時系列的には最新章→イベントなのかな?という感じです。
改変はマシマシ!あらかじめ言っておきます。
それから翌朝、ネオンの眼鏡にBOOMがインストールされていたりと様々なトラブルはあったが探索は順調に進み、クリスタルについてボタニックガーデン部隊所属のフローラによる推測が立てられた。
・クリスタルはエネルギーを吸収する性質がある。
・下級ラプチャーであれば一方的に捕食して終わりだが、ロード級以上は持続して寄生する。
・目的は遠くに移動して更に繁殖する事。
・この先に都市にラプチャーが逃げ出す何かがある。
そうして一行が目にしたのは……クリスタルに覆われた都市だった。
「ふぁぁ~~なんと、これはまるでクリスタル畑ですな?」
「わぁ……危険なことさえ気にしなければ見た目はとても素敵ですね?」
「その通りっす、キレイっす」
「うーん、軽く見ただけですが、これだと地図は役に立たなさそうですね。クリスタルが生えているせいで、地図と様子が全然違います」
「おいおい、勘弁してくれよ。そういう時の為にオマエがいるんじゃなかったか?」
「レッドフード様……まぁそうなんですけどね……私暗記は得意なんですが、新しい道を見つけるのは自身がなくて……」
「えっ?そうだったんですかな?」
「な~んて、ウソです。本当は大得意ですよ。これでもパスファインダー部隊のリーダーですから。それにしてもどうしてここはこんなにクリスタルが生え放題なんでしょう?」
辺りを見渡す限り一面のクリスタル。恐らく地下にも根の如く張り巡らされているのだろう。中規模の都市だったようでクリスタルの養分になるエネルギーは十分にあったとエレグが推測する。
更に建物に隠れて全体像は見えないが、威圧感を覚えるほどの大きさを誇るクリスタルが目に映る。
一行はその地点を目指して歩く事にした。
ただ、その最中にカウンターズと3人の間で意見が対立してしまった。
危険を冒してでも成果を挙げたい、手に入れたい、成し遂げたいリヴァリン、エレグ、ハンマリング。
指揮官もいる中で慎重に探索をするべきだと主張するラピ、アニス、ネオン。
「(どうすっかなぁ~)」
その場を静観して見ているレッドフード。
「(普通に考えてスカイがこのクリスタルの情報を知らないわけがない。てことは知ってて隠してる?未来知識をひけらかすと辻褄が合わない~って前に言ってたような……てことはこれで合ってんのか?)」
難しい事は分からない。と頭をガシガシ掻くレッドフード。
「まあまあ、お前ら落ち着けって。こういう時は指揮官の男前に判断を仰ぐべきだろ?」
「私か……確かに、そうだな。ここまで来た以上、私も何か一つでも達成して帰りたいと思っている」
「なるほどな。実際戦力の充実具合はさておいて、探索には全員向いてるメンバーが集まってる。カウンターズも地上での戦闘経験は計り知れない。そこにゴッ……オホン、ピルグリムのあたしもいる。よっぽどのアクシデントがなきゃ大丈夫だとは思うぜ?そりゃあ、いきなり大穴に落ちたり、落とし穴があったらどうしようもないと思うけどさ、そんな事言ったら誰が探索するんだ?」
レッドフードの言葉に全員が押し黙る。
「量産型のニケを何人も派遣して虱潰しに探索か?その場合の損害は?そいつらが死ぬのはどうでもいいのか?違うだろ。あたし達には明確にやらなきゃいけないことがある。慎重と臆病は似てるようで全然違う。勇敢と蛮勇も同じだな。全員そこんところは履き違えんなよ」
「レッドフード……貴女まで……」
「でも、実際彼女の言う通りだと私は思う」
「指揮官……」
「前へ進もう。安全は第一として」
「……了解」
ーーーー
「んで、男前がそこまでして成し遂げたいのってなんだ?権力とかか?」
移動中、レッドフードが指揮官に話しかける。
「アークで誰も敵にならないぐらいの力が欲しいんだ。アークの意志にそぐわない選択をしなければならなくなっても味方でいられるように」
「おいおい……悪くはないが、事を急ぐのは止めた方がいいぜ?紅蓮も言ってたな。"大欲は無欲に似たり"って。大きな望みを持つ人間は目先の小さな利益を無視するから欲がないように見える。逆に強欲すぎる人間は欲に目がくらんで失敗するって意味らしい」
「……それは……そうだが……」
「男前は政治向きじゃない。それはあたしでも分かる。でも、人やニケを惹きつける力はめちゃくちゃ強い。今は後ろ盾も強力な関係者もいるんだろ?って事はもう既にアーク内で唯一の立場じゃねえか。それ以上を望むと逆に破滅するぞ」
これだから若い奴は……と言いたげに彼女は肩を竦める。
