパーを無力化しようとしたら、あたしがびっくりして指揮官を撃つかもしれない」

 

「貴女……!!」

 

「バイパー、そいつを黙らせとけ」

 

「は〜い」

 

バイパーがミハラを気絶させる。

 

「クロウ……!君が……!!」

 

「ここまでよく来たな。それは褒めてやろう。だが、お前には何もできなかった。あたし達が入る前にユニを無力化していたら、殺していたら違ったかもしれない。"説得できる"その甘い考えが招いた結果だ」

 

「事実、ユニは君に騙されていた!」

 

「そうかもな。だが、その甘い考えで全員死ぬ。一連の事件でピルグリムが大暴れしてくれたお陰で死亡者は今の所0人。でも、1人死んだら?それが、3大企業のCEOだったら?」

 

「どういうことだ……?」

 

「……どうしてお前がこんな目に遭ったのか気になるだろ?あたしには、見たいものが2つあったんだ」

 

「1つ目はアークの選択」

 

「2つ目はお前の破滅」

 

「シュエンはただのおまけさ。まあ、あれくらいで十分だろ」

 

「気になるか?」

 

「……ああ」

 

「お前はあまりにも「ヒーロー」すぎる。何でも解決してしまうんだ。どうってことないように。それが不満だってわけじゃない。あたしはお前のことが好きだ。尊敬しているといってもいいくらいにな」

 

「でも、アークの為にもお前を破滅させる必要があった。ニケとお前は、同じだ。アークのために、バカみたいに犠牲になるだけ。現に今回のピルグリムを見てみろ。アークに居られないのに、アークのピンチに駆け付けて身を粉にして戦った」

 

「お陰で、今回のラプチャー襲撃によって、ニケと人間の互いを見つめる視線は変わっていくだろう。面白い絵ができそうだが、お前が邪魔なんだ。アイツはイレギュラー。毎回アークに居られる訳じゃないからな」

 

クロウは淡々と告げる。

 

「お前はまた人間とニケのために、仲裁に入るだろう。そうすると、ジャーン。お前が解決して、また今まで通りのアークに元通りだ。お前は高貴で唯一の存在だ。おそらく今後、二度と現れないヒーローだろう。だからこそ、お前がアークに及ぼす影響はお前が想像する以上に大きいだけでなく、絶対的なんだ」

 

「それなら、どうすればいい?お前をアークのクズどもと同じようにしなければ」

 

「だから、お前を破滅させるんだ」

 

「どうすればお前を破滅させられる?」

 

「腹に穴を開けるか?」

 

「信じていたニケに裏切られるよう仕向けるか?」

 

「あたしが今まで見てきたお前は、そんなことじゃ破滅しないように見えた。だから、あたしが下した結論はこれだ」

 

「お前の手でニケを殺させること。お前が憎悪にまみれて。お前が、お前の判断で、お前の感情によって、ニケを殺すことになったら。お前は真の意味で破滅するんじゃないか?」

 

「ユニ、ミハラを撃たれたくなかったらシュエンを撃て」

 

「嘘……嘘……!!」

 

「嘘じゃあない。今度は本当だ」

 

「あ、ああ……ああ……」

 

ユニは震えながら、シュエンへ武器を向けた。

 

「ひっ、やめ、やめなさい!誰か!」

 

シュエンは見えない中で叫ぶ。誰も助けには来ない。

 

「ごめんね……シュエン……誰も、助けてくれないから……」

 

「嘘!嫌!誰か!!誰か!!メティス!!誰でもいいの!誰か!」

 

「クソっ……身体が……」

 

「バイパー、撃て」

 

「やめ……ろ……!!」

 

支配された場。

 

全員を助けようと足掻く者。

自分を助けてと虚しく嘆く者。

誰かに助けを願うしかない者。

 

無情にも引き金を引く音が聞こえた。その時だった。

壁が破壊され、それと同時に弾丸が弾かれる音。

 

「遅れたね、……こうも速いとは思わなかった」

 

「だがもう大丈夫、私が、私達が来た!」

 

ユニの手をブルースカイが。ブルーマイトはカウンターズと指揮官を抱えていた。

 

「……クソ、やっぱり来るか。本当にお前も「ヒーロー」みたいだな?でも、遅い」

 

そう言ってクロウは逃げる。去り際に、コロン、と何かが転がった。

 

「グレネード!?」

 

咄嗟に2人が全員を庇う。音と爆煙が木霊する。

 

「EMPグレネード……人体に影響はない…でも……」

 

「くっ……装備が……!!」

 

「大丈夫か、2人とも……?」

 

