1000001回生きた男   作:61886

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今回はセシリアのターンです。

なぜ出番が少ないセシリアの事を書いたかというと………


作者はオルコッ党だからです!!


ただしこの作品のヒロインがセシリアとはかぎりませんよ

……今の所ヒロインがいないんだよね……


叶わぬ恋心

ここは………

 

眼下に映るのは見たことの無い街並みがセシリアの目に映っていた。

 

しとしとと雨が降る街並み、感じることは出来ないがおそらく寒く冷えるだろう映る景色は何処と無く寂しく思えた。

ポツポツと降る雨はコンクリートの建物や長らく舗装工事を行っていないアスファルトの上に降り注ぎやがて吸い込まれて大地に帰っていく、陥没している部分に水が溜まっていき、形成された水溜りは薄暗い空を写している。

 

(一体ここは…どこですの?)

 

セシリアは見たことも無い光景の中浮かんでいた。

上空から見渡すことができ、何処と無く祖国の裏通りに酷似している街並みが妙な胸騒ぎを覚えさした。

 

一つ分かった事がある。

………これは夢だ。

しかし夢と言う物は自分の記憶の中にある景色しか映し出さない…と前に聞いたことがある、寝ている間に脳みそが起きている間に体験した事を整理する為の幻覚…それなのにセシリアの記憶の中にこの街は存在しなかったが鮮明に映し出されていた。

 

…何よりも夢だと理解し自我を持つことが出来ている。15年の月日の中で今迄こんな体験をした事がなかった…

 

一体この夢は何なのでしょうか……わたくしに何を訴えているのでしょう……

 

訳が分からない…兎に角嫌な胸騒ぎをがする、早く目覚めることをセシリアは願っていたが、心の何処かで訴えて続けている。

 

……これから何かが起こる……目に焼き付けろと……

 

 

バンッ!!

 

!?

 

突如乾いた音が背後から聞こえてきた。

聞き覚えがある音であった。訓練中 試合中 幾度となく聞いたことがある嫌な音、間違いなく銃声だ……

 

銃声がした方を振り向くと多くの白い鳩が横を交差する様に飛んでいき、建物の上には二人の男性と女性がいた。

見たこともない長身の男性が呆然と立ちすくし、固唾を無理やり飲み込み信じられない物を見たかのような顔をしている、そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長い金の髪を靡かせ糸が切れた様にして倒れていく女性の姿が目に飛び込んできた。

 

……え!?

 

夢とは言え人が撃たれて倒れる姿を目に焼き付けてしまい、余りのショックにセシリアは言葉を失い呆然と立ち尽くす事しか出来なかった。

 

ビチャン

 

 

辺り一面に水が溜まっている中、女性のは水浸しのコンクリートの上に嫌な音を立て倒れ、そして動かなくなってしまった。

その間にも冷たい雨は無情にも女性に降り注いでいる。

 

 

 

 

『ジュリア!』

 

離れていた男性は所持していたショットガンを投げるように捨ててジュリアと呼ばれる女性の側へと駆け寄り抱き抱えた。

 

『おい!』

 

呼び掛けられた女性はセシリアと同じ鮮やかな青の瞳で男性を見つめ、命が燃え尽き様としているの中そっと呟いた。

 

『……………………』

 

余りにも弱々しく今にも消えそうな声であり離れて傍観しているセシリアには聞き取れる事が出来なかった。

 

最後の言葉を言い終わった瞬間…男性を見つめていた瞳は静かに閉じていき……恐らく亡くなってしまったであろうか…体が重力に逆らえないようにして力無く糸が切れた人形の様に生きていると言う力強さを失ってしまった。

 

それを受け入れ男性は優しく抱き抱えたまま、亡くなった女性に優しい瞳で見つめて弱々しいながらも優しく一言呟いた。

 

 

『あぁ……悪い夢さ…』

 

!?

