皆さんはエデンのサブストーリー見ましたか?自分はどひゃー!!!!!!!という感情です助けてください激アツすぎる。
ストーリー更新に合わせて捕鯨の間の描写などを変更しています!
これは昔の話。
これは私の知らない話。
オリジナルではないクローンが紡いだ古い物語だ。
システム同調率80%
起動確認:クリア
記憶同調:安定
装備展開:可能
声が聞こえる。
友の声だ。泣いている。割れないガラスを叩いて、叩いて、殴って、ガラスに映る彼女は全てを蹂躙をしていた。助けなければいけない。その為に作られたのだから。救わなければならない。その為の翼なのだから。
『ようこそ世界へ、クローンスカイ。私の友人を頼むよ』
その声は紛れもなく私の声だった。
「ん……ここは……」
「たす……けて!たすけて……!スカイ……!」
ポッドから身体を出そうとすると、リトルマーメイドの泣きじゃくった顔が目に入った。
「スカイ……!!」
「……ヘンゼルとグレーテルはスカイが私達の事を覚えてないと思ってるわ」
「瞳が赤くない、大丈夫……?」
状況を理解する前にリトルマーメイドに抱きつかれ、ヘンゼルとグレーテルに心配の声を掛けられる。記憶の同調は安定しているが状況が飲み込めない。一体どうした……?
「落ち着いて、シンデレラとエイブは?どうしたのさ」
「それが……あう……」
「私から説明しましょう」
その場に立っていたのはもう1人。やや痩せ細い印象を持たせる男性。
オスワルド。
「オスワルド……なるほど。何かあったみたいだね」
「ええ、貴女はブルースカイのクローン。名称はクローンスカイで合っていますね?」
「合っているさ。マスターが何かあった時の為に残しておいたのが僕だ。事態の説明を頼む……ほら、泣き止むんだ、セイレーン」
「う……うう……」
彼女はぐすぐすと泣きじゃくる。ヘンゼルとグレーテルも悲痛な面持ちで、ただならぬ事態が起きているのだと推察できる。恐らくはシンデレラの侵食だろう。
「結論から言います。エイブがへレティック・アナキオールを連れて逃走しました。更にレッドシューズの死亡を確認しています。貴女にはその捜索に協力をしてもらいます」
「了解した。シンデレラに関しては問題ない。アンチェインドを打たれればペレティックは侵食から回復する」
そう告げながらポッドから出るとオズワルドは怪訝そうな顔をした。
「何故知っているのですか?」
「さぁね。でも当たりだろう?今のはオフレコで頼むよ」
「……やはり貴女はクローンであっても凄い。ですが事態は深刻です。レッドシューズは侵食の研究をしていました」
「それはラプンツェルもだろう?何か問題があったのか?」
それはラプンツェルもやっていなかったっけ。はて、スリープモード中に行われた記憶の更新はここを出立してゴッデス部隊に合流した日で止まっている。だからこそ、次の言葉はまだ知らない。知りたくもないおぞましい内容だった。
「レッドシューズが行っていたのは侵食を進化させる研究です」
「__は?」
酷く乾いた声だった。侵食の進化?その研究?それを指し示す内容はつまり__人類の敗北。勝利の女神:NIKKEの諸悪の根源とも言うべき忌むべき存在。それが、人為的な物だった?
