とある原子崩し(偽)の英雄学園   作:NEAR LIGHT

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大変お待たせしました!

試験も無事終わったのでこれからは投稿ペースを戻せそうですd(ゝω・´○)


十三話 リミットブレイカー

 

 

 

「我が名はNO.11(イレブン)だ、麦野沈利」

 

「そうかよイレブン!悪いが腕の一本覚悟しろよッ!!」

 

啖呵を切って即座にイレブンの両手両足へ照準を固定、メルトダウナーを6本速射する。

 

こいつは危険だ、危険すぎる。

 

手加減なんてしてる場合じゃない、決して殺しはしないがメルトダウナーで四肢の一つでも消し飛ばして無力化ねぇと…!!

 

「命を取りに来るのでは無いのか」

 

「なッ…!?」

 

メルトダウナーが到達する前にイレブンは垂直に飛び上がり、緑閃光の槍は虚しく地面に突き刺さる。

 

この野郎反応速度まで化け物級かよ…メルトダウナーに反応しやがった…!!

 

それでも反応速度関係なく、身動き取れない空中なら!!

 

「喰らいなァ!!」

 

追撃として放ち真っ直ぐイレブンへ向かう3本のメルトダウナーは、文字通りイレブンが何も無い空中を蹴って移動することで回避される。

 

「チッ、強化系の個性じゃねぇのか」

 

こいつの個性は肉体強化系じゃなくて自分以外の物質に作用するタイプ。となると素の身体能力でメルトダウナーを避けたのか………つくづく化け物じみた奴だ。

 

しかもこいつ、メルトダウナーの()()()()()()()()()()()に気付きやがった。

 

メルトダウナーはその威力故に慎重に照準せず発射すれば、下手しなくても自分の身体ごと消し飛ばす。

 

だから、メルトダウナーは今のイレブンのように空中を高速で飛び回っているような相手に対しては照準が追い付かず、命中率が著しく下がってしまうのだ。

 

「今度はこちらから行くぞ」

 

空中を斜めに蹴り両腕の刀を振りかざして突っ込んで来る。

 

「当たんねぇんだったら!コイツで決めるまで!!」

 

私も即座に軍刀を構えメルトジェットを背中から噴射し、上段から振り下ろすメルトジェットで強烈に加速させた軍刀で迎え撃つ。

 

互いの剣がぶつりかり合うと火花が散り、イレブンは空中を足場にして、私はメルトジェットを靴底からも噴射させ、剣を押し付け攻めぎ合う体勢となる。

 

「くっ…!」

 

「どうした、先の一刀が貴公の全力であったか?」

 

「ほざけサムライ野郎ッ!私の全力はあんなもんじゃねぇよ!!」

 

全力は確かにまだ出していないが………本当の全力なんて出せばその後の戦闘継続が不可能になるレベルの反動を喰らう。

 

敵が目の前のイレブン以外にも居る以上、全力を出すなんて自体は避けたいところね。

 

「ならば、その全力を見せてみろ!!!」

 

その内にメルトジェットの噴出時間限界が訪れ、メルトジェットの再演算を行う前に私はイレブンに広場の方向へ押し飛ばされる。

 

こっちはメルトジェットの連続噴射が出来なくて完全に空は飛べねぇけど、私には左眼があるのよッ!!

 

「まだまだ行くぞ!!!」

 

「ご丁寧にどうも…!!」

 

追撃で迫りくる無数の斬撃全てを左眼で捉え、その全ての軌道を演算し斬撃を弾く。

 

僅かに生まれた隙を狙い、メルトジェットで加速した斬撃を土手っ腹に撃ち込んで思い切りイレブンを吹っ飛ばす。

 

「…そぉらよォ!!!」

 

左眼から頭の奥が痛い、焼け爛れた針金を差し込まれたみたいだ。

 

イレブンに追い付くためとは言え、ここまでの負荷を連続で掛け続けたのは初めてだ。これ以上左眼を使えば何が起こるか分からない。

 

それに雑な演算と無理な加速で身体中が悲鳴を上げている。

 

「でもっ…楽しいッ…!!!」

 

少しでも油断すれば死ぬ、油断しなくても判断を誤れば死ぬ。

 

それでも、意識が引きちぎれそうなくらいに張り詰めたこの空気が好きだ、好きで好きで堪らない。

 

