1000001回生きた男   作:61886

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上海・ハードロック Shanghai Hard Rock
1話


 

 

「それでは1年1組のクラス代表は織斑君に決定ですね!いや一繋がりでいい感じですね!」

 

 

翌朝のSHR、一夏は失念していた、…勝った方がクラス代表だと言うことを。

 

「先生、…辞退できないっすか?」

 

 

「え、えぇぇ!そんな〜。だめです「そうですわ一夏さん!」…ぅよ」

 

食い気味にセシリアは話に割り込んできた

 

「貴方はわたくしセシリア・オルコット相手にして勝ったのですから、胸を張ってクラス代表になって頂きたいと思います!。それに操縦時間が短いので、ISの操縦にまだ一夏さんは慣れていませんよね?、実践が何よりの糧になりますから。クラス代表になればより一層一夏さんなら強くなれますわ!」

 

 

自分の事のように上機嫌に発言してくれるのは悪くは無いが、…正直迷惑だぜ。

 

しかし一夏の気持ちも虚しく

「いやあ、セシリア分かってるね!」

だとか

「そうだよ!。せっかく世界で唯一の男子がいるから、同じクラスなら持ち上げないとね!」

だとか、断れる雰囲気では無くなってしまった。

…こりゃ断れねえな。

 

一夏は心の中で深くため息をついた。

 

「そ、それでですわね」

 

咳払いをし頬を紅く染めセシリアは

 

「わ、わたくしがIS操縦を教えて差し上げれば、さらに成長を…」

 

しかし突如と箒が静かに立ち上がった。

 

「生憎ではあるが、一夏には必要無いな。元より負けた相手に教わる事など一つも無いだろ?今後は何か分からない事があれば私が指導するから問題無い」

 

落ち着き、凍りつくような瞳で箒はセシリアを睨みつけているが、正面から対立し視線を返していた。

 

「あら、貴女には関係無くては?ISランクCの篠ノ之さん。Aランクのわたくしに言われる筋合いは無くって?」

 

「ランクは関係ないだろ、私は唯事実を言っているだけだが?」

 

あくまでも二人とも冷静に言い合っているが、側から見たらいつ均衡が崩れてもおかしくはなかった。それぞれの額に青い筋が浮き上がっていた。

…こんな時はどうしたらいいんだ?

『やめて〜、俺のために争わないで〜』とでも言った方がいいのか?

…笑えねえな

 

 

「静かにしろこの馬鹿者ども、まだ殻も破れていないひよっこが優劣をつけようとするな」

 

「はい…」 「…失礼しました」

 

しかし、突如の千冬の一声で終わりを告げた、二人も千冬の言葉には逆らう事が出来ず不満そうながらも静かに席へと座っていった。

 

「クラス代表は織斑一夏。異論はないな」

 

クラス一丸となり元気よく返事が返ってきたが。面倒くさい、この一言に尽きた。

 

 

 

 

あの日から一夏が生活していく上で、変わった事が幾つかあった。

 

まず一つ、周りの見方が少し変化した事だろう。

今迄は世界で唯一の男性操縦者っているただ珍しいレッテルのみであったが、それに代表候補生レベルに勝つと言う事がプラスされてクラス内でも一目置かれる様になっていた。…ただ更に女尊男卑を崇める連中から更に凍りついた視線や罵倒を浴びる事になってしまった

「男のくせに…」

「雑魚に勝ったくらいで…」

などの一言がより強く聞こえて来る事が増加してきている。

 

そして二つ目はセシリアの態度が急変して来た事だろう。

あの夜以来高飛車な態度は見せず、誰に対しても友好的な態度へと豹変し、クラス内でも上手くやって行けてるようだ。

そして一夏に対してもであった、あれ程毛嫌いしていたかの如く突っかかって来たのが今では嘘の様に思えるほどデレデレしていた。

やたらとコーチを買って出てきてくれたり、先日の実技の授業でも分かりやすくアドバイスをしてくれたり、何かと授業で分からない事は無いかと聞いてきては頰を赤らめ微笑みながら聞いてくる。

 

 

 

…ありゃ完全に雌の顔だな。

 