「はは、」
恐らくマスターだったら全てに絶望していたか、レッドシューズを完膚無きまでに殺していただろう。何故気付かなかったのかと内心頭を抱えてしまう。
もし侵食がなければレッドフードは無事で、宇宙エレベーター攻略戦にシンデレラが投入され、クイーンを撃破できた。そう、全てがここで終わっていても何らおかしくなかったのだ。
それを抜きにしても今後はピナ、マリアンが侵食により死ぬ。それ以外のニケも、勿論。ああ、胸糞が悪い。
「なるほどね……把握した。問題ない。ただし、僕はマスターの命令にのみ従うよ」
「……貴女は中央政府の命令に背くと?」
「僕のマスターはブルースカイ。ブルースカイの指揮官は彼。誰も僕に命令権を持っていない。シンデレラは今後の戦いに必要だ。物語を書き直す為に」
「あう……でも……いけるの……?」
「ヘンゼルとグレーテルは……怖いと思うわ……」
「安心しなよ。アレがマスターでもズタズタに引き裂いて殺してた。昔っから気に食わなかったんだよね、そもそもさ」
ぽん、ぽん、ぽん、と3人の頭を撫でる。
「オスワルド。君の事だ、作戦はあると見た。汚名を返上しに行こうじゃないか。マスター達はアークガーディアン作戦で手一杯だろう?」
「はい。その通りです。……しかし、できるので?」
「こんな事もあろうかと空戦・宙域戦闘装備なんだよね。突貫工事にはなるけど、奇襲を行えば逆転できる」
「勝算は?」
「勝利の女神にそれを聞く?野暮ってもんだよ」
くく、と笑う。ふ、と呆れた笑みが帰ってきた。
「オスワルド、軌道エレベーターまでの安全なルートをお願い。後、シンデレラへの道案内もね」
「分かりました。貴女がそういうのであれば別のプランを用意しておきます」
オスワルドは下がって行った。後に残されたのは4人だけ。さて、大仕事だ。
「スカイ……大丈夫、なの?」
「ああ。アンチェインドを打たれた時点でシンデレラは元に戻っている」
「そうじゃなくて、怖くない?いきなり目が覚めて、こんな事態になってて……」
「その為の僕だからね、怖くないさ」
ポンポン、とリトルマーメイドの頭を撫でる。泣き虫なのは相変わらずだ。
「ヘンゼルとグレーテルは怖いと思うわ。……レッドシューズが酷い事をしていたのは分かるけど、殺さないとダメだったの?」
「ダメなんだ。彼女の所為でゴッデスの作戦は失敗した。この後の人類は敗北の一途を辿る……後の事を考えれば、彼女さえいなければ……地上に残ったラプチャーを殲滅すれば終わっていたんだ」
「スカイはどこまで知ってるの?どうして知ってるの?」
「そういう能力なのさ、演算と言っても過言じゃない。今の状況が続いたらどうなるかの演算処置。それを頭の中に入れて行動している。どうしても回避できない事はあるけどね……ヘンゼル、グレーテル、おいで」
小さい身体同士で抱き締め合う。
「人類は醜く愚かだ。きっとこの先絶望してしまう事があるかもしれない」
「そんな事があるの?」
「あるさ。第二世代の記録は抹消されるだろうから、今後人間に捕まったらデータ収集で解剖、なんて事も有り得る。ゴッデスだってダメな人もいた。でもね、いつだって希望はあるんだ」
「希望?」
「そう、希望。どんなに苦しくても辛くても、忘れちゃいけないよ。100年以上掛かったとしてもね」
「そっ……か」
「そういう時は人類の味方にも敵にもなろうとしなくていい。時が来るまでゆっくりしているんだ。勿論僕達がいるけどね」
「ヘンゼルとグレーテルは難しい事は分からないわ。でも、スカイの言う事は信じるの」
「ありがとう」
ーーーー
シンデレラとエイブと無事に合流した。皆が集うその光景はとても綺麗な物で、だからこそ、この後に控える事態を想像すると辛い気持ちになった。
「大丈夫ですか?スカイ」
「オスワルド……ああ、大丈夫だよ。僕は君の事を非情な人間だと思っていたけれど、寧ろ逆だった。やっぱりファンだからかい?」
「はは、そうですね。だからこそ辛い物もありますが……」
「それなら大丈夫だと思う。僕がいるから、問題ない。アークガーディアン作戦できっとゴッデスは辛い目に遭う。君も辛い選択をする。でも、それに負ける僕らじゃない。その為に僕もマスターもいるんだから」
