とある原子崩し(偽)の英雄学園   作:NEAR LIGHT

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十七話 最限・超電磁砲

 

 

「オールマイト……来てくれたのか!」

 

スーツ姿で笑顔でも無いけど来てくれた!!

 

あのフィジカル最強のヒーローが居るなら鬼に金棒、ブチ切れ麦野にメルトダウナーのレベルで安心出来る!

 

後者は安心していいかわかんねーけど、そんくらい安心出来る!

 

「……ハハ、くだらねぇこと考えれる余裕が…あるって……こと…かァ…?」

 

オールマイトが来たからもう大丈夫と、油断する事は許されない。

 

まだ敵が居るなら油断せず視界に収め、全力をもって叩き潰せ……麦野が教えてくれた事だ。

 

教えの通りに手のヴィランと脳無から目を離さず、臨戦態勢を維持する。

 

とは言え、諸々の能力使用で残りの全力は残り三回、アドレナリンが全身が痛みを打ち消しているとは言え骨も折れてる。

 

この状態でどこまでやれるか……

 

「まずは君だ。上鳴少年」

 

「ほわっ!?」

 

突風が横を通り過ぎてヴィランかと思いきや、背後から大きな手で肩を触られる。

 

半分無意識でかつ超電磁砲の発射体制のまま、触れた手に電流を流して飛び退って照準を合わせる。

 

「…ってオールマイト!?」

 

「HAHAHA!なかなかシビれる反応だったぞ上鳴少年!」

 

「す、すみません!俺てっきり…」

 

「いや、問題無い!それより怪我は大丈夫かい?見た感じ意識はハッキリしているようだが…」

 

「大丈夫です。普段からゴリラにしごかれてますから」

 

「ふむふむ。だが両腕も骨折しているし、あちこちに切り傷があるな。念のため運んで行こう!」

 

俺の怪我の状況を一目見て自走可能と判断しながらも、運んで行くと言う。

 

瞬く間に僅かな揺れと周囲の風景がブレたのを感じる。

 

気付けば、俺はオールマイトにお姫様抱っこされて麦野たちの傍に連れられていた。

 

「やだ…!カッコイイ……!!」

 

「君思ったより余裕あるな!?」

 

色黒でハイパーマッチョでめちゃ強かったら大概の男は

 

あと俺が両腕折れてるのを労わりつつ高速移動するの凄くね?なんなら殆ど振動感じ無かったし……

 

……こうしてNo.1の由縁たる圧倒的な実力を間近で見ると、まだまだ実力不足を思い知らされるな。

 

「オールマイト!?それに上鳴ィ!?」

 

「上鳴ちゃん大丈夫!?」

 

驚いてる二人の前に降ろされるとオールマイトはヴィランの方へと振り返る。

 

「なんとかな、両腕折れてるけど」

 

「ごめん上鳴くん……僕が飛び出したせいで君に大怪我を…」

 

「謝んなよ。お前のお陰で麦野は死ななかったんだ、マジで助かったよ」

 

地面に這いつくばりながらの言う緑谷の両脚もボロボロ、自分の身も厭わずオールマイト級の超スピードで飛んで麦野を守ってくれたんだ。

 

麦野が起きたら伝えてやらねぇとな。

 

「峰田少年、蛙吹少女、上鳴少年。動ける三人は負傷者を運んでくれ、私はヴィランを釘付けにして君らが逃げる隙を作る!」

 

「了解です!」

 

「分かったわ!」

 

どんなヴィランが相手であろうとも、皆はオールマイトの勝利を疑わない。何故なら彼はNO.1ヒーローであり平和の象徴、一切合切の小細工を無に帰す力で救ってくれるから。

 

「オールマイト!あの黒いヴィラン尋常じゃありません、僕のパワーでもビクともしませんでした…!」

 

「君も大怪我してるんだ、あまり喋らない方が良い。だが、心配ありがとう緑谷少年ッ!」

 

ただ一人、緑谷はオールマイトを心配してか脳無の情報を短く伝える。それにオールマイトも短い言葉と心配で返して飛んで行った。

 

ワープに防御無視に超パワーが相手だ、緑谷が心配するのも無理は無い、けどそんなに負けの要素があるとも思えない。

 

なにか引っ掛かるところでもあるのか?

 

「オールマイト……」

 

「なぁ!?他のヴィランが来ちまうかもだし、とっとと行こうぜぇ!」

 

「行くって言っても、緑谷ちゃんとシズリちゃんと相澤先生をどうやって運ぶの?」

 

「無問題だ梅雨ちゃん、俺が運ぶからな」

 

磁場を操作して水難ゾーンの水底から砂鉄を引っ張って来たものの、さっきの大磁力操作で粗方集めたのでどうにも量が少ない。

 

それに能力の余力にも余裕は無いから、二人にも手伝って貰おう。

 

「あーごめん。やっぱり二人は相澤先生を運んでくれ、俺は麦野と緑谷を運ぶ」

 

「なんだよぉ〜、さっきの金属集める凄いやつやってくれよぉ〜」

 

「おいおい無茶言うなよ峰田。電力残量がカツカツな上に使える砂鉄はもうねぇんだぞ?」

 

麦野と緑谷をふわりと砂鉄に乗せて浮かせ、周囲の警戒を怠らずに峰田に軽口で返す。

 

「上鳴くん、あの大砲みたいなのもう一発撃てる?」

 

顎に手を添え、そう緑谷は真剣な眼差しと声色で聞きいて来た。横寝のなんというかマヌケな体勢で……

 

超電磁砲(レールガン)な。あと一発、後先考えずやったら更にもう二発撃てるぞ。それがどうした?」

 

「いや、万が一にもオールマイトがピンチになったら君のレールガンが役に立つと思って……」

 

「緑谷ちゃん、そんなに心配しなくてもいいんじゃないかしら?」

 

「そうだぞ、なんせあのオールマイトだからな!心配すべきはむしろ俺達のことだろ!」

 

二人の言うことももっともだが、思慮深いタイプの緑谷がここまで言うんだから何かしらあるんだろう。

 

「備えるだけなら別に良いんじゃねぇの?

