遠くから地響きとともに、大きな音がした。
「こちらブルースカイ。距離5000に大量のラプチャーを発見。タイラント級多数」
『了解だ。スカイは敵を殲滅しながら後退しろ』
「OK。ブルースカイ、これより作戦行動に入る」
空にはストームブリンガー。制空権を奪取する為に投入されたのだろう。
「さて、行こうか」
全ビットフル展開。マルチロックオンシステム起動。
「放てッ!!フルバースト!!」
青い閃光が戦場を駆け巡る。爆音と金属音が空に木霊した。
ーーーー
「始まったね」
「スカイの方も戦闘を始めています。援護に行かなくてよろしいのでしょうか?」
「あやつの事だ。自分の力量は分かっているだろう」
「お陰でこちらはこちらの準備を整える事ができます」
ドォォォン!と前方で砂埃と閃光が迸る。スカイがラプチャーと交戦したのを目視で確認する。
「凄い量……」
「クソったれのラプチャーどもめ。スカイの報告でタイラント級が多数確認されている。我々が到着時にはいないかもしれないがな」
「みんな、よく聞いてくれ。私たちは神ならざる身だ。全てを救う事はできないだが、目の前にいる人々を救う事はできる。見えるか?臨時シェルターだ。その名の通り、避難してきた人が一時しのぎで集まる場所だ。だが壁に撃たれれば簡単に穴が開くほどの粗末なものにすぎん。中にどれだけいるだけいるかは知らないが、多くの人が身を寄せ合っている事は確かだ」
「守れ」
「何があっても守り抜くんだ余計な考えは捨てろ。考えれば不安が生まれ、不安は迷いになる。君たちが迷うたびに、あそこにいる人々を死なせるかもしれないということ、肝に銘じておけ」
「あれのことだけを考えろ。目的も正体も分からない奴等だが、1つだけ確かなことがある。奴らは私たちを憎んでいる。奴らの思い通りにはさせるな」
「忌まわしい鉄くずどもに私たちの大切なものを奪わせるな」
「私たちがやるしかない。奴らを食い止められるのは、私たちだけだ」
「勝つ以外に道はない」
「思い知らせてやれ。私たちが大切にしているものに手を出せばどうなるか」
目つきの変わった兵士たちが砂ぼこりに潜むラプチャーたちを睨みつけた。武器を握りしめ、今すぐ飛び出しそうに力を滲ませながら。
「ゴッデス部隊、レディ……行け!殲滅しろ!」
ーーーー
「侵食個体を優先的に撃破、続いてミサイル個体……っと!」
スカイは空中を旋回しながら自動でラプチャーを撃破している。そこへストームブリンガーの襲撃が入り、身体を捻らせる。変形して人型に戻り、スラスターを吹かしてブレーキをかけながら攻撃を避ける。
「お前の相手はもう飽きた!」
羽根にソードビットを突き刺す。ガンビットを乱射してかく乱。そのままビームサーベルを抜き放って、勢いよくコアに突き刺し、振り抜いた。そうして動力を失ったストームブリンガーをラプチャーの集団に叩き落した。
「ふぅ……っと、そろそろランデブーポイントか」
『こちらリリス。聞こえる?』
「こちらスカイ。よく聞こえてる」
『オッケー。調子はどう?』
「侵食誘発個体、それからタイラント級を中心に撃破。ストームブリンガーはもはやカモと化してる。ラプチャーの群れに叩き落して進路妨害も行ってるよ。今敵の予測進路ルートを送った」
『うん、届いてる。ありがとう。みんなに共有しておくね』
「今の所異常はない。高所に置いてるセンサービットにも反応はないね。通常戦力って所……もしくは偵察かな?本命は起動エレベーターの精鋭だと思うよ」
『なら今回は被害は最小限に抑えないとね』
「勿論。みんなの様子は?」
『うーん……相変わらずって感じかな?』
「……リリスは?」
『大丈夫。加減はしてる。指揮官にも同じ事言われたけどそんなに心配?』
「当たり前だよ。こっちも全体火力で一掃するから、漏れた相手と強力な個体を優先的に撃破して。座標は送った」
『うん。確認した。今から済ませるね』