「だとしても、です。それにしてもまさか本物よりも貴女と先に会話をするとは思わなかった」
「基本の性格は変わらないよ?」
「こう見えても緊張しているんですよ」
ふ、と彼は自嘲するように笑みを浮かべる。きっとオスワルドと直接会話をするのはクローンの僕だけだろう。マスターは通信越し。なんだか複雑だな。
「ゴッデスはどうなる?」
「神格化されるでしょうね。でもそれは……個人的には許せません。データも上書きされてなかったものになるでしょう。ですから、何かないかと考えています」
「それならさ、残してしまえばいいじゃん。極秘に。ゴッデスの活躍も、第二世代も、それ以外の記録も全部」
「それができると?」
「できるさ、君ならね。それが未来に役立つかもしれない」
「……分かりました。考えておきましょう」
ジジ、と突然脳裏に光景が浮かんだ。青い髪のニケが古い書庫で記録を管理している光景。
『昔話は__美しく終わる』
きっとこれは、僕もマスターも知らない未来の話なのだろう。目の前の彼や彼らの苦悩。それを知る由はまだ先だ。でもそうだな、全てが終わったら、全員でそこに行きたい。ゴッデスも、第二世代も、全員。
ーーーー
ラプチャーを殲滅して、軌道エレベーターの中。地上を見下ろせばラプチャーの残骸が広がっている。アークガーディアン作戦も最終段階に入ったのだろう。……マスターは無事に改変を行えているといいんだけど。
「聞いているか?スカイ」
「ん、ああ」
「話を戻すぞ。つまり、最悪の場合でもステーションを切り離す事さえできれば……」
「ラプチャーの製造は止まり、有限になる。それが果てしない数だとしても、か……」
少し熱い。なんだろうか、センサーには反応がない。ただ、嫌な予感がする。シールドビットを展開し、全員の頭上に配置する。
「どうした?」
「今攻撃されたらまずいからさ、一応ね」
「そうか」
「ヘンゼルとグレーテルは少し暑いと思うわ」
「システムの故障か……?」
その瞬間、ピピ、とセンサーに反応があった。目標は__ここだ。
「まずい!!」
急いでリトルマーメイド、ヘンゼルとグレーテルを引っ張る。すると先ほどまで3人がいた場所が何もなかったかのように熱線で焼かれていた。
「ぐ……気圧がっ!!」
「離して!スカイ!」
「ヘンゼルとグレーテルも大丈夫だから離して!行って!」
「クソっ!」
第二射が来る。その前に手を放す。焼かれないようにシールドビットを自動追従させる。だが、僕にできたのはそこまでだった。
「ッ!!!!!!」
「「スカイ!」」
勢いよく吹き飛ばされた。幾ら空戦・宙域戦闘に特化した装備とはいえ、追い付くのは難しい。
「エイブ!シンデレラ!後を頼む!」
シールドビットを随伴させる。それが僕にできた仕事だった。ここからは彼女の物語だから。
「まずい……墜落するッ!!」
姿勢制御の為にスラスターを吹かす。だが、重力には逆らえない。急加速の所為でスラスターが逝かれた。装甲が青から灰色に焼かれて行く。熱い、熱い。
「ぐ……ステルス起動……!」
光学迷彩をオンにして衝撃に備える。少しして地面に勢いよく墜落し、意識を失った。
ーーーー
システム同調率50%
強制スリープモード起動中
起動確認:クリア
記憶同調:安定
装備展開:不安定
「目覚めるんだ」
声が聞こえた。視界が明るくなる。
マスターの声だ。
「物語を書き換えるなら、エイブの頭脳は必要だ」
そう言われて目が覚めた。周りは荒野の廃墟群が見える。場所は分からない。マッピング機能が壊れたらしい。
「取り合えず……歩かないと」
装備を展開するがシールドビットは全損。かろうじてガンビットとソードビットが存在しているだけだ。
「……今はいつだ?日付の機能も壊れてるじゃないか……」
こんなのでどう合流すればいいのだろうか。一抹の不安が脳裏を過る。彼女達はこれに耐えていたのかと。
そんな時、廃墟から戦闘音がした。アラートでラプチャーがいる事を確認する。
「助けに行かないとね」
自己修復機能が備わっていたからかスラスターは回復している。装甲は錆びついた灰色だが行動に支障はないだろう。上空を飛翔してみると5機のラプチャーが見えた。そこに、戦っているエイブの姿も同時に捉えることができた。
「ビット!」