嬉しくないと言えば嘘にはなるのだが、複雑な気持ちであった。

一夏は既にセシリアは疎か箒達の感情も理解していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…本人達はその思いが決して届かないとも知らずにいるが。

 

まあ、そんな訳でセシリアがやたらと一夏の隣に居る回数が多くなっていた。

 

 

 

………………………………

 

「織斑君!クラス代表就任おめでとう!」

 

「おめでとう!」

 

「……………どういうことだ?」

 

夕食後の時間、クラスの女子に呼び出されて食堂に来てみると、突如ぱんぱんとクラッカーが乱射され一夏の髪の上には紙テープが舞い乗っている。

 

「いやー、これでクラス対抗戦も盛り上がるね!」

 

「ほんとにね!」

 

クラスの集まりかと思えば、明らかにクラス内の人数を大幅に超えている人数に、思わず苦笑いすら込み上げていた。

 

「人気者だな、一夏」

 

「…嫌味かそれは」

 

「…だろうな、お前の性分なら」

 

箒は察してくれた様で、一夏の肩をポンと叩いた。

 

 

「はーい、ちょっとすいません。新聞部の者でーす。今をときめく織斑一夏君にインタビューに来ました〜!」

 

一同がオーと盛り上がる。

 

「あ、私は2年の黛薫子。よろしくね、新聞部の部長やってまーす、ではまずクラス代表になった感想をどうぞ!」

 

 

「…あー、とりあえず、頑張ります」

 

「えー、もっといいコメント頂戴よ〜。俺には触ると火傷するぜ、とか」

 

…なんだそりゃ?

 

「…ノーコメントで」

 

「えー、まあいいや適当に捏造しておくから!」

 

…面倒くせえな、もういいや。

 

「あと、セシリアちゃんもコメント頂戴よ!負けた感想とか、織斑君に対してだとか聞きたいな!」

 

「えっ!…分かりました!わたくしあまりこう言ったコメントは「ああ、やっぱ長くなりそうだからいいや、写真だけ頂戴」…さ、最後まで聞きなさい!」

 

「んー、いいや織斑君同様に適当に捏造しておくから、とりあえず、そうだな…負けて織斑君に心を奪われたとかで大丈夫?」

 

 

「なっ、な、ななな…!!」

 

ゆでダコの様に赤くなってしまったセシリア。…こりゃ確定か…

ほとんど確信していたが、完全に一夏の中での疑惑が確信に変わった瞬間であった。

 

「ありゃ、当たってたみたいね…適当に言ったんだけど。まあいいや、とりあえず二人並んでね。ツーショットの写真撮りたいから、あっ握手してるとかいいな、いやそれよりも…」

 

「えっ?」

 

赤らめた顔から一転し、もじもじとし始めたセシリアはチラホラと一夏の方を見てきた。

 

「あの、撮った写真は頂けますか?」

 

「そりゃもちろん」

 

そう言い、強引に黛は一夏の手を取りセシリアの肩に掛けていった。

 

「はう!」

 

…頼むから変な声を出さないでくれ。

 

なすがままにオモチャにされてしまっている一夏であった。

 

「それじゃいくよ!」

 

パシャとカメラのシャッターが切られる瞬間に、1組の全メンバーが一夏とセシリアの周りに集合し、ただの集合写真と化してしまった。

 

本当に…部屋で一人でいた方がよかったな。

 

その晩は疲れているのを察してくれたのか知らないが、箒は今日だけ部屋で煙草を吸うことを許可してくれた。

 

優しい瞳をしながら…

 

 

 

 

………………………………

 

「ふうん、ここがそうなんだ…」

 

夜、学園の正面ゲート前に小柄な可愛らしいツインテールの少女が立っていた。

 

「えっと、受付ってどこなのかな?」

 

懐に入れていた紙を取り出し隅々まで見ているのだが、目当ての場所が分からない様で、結局再び乱雑に懐に入れて宛てもなく歩き始めた。

 

「自分で探せばいんでしょ、全く…」

 

ぶつくさ言いながらも、顔は希望に満ち溢れたかの様にして前を見ていた。もうすぐ会えるのだから…

 

 

「待っててね、一夏!」

 

誰も存在しない筈ではあるのだが、そこに誰か居るかの様にそっと優しく呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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