 

……セシリアに衝撃が走り何故だか分からないが涙が零れ落ちた、泣きたくも無いのに何故…。

 

『好きなだけ泣きな。あんたはただ悪い夢を見ていただけなんだ…』

 

(…何故今あの時の一夏さんと姿が被ったのでしょうか…あの人と一夏さんは別人…でもあの瞳…余りにもあの時の一夏さんとそっくりな優しい瞳…)

 

涙が視界を遮る中、映ってる男性の余りにも愛おしくて寂しい姿を呆然と思い人と重ね合わせて見る事しかセシリアは許されなかった。

 

 

やがて女性の亡骸を優しく抱えたまま男性は空を見上げた。

 

見上げた空からは変わらずにしとしとと無数の雨粒が降り注いでいる。

 

『……………………』

 

暫くの間、何かを決めたかの様な強い目つきで男性は空を見上げてた。

 

 

………………………………

 

「……」

 

何時もと変わらない自室、セシリアは目を開けて天井を見つめていた。

 

「…夢でしたの」

 

冷たい雨が降る古い街並み、そこで生き絶える女性と悲しそうな男性…

 

「…酷い顔ですわね」

 

自室に置いてある三面鏡まで移動し、鏡を覗いて映った自分の顔を見てそんな感想しか出てこなかった。

 

涙が流れた後が残り、泣きはらしたかの様に赤い目をしている自分が映っていた。

 

「…どうやら思いの他早く起きてしまったようですわね…」

 

まだ完全に起き切れていない筈だが、先程の光景が未だ脳裏に鮮明に焼きついていた。

 

『ジュリア!』

 

あんなにも胸が痛くなる程の悲しく悲痛な叫び声をわたくしは聞いたことがない。

 

 

「もし…わたくしがあの様な立場になってしまったら、わたくしはあんな優しい瞳で一夏さんを見つめてられるでしょうか…」

 

恋人では無いが思い人である一夏、もし一夏が目の前で殺されてしまったらセシリアは優しい瞳をしながら送る事が出来るだろうか……逆にセシリアが一夏の目の前で殺されたら一夏は………分からない。

自分勝手な葛藤がセシリアの心の中を蠢いている。

 

「!そう言えば…」

 

余りの衝撃で分からずにいたが、あの男性が着ていたスーツ……一夏さんのISスーツにそっくりではないのか!?

 

ダブルに近い青の背広、黄色のカッターシャツ、黒のネクタイ。

 

「……偶々ですわよね」

夢に出てきた男性と一夏さんは違う、偶々服装がそっくりで姿が被ったが別人だ……そう自分を無理やり納得させた。

 

寝巻きであるバスローブを脱ぎ、とりあえず休みではあるが制服に着替えた。

 

…………………………………

 

時計を見るとまだ午前五時、ようやく朝日が差し込み小鳥がさえずり始めた頃であった。

 

着替え終わったセシリアは隣のベッドを見てみるとまだルームメイトはまだ夢の世界にいるようで、会話をする事も出来ない。

 

 

 

 

…誰でもいい、わたくしと一緒にいてくれないでしょうか。

 

 

焼きついている光景に怯え、セシリアは例えようの無い感情を抱いていた。

 

 

「あの男性…なんだか遠くへと行ってしましそうな気がしましたわね…」

 

 

勝手に自分の創造の中で、あの男性が遠くへと行ってしまうヴィジョンが見えてしまっていた。愛する人を失い糸が切れてしまったタコの様にあの人も何処か遠くへと行ってしまうのだろうか…

 

「…会いたいですわ…一夏さんに」

 

訳が分からないが今すぐ思い人である一夏に会いたかった、…彼もまた遠くへと行ってしまうのでは無いのか…そんな考えがセシリアの頭をよぎっていった。

 

 

「…そう言えば篠ノ之さんは遠征で今日まで学園に居ないのでしたわね……」

 

セシリアはおもむろに座っていたベッドから立ち上がり部屋の扉を静かに開けて部屋を後にした。

 

「やはりまだ誰も起きていないようですわね」

 