上空からスカイが行う雨のような攻撃を掻い潜る様に走りながらリリスは戦場を駆ける。片手間にラプチャーを破壊し、強力なタイラント級でさえあっさりとねじ伏せる。
"蹂躙"という言葉がよく似合う戦場だった。
「ん、流れが変わった。ラプチャーが進路を変えて東側に行ってる」
『分かった。今行くね』
「いや、大丈夫。リリスは余った敵を倒して」
『ううん、気を遣われちゃってるなぁ』
「主戦力の消耗は避けたいでしょ」
数百体のラプチャーを代わる代わるロックオンしながら殲滅する。上空からの狙撃に地面を蛇のように縫う斬撃達に為す術なくラプチャーは倒れて行く。それを生き残った奴らは運の悪いことに人類最強と相対する。
「ここまで辿り着いた事は褒めてあげる。それじゃあね」
瞬く間に、戦場は閑散と化した。
『指揮官より通達。ラプチャーの反応なし。初戦は終了だ』
ーーーー
「かんぱ~い」
カチン__
「なんだいこれは、酒ではないのか」
「いつ襲撃があるかも分からないのに酔っ払っていいワケないでしょ。とびきりいいものを用意してもらったんだから文句言わないの」
「ふん、祝いの席に酒がないというのは……」
「祝うような戦いではなかったと思いますが」
「死者無しでアークの封鎖が20%も進んだのですから大きな戦果だと思います」
「そのとおりね。皆、よくがんばりました。残りの4回も今回みたいにやれば大丈夫」
「この調子なら後40回はやれそうだ」
「久しぶりの大勝利だからな。中央政府もハデに宣伝している。全体的な士気もかなり向上した。皆、ご苦労だった」
「うん、みんな、本当にお疲れ様」
「一番疲れてるのはお姉ちゃんですよ。ずっと走り回ってましたよね」
「うーん、そうでもないよ?多分スカイの方が疲れてたんじゃない?」
「ふぁ……いいや、全然。今回も楽な戦いだったよ?」
「……だそうだ。リリスの次に活躍しているだろうに」
「僕はそういう役目だから」
「ううん、2人共、少し無理していませんか?」
スノーホワイトがぽつりとつぶやく。今日の戦いはスカイがリリスの支援ではなく、リリスがスカイの支援に回っていたような気がしたとのことだ。
「大量殲滅は僕の方が得意だからその撃ち漏らしと脅威個体の対処に回ってもらってただけだよ。雑魚敵の殲滅にリリスを使うのはもったいないでしょ?」
「……そういうことならいいんですけど。あ、おかわりお願いします」
彼女の皿には山盛りの料理が乗っている。
「相変わらずの食欲だな……」
「僕はもう食べたから研究室に戻るよ。整備と調整は大変だからね」
「分かった。ゆっくり休んでね」
スカイはある程度皿に料理を乗せて自室へと戻って行く。
「……無理、してないといいんですけど」
「そうだな」
「そうね」
ーーーー
第二次封鎖が始まった。
『前回と同じだ。大勝利を目指す』
「こちらブルースカイ。前回の規模の倍はいると思う。殲滅に当たっているけどキリがない。朗報なのはストームブリンガーがいない事。こっちとしては楽だけど何か仕掛けがあるかも、気を付けて」
『だそうだ。全員気を付けるように』
タイラント級の中にウルトラを発見した。
「侵食個体は絶対殺す」
みなぎる殺意が力になる。上空から射撃を行い、攻撃を無効化しながら両手にビームサーベルを持ち替え、切り裂く。相手が何かをする前にコアに突き刺して無力化する。背後からの攻撃にはガンビットを撃って殲滅。撃ち漏らしにはソードビットでトドメを刺す。
それを何度も繰り返す。何度も何度も。数回、十回、数十回、数百回。途方のない時間が過ぎて日が完全に沈んだ頃に戦闘は落ち着いた。
「はぁ……っ……は……ぁっ……まず……補給行ってないから、エネルギーが……」
「スカイ、お疲れ様。エネルギーパックだよ」
「ありがとう……」
枯渇したエネルギーを補給する。じわじわと回復しているがこのまま更に連戦になれば今の装備ではいずれ限界が来る。
「死者は12名だっけ?」
「ええ……遺体の回収に……」
『待て、何か来る』
「センサーに反応!これは……!」
「えっ?」
バシュッーー!!
