絶望を希望に変える為に   作:スカイ⛅

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ARK GUARDIAN:戦いの中でも希望は在り

 

スノーホワイトは病室で目を覚ました。

 

「うっ……ううっ……」

 

何もできなかった。弱い自分を守ってくれた赤い狼はもういない。自分を守ってくれている白い花は枯れつつある。彼女がいなくなったら今度は青い翼に守ってもらう?それではダメだ。強くならないと。歯を食いしばって頭を押さえる。

 

しかし、ヘレティックのあの顔が脳裏にこびりついて離れない。

 

病室にはうめき声と引きちぎられる髪の音だけが響いている。

 

「……大丈夫?」

 

「あ……スカイ……」

 

目の前にはいつの間にかスカイが立っていた。自分と同じくらいの背丈で、どこか卑屈なのに自分よりも強い。目標とするべき存在、或いはライバル足りえる存在。けれど、心の作りが違うと感じていた。それは、あの時もそうだった。

 

「……どうして、リリスお姉ちゃんが倒れた時、1人だけ冷静だったんですか」

 

ぽつりと心境を吐露する。量産型ヘレティックが現れた時、スカイは何も言わずにエネルギーを充填していた。リリスが倒れた時でさえ、一瞬焦った様子を見せたが的確な指示を飛ばしていた。

 

「どうして、最初の作戦でいつもと違う動きをしていたんですか」

 

「……スノーホワイト、それは」

 

「知ってたんですか?お姉ちゃんが死んじゃうって」

 

「……」

 

「なんで何も言わないんですか」

 

「知ってたよ」

 

「!!」

 

ギリ、と歯が自然に食いしばる。こんな事はぶつけるべきじゃないのに。彼女の襟袖につかみかかってしまう。

 

「なら……どうして、お姉ちゃんを守ってくれないんですか!?スカイは……強いです。私なんかより。そんなに強い力があって、私たちに隠してる事もあって!なんで……なんんで……!」

 

慟哭はか細くなり、静かに涙を溢す。スカイは気まずそうな表情をしながら、ポン、と背中を撫でる。

 

「多くは語れないし、今はまだ教えられない。でも裏切ってはいない。それだけは信じて。僕もリリスを……いや、ああ。守りたいさ、守れる事なら。でも、彼女は死ぬんだ。それがいつかは分からないけど、確実に死ぬんだ」

 

「……どうして、私には話して……いや、分かります。分かるんです。乗り越えられないって。今の私はどうやってもお荷物になるって。その通りなんですよ」

 

「そんな事はないと思うよ。自分の弱点が分かってるからちゃんと対策ができるんでしょ」

 

「私が弱いから、お姉ちゃんに無理をさせていたんです」

 

「……」

 

そんな事はない。と言おうとしてスカイは口を閉ざした。確かにリリスの行動は仲間を守る為。持ってあと半年の命を、自分達の為に費やしている状態だ。加えて、スカイの行動理念からしてもリリスの死は絶対に必要な要素となっている。だから、死を延期させる事はできても無しにする事はできない。

 

「リリスに並べるニケはいないよ。誰一人として。彼女からすれば僕達は皆子供だ。だから……親が居なくなっても、行動できるように成長しなきゃいけない。君はレッドフードが居なくなってから随分と成長したと思うよ」

 

「でも、でも、お姉ちゃんは……リリスお姉ちゃんは……!」

 

「大丈夫。スノーホワイトなら乗り越えられる。皆もいるし、僕もいるから」

 

「……スカイは、死にませんか?」

 

「ん?死なないよ」

 

「絶対ですか?」

 

「絶対だって」

 

「嘘は嫌いです」

 

「嘘じゃないって」

 

「……分かりました」

 

きゅ、と力が緩んでスノーホワイトの手がスカイの背中に回る。スカイはやれやれと苦笑をしながら彼女の頭を撫でた。

 

「大人になったと思ったら、やっぱり子供の部分は残ってるんだね」

 

「うるさいです……」

 

「落ち着いたら皆の所に行こうか」

 

「……はい。そういえば、スカイは大丈夫なんですか?」

 

「うん、大丈夫。量産型のボディだし変えはあったから」

 

「そうですか……」

 

「ただ毎回こうなるとしんどいね。補給も整備も追い付かなくなりそう」

 

「ううん……困りましたね……」

 

ーーーー

 

「スカイに任せてよかったのでしょうか……」

 

「リリスが居ない以上、適任は彼女しかおるまい」

 

「ですが……」

 

「静かに見守る事だけが優しさだけではない」

 

ぽつりとドロシーが言葉を漏らした。

 

「誰の言葉かね?」

 

