絶望を希望に変える為に   作:スカイ⛅

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本編は一旦ここまで。
次回からLast Kingdom編です。

【お知らせ】
裏設定や進捗を載せたり纏める為にXを開設させて頂きました。
ぼちぼち更新して行けたらいいなと思っております。
よろしくお願いします。


chapter帰還③:希望を紡ぐ1ページ

指揮官は目が覚める。天井は無機質な白で、辺りを見回せば様々な機材と目を閉じている皆がいる。

 

「終わった……のか?どうなった?」

 

覚えているのはレッドフードとラピが同時に攻撃を繰り出した後、ブルースカイが様々な色に光り輝き、キメラへと突撃を敢行した事。

 

「アニス、ネオン」

 

2人の肩をゆする。するとすぐに目が覚めた。

 

「ううん……戻って……きたの……?」

 

「なんだかとてつもない火力を目にしました……師匠……」

 

「2人とも無事だったか。良かった」

 

ほっ、と安堵する。そして次に起きてきたのはゴッデス部隊の面々だった。

 

「ふぅ……アレはびっくりしたのう。それにしてもあの武器は一体……」

 

「あぁ……レッドフードに約束をしたんだ。武器を作ると。試作品はラプチャーとの戦闘でどこかに置いてきてしまったが、設計データは存在する。まさかこんな所で披露するとは思わなかった」

 

「それにしても荒業でした。今回はデータの中での戦いでしたが、アレが実戦で起きたらと考えると……少し恐ろしいですね」

 

紅蓮、スノーホワイト、ラプンツェル。

 

「侵食されてしまった場合……というのも考えてしまいます。彼女の事ですから備えはあるでしょうが」

 

「でも、侵食の治療方法はアンチェインドしか……いや、スカイ様の事ですから持ってそうですね!!」

 

ドロシー、ピナ。続々と起きてくるニケが増える中で、コフィンとクローンスカイは未だに目を覚まさない。

 

「ね、ねぇ。本当に大丈夫なの?死んでない?」

 

その時、プシューと音を立てて左右のコフィンが開く。まず、右側から現れたのはラピだった。しかし、髪色は赤くなり、装備も変わっている。

 

「これは……ボディの変化……いえ、進化?」

 

「ラピー!!」

 

「ラピ!」

 

起き上がってきたラピに一目散に駆け寄るアニス、ネオン、指揮官。

 

「大丈夫か?身体の様子は?」

 

「はい、問題ありません。ただ……まだ維持が不安定の様です」

 

そう言うとラピの身体は元に戻ってしまった。仕組みは分からないが帰ってから検査すればいいという事に落ち着いた。

 

「それで、レッドフードは?」

 

ドロシーが尋ねる。コフィンは開いたが中から出てくる気配がない。不安に駆られた一瞬、静寂を破るようにドン、と音がした。

 

「はーーったく、本当に無茶を通すとは思わなかった。流石スカイって感じだな……改めて、ただいま、皆」

 

「レッドフード……!」

 

ピナ以外のゴッデス部隊の面々が駆け寄る。ドロシーは思わず抱き着いてしまうくらいに。

 

「おっと、随分見ない間に大胆になったな?」

 

「っ……それは……貴女が……こうして、生きてくれていたから」

 

「死んでいたようなもんさ。今はちゃんと生きてるって実感がする。というか凄いなこの身体。寸分違わずアタシのボディだ」

 

「そう考えると本当に不思議ですね……スカイの能力には脱帽してしまいます。身体に異常は?」

 

「ない!至って正常。カントリーミュージックが聴きたいな」

 

「ふぅむ……思考転換の様子も見られない。完璧のようだね」

 

「アタシが思考転換すると思うか?」

 

「全く持って思わんね」

 

「ハハッ、だろ?……で、おちびちゃん。スノーホワイト、来いよ」

 

「……だが」

 

「ったく、しょうがないな」

 

手を伸ばそうとして引っ込めたスノーホワイトに溜息を吐きながら、レッドフードは自らヘッドロックを掛けに行く。

 

「会えて嬉しいか?」

 

「ああ……」

 

「随分大変だっただろ、リリスが死んで」

 