ラプンツェルが倒れた。上半身の半分が肩もろとも消し飛んでいる。
「!!」
「狙撃か!?全員ハイド!」
たて続けに空から光が雨のように降り注いだ。
「しまった!エネルギー切れを突かれた……!方向は2時!20メートル上!ラプンツェルの確保と武装を構えて!これは……!!」
黒い装甲を身にまとったニケらしき影が宙に浮かび、こちらを見下ろしている。それはゆったりと地上に降り立ち、ゴッデスを見すえた。
「……単独でのビーム兵器による爆撃と、浮遊能力。ニケの外見に、補助・治療要員を優先して狙撃する戦術理解力……ヘレティック」
「!!」
「うわああああッーーーー!!」
スノーホワイトが手当たり次第の攻撃を叩き込んだ。爆風に飲まれ、ヘレティックのボディが砕け、焼け剝がれた。しかし、そう思った次の瞬間ボディは元通りになっていた。
「……え?」
「おまけに、自己修復能力……インチキされてる気分ね?」
「それがどうした!八つ裂きにすればいいだけだ!」
紅蓮が刃を振るう。しかし、腕を落としきれず、止まった。
「斬れぬだと!?……しまった!」
素早く剣を引き抜いた瞬間、ヘレティックのボディが光を放った。すかさずドロシーが紅蓮の脚を引っかけて回避させる。続いてドロシーが無数の穴を開けるも、それすら再生される。
「うん、わかった」
ドカン!ズガン!リリーバイスの拳がヘレティックを襲う。
「お約束でしょ?相手がどんどん再生するならそれより早く壊せばいいって」
リリーバイスがようやく手を止めた時、あたりにはヘレティックだったものの断片が散乱していた。
しかし、それで終わりではなかった。もう一体、キャンプの方にヘレティックが向かって行く。リリスが向かおうとした瞬間、血が目、鼻、口から流れ落ちた。足元が赤く染まって行く。流れ出る血は止まる気配はない。
「よりによって……こんな時に……」
リリーバイスは地面に倒れた。赤いしみが拡がって行く。
「お姉ちゃん……!?お、お姉ちゃん!リリスお姉ちゃん!?」
「ここは僕とスノーで受け持つ!ドロシーと紅蓮は急いでキャンプに!」
「紅蓮!行きますよ!」
「!!ああ!」
2人はキャンプの方へと向かって行った。
「スノー!リリスに声を掛け続けろ!」
「は、はい!だ、ダメです!まだダメ……!お姉ちゃん……!」
リリーバイスは身動き一つしない。
「更に一体……なら、火力で押し切る!フルバースト!」
巨大な光がヘレティックを包み込む。熱線で身体が溶けて消え、残骸はない。しかし、それがスカイの最後の出力だった。更に、ヘレティックが降下する。
「っく……エネルギーが……もう!」
絶え間なく襲い掛かる光線をシールドビットで受け止める。しかし、徐々に壊されて行く。げほ、とスカイの口から血が零れた。だが、ここで倒れる訳にはいかない。寿命を削ったとしても、この先に進まなければいけないのだから。
「……システム:OVERLOAD!!」
スカイの身体が勢いよく、青く発光する。
「装甲切り替え!」
白を基調とした大きな翼の生えた武装に変わる。背中にマウントされた対艦刀を持ち、勢いよく振りかぶる。ズガン!と真っ二つにヘレティックを切断した。
「まだ……まだぁ!」
振り向きざまに1つ、2つと連撃を行う。縦に、横に切断し、再生する前に背部ウイングに備えられたビーム砲を放ち、消し飛ばす。だが、それでもヘレティックは残存している。怯えて動けないスノーホワイトの元にヘレティックが襲い掛かろうとして……
ドカン!
真っ赤に染まったリリーバイスが立っていた。
「スノーホワイト」
「お姉ちゃん……」
「スノーホワイト、心配しないで。私が守るから」
血にまみれた純白の花が風に吹かれて舞うように。あちらへ、そしてこちらへ、目まぐるしく飛び散る。漆黒の花の形が歪む。花弁は散り、剝ぎ取られ、その茎が手折られる。
「はぁ、はぁ……」
「リリス!僕はキャンプに行く!」
「お願い……!スノーホワイト、大丈夫?ちょっと、はぁ……時間がかかっちゃったけど、大丈夫……?怪我はない?」
「お姉ちゃん……死なないでください」
「……うん……」
ーーーー
「ッ!!指揮官!紅蓮!ドロシー!!」
全員が倒れていた。指揮官はわき腹から血を流していた。ヘレティックの視線が避難キャンプを捉える。光を放つ前に、目の前にスカイが庇うように降り立った。
「ぐ……ぅぅぅぅッッッ!!!!」
全身が焼けるほどの光線を浴びながら、それでも対艦刀を薙ぎ払う。首を飛ばし、コアを大きく貫く。何度も何度も直接ビーム砲を撃ち、地面に大きく穴が開いたのを確認すると、そこには残骸だけが残っていた。
「……っは、ぁ……はぁ……」
センサーで周囲を確認する。ヘレティック、ラプチャーの反応はなし。こちらに量産型ニケと一般兵士が駆け寄ってくるのを確認した。リリスの方も一旦は無事を確認。
「これが……後、何回……だ?」
終わりの見えない戦いを眼前に突き付けられながら、スカイは意識を失った。
小説の方向性(セリフや描写など)
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積極的に改変が欲しい
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原作準拠で大丈夫
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原作準拠だが改変は間間に欲しい
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幕間エピソードが欲しい
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激しい改変はなくて大丈夫