「以前、スカイ自身がそう言っていました。レッドフードが離れてから。どういう意味かと尋ねると"見守る事は当事者になるのではなく、傍観者でいる事"だと言っていました」

 

「だが……関わって悪化したらどうするんだい?責任を取れる訳でもないだろうに」

 

「その通り。だから言ったのです。中途半端に関わる事も優しさではないと」

 

「それで?」

 

「"どちらにせよ人は死ぬ。見守る事は見ない振りをしているのと同義で、自分の心を守る手段に過ぎない。ただ、中途半端に関わる事で自分は善人だと思いたいだけなのかもしれない”とも悩んでいましたね」

 

「ふむ、ラプンツェルはどう思う?」

 

「私ですか。難しいですね……救えるのなら確かに全部とは思ってしまいます。両者の言っている事はどちらも正しいと思います」

 

「この問いに正解はないでしょう。本人の矜持みたいなものですから」

 

「やれやれ、それもそうか」

 

一同は張り詰めた重苦しい空気を吐き出すように一息をつく。

 

「それにしても、あやつは頑丈だのう」

 

「メンテナンスが比較的容易と言えど一番に復帰して私達の様子も見ていましたからね」

 

「自分自身も大きなダメージを負ったのに……」

 

「しかもヘレテックの交戦データを洗い出していたとか何とか。一体どこまで仕事をするんでしょうか」

 

「リリスの代わりに、という事かね?」

 

ちら、と紅蓮がドロシーを一瞥して話す。ピクリとドロシーが一瞬強張ったのを2人は見逃さなかった。

 

「リリスの状態を何か知っているのですか?」

 

「私達に言えない理由でもあるのかね?」

 

「……言えません。と言っても、貴女達は聞くのでしょうし、そもそもスカイに話は通っていますから、話した方がよいでしょう」

 

一呼吸終えて。

 

「持って後半年。このまま稼働を続ければ更に短くなるそうです」

 

「……なに?」

 

「えっ……」

 

驚愕で目を見開き、しばらく沈黙が場を支配する。

 

「何故黙っていた!?我々は……!……ああ、そうか……こうなるからか……となると次期リーダーは君かい?」

 

「直接指名を頂きましたので」

 

「気には喰わないな」

 

「お2人共、こんな時までやめてください」

 

「……そうですね」

 

「……すまない」

 

「しっかりと本人の口から話を聞きましょう」

 

ラプンツェルがそう話したタイミングで、スノーホワイトとスカイが入ってくる。重苦しい空気を察してスカイが首を少し傾げる。

 

「おっと、話し中?」

 

「いいえ、今終わりました。そちらも大丈夫でしたか?」

 

「はい。大丈夫です。ごめんなさい」

 

「この程度で済んだのは、幸いだった。化け物どもめ、どこからともなく湧いて出る」

 

「ラプンツェルは大丈夫でしたか?」

 

「はい。問題ありません」

 

「肩が……」

 

「……私のパーツは予備がありますから」

 

「ラプンツェルの行動不能は重大な問題になりますから、常に余裕をもってスペアパーツが用意されているのです」

 

「よかった……」

 

「ご心配ありがとうございます。スノーホワイト」

 

「ドロシーと紅蓮も?」

 

「見ての通りです」

 

「まともに食らってしまった。骨……要はフレームが砕けていたそうだが、今は元通りだ。ニケは楽でいい。部品さえあればすぐに戦場へ戻れる」

 

「つい先ほどまで生死の境を彷徨っていた人たちの前で言うべきことではありませんね」

 

「過程がどうあれ、生き延びたではないか」

 

「まあ、それはそうです」

 

「今後もそうとは限らないけどね」

 

「……指揮官は?」

 

「……指揮官は重傷を負われ、V.T.C直属の医療施設へ搬送されました。内臓の傷が酷いとのことで……」

 

「大丈夫……ですよね?」

 

「人一倍丈夫な方というのでしょうか。命に別状はないそうです。V.T.Cの専門家が治療に当たっていますので、心配することはありません」

 

「脇腹を貫かれて生きているとは、常人離れしているな」

 

「治療が終わり次第、すぐに復帰するそうです。少し待てば、きっと戻られます」

 

「一安心ですね……リリスお姉ちゃんは?」

 

「「「「……」」」」

 

場を再び沈黙が支配した時、扉が開いた。

 

「あら、皆もう元気?やっぱり若さがモノをいうのね~」

 

呑気な声をさせたリリーバイスが入ってきた。

 

「お姉ちゃん」

 

「……うん、どうしたの?」

 