誰もまだいない寮の廊下をキョロキョロと見渡し呟くきスタスタと一夏の部屋を目指して歩いていく。

 

…………………………………

 

「一夏さんいますか?…まだ寝ていますわよね」

 

一夏の部屋に辿り着きコンコンとドアを叩き、静かに話しかけても返事はない様だ、…当然だが休みの日でまだ朝の五時を少し過ぎた所だ…、常識的に考えて起きている筈が無かった。

 

当たり前事を失念していて、少々自分勝手な考えに少し恥ながら自室に帰ろうとしていた。

 

「もしかしたら…」

 

帰る前に淡い期待を胸に膨らませドアノブを回すと

 

「あら…開けっ放しでしたの…」

 

どうやら鍵は掛けて無いようで部屋にすんなりと入る事が出来た。

 

「……身勝手なのは承知ですが申し訳ありません」

 

誰に言っている訳では無いのだが、断りを一言入れ部屋に入っていった。

 

「一夏さん…まだ寝ていますか?」

 

声を掛けても返事は返ってこなかった、目の前を散策すると飲みかけの氷が入っているグラス 半分以上無くなっていたお酒が入っているボトル 何本かの吸い殻の入っている灰皿、それ以上は自分の部屋と変わりない部屋の風景が映っていた。

 

まさかとは思い部屋を見渡すと、廊下側のベッドに今一番会いたかった人は居た。

 

「よかった……何処か遠くへと行ってしまったかと思ってしまいました…」

 

 

思い人である一夏がベッドの上で寝ている。当たり前の光景ではあるがセシリアを安心させるには十分であった。

側に近づくと一夏はまだ眠っているようで毛布から手がはみ出していた。

 

「……一夏さん」

 

セシリアは申し訳ないと思いつつも寝ている一夏の手を優しく握りしめ名前を呟いた。

 

「…ん?」

 

「!?」

 

名前に反応したようで、腰を上げて起き上がり一夏は重い瞼を少し開きセシリアの方へと顔を向けた。

 

「……んだよったく………あ?…セシリア…か?」

 

「あっ…あの…その…」

 

「…あぁ?」

 

訳が分からない訪問者に眠い目を擦り一夏は首を傾げた。

 

「…一体どうした、こんな朝っぱらからよ…」

 

「じ…実は……怖い夢を見てしまいまして……」

 

「はあ?」

 

まだ完全に起きていない脳をフルに働かせて投げかけた質問に対しての答え……ガキかよ…

 

「…んで、それでどうした……」

 

「あの…その………………一緒に寝てくれませんか!?」

 

「………あ?」

 

「はっ!?………あ、あわわ…」

 

セシリアはやってしまったと言うまでも無いほど顔を赤く染め上げて握っていた手を隠すように顔に当てて震えていた。

 

「…………………………………」

 

互いに言葉は無かった、一夏は顔を赤くしていたセシリアを呆然と見て、セシリアはただひたすらと顔を見せない様にして震えているだけであった。

 

 

…………………………………

 

「んで、落ち着いたか…」

 

「はい……すみません」

 

一夏は震えていたセシリアを宥め、ようやく落ち着きを取り戻したセシリアに対してもう一度質問した。

 

「…それで怖い夢を見ただつたか?……ったく…ガキかよ…」

 

「…そうかもしれませんわね。…ですがわたくしは怖くて仕方ありません」

 

「はぁ?、…一体どんな夢だ…言ってみろ…」

 

呆れた顔を見せてため息を吐き頭を掻くとセシリアは悲しそうな顔をしながら夢の内容を話した。

 

「二人の男女の夢でした。何と無くですわよ、…何と無く一夏さんに雰囲気と服装が似ている男性…そして金の髪をした女性が出てくる夢でした」

 

「!?」

 

セシリアの一言で完全に目が覚めてしまった俯いているセシリアは気がついていないようだが、もし第三者がいたら『何でそんな驚いている』と言われそうな顔をしながら一夏は話しの続きを一言も喋らずに聞いた。