「いいか、男前。お前の代わりになれる奴は誰もいない。それを忘れんな」
「……分かった」
「ふぅ~~~あたしが説教垂れる側になるとは思わなかったなぁ。もう少し何事もリラックスしてみろよ。じゃないとスカイみたいになるぞ~?」
そんな事を言いながら先へ進んで行く。
「ラピ、どうしてレッドフードの説教はあんなに長いの?おばあちゃんの説教みたい」
「アニス、私も説教は同じくらいされたことがあるわ。それに大事な事よ」
「すごいですよねぇ、雰囲気がビシッと締まるというか。アレが歴戦の猛者の雰囲気なんでしょう!流石です!」
「私も少し……考えは冷静になった。だが……」
「了解」
「(なぁ~スカイ、あたしに説教役任せるのは酷じゃねえかぁ?こういう役目は……あーーーでもそうか、このメンツと空気だと逆に怪しまれるか。お前がこの場所の探索をしてないはずがないもんな。その話を出されないのはあたしがここを知らない。かつスカイも話をしてないだろうってのが予想できるからか……)」
話を聞きながらそんな事を思っているのだった。
ーーーー
「またクリスタルに前を塞がれてるっす。高さ5メートルはありそうっす。どうするっすか?」
「破壊してください。向こう側に道路があるはずです」
「了解っす!」
ガン!ガン!ガン!とハンマリングがクリスタルを破壊して行く。クリスタルの弱い部分が分かってきて、慣れてきたかららしい。とはいえ目をつむりながらやるのはどうか……と一同は思っていると、コンクリートで覆われたような壁の感触を見つけた。
「見てくださいっす。コンクリートの壁っす」
「そのようですな……」
「あれ……おかしいですね……たしかに……」
「どうするっすか?コンクリートの壁も壊すっすか?私たちが通るスペースくらいは確保できると思うっす」
「ええと……はい。壁の向こう側に通路があることは変わらないはずです」
「わかったっす」
そう言いながらコンクリートを破砕して行くが、目にした光景は崖だった。
「あれあれ……?申し訳ございません。緊張して勘違いしたようですね……方向を変えましょう」
「しっかりしろよ。お前が案内に失敗したらダメなんだからな~」
しばらくして
「ハンマリング様、この先をお願いできますか?道が繋がっているはずです」
「もちろんっす!」
しかし、その先は行き止まりだった。
「おい、お前……道が分からないんじゃないだろうな?」
「え?い、いいえ、違います……」
そうは言ってもリヴァリンの発言を踏まえて考えると迷っているのは明白だった。そこでアクシデントが起こった。リヴァリンが過呼吸を起こし、肺機能が低下。ハンマリングの手により心拍は元に戻ったものの、一行は休息を取ることになった。
「もう少し余裕を持とう」
指揮官がそう言った。リヴァリンには持病のようなもの、過去のトラウマが原因でそうなってしまったのだと言う。それを元にして、指揮官が探索を続ける為に言った言葉だった。
「レッドフードは曲を聴きながら探索して、更に付近の警戒も行いながら進んでいるよな?」
「ん、ああ。それくらいの余裕はあるからな?なんだったらあたしが引き続き警戒するからお前らは気を抜いててもいいぜ」
「だ、そうだ。レッドフードの言葉に甘えて少し余裕を……この探索を楽しもう」
「では、この建物、すごく大きな電光掲示板が取り付けられていましたな。あれにBOOMをインストールしてみたいですぞ!」
「お、いいじゃねえか。付近にラプチャーの姿もないし」
「レッドフード氏は話が分かりますなぁ!屋上に向かいますぞ!」
エレグは屋上へと走って行った。
「……あの、ラピ様。き、気になったことがありまして……」
「何?」
「ええと……指揮官様のことなのですが……お、お付き合いされている方とかいらっしゃったりとかは……ただ気になっただけなんですけど……」
「結婚してるわ。子供も2人」
「そ、そんなぁ!?」
「ぶふぅッ!?」
レッドフードは屋上へ向かう階段から転げ落ちた。
ーーーー
新たなクリスタルを目的地として一行は進むことになった。その上空を、灰色のニケが監視していた。
「エイブ。カウンターズとレッドフード、それから……ニケ3機を目視。こちらに向かってるよ。そろそろ時期みたいだね」
『オリジナルは?』
「……いないね」
『そうか……。カウンターズとレッドフードだけならまだしも、アークに知られるのはまずいな』
「それにシンデレラも目覚めてない以上……レッドフードを見て……って事も有り得る」