「ハハッ…!まだまだやれるでしょう…?」

 

「当然であろう!!」

 

 

 

 

「麦野!?お前どうして…13号はどうした!!」

 

「おいおい、ガキが一匹逃げて来てるじゃないか…イレブンと黒霧は何してんだよ……」

 

落下する勢いをメルトジェットで減衰させて着地した場所は、相澤先生とヴィラン共が戦っている噴水前だった。

 

ヴィラン共は相澤先生に粗方ぶちのめされたらしい。

 

残りは後ろに控えてるデカブツと手野郎、出来れば手を貸したいけど今の私にそこまで余裕無いのよね。

 

「13号達は黒モヤと戦闘中よ!!私は…」

 

「よそ見する暇があるのか?」

 

相澤先生に端的に伝えようとした所で、イレブンから伸びる刀影が見えた瞬間、反射的にメルトジェットを噴射して飛び退く。

 

楽しいけどこのままじゃ反動でジワジワ消耗して負ける。

 

これは本格的に本気を出さないといけなくなって来たな……

 

「待てイレブン…お前、ちゃんとガキ共殺して来たんだよな…?」

 

「貴様か……いいや、我はまだ誰も殺せていない」

 

「おいおいおいおい。マジで言ってるのかお前?」

 

うわぁ……仲間とは思えねぇ程ギスギスしてんだけど。

 

戦闘中に口喧嘩始めるとか頭おかしいんじゃないの?

 

なんだが頭おかしい人を見るとちょっと冷静になれるわね…………

 

「麦野、13号と他の奴らは無事なのか?」

 

「半分は黒モヤに飛ばされて施設内で散り散り、もう半分は13号と一緒よ」

 

「無事とは言い難いな。お前はあのヴィランの相手を続けれるか?」

 

「生徒にそれ言います?」

 

「不甲斐ないが俺は手を離せない、合理的に考えたまでだ。出来ないなら今すぐ逃げろ」

 

「いいえ、やらせて貰いますよ」

 

私は食い気味に答える。

 

体のいい様に扱われてる感じも無きにしも非ずだが、私の力を信用してくれてる証だ。

 

それにここで引いても楽しくないものねェ……!!!

 

「お前も先生に作られた脳無なんだろ……大人しく言う事聞けよ」

 

「我をあのような木偶人形と一緒にするな」

 

「あっそ。一緒にされたくないんだったら脳無より先にあのガキを殺せよ」

 

「言われなくとも」

 

「つくづくムカつく野郎だぜ……」

 

「ふぅ………」

 

集中しろ、余計な思考と演算は要らない。今は目の前の敵を倒すために全細胞と能力を総動員させるんだ。

 

これだけやっても奴には追い付けないかもしれない。

 

だから奥の手で最終手段の()()()で決める。

 

コード-ODIN 002

 

システムリミッター解除

 

アナリティカルエンジン 限界稼働開始」

 

 

左眼の瞳の周囲にWARNINGの文字が浮かび上がると、瞳が紅く染め上げられそこから紅光が帯を引く。

 

 

左眼の義眼に施されたリミッターを解除した。これで普段は70%の稼働率で使用している左眼を100%の稼働率で使用出来る。

 

あまりの負荷におよそ1分で安全装置が発動して左眼のシステムは停止してしまい、私も反動で数時間は動けなくなる。

 

それでも、たった1分の全力でコイツらをぶちのめす。

 

「麦野……無理はするなよ」

 

「善処しますよッ!!!」

 

メルトダウナーの超単純な出力は時間×演算力=出力だ。

 

左眼のリミッター解除した今なら反応速度も演算能力も上がり、解除前の出力よりもさらに高い推進力を得られる。

 

そのメルトジェットを噴射しイレブンに推力のままの斬撃を喰らわせる。

 

「この速度はッ…!」

 

間一髪で両腕の刀で防がれてしまったけど問題無い、何発も打ち込めば良いだけだ。

 

反撃する間も与えずメルトジェットを脚から噴射してイレブンを空中に打ち上げる。

 

個性で空中を移動される前にメルトジェットでイレブンの上空に回り込み、加速させた軍刀を振り下ろし今度は地面に叩き付けた。

 

「脳無ゥ!!!」

 

ようやく反応した死柄木の声で黒いデカブツが空中の私に向かって跳び、拳を振りかざす。

 