 

「それは…雨が降る街…目の前で金の髪の女性が男性の前で銃で撃たれて亡くなる……恐らく恋人同士…目の前で最愛の人が亡くなる夢……正に悪夢ですわね……」

 

「……そうか」

 

セシリアに気が付かれていない驚いた顔を戻し、深く何かを思うような顔へと変え、それ以上何も言うことなく再び横になり毛布を羽織った、セシリアに顔を見せずに反対を向きながら。

 

 

「身勝手なのは重々承知ですわ。ですが…わたくしも大切な人が目の前で亡くなる…それだけを考えると悪夢以外考えられなくて、誰か側に…温もりが欲しいと思いまして一夏さんを尋ねさせて頂きましたわ…。不安ですの、一夏さんが…わたくしも大切な友人や恋人が目の前からいなくなるって事がもしあったらと考えると…」

 

 

泣きそうな顔を抑えてセシリアは語った。

 

 

「そうか………気持ちは分からなくもねえな。だが俺は寝るぞ眠いからな、後は自分で考えろ…」

 

セシリアには見えて無いだろうが、その時の一夏は悲しい目をしていた。

 

「…そうですか、ですわよねすみません…早朝から」

 

 

 

セシリアは立ち上がり部屋を出ようとしていた。

 

「…一人分スペースが空いているな、俺は知らねえが……あと一人入れそうだな」

 

一夏は腰を上げ、一人入れそうな位のスペースを作り、背中を向けたままセシリアに聞こえるようにして語った。

 

「!…はい。ありがとうございます」

 

「言っておくが俺は独り言を言っただけだ…」

 

セシリアは毛布をめくり一夏にくっ付く様にしてベッドへと潜り込んだ。

 

「一夏さん……抱き締めてもよろしいですか、怖い夢を見たあとお母様に何時も泣きついて抱きしめてもらいましたの……とにかく今は温もりが欲しいですので……」

 

 

一夏はその場から動かず、セシリアとは逆の方向を向きながら小さく話しかけた。

 

「好きにしろ…」

 

「!はい、ありがとうございます」

 

ベッドのスプリングが軋み、セシリアは細い腕を一夏に抱きつき絡ませた。ほのかに鼻に付くタバコの臭い、…紛れも無い一夏が目の前に存在する証の臭いが心地よくセシリアの心を体を安心させる事が出来た。

 

「一夏さん……先程はただの悪い夢ですわよね……」

 

小声でセシリアは語ると一呼吸起き一夏は優しく答えた。

 

 

「あぁ…悪い、夢さ」

 

奇跡的にもあの夢の男性が言っていた心地よい一言と一夏の一言が再び姿を被るが、心地よく深い眠りに就く事が出来た、最愛の人を抱きしめながら。

 

 

…………………………………

 

数時間後、セシリアが安堵し深い眠りについた頃一夏は未だ眠れずにいた。

 

 

「なぁ…ジュリア……お前はこの世界の俺をどうしたいんだ……何故セシリアに俺達の過去を見せた…」

 

誰も答える者がいない部屋、唯一の会話相手のセシリアは見えないが、恐らく安堵の表情を浮かべ自分に抱きつきながら深い眠りについているだろう、…一体誰に問いかけて居るのか。

 

「……俺は約束の場所で…あの冷たい雨が降っている日から…お前以外の女は愛せないんだぜ…」

 

 

この数時間幾度となくセシリアの方へと振り返り自分も腕を絡ませ抱き締める事を考えた、自分に好意を持ってくれて自分を愛してくれる女。欲などなくただ純粋に抱きしめ自分も愛したい……だが………自分が愛した女はただ一人。…それ以外の女は愛せずにいた。

 

 

「…答えてくれよ」

 

誰も答えない部屋の中、一夏の悲痛な小言が静寂を切り裂いた。

 




ヒロインどうしようかな……

今の所ヒロイン居ないんだよな……

スパイクが一途過ぎて…
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