『そうだな。今はベヒモスの追撃もない。撤退の準備を進める。スカイ……いや、アッシュグレイ。頼んだ』
「了解」
灰色のクローンスカイ。その名もアッシュグレイ。彼女は……リヴァリンを怪訝そうな顔で見つめた。
「全く、厄介なことになりそうだ」
ーーーー
そして現状、ラピとレッドフードが、アッシュグレイとエイブが、互いに銃を突き付けている。
「おい……その棺の中身……それはなんだ……!?」
「レッドフード、銃を下げてくれ。気持ちは分かるが僕も彼女達も敵じゃない」
「分かってるんだ、分かってる。でも……じゃあ、このざわつく気持ちは何なんだ……!?スカイ!そいつは!」
「味方だ。今は眠ってるだけの」
「スカイ……のクローンね。悪いけれどレッドフードの意見に賛同するわ。どうしてもそれは……破壊しないといけない」
「ダメだ。彼女はもう敵じゃない。エイブ、先に逃げて」
動こうとしたエイブの足先にラピが照準を合わせる。
「ダメ」
「じゃあ銃を降ろせ。話はそれからだ」
「む、むむ……ややこしい話になってきましたぞ……レッドフード氏とラピ氏、そしてスカイ氏は面識がある筈ですな?」
「でも私たちは灰色の彼女を知らない。だから信用できないの」
「それを話すにはアークのニケが邪魔だ。特にリヴァリン、お前は写真を撮ろうとしたな?」
「ッ!?」
一同の視線がリヴァリンに集まる。その震える手には携帯端末が握られていた。
「シックスオーからの伝達だろう?フラジャイルと約束したのに約束を破った大馬鹿者、救いようがない」
「な、なんで、そ、それを……!?」
「誰にもバレないと思ったか?お前がこれまで何をしてきたのか、これから何をやるのか、それも全部知っている。最悪な事に必要だからな……これを持って帰れ」
アッシュグレイは両手サイズの箱を渡した。慌てふためいた様子でリヴァリンは受け取る。
「僕のビットをクリスタルに侵食させてある。それを持ち帰ればシックスオーはさぞ喜ぶんじゃないか?少なくともクリスタルに侵食されたハンマリングの頭よりずっとマシだ」
「え、えぇ……、それは嫌っすね……」
「そ、そんな事しません……!」
「フラジャイルと次シックスオーの依頼を受けたら一緒に死ぬって決めたのにそれを平気で破る奴を信じる道理がどこにある?」
「な……」
今度こそリヴァリンは絶句した。
「そのシックスオーってのは何か分からないけど……マジでスカイではあるんだな……」
「だからそう言ってる。オリジナルは?もしくは他のクローン」
「あ」
『面倒な予感がしたからシフティーから交代してもらったよ。悪いけどカウンターズ以外のニケは席を外してねぇ~~~』
「すまないが、3人ともそうして欲しい」
「ううん、指揮官氏がそういうなら仕方ありませんな……」
「そうっすねぇ……ほら、行くっすよ、リヴァリン」
「あ……あ……」
なんとか3人は離れて行った。後に残された7人はそれでも警戒態勢を緩めない。
『結論から言うとその2人……正確には3人は敵じゃない』
「じゃあこの感覚はなんなんだ?」
「私も……レッドフードの記憶だと思うのだけれど」
『その棺にいるのはシンデレラ……またの名をアナキオールと、かつて呼ばれていた。でも今はアンチェインドを撃たれているから問題ない。彼女達OLDTALESはアークガーディアン作戦の裏で軌道エレベーターを攻撃、宇宙ステーションにいたクイーンの切り離しに成功している』
「……まった、頭が痛い。マジで宇宙にクイーンがいたのか……」
『そうだねぇ。シンデレラとレッドフード、ゴッデスは戦った経験があるからその感覚だろうね。マスターがいれば問題はなかったんだろうけど』
「はぁ……いきなり銃を突き付けて悪かった。ラピ、降ろせ」
「え……えぇ」
レッドフードは頭に手を当てながらため息を吐き、ウルフスベインを降ろした。ラピもそれに倣い銃口を下げる。
「ふぅ……あっぶな、説得してくれて助かった。マジでこっちの話聞いてもらえないって言うか、あの3人いたら無理な話だし」
「……確かに、今の話って聞いてたら記憶消去待ったなしじゃない?」
「おお!ということは私たちもですかね!」
「話をするには3人が邪魔、しかし3人を退かす理由を我々が承諾すると思っていなかった……のか」
「そういう事だよ少年。はぁ……それに、今のシンデレラは武装がなくて目覚めてないんだ。凡そ100年ね。もし君達に会ってアナキオールとして目覚めるのが怖い……って話も一応ある」
「あーーーまぁ、そうだよな」
「勘違いしないで欲しいのは、シンデレラも私もゴッデスは大好きだ。ファンだ。だが、もう一度ああなってしまっては……ヘレティックになってしまっては人類にとっての大損害となる」