「……」

 

「悪かったな……でも大丈夫。あたしがいるよ」

 

「レッド……フード……」

 

「スカイが必死こいて繋ぎ止めたんだ。アタシもそれを継承しないとダメだろ?それにさ、純粋に再会できて嬉しいんだよ。こうやって生きて会えるのが」

 

「……とても、会いたかった」

 

ぎゅう、とスノーホワイトはレッドフードを抱き締める。それを微笑みながら彼女も抱き締め返す。

 

「行かないんですか?ピナ」

 

「私は見てるだけで満足です。それだけで、とっても嬉しいので」

 

「……そうですね」

 

本来ならこんなやり取りは出来なかったのではないか、ドロシーはそう思った。

 

「よーしよし、良い子だ。……で、肝心の功労者はまだか?」

 

シーン。真ん中のコフィンは開かず、クローンスカイも目を覚まさない。嫌な空気が場を支配する。もしかして、いや、彼女に限ってそんなはずは……。

 

「ッ……!!」

 

ガシャン!!突然コフィンの扉が壊された。中から白い煙が溢れ、中からスカイが出てくる。しかし、その姿は見知った物ではない。

 

白髪ロングにレッドフードより少し低いくらいの身長。更にたわわに実った胸。所謂ボンキュッボン。青い装甲から素肌こそ見えないものの、タイツがピチッと張り付いている。そしてその上に白衣を羽織っている。

 

「その様子だと無事成功したみたいだね。……おや、私の声も変わっている?……私?これは……」

 

「おいおいおい、ほんとにスカイか?」

 

「ああ……ちょっと待ってくれ」

 

彼女は鏡に映る自分を見る。そして懐かしむような視線を送ると、コホンと咳払いをした。

 

「改めて名乗ろうか。フェアリーテールモデル第2世代。その名もブルースカイ。この姿は人間だった頃の私だね」

 

「へぇ……アンタそんな格好してたの?」

 

「どうだったか……身体はもう少し貧相だったが開発者の性癖なんだろう。ピチピチタイツも含め。アイツはそういう奴だからね」

 

「で、結局何があったんだよ?」

 

「オーバースペック。ボディとコアの歯車がカチッとハマって適応したみたいだ。以前の私よりも遥かに強いんじゃないかな?口調に関しては……慣れて欲しい」

 

そう言われても……という空気になる。ただ、スノーホワイトは徐に自分とスカイを見比べて、何とも言えない表情をする。

 

「……負けた」

 

「胸の大きさか?スノーもだいぶ大きくなったろ?」

 

「……身長の話ではないかね。スカイはスノーホワイトと同等だったろう」

 

「ははっ、まあ落ち込まないでよスノー」

 

「なっ……!離せ!」

 

スカイは軽々とスノーホワイトを抱き上げる。ジタバタしていた彼女だったが、やがて諦めたかのように抱かれている。

 

「むぅ……」

 

「お似合いだぞ、おちびちゃん」

 

「うるさい」

 

「……あの、僕も目が覚めたんだけど……」

 

「クローンスカイ!君も無事だったのか、良かった良かった」

 

「マスターの為に頑張ったからね……ふぅ……」

 

「……それで、これからどうするの?目的は達成した訳でしょ?」

 

「私とピナはアークに寄った後、エデンに帰ります。ニヒリスターの件がありますのであまり不在にはしたくありません」

 

「なら僕も着いてく。どうせマスターはここ拠点にするだろうから、引き継ぎ」

 

「分かりました、いいでしょう」

 

「……私達3人は反撃の糸口を見付けた。それを追う。暫くは連絡が取れないと思う」

 

「反撃の糸口?それはなんだ?」

 

「ブラザーにもまだ言えないのです。こればかりは申し訳ありません」

 

「すまないね、ぼっちゃん。しかしその内明らかになる。それまでの辛抱だと思っておくれ」

 

「分かった」

 

「私とレッドフードはカウンターズに同行するよ。その方が多分いい。後は途中抜けたりとかはあるかもしれないけど」

 

「レッドフードも?」

 

期待を孕んだ目をラピが向ける。レッドフードはニカリと笑いながら。

 