「助けてくれて、ありがとうございました。」「気にしないで、できることをしただけよ。とにかく、今はしっかり休んで。第二次封鎖は無事に成功したから、しばらくは落ち着くはず。整備するものがあれば、しておくこと。いい?」

 

「例のヘレティックどものことは、何か分かったのか?」

 

「それについては多少スカイが知ってるかな?」

 

「ん……シンデレラ……アナキオールの劣化型だと思ってくれればいいかも。ボディが量産型を使用しているみたいだから出力はアレでも落ちてる。数がどれだけいるかは……不明。性能の差に助けられてはいるかな」

 

「それはなんとも、よい知らせだ」

 

「とにかく、今は待つ以外にできることもないから。みんなはゆっくり休んで。難しい注文だと思うけど、分かった?」

 

「分かりました」

 

「……その前に、リリス。全員に話しておく必要が……いえ、既に話してしまいました」

 

「う~ん……寿命の事?」

 

「ええ」

 

「お姉ちゃん、本当なんですか?いつから分かってたんですか?」

 

そうね。とリリスは困ったような笑みを浮かべながらスノーホワイトに身長を合わせる。

 

「ざっくりと軌道エレベーター攻略の時から……かな。皆に話さなかった……ううん、話せなかったのは私の弱さ。怖いん、だと思う」

 

「怖い?」

 

「皆を置いて逝くのも。後を託せないのも。私の死を乗り越えられそうにないなって感じてたり……もう会えないのも、そうね」

 

「お姉ちゃん……」

 

「方法は、ないのですか?」

 

「ないの。ごめんね。でも、それで私の事を気遣わないで。それで皆に何かあって欲しくないから」

 

「……分かった。肝に銘じておこう」

 

「うん、ありがとう。それじゃあ」

 

リリスはそう言って去って行く。残された空気は酷く重い。人類の勝利の象徴が、その灯がもうすぐ消えるという事実。

 

「スノーホワイト。行かないのですか?」

 

「……とっても、とても、心配ですけど……行って困らせたくないです。それに時間がないのも本当ですから、次は足を引っ張らないように……準備をします」

 

「本当に、見違えるようになりましたね」

 

「我々も見習わなくてはな」

 

「ええ」

 

「さてと。僕はヘレティックの解析作業に行くよ」

 

「……休めと言われたろうに」

 

「あはは……スカイらしいですね」

 

苦笑いと溜息を吐かれながらスカイもその場を後にした。

 

ーーーー

 

研究室に戻ったスカイは壁にもたれかかり、苦しそうな表情をしていた。

 

「OZに量産型ヘレティックはでてきていない……となると数に限りがあるのか……有効ではないと判断された可能性がある……今のゴッデスには少々荷が重い相手……どうする……?乗り切れるのか?」

 

スペックを見てもやはり量産型の域を出ない。しかしその脅威はシンデレラと同等かそれ以上。リリスに負担はかけられず、各個撃破するにも集団で襲ってくる知能を有している。

 

「僕がもっと負担するしかない。ただ、ここで紅蓮とスノーホワイトの思考転換が起きるのか……。は、ここからOZに繋がる?正しく絶望だね」

 

この局面を乗り切っても待ち受けるのはアークからの裏切り。これをどうにかしないと意味がない。スカイは改めてそう感じるのだった。

 

「全員に少しずつ余裕を持たせられる工夫をしよう。OZに入ったら……アークの事をちゃんと話そう」

 

ーーーー

 

「第3次で封鎖計画が打ち切り、だと……」

 

「……5回でも足りないと思ったぐらいでしたが、さらに減らされるなんて……それでは……第5次まであると期待している方々は……」

 

「公式な発表は行われるのですか?」

 

「しないだろうな」

 

「……」

 

「では、私達の撤収は?」

 

「第3次の予定だ。君達が望めばだが」

 

「他に選択肢があるかのようなあるかのような言い方ですね」

 

「選択肢はいつだってある。私達は今までそういうやり方を貫いてきただろう。やりたいようにやって、最高の結果を出す」

 

「ほう……」

 

「選択肢とは、つまり……」

 

「でしたら……」

 

「……なるほどね」

 

「……あの、ええと……」

 

「……どうしたの?スノーホワイト」

 

スノーホワイトが全員の様子をうかがった。1人ずつ、目を覗き込んでいく。そうして彼女は確信した。

"みんなも私と同じことを考えている"と

 

「何か言いたい事があるんじゃない?」

 

「私達はこのまま、地上に残りましょう」

 

「第3次封鎖が終わった後も、助けを求めて来る人達のために。私達はここに残り、その人達を守って……アークへ送るんです」

 

「いつまで?」

 

「2週間。1人も来なかったらにしましょう」

 