 

今さっき気付いた、ある致命傷問題を除けばな」

 

「致命傷な問題…?」

 

「発射するコインが無い…!!」

 

「「「こ、コイン…?」」」

 

ヴィランに襲われ殺される危機に瀕していた三人達の気分を安めて笑ってもらうつもりで、俺はジョークを言ってみた。

 

でもなんかマジで驚いてるじゃん……これはこれで良し!

 

「ちょ、ちょっと待ってちょうだい。ただのコインでどうやってあんな威力を出してるの!?」

 

「簡単に言うとローレンツ力で弾丸を加速して音速の三倍以上のスピードで撃ち出す、超カッコイイ必殺技だ」

 

「名前からまさかとは思ったけど……その超電磁砲レールガンとは……」

 

「クソボケでモテるくせしてそんな事も出来んのかよォ…!!」

 

ガラにもなく目を白黒させてパチパチしてる梅雨ちゃん。

 

何度か頷き自分の中で合点がいった緑谷。

 

何故か意味分からんことを言って怒る峰田。

 

正に三者三葉の反応で大変よろしい。

 

「という訳で、弾丸が無いのと砂鉄にも余裕が無いから超電磁砲はブッパなせねぇんだ。悪いな」

 

「だ、大丈夫だよ!いざとなれば僕に使ってる分の砂鉄を使ってるくれれば…「皆さん!!ご無事で……ッ!」

 

USJ入り口のバカみたいに長い階段の付近に辿り着くと、八百万と耳郎が階段から駆け下りて来た。

 

そして二人は意識を失い左眼を中心に血痕がある麦野を見て青ざめる。

 

「ごめん麦野ッ…!!ウチらを庇ったせいでこんな…」

 

「こいつの命に別状は無い、この様子だったらと一日もしたら目覚める、安心しろ。それより、今の状況を教えてくれないか?」

 

何があったのかは知らない。にしても酷く取り乱した二人に短く簡潔に麦野の安静を伝えて、落ち着かせる為にいったん意識を別の事項に切り替えさせる。

 

「じゅ、13号先生が負傷、飛ばされた人以外は皆さん無事ですわ…!それと…」

 

「オールマイトッッ……!!」

 

悲鳴にも聞こえるような緑谷の叫びから、皆一斉に中央の噴水に視線を向ける。

 

そこには信じられない光景が広がっていた。

 

オールマイトがワープのヴィランと脳無によって拘束され、食い込んだ脳無の手指で脇腹から流血しているのだ。

 

しかも、徐々にワープゲートが縮まっている…!、

 

「上鳴くん!超電磁砲を…!!」

 

「ダメだ!超電磁砲が当たればワンチャン死んじまうんだぞ!!」

 

ヒーローとして人として、殺してしまえば全てが終わってしまう。それではヴィランとほぼ同義だ。

 

「いいや行けるよ上鳴くん…!オールマイトとの戦闘で確実した、あのヴィランは『再生』の類いの個性を持ってる!!」

 

「そういうことか…!!」

 

超電磁砲を受けたはずの脳無の身体には火傷一つ無かった。衝撃はまだしも、本来なら摩擦熱で大火傷するのにだ。

 

となると、奴は大火傷すら数秒で再生させる強力な再生能力がある。

 

だったら真の意味で手加減が必要無い。

 

ヒーローとしての制約、殺してしまう可能性。それを考慮しなくてもいいなら俺にもやりようがある。

 

「八百万!直径15mm、タングステンとカーボンの重合金の弾丸だ!創造してくれ!!」

 

「かしこまりましたッ……!!」

 

八百万も瞬時に状況を理解してオーダー通りに弾丸を『創造』、そうして手渡されたタングステン重合金弾丸を受け取り、皆から距離を取る。

 

麦野と相澤先生を優しく降ろして、残った力全てを注ぐため演算を開始する。

 

「条件はクリアされた…

 

………今の全力ぶつけてやんよ!!!」

 

技量的にも余力的にも武装的にも、今の俺が出せる最大最強の一発でオールマイトを助ける……!!

 

最限(フル)超電磁砲(レールガン)!!!!」

 

発射と同時に、急激な圧力変化によるソニックブームで爆音と衝撃波がそこかしこに撒き散らされた。

 

今まで出せなかった真の意味での全力、タングステン重合金弾丸の組成のお陰で弾丸は融解すること無く、恐るべき速度で一直線に飛翔して行く。

 

直撃した者を軽く木っ端微塵にする威力を秘めた弾丸は一寸の狂い無く、伸ばしている脳無の両腕を見事に泣き別れにした。

 

 

 

それを見届け、俺は電圧に耐えきれずアホになった。

 

 

 




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14話と15話の間が四ヶ月近く空いているのに読み続けてくれるのって、改めて思いますが凄くありがたいことですね。

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