「弟子の成長をこんな特等席で見られるんだぜ?悪くないだろ。あたしはエデンとかスノー達が何してるかは分からないからさ、こっちの方がいい」

 

「だが……扱いが……」

 

「そこはほら!なんか上手いことちょちょいっとやってさ!」

 

「アンダーソン副司令に話を通せばいいと思うよ。元々私が着いているんだし、そこら辺は臨機応変に対応してくれるよ」

 

「そうだろうか……」

 

「……なんか腹立つわね。私達だけレベルアップしてないみたいで」

 

「そうですそうです!!頑張ってるのに!!」

 

「そんな2人にはね〜〜この特注の水着をプレゼント。性能が変わるよ〜」

 

スカイはスパークリングサマー水着を徐に取り出す。

 

「誰がそんな怪しい話に乗るのよ!!大体海でもないのに水着って痴女じゃない!!」

 

それはそう。そもそも水着で性能変わるとは一体何なのだろうか。きっとタクティカルでエンターテイメントな技術なのだろう。後それヘルムに刺さってると思う。とスカイは思った。

 

「まあまあ、それは一旦置いておくとして。ここで全員解散かな?私はちょっとスノー達に着いて行こうと思う」

 

「何かあるのか?」

 

「大丈夫だと思うけど、一応ね」

 

「そうか、分かった」

 

そうしてドロシー、ピナ、クローンスカイはエデンへ。スカイ、スノーホワイト、紅蓮、ラプンツェルは元の場所へ。残された5人はアークへ報告に向かうのであった。

 

ーーーー

 

「……なんだと?」

 

報告を聞いたイングリッドは思わず顔を顰めた。レッドフードとラピの完全分離に成功。ラピのコアに微弱な何かは残っているもののレッドフードは消えている。しかし、出力を上昇させる事で以前のような力を発揮する事ができる。安定すれば完全にボディが変更……進化するそうだ。

 

「レッドフード……伝説のニケの復活……訳の分からない物に頼らないと思っていたが、まさかこうなるとは」

 

「どうする?」

 

「どうするもこうするも、完全に分離したのなら問題ないだろう。寧ろレッドフードをアークの傘下にするつもりはない。存在は秘匿……スカイと共に友好的なピルグリムとするのがいいだろう。詳しくはアンダーソンから聞いてくれ」

 

「その……いいのか?色々厄介事だと思うのだが」

 

「頭痛の種は増えるが、それは我々の問題だ。では、ご苦労だった。検査が終わり次第返す。待機していてくれ」

 

「分かった、ありがとう」

 

ーーーー

 

「見つけただと?」

 

「はい」

 

「私が無理な命令をしたからといって出任せではないだろうな?」

 

「違います」

 

そういって指揮官はレッドフードの故郷を見せた。地下にあるスカイの研究施設も同様に。

 

「……ここは。そうか、アークから徒歩で1週間以上かかる距離。土地の状態もよく川も流れている。海からほど近く、山に囲まれている。面積も差程広くない。条件は整っている」

 

「では、ここを君の地上奪還。最初の目標とするか?」

 

「はい」

 

「いいだろう。許可しよう。光学迷彩装置を展開し、地上に駐屯地を設営したまえ。余裕が出来次第エレベーターも開通させよう。そこを中心とし、各地に駐屯地を作ってくれ。各地に点を打ち、その隙間を線で埋める要領で進めればいいだろう」

 

「そして、ある程度地上が確保できたと判断できた場合、兵力と物資を集中的に投入し、各種施設と防衛ラインを構築していく」

 

「それを数十回、数百回と繰り返して行けば」

 

「地上を取り戻せるだろう」

 

「分かりました」

 

アンダーソンの言葉にそう返した。納得する部分もあった。困難が待ち受けているのは変わらないが、頼もしい仲間が増えている。

 

「……そして、レッドフードの扱いだが」

 

「はい」

 

「ブルースカイと同じく君に協力するピルグリムとして扱う。結論、好きにして構わない。という事だ」

 

「よろしいのですか?」

 

「構わない。エリシュオンは元々事情を把握している。そしてミシリスは君の傘下。テトラはブルーマイトに集中している。3大企業は口を出さないだろう」

 