「一先ず、最悪は免れた。でも武装が使えない。通信妨害だからね……数分だけど、動けない。それにシュエンを運ばなきゃ……」

 

「私に任せろ。マスターは後を追ってくれ!」

 

「……分かった」

 

ブルースカイは装備を外し、ライフルだけを持って部屋を出ようとする。そこで、指揮官が立ち上がった。

 

「私も……行く」

 

「なっ……君はダメだ!なあマスター!」

 

「……いや、行こう」

 

「ああ」

 

2人は部屋を飛び出し、クロウ達の足取りを追った。

 

「ユニ……どうなっちゃうんだろう。ミハラは、大丈夫……だよ、ね」

 

「……安心したまえ。私が何とかする」

 

「あは……みんなそう言って、誰も助けてくれなかった!誰も!だから私が……私が……っ!!」

 

「ミハラの記憶消去を防いだのはマスターだ」

 

「え……?」

 

「正体をさらけ出すことも厭わずに君達を助けた。少年……指揮官にはそれ程の力がない事を知っていたからだ。だから、大丈夫。大丈夫だとも」

 

「でも、どうやって……」

 

「子供は気にするな。私に任せろ。命を賭けても必ず守る」

 

「……どうして、そこまで?」

 

「ハッピーエンドが好きなんだよ、我々は」

 

ブルーマイトは真剣な瞳でそう告げた。

そうして、シュエンは病室に運ばれる事になる。

 

ーーーー

 

装備がない所為で身体は軽い。けれど飛行してない所為で走ってるからか少し重く感じる。

 

「早く走れ!少年!」

 

「分かってる!」

 

少年は怒りに囚われてはいるが、殺意は抱いていないように見える。これなら……まだ、大丈夫だろうか。

 

「これも君の計画通りか、スカイ!?」

 

「全然!!かなり予想と違った。早めに来るつもりが遅れてすまなかった!場所が分からなくてね!」

 

「君でもそういう事があるんだな……」

 

「そう。すまない!……いた!」

 

先に見えるのはクロウ、バイパー、E.H。

 

「じゃあ、私は投降する準備を……あら、ダーリン。来たの?」

 

バイパーが少年に近づいてくる。

 

「何のつもりだ?」

 

「私、自首するつもりなの。事実を全部話すよ。アークのテロが誰の主導で、どんな過程で行われたのか。クロウが見えるでしょ?私が捕まえたようなものよ」

 

「……待て、何を企んでいるんだ?」

 

「え……企む?」

 

「あーー、そうなるのも無理はないか。少年。今回ばかりは本当だ」

 

「何だって?」

 

不思議そうに首を傾げる。今まで騙されてきた相手だ。疑う余地はあって当然だ。

 

「今まで嘘をついて、もてあそんでごめんね。心から謝るから……あ……困ったな。どうやって謝ればいいのか、分かんないや」

 

ピッ……と音がした。

 

「これは……!!」

 

「!!」

 

「まずい!」

 

「ああ……ここでこうなるんだ」

 

バイパーのチョーカーから溢れ出る光が強くなる。少年はチョーカーを慌てて掴む。

 

「動くな!外せば……!」

 

「ダーリンは本当にいい人だね。最後までこれだもん。もう少し……早く知れたら良かったのにな♡」

 

バイパーは寂しく微笑む。

 

「ダーリンという人を。私の気持ちを」

 

ドン、と少年をバイパーが突き飛ばした。光が更に強くなる。

 

「ジャッカルをお願い。ダーリン」

 

「あいつ、お人好しのバカだから」

 

それが最期の言葉だった。爆発がバイパーを中心に発生する。バイパーは力なく倒れた。

 

「バイパー……」

 

「……」

 

こうなったということはシュエンは間違えて押したのだろう。

 

「お……い…クロウを、頼む……」

 

E.Hが力なく倒れた。彼女は全身火傷を負っている。クロウはゆっくり起き上がるとこちらを一瞥して歩き始めた。

 

「少年、ここは任せろ。君が行け。けれど、決して乗るな。乗れば終わりだよ」

 

「……分かった。今にも怒りでどうにかなりそうだが」

 

「感情的なのはいい事だ。でも、そればかりじゃ生きていけない。務めを果たすんだ」

 

「ああ」

 

少年の背中を見送る。僕はE.Hの応急処置を行った。彼女は気絶している。そうしていると後ろから足音が聞こえる。

 

「スカイ!指揮官は!?」

 

「ラピ……この先にいるよ。クロウも一緒だ。大丈夫だと思うけど万が一ということもある。間に合ってくれ」

 

「……分かったわ。今医療チームが来ているから」

 

「ああ、この場は任せて」

 

「お願い」

 