多分あれがオールマイトを殺すための秘策であろう。

 

確かに速い。

 

が、今の私なら左眼で容易に捉えられる。

 

「邪魔だァァ!!」

 

軍刀の刀身にメルトダウナーを纏わせたブレードとし、脳無とやらの右腕に一瞬の内に幾度も斬撃を放ち斬り刻む。

 

脳無を押し退け再び地上に降り、砂埃にまみれたイレブンに向けて大量のメルトダウナーを放つ。

 

全てを避けられたが想定通り、目的は奴の意識を回避に集中させるためだ。

 

「それが貴公の全力か…!!!」

 

「そうよ!!これが私の全力よォ…!!!」

 

体を加速させ接近し両腕の刀を斬り落とすためメルトブレードを振るう。

 

さァて……いつまで避けれるかしらねェ?

 

一閃目は避けられた。しかし、二閃…三閃……とメルトブレードの斬撃を放つ内に少しずつイレブンの体は削れて行く。

 

「そらァッ!!」

 

「ッ…!?」

 

距離を離されたところで、メルトブレードを解除して軍刀を加速させ投擲、完全に意表を突いた攻撃にイレブンは咄嗟に軍刀を弾き上げる。

 

「ガードがガラ空きよォ…!!」

 

すかさずメルトジェットで懐へ飛び込み右ストレートを鳩尾へ打ち込み、反撃する間を与えずメルトジェットを利用した徒手空拳の乱打をお見舞いする。

 

いくら刀が腕だろうが間合いの内側に入り込んでしまえば訳無いものねェ!!

 

「くたばりなァ!!」

 

「がッぁ…!?」

 

強烈なアッパーカットを喰らい僅かに宙に浮いたイレブンに、メルトジェットで超加速させた回し蹴りを喰らわせ蹴り飛ばす。

 

奴が吐血した僅かな鮮血が顔に付着する。

 

気付けば私の黒いコスチュームの所々からは赤く裂けた生肌が見え隠れしていた。それに自分の血か浴びた返り血かも判別出来ないおどろおどろしい血痕もあった。

 

顔の血を拭い右手を横に伸ばす。

 

顔に触れた手からの感覚で自分自身が笑っていることをようやく自覚した。

 

「………およそヒーローとは思えないな」

 

イレブンの私以外に誰にも聞こえない呟きが聞こえ、私の伸ばした手の平に空中から落下して来た軍刀が()()収まる。

 

これは偶然じゃない、私は跳ね上げられた軍刀の落下地点を読んで移動した。今の演算能力を持ってなせる技だ。

 

「……ヒーローには見えぬ尋常ならざる少女よ……

 

…来いッ……!!!」

 

イレブンはふらつきながらも立ち上がり構えを取る。

 

 

ヒーローには見えない……それがどうした

 

 

こいつを無力化しない限り私やクラスメイトの命を奪い取りに来る。奪い取る者は当然、すべからく覚悟すべきだ。

 

奪う覚悟と奪われる覚悟を、だ………私は命を奪う気は無い、だが少なくとも奴の片腕は奪うつもりだ。

 

でも、アンタには感服するわ、あれだけやられても立ち上がるなんて並大抵の意志じゃないもの。

 

「トドメよ、凄く楽しかったわ」

 

 

最後の一閃を放とうと演算を開始した瞬間、左側の視界が真っ暗に染まり何かが私の頬を伝う。

 

「あぁ…もうそんな時間なの………」

 

私は心底名残惜しく言葉にする。

 

その現象から私の身に何が起こった事象は予想出来た。

 

それでも私は左眼に左手を添え、私の頬を伝う血涙を拭き取り残った右の視界で色を確かめた。

 

「タイムオーバー…ね」

 

全身から力が抜け、まるで落下するような感覚に身を任せて地面に崩れ落ち、だんだん暗くなって行く意識の中で思う。

 

恐怖は無い、後悔も無い。ただ……

 

「勝ちたかったな………」

 

 

 

麦野沈利はリミッターを解除したアナリティカルエンジンからの多大な負荷により、義眼とその周囲の神経は麻痺。

 

 

同時に彼女の意識は喪失した。

 

 

 




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麦のん死んだみたいになってますけど、失神して戦闘不能になっただけで生きてますから安心してください!(安心出来ない)

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  • ギャグ少なめ シリアス多め
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