エイブがきっぱりと言い放つ。
「そ、そんなに?だって言っても100年前のニケでしょ?強くてゴッデス……レッドフードくらいなんじゃ?」
「いや、あたしだけじゃ勝てない。実際、人類最強のニケのリリスさえ撤退したし、ゴッデスが束になってようやく倒せたレベルだぜ?単機殲滅型ってそれくらいヤバいんだよ」
「う、ウソでしょ!?」
狼狽したのはアニスだけではなかった。ラピもネオンも指揮官でさえもその事実を受け入れられないでいる。
「事実だ。アレは忌むべき過程、汚された物語だ。だから書き直さなければならない」
「オーケーオーケー、そういう事なら分かった。んで、あたし達にできることは?」
「んー、シンデレラの武装を取り返さないとダメなんだよね。ここヘレティック・ベヒモスの拠点でもあるからさ……強い部隊を再編制して合流して欲しいかな」
「なら貴女たちが来てからでもいいんじゃない?」
「いや、ダメだ。クリスタル地帯は地形が変わりやすい。それに__「よぉ、ぞろぞろと新顔も揃えて、何話してんだ?あたしに内緒で」ッ!?」
それは、いつの間にかクリスタルの上にいた。背中から伸びた巨大なアームが特徴で、身体の表面に黒い液体が流れている。
「ベヒモス……!?どうしてここに……!?」
「下がれ!」
ドン!とレッドフードが引き金を引く。しかし、ベヒモスはアームをバネのように跳ねさせて避ける。放たれた弾丸は軽々とビルの壁面を抉った。
「おお、すげえ威力。お前強いな?こいつらの救援って感じかぁ……なら、いっちょ味見しておくか」
「少年!レッドフード!全員逃げろ!こいつらの狙いは僕達だ!支援部隊じゃ勝てない!」
「へぇ、他人の心配をする暇はあるんだなぁ?ならこいつを……」
ぐぐ……とアームがクリスタルを掴む。
「ラピ!アニスとネオンを!撤退する!」
「でも!」
「この場所じゃ無理だ!クリスタルに侵食される!死ぬぞ!」
「エイブ!」
「ああ!」
バシュン、とベヒモスに向かって銃を放つ。その隙にカウンターズの顔が隠れるようにシールドビットが眼前に迫った。
信号弾に似たそれは空中で爆発して、ベヒモスの視界を白く染め上げた。
「ッ!閃光弾か……やるじゃん?……標的は……二手に分散したかぁ。一方は洞窟、もう一方は……あー平地の方か。アレは無理だな、追撃には向いてねぇ。ならこっちも仕切り直すとするかぁ。洞窟は待ち伏せの方が強いんだよ」
クク、とベヒモスは笑いながらアームを使って器用に移動して去って行く。
ーーーー
「お、おおおおお!?」
「な、なんですかこれぇぇぇ!前が!前が見えません!!」
「めちゃくちゃ楽しいっすーーー!!」
エレグ、リヴァリン、ハンマリングは目隠しをされて、レッドフードとラピに連れ去られて全速力で撤退している。目隠しはラピが一時的にレッドフードの力を使用しているので見られない必要があるからだ。
「ここまで来れば大丈夫そうだな……ふぅ……全員大丈夫か?」
「流石に……3人背負って走るのは限界……ッ……アニス……」
ラピが元の状態に戻った。それを見たレッドフードも目隠しを外すように促す。
「何!?重いってこと!?」
「いいえ、バランスの問題」
「重いって事じゃない!」
「ともかく……全員無事か。向こうは……連絡手段がない以上安否は確認できないが……無事だと信じよう」
「指揮官、でしたら今すぐ補給と、至急再編成を行いましょう」
「……そうだな、まずは帰還して報告を行う」
「ラジャー」
「あたし1人なら……いや、場所が悪いな。あの場所全体がベヒモスって奴のフィールドだ。相当の手練れじゃないとキツイな」
「ってなると……メティスかアブソルート?」
「……そうね」
ラピはレッドフードを見つめる。ベヒモスと戦うのに、アブソルートが来れば自分は改めて己の過去と向き合わなければいけないだろう。特にウンファはどんな反応をするのだろうか……そんな事を考えてしまった。
29,30ってグレイブ(エイブ)との和解がメインなので原作通りとはならないかも……と読んで書いたらこうなりました。サラッと秘密を暴露されるリヴァリンは可哀想ですね。でも自業自得なので……。
そのついでにハンマリングは助かりました。本当によかったね。でもドリリーやトロニー、エレグ、フラジャイルの出番を削ることになったのはすみません……。
スカイやゴッデスがほぼ関わらないアークのニケの描写は概ね原作通りです。
次回はレッドフードとアブソルートの邂逅!めちゃくちゃ気まずくない?と思っています。