ラピも進んで行く。

暫くして、一発の銃声が鳴った。音からしてゴム弾だろう。

 

これで、アークテロ事件は終わったのだ。

 

ーーーー

 

それから、クロウは投獄された。アウターリムでの一件はテトラのメイン放送チャンネルを中央政府に譲り、解決した。

 

ユニとミハラはそれぞれ更正館の独房に収監された。後でブルーマイトが様子を見に行くと言っていた。何をするのか……恐らく予想は付いてはいるが。

 

「シグナルアウト。ブルーマイト……記憶以外のデータを消去したな。アークに骨を埋める気か」

 

それもまた選択なのだろう。悪いとは言わない。救われなかった者を救う。それがどう転ぶかは分からないけれど。

 

「僕も行かなきゃな。M.M.Rに」

 

装備を整えてM.M.Rに向かう。最悪ニヒリスター、トーカティブ、インディビリアの3体連戦だ。何もしなくてもいいだろう。ラピが何とかする。だが、今回は懸念材料が多い。介入した結果ネームドのニケが吸収……なんて事になったら、目も当てられない。

 

M.M.Rに足を運ぶ。まだポリやミランダ、ドロシーにピナの姿はない。交渉が長引いているのだろうか。

 

「……エブラ粒子が濃い……」

 

固く閉ざされた扉を開ける。そこには。

 

「お前……エデンの。へぇ?早かったじゃねぇか」

 

「ニヒリスター……!!」

 

「……あら、知り合いですか?」

 

その声に、ゾッとした。何故?まだ、復活していない筈なのに。

 

「インディビリア……だと……!?」

 

ヘレティック、インディビリアがニケの姿として復活していた。

 

「あぁ?お前らも知り合いか?まあいいや。助かったぜ、ニケ共がここに集まってくれてたお陰でよ」

 

「量産型……!!集まっていたのが仇になったのか!?」

 

部屋を見る。突入したであろう量産型ニケの武器が転がっていた。生存者は誰も、居ない。

 

ヒュン、と音がした。目の前に刃が迫り、シールドビットの自動防御が発動する。

 

「あら……残念ですね」

 

「見切られてんじゃねぇよ。なんだぁ?この前までは調子悪そうだったのに、ピンピンしやがって」

 

「色々あってね。そっちこそ、前よりは弱そうに見えるけど?」

 

「色々あったんだよ」

 

「そうか……」

 

臨戦態勢を取る。しかし、予想外というのは何度も来るらしい。下卑た笑い声が聞こえる。

 

「久しぶりだな、ブルースカイ」

 

「……トーカティブ!?」

 

豪腕が振るわれる。咄嗟に回避するも設備が壊れる。このままじゃ被害が……。

 

「最悪過ぎ。悪いねエイブ。使うよ」

 

「あぁ?何言ってるんだ?」

 

「システムOVERLOAD、起動」

 

身体が青く光る。エネルギーが全身を巡って、迸る。

 

「なんですか……コレ」

 

「悪いけど、付き合って貰うよ」

 

フルバースト。天井に穴を開けると、高速で3体を蹴り上げ、外へ連れ出す。

 

「ビット!」

 

「ちっ!コイツ!」

 

空中戦ではこちらが有利。ビームの雨を叩き付けてソードビットで切り刻む。地面に降り立つと、真っ先にトーカティブが反撃してくる。

 

「くっ!」

 

拳同士がぶつかる。華奢な腕の所為でパワー負けギリギリ。でも。

 

「スラスタービット!」

 

腕にスラスターを付けて、無理やり出力を上げる。

 

「ぐ……が……なん、だ!?」

 

「スマァァッシュ!!」

 

地面にトーカティブを叩き付ける。

 

「そこです」

 

「甘い!」

 

隙を狙ったインディビリアの攻撃は全てシールドビットで防ぐ。舌打ちが聞こえるが、それ所ではない。

 

「こっちも忘れんなよ!」

 

「く、そっ!」

 

ニヒリスターの蹴りを腕で防ぎながら、同時に繰り出された尻尾の薙ぎ払いを避ける。

 

「アァァァァ!!」

 

トーカティブがめり込んだ地面を破壊して復活する。

 

「埒が……」

 

「スカイ!!」

 

「スカイ様!!」

 

そこにドロシーとピナが駆け付ける。後ろにはポリとミランダがいる。

 

「ヘレティック……!?援護しますよん!」

 

「ダメだ!ピナ!シールドを2人に!」

 

「ッ……!!」

 

ガン!!とインディビリアの刃を防ぐ。後僅かに遅れていれば、ポリとミランダは真っ二つにされていただろう。

 

「あ……あ……あれ……眠気が……」

 