しかし、と付け加える。

 

「他の副司令官は違う。マリアンの件のようになるかもしれない。最も、彼女に手を出せば彼女の仲間からの報復が待っている事は明確だ。だが、気を付ける事だ」

 

「分かりました」

 

「さて、地上奪還の続きだが__」

 

ーーーー

 

「ええと……これを押せばいいのよね?」

 

「そうじゃないですか?PUSHって書いてありますし」

 

「さっさと押せばいいだろ〜?」

 

「あ!ちょっと!」

 

ポチっ。ガチャ、ガチャ、ガチャ!

シュエンから受け取った大きなスーツケースのような箱が大きな音を立てて開いた。

地面に本体を固定するアンカーが刺さり、空に向かってアンテナのような柱が伸びた。

アンテナの大きさは10メートル程に見えた。

 

「おー、意外と伸びたなぁ」

 

「そうね……」

 

「これで終わりでしょうか?」

 

「まだ。発電機を繋げないと。電力が供給されれば、動くはずよ」

 

「それで終わりですか?」

 

「なーんだ。簡単じゃねえか」

 

「も〜っ!説明の時になに聞いてたのよ」

 

「昔の曲を聴いてたんだよ」

 

「何も聞いてないってことね……よく分かったわ」

 

「レッドフード……。作動させると擬似的なコーリングシグナルが周囲のラプチャーたちを引き寄せる。それで集まったラプチャーを一掃してから、光学迷彩を稼働させるの。光学迷彩が効いてる場所は、ラプチャーからは何もないように見えるはず。さらにラプチャーの熱感知センサーと「あーはいはい!大体分かった!!」………」

 

「要はラプチャーをぶっ飛ばしたら後は安全!って事だろ?」

 

「……そうね、その認識で合ってるわ」

 

「ちょっと!ラピ!貴女レッドフードに甘いわよ!!」

 

「古い付き合いだからな?ラピ」

 

「……そうね」

 

「古いものほどいいんだよ。若い奴らには分かんないか〜〜〜」

 

「私達だってラピの友達なんですけど!?」

 

「う る さ い」

 

せっせと準備をしていたクローンスカイが毒を吐く。

 

「いや元々分かってたけど、僕がここに在中する事ぐらい。でもマスター不在ってどういう事?」

 

「あー、なんだっけ?スノー達と一緒に行動するって言ってたな」

 

「はぁ……」

 

「ちょっと溜息吐かないでくれる!?こっちはレッドフードに曲を聞かされてしわくちゃになりそうだっていうのに!」

 

「わんわんわん!!がるるるる!!わん!わん!!」

 

「何よそれ!?」

 

「カウンターズの犬とお喋りしてる。分かる?」

 

「アンタねぇ!!!!!!!本人も可愛げもないけどクローンはもっと可愛げないわよ!!!」

 

「そうですそうです!常に私疲れてます、みたいな顔しちゃって!」

 

「全員そこまでにしてくれ……発電機を繋ごう」

 

「……ラジャー」

 

ブーン、と音から少し、コーリングシグナルが発生する。

 

「来ます!」

 

「あれは……!」

 

「コードネーム・ウルトラ!侵食誘発個体だ!全員気を付けろよ!アタシもしくじった!」

 

「古い町だから、古いのが出てくるってわけね!あんなのでまだ動くの?」

 

「雑誌で見た事あります!凄く強いらしいですよ!?」

 

「実際強いね」

 

「そうはいっても、旧型よ。倒せるわ。……私とレッドフードがいるなら、なおさら」

 

「おいおい、嬉しいねぇ?じゃあ……新しい友達に古い友達の連携見せつけるか?」

 

「ちょっと腹も立つけど……やってみましょ!」

 

「行くわよ!」

 

「はい!」

 

「装甲展開」

 

「行こうぜぇ!」

 

「エンカウンター!」

 

戦闘はラピとレッドフードの巧みな連携を中心に進み、終了。しかし、マザーホエールが登場する……が、その中にいたのはラプチリオンだった。

 

新たな仲間を獲得して、カウンターズは進んで行く。

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