社会人1年目の作者です!
仕事が忙しく投稿が遅くなってしまいました。
どうか見捨てないで下さい(涙)……
「はぁい〜カズ、…そろそろ起きたらどうなのかしら?」
某国とある一室、いつの間にかに寝ていた男が聞きなれた声によって夢から目覚めていた。
不機嫌そうな目つきで声がした方を振り向くと、モデルをも思わせるようなグラマーな体型の女がバスローブ一枚でクスクスと微笑みながら壁に寄りかかっていた。
「……なんの用だ、スコール」
「あら、坊やがこんな時間にお昼寝してたら夜寝れなくなっちゃうでしょ?お姉さん親切心で起こしてあげたんだけど迷惑だった?」
「……いや、今回ばかりは礼を言っておくぜ、どうやら悪い夢を見ていたみてぇだからな」
男は一言礼を言い首を一回転させ、机に置いてある煙草の箱から一本取り出し口に咥えて火を付けた。
「あら、それなら何よりだわ」
スコールと呼ばれる女はクスクスと手を口元に当てて優しく男に微笑んだ。
「それで、何の用だ……テメェがご親切に起こしに来ただけなんて訳ねえだろ?」
男は足を組み煙草を咥えながら面倒くさそうにスコールに話しかけた。
「あらそんな事言われたらお姉さん悲しいわ、カズとお話がしたかっただけなのに……なんならベッドの上でのお話でもいいわよ」
そう言いスコールは胸元を強調しバスローブの紐を緩め始めた。
しかし男は依然変わらぬ顔つきで平然に煙草の灰を灰皿に落としていた。
「悪いな、何度も言っているが俺は抱く女は選ぶ主義でな…お断りだ。……何よりも後が怖えからな」
男はなんとも言えない表情で苦笑いしながらタバコをそのまま指に挟み両手を挙げた。
「あら、また振られちゃったのね。……ねえ暇だからさ、また貴方のお話を聞かせてよ、貴方の嫌いな男の子の話を」
女は紐を緩めていた手を戻し腰に当てた。
「…気分が乗らねえな」
男は深くため息を吐き、窓の外を見渡した。
「いいじゃない、貴方のお話は面白いんだもの、偶には上司の命令を聞きなさい」
女はかつかつとヒールの音を立てながらソファーのテーブルに置いてあるグラスを手に取り開封済みのボトルに入れてある果実酒を注ぎ始めた。
「…テメェ位だぜこんなどうでも良い話を聞きたい奴なんてのはよ………ったく…この前は何処まで話したっけ?」
男は面倒くさそうにスコールと呼ばれる女の方を向いた。
「あら結局話してくれるなんて優しいわねー、お姉さん感激よ」
顔の前で手を叩き嬉しそうにスコールは微笑んだ。
「面倒くせぇな…確か虐められていた家族の男から謝罪を受けて引き取りたいって迄は話したよな?」
途中まで吸い終わった煙草の火を灰皿で消し、自分の無精髭を撫でながら話し始めた。
……………………………………
その男の子は暫くの間結局病院に入院する事が決まっていた、外傷はそれ程でも無かったのだが問題は心だ。
看護師や医者、カウンセラーなど毎日のように男の子の下に訪れては男の子を励まし社会に再び復帰出来るよう最善の努力を積み重ねたが結局の所変わらぬまま終わってしまった。
男の子はその後施設に送られる事になったが、以前の様に天真爛漫な姿など見る影も無くなってしまっていた。周りとは最低限度の会話だけをし、用が無ければ自室に籠もってしまう。…まるで誰とも関わろうともしない様に。
施設で働く人間も男の子の過去を知っているため最善の努力を惜しみなく費やしていたが、結局のところ男の子は心を開いてくれそうになかった。
それから数年後、中学に上がる頃だろうか…男の子は施設を抜け出して煙の様に消えてしまった。…国の持っているここで男の子の存在は此処で途切れてしまっていた。
……………………………………
……1年後 12月ニューヨーク。
表ではクリスマスを祝うかの様に眩しいばかりのネオンが輝く中、表とは裏腹に寒さだけが残り薄暗く不快な臭いが鼻に付く裏路地、一人の学校にも行ってないだろう白髪のアジア人で14〜5の男は白い粉を何袋か黒人の男に渡し十数枚の100$札を受け取っていた。
黒人の男は納得したようでただ一言「…merry Xmas」とだけ言い残し、反対方向へと足を進めてやがて闇へと消えていった。
男は何でもやった、…生きていく為に。
殺人、スリ、強盗、詐欺、そして薬の売人も……生きていく為に、生きて復習する為に。身体に傷が増えようと止まる事は無かった。
「…帰るか」
パラパラと粉雪が降り始め、捨てられている壊れたビニール傘や空き缶の上に積り始めてきた頃、男は黒人の男とは反対方向へと歩き出し自分のアジトへと向かい始めた。
……………………………………