「ミランダ!?……あ……」

 

ドサリ、2人が倒れる。インディビリアのエブラ粒子の所為だ。

 

「ピナ!2人を守れ!ドロシーはニヒリスターを!」

 

「は、はい!」

 

「分かりました。ですが……」

 

「カウンターズが来るまで、足止めをする……!!」

 

「俺に勝てなかった奴らが集まった所で勝てる訳ねぇだろ?」

 

「貴女も私達に勝てなかったでしょう?」

 

ドロシーとニヒリスターは交戦へ。

 

「2対1、嬲り殺し甲斐がありますね。動きを見切られてて腹が立っているんです。こう見えても」

 

「君の動きが単調なだけだろう。それに、刃を扱う者は間近で見てきたからね……!」

 

「今日は随分とお喋りだな。余裕がないのか?その形態。随分と辛そうだが」

 

「うるさい!」

 

弾幕を張りながらインディビリアにはソードビットとシールドビットを。トーカティブには肉弾戦を仕掛ける。

 

「図星だ。動きは速いが単調。焦っているな?」

 

「的当てで閉じ込めようとするの、舐められていますね。それに硬度もある。同じ箇所を避けて破壊されるのを防いでいるのは……時間稼ぎでしょうか?」

 

「冷静な分析どうも……!!」

 

「ですが……こうすればいいだけの事」

 

音を斬る音がした。叩き付けるのではなく、引いて斬る薙ぎ払い。連戦で使用していたシールドビットが破壊された。

 

「ほら、簡単に壊れて行きますよ?脆いですね」

 

「まずい……!」

 

「スカイ!」

 

「指揮官!待ってください!」

 

「嘘っ……ニヒリスターに、トーカティブ!?」

 

「それにアレは……まさか……!」

 

カウンターズが合流した。しかし、まずい。

 

「アニス!ネオン!避け__」

 

「間に合っ__」

 

ヒュン、ヒュン、と2度音がした。アニスとネオンは真っ二つに両断された。

 

「あら……掻い潜れてしまいましたね?巡礼者もこんな物でしょうか……?」

 

「くっ……!!」

 

「指揮官!下がってください!」

 

「すみません…っ!!私が遅れたから!」

 

ピナがポリとミランダを抱えて指揮官とラピの前に出る。2人はエニックと通信をしている。ここは抑えなければならない。だが……。

 

「持ってくれ……」

 

「……出力が弱まっている。貴様、限界だなぁ?」

 

ニタリ、トーカティブが嗤った。次いで、誰かが叫んだ。後ろ!と。

 

振り向けば眼前にインディビリアの刃が迫っていた。シールドビットは間に合わない。死ぬ。いや、ダメだ、死ねない。死ねない。

 

「……システムOVERLOAD…200%」

 

更に身体が青く発光する。瞬間、僕は消えた。

 

「何ですか……」

 

「何だ?」

 

「ふっ__!!」

 

超高速起動。限界を超えた限界性能。オーバースペック。けれど、5分しか持たない上にボディへの反動と負荷は計り知れない。

だから。

 

「ラピ!!バックアップを頼む!!ルートは計算できたろ!?そこに!」

 

「!!……指揮官、必ず、私を見つけてください」

 

ラピの身体が赤く発光する。そして、見覚えのあるマフラーが靡く。

 

地面に降り立ったドロシーは駆け出したラピに着いて行くが、段々と離される。

 

「おいおい……なんだよ、これ、なんなんだよ!!」

 

「お前達は知らなくていい事さ!!」

 

「このっ……私が……!?」

 

「ぐ、ぅぅぅぅ…!!」

 

ラピと同時にヘレティックを圧倒し、エレベーターに押し込む。そして地上へ射出されて行く。

 

そうして、どれくらい経ったのだろう。限界をとうに迎えた僕は、機能がどんどんと低下して行く。やがてヘレティックの姿が見えなくなった頃。ラピが力なく倒れたのを確認する。

 

ボキ!ボキッ!と音がする。それから、ラピだったもの。いや、よく見知った彼女はゆっくりと体を起こした。

 

"レッドフード"は無言で辺りを見回した。そして。

 

「……ハカセ?」

 

「……やぁ、久しぶり……だね」

 

そこで僕の意識は途切れた。




久々の投稿でした。
やっと書きたいところを書ける〜〜!!でもどうしようかな!!!!!(ラピのイベントで脳を焼かれた民)

小説の方向性(セリフや描写など)

  • 積極的に改変が欲しい
  • 原作準拠で大丈夫
  • 原作準拠だが改変は間間に欲しい
  • 幕間エピソードが欲しい
  • 激しい改変はなくて大丈夫
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