照準を合わせてビットを放つ。真っ先に倒れたのはエイブに照準を合わせていたラプチャーだった。
特殊個体でもないただの雑魚ラプチャーは呆気なく機能を停止した。
「誰だ!?……まさか……!」
「僕だよ、エイブ。待たせたね」
「スカイ……!よく、無事で……!いや、話は後だ。シンデレラの修復を手伝って欲しい」
彼女はそう言いながら僕をとある民家に案内した。そこには棺があった。中には眠る様にしてシンデレラがいた。
「何もかも揃っていない。移動するにも私だけでは不可能だ。ひとまずの処置しかできていない」
「なるほどね。アレから何年経った?他の皆は?」
「凡そ3年ほど。皆の消息は不明だ。シンデレラも目覚めない……移動も不可能だった所をラプチャーに襲撃されて迎撃に出ていた。付近のクレーターは見たんだが……ステルスが暴走していたのか?」
「うーん、かもしれないね。とりあえずエイブの研究所は?」
「それがいいかもしれない。後気をつける事はなんだ?」
神妙な面持ちでこれからの事を相談する。とりあえず決めた事は
1:ゴッデス以外のニケと極力関わらない(スカイの知識を除いて)
2:過度な痕跡は残さない
3:接敵は最小限に
4:装備を整える
大まかには以上だ。当面はシンデレラが安全な場所にいない限り共に行動する事にした。
仲間探しは拠点を持ってからだ。
エデンに協力を持ちかけるのも手だと思ったが、マスターがどんな行動をしたかが分からないし、場所も不明だ。得策じゃないと判断した。でも、マスターは僕達に希望を残していた。
「これは……何もない?いや、光学迷彩か?」
「みたい。技術は僕と同じだけど……マスターかなぁ?」
研究所の付近だけ不自然に隠されていた。ラプチャーの数が異様に少なかったのだ。
中に入れば唐突に壊れていない研究所が現れた。
「データが残っている。全てにロックがかかっているが、スカイの生体認証でいけるぞ」
「てことはマスターか。有難い事だね。中身は……」
「第二世代の装備一式、材料、新武装……なるほど、読み込めるか?」
「ん、やってみる」
端末に触れると自動的にインストールが開始される。ある程度マスターの状況把握も行いながら、今後やるべき事も理解した。
「OK、問題ない。時間はかかるけど装備は作れる。けどクリスタル地帯にガラスの靴があるらしい」
「ここから……遠いな。他の装備も作っておきたいが時間がない。私達の装備だけか」
「だね。でもここは安全みたいだからしばらく休息を取ろう。まともにご飯も食べてないしあちこち不調ときた。それに皆も捜索しないといけないから……装備が整ったら少し出るよ」
そうしていると壊れたモニターのような機械が飾られているのが目につく。確かあれは……エイブが作ったラプチャー計測器。以前は無限だったそれが、桁は分からないまでも数字が表示されている。
「エイブ、これ……」
「これは……シンデレラ、やったのか……?私達は、成功した……のか……」
「……みたいだね。ようやく物語の1ページだ」
「っ……ああ……うう……」
隣で嗚咽に浸る友人の背中をしばらく摩った。
マスターが残したデータにはそんなエイブの状態も記されていた。
『解剖をされて機能が低下、更にニケと人間不信に陥っているかもしれない。機能低下の一因はラプチャーとの交戦も原因だから最優先で修復をするように。幸い同じ量産型の修復はピナで経験してるから問題ない。以下が手順だ』
これを見るに僕は彼女を救えたんだろうか。それならよかった。
自分達のやってきた事が無駄じゃないと証明されるのは救われる。希望を持てる。
まだまだ、頑張ろう。
修復が終わった僕は、エイブにこう告げた。
「仲間を探すよ。機動力ならすぐだし、防衛装備もある程度整えた今、ここは安全だから」
「だがガラスの靴はクリスタル地帯だろう?すぐに移動しないとダメなんじゃないのか?」
「ヘレティック・ベヒモスがいるらしい。少なくとも2人じゃ勝てないから隠密行動になると思う。敵の根城に行く前にある程度捜索はしたいんだ」
「なるほど……分かった。だが、どこに行く?」
「海、かな」
なんとなく、勘が働いた。
FAILED TALE:END
次回はセイレーン回です。
救済が欲しい!と前々からリクエストを頂いていたのでね……!!
3周年イベント前には出したい気持ち。