吐く息が白く、薄汚れたトレンチコートの中に手を入れタイルの上で溶け始めた雪の上で足を止め、白く濁った獣のような目付で男は時折見える表通りを眩しいそうに眺めていた。
「…………」
七色のイルミネーションが照らす大通りを幸せそうに歩く人々。彼氏の腕にしがみ付き幸せそうな笑顔で歩くカップル、父親と母親に手をつを繋ぎ歩く子供、溢れんばかりのプレゼントを抱え笑顔で電話をしているスーツ姿の男…それらをただ眩しそうに…恨めしそうにして眺めていた。
ふと違和感に気が付いた……何故自分が表の世界を見ているのか……自分とは違う世界の住人に視点を当てているのか………眩しい?恨めしい?…………いや……見られている……間違いなく同類に…。
不愉快な視線を感じ、視線の方向に目を向けると幸せそうな人々が粉雪が降り注ぎぐ大通りを横切る中、明らかに不釣り合いな同い年位の黒の長髪の東洋人が存在していた、中性的な顔立ちで漆黒のコートを羽織りそして………自分と同じ冷酷無慈悲な獣の様な目付きの人間が。
「………………」
やがて大通りの人間を避けただ静かに自分の方へと向かい歩き目の前で止まった。
「……貴様が草薙京介か?」
声質からして恐らく男だろう…忘れ掛けていた日本語で表情を変えず男は不気味な笑顔で問いかけた。
「……人違いだ……帰りな」
長髪の男は途端に無表情となり、懐から紙入れを出し、手を入れ数枚のレポート用紙を取り出した。
「白騎士事件……」
「!?………それがどうした…」
明らかに脈拍が上がってるのが分かる……何故今更……
男は表情を崩さず、静かにレポート用紙を差し出した。
「貴様何時まで天国にいるつもりだ?……天国を追い出された天使は、悪魔になるしかないんだ。…そうだろ?……貴様が求めている答えがある…それだけで分かる筈だが」
「お生憎様俺は神様や天使が出てくる話が大嫌いなんだよ…クソッタレ……」
乱雑に悟られぬ様紙を奪い取ったが、内心更に脈拍が上がっているのは間違い無かった、この男は知っている……俺が求めている事を篠ノ之束と白騎士の事を!
「………………そうか……」
読み終えたレポート用紙を懐に入れ、改めて顔を合わせる……瓜二つだな。
「答えは聞くまでも無いが?」
「……今更断るとでも?」
「……………」
何も言わず長髪の男は元来た道に戻り白髪の"男の子だったもの"は男に……天国から追い出された"堕天使"に着いて行った。
……………………………………
話し終えた男は黙って再びタバコに火を付けた。
「……救いようの無いお話ね」
なんとも言えぬ表情で飲み終えたグラスをテーブルの上に置き、スコールは唇に手を当てた。
「クリスマスの夜、不幸な男の子が出会ったのはサンタクロースでも神様でも無く悪魔とはねぇ……」
「…かもな……俺は知らねえけどよ」
あくまで他人事の様に話し、男は立ち上がりガラス越しに映る外を見渡した。
「……それはそうと"カズ"貴方今度は日本だっけ?IS学園……もしかしたらお話の続きでも見るの?」
悪戯な妖艶な笑顔でスコールは微笑んだ。
「……だから俺じゃねぇよ…」
ため息混じりに男は煙を口元から吐き出しながら面倒くさそうに言った。
「ならそういう事にして置いてあげるわ、くれぐれも……ブリュンヒルデさんもいるのだから」
無表情を崩さないが、内心は楽しみで仕方無かった、もう直ぐ……会えるのだから
……………白騎士に……………………
にやけそうな顔を抑え、淡々と語った。
「それがどうした……ただISに乗る事に優れているかも知れないが、所詮その程度だ。……オータムの言葉を借りるとしたら…奴なら所詮"アマチュア"だろ?とでも言いそうだな」
「そうね……ただ気を付けておきなさい、彼処には本物もいるわよ」
「本物?…バカバカしい、一体何の冗談だ」
「いえ、居るのよ一人。絶滅したと思っていた本物の男がね
……本人曰く"時代遅れのcowboy"だそうよ、…彼は太いわよ」
スコールは自分の事の様に誇らしげに語った。
「…まぁいい。どちらにしてももう終わらせてぇんだよ……この奇妙な乱痴気騒ぎをよ…」
なあ………M…いや………
ビシャス……
……………………………………
「あんたの目…そりゃ悪い目だな。学び舎でそんな目は頂けないぜ」
「織斑一夏…お前は、抗うことが出来るか?不条理な世界に、そしてお前は贖えるか…貴様の大切な姉が犯した罪を……」
「……分かるかよ」
「醒めない夢でも見てるつもりだったんだ…
いつの間にか醒めちまってたな…」
「終わりにしようぜ……もう昔には戻れねんだから…」