「なんだそれは。13日ごとに1人ずつ来たらどうする?」

 

「続けるだけです」

 

「アークは第3次の作戦後に完全封鎖されるの。どうやって送るつもり?」

 

「私達が保護し、私達とともにアークへ向かいます」

 

「何千人と集まってきたら、どうする」

 

「全員を守ります。そして全員でアークへ向かいます」

 

「私達でも通してもらえなかったら?」

 

「あるわけなかろう。私達はゴッデスだ。おのれで言うのもはばかられるが……神話にも肩を並べる名がある。一度ぐらい、道が開かれぬ道理はあるまい」

 

「そのことは、お二人が責任を持って保証されるようにしてください」

 

「……スカイはどうだ?」

 

「異論はないね。元より5次封鎖までの作戦計画を立ててたから」

 

「……では、話をまとめよう。私達は第3次封鎖の時点で撤収しない。この場に防衛線を展開し、取り残された者やニケの保護を続ける。2週間のあいだに誰も逃れて来なければ、保護した者たちを連れてアークへ向かう。その時に限りアークへの道が開放されるよう、私とリリスが話をつけておく。これでいいか?」

 

「はい」

 

「問題ありません」

 

「きれいにまとめてくださいました」

 

「それぐらいは当然であろう」

 

「無謀な作戦になるぞ。物資の心配以外にも、問題は山ほどある。精神も身体も、限界が試されるだろう」

 

「……だが、だからこそ、私達にしかできないことだ」

 

誰もが頭を縦に振った。

 

「決まったな。私たちはここに残る。最後まで、守り抜くぞ」

 

「ふたつ、約束していただけますか?」

 

「何だ?」

 

「私たちがアークへたどり着いた時……すべての苦難が報われたと思えるようにしてください。どのような形でも構いません」

 

「ああ、最善を尽くそう。で、もう一つはなんだ?」

 

「リリスと幸せな余生を過ごしてください」

 

「「……」」

 

「だそうですよ?指揮官」

 

「……分かった。約束しよう。宮殿のような豪邸に住み!使っても使いきれない金を持ち!私たちの伝記を出版して、映画とゲームも作らせよう!君の名前の宗教を始めよう!」

 

「あらあら」

 

「政治の世界で華々しいデビューを果たそう!」

 

「……ふ……」

 

「エリシオン、ミシリス、テトラに肩を並べるスノー社も立ち上げよう!」

 

「へへ」

 

「剣の道場も立てよう!」

 

「……何だいそれは」

 

「スカイの負担を減らす為に航空部隊も設立しよう!ブイブイ言わせる機長がいいな!」

 

「ええ……」

 

「それから勝利の女神として称えられえて……私はリリスと結婚する!」

 

「……!?アンダーソン!?」

 

「わあ」

 

「ほう」

 

「あら」

 

「おや」

 

「へえ」

 

「さあ、私達の地上最後の戦いだ。最も辛く、最も長い作戦になるだろう。全員、しっかりと休んでおいて

ここ誤改行 くれ」

 

「あの……指揮官、お姉ちゃん。部隊のみんなで、行きたい所があるんですけど……みなさん、お時間はありますか?」

 

「ああ。だがその前に、スカイと話をさせてくれ」

 

「もう浮気ですか?」

 

「……ブリーフィングだ」

 

ーーーー

 

「さて。ああは言ったが……実際はどうだ?」

 

「アークに裏切られる。リリスは死亡。指揮官は行方不明。……ただ、生存はしているよ」

 

「やはりそうなるか」

 

「だけど、それはそれ。僕の知ってる話でしかない。変わる事もある」

 

「ふ、そうか」

 

「指揮官にはコレを。今は……少し長く活動させる為の物でしかないけど」

 

「なんだ?」

 

抉られた脇腹に特殊な装置を取り付ける。

 

「生命補助装置。あくまでも試作品だから無理はせずに」

 

「おお、助かる」

 

「いつかは指揮官も戦えるようにアーマードスーツを作っておくよ。相変わらず前線での指揮が好きみたいだからね」

 

「性分でな。……スカイ」

 

「何?」

 

「私達が不在の時は任せた」

 

「……了解」

 

ーーーー




この世界でのスカイ被りはこうなのかもしれない。

chapterも更新されてうわぁぁぁぁ~~~~って感じですねぇ。ハフバイベも楽しみになってきましたね!

アークガーディアン作戦は次で終わりそうです。

小説の方向性(セリフや描写など)

  • 積極的に改変が欲しい
  • 原作準拠で大丈夫
  • 原作準拠だが改変は間間に欲しい
  • 幕間エピソードが欲しい
  • 激しい改変はなくて大丈夫
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