とある原子崩し(偽)の英雄学園   作:NEAR LIGHT

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投稿遅くなり申し訳ありません…!

何でもするので許してください!


十八話 麦のんは鮭にもレモンをかける

 

 

 

「………アタマいたい」

 

目覚めてからの第一声は情け無いそれだった。

 

「これはアレね、知らない天井……ってやつね」

 

第二声は物凄くしょーもないものだった。

 

意識がハッキリするのに伴い、ワープゲートに飲み込まれそうなクラスメイトを助けたことから、脳裏に焼き付く最後の記憶まで少しずつ思い出す。

 

ちょーつよいヒーローの卵こと私、麦野沈利は片腕落とすレベルの本気でヴィランと戦ったんだけど、演算の負荷に耐えきれなくて結果的な自爆で負けてしまった。

 

 

病院送りにするつもりが、逆に病院送りにされてしまった訳だ。

 

「なーんか…モヤモヤする結果ね」

 

思い返すのは私の攻撃でボロボロになったイレブンこと、サムライソードもどきにトドメを刺す寸前の光景。

 

最後の最後、あともう一発のメルトダウナーを使えずに視界が暗転してしまう光景。

 

せめて敵の攻撃でやられるなら素直に納得出来たものの、こんな腑に落ちない結果ともなれば、気分が晴れないのも仕方ない。

 

食べ物の怨みを覗けば比較的潔い性格の私がそう思うのだから間違いない……その証拠に、私の弁当を間違えて食った上鳴はメルトダウナー千本ノックの刑に処した。

 

まあ、イレブンのあの怪我じゃ再戦できる可能性はほぼゼロだ。後悔しても遅い。

 

それに『考えても仕方ないことは一旦保留して目の前の問題に対処しろ』ってお父様も言ってたから、別の事でも考えましょうか。

 

「うしっ!とりあえずナースコール押すか!」

 

「あぁぁ!!起きてるぅ!!!」

 

物思いに沈んだ思考から心機一転頑、張ろうと私は割り切って一番最初にすべきな事に着手する。

 

端末に手を掛けたタイミングで病院の扉が開かれ、聞き慣れたやかましい声が驚嘆の悲鳴を奏でる。

 

「よっ、上鳴。麦野沈利様のお目覚めよ、咽び泣いて喜びなさい」

 

「むぎのぉぉ!!」

 

上鳴は安堵とも驚愕ともつかない表情で激突しそうな勢いで駆け寄る。

 

「どこか痛むところは!?左眼は!?頭は大丈夫なのか!?」

 

「最後の腹立つわね」

 

「はぁぁ……マジで良かった。お前、意識が一日中戻らなかったんだぞ……」

 

胸に手を添え芯から安心した様子で上鳴は深く息を吐いた。まあ、こんなに心配してくれてんなら悪い気はしないわね。

 

「なぁ上鳴」

 

「な、なんだ?」

 

柄にも無く頬を緩めて向き直ると、上鳴はギョッとして何か恐ろしいものに備える子供のように怯える。

 

何か重大なことでも言うのかと思ってるのか?

 

「飯が食べたい…鮭弁買ってきて」

 

安心して欲しい、腹減っただけなのだ。

 

 

 

 

 

 

「オッハー」

 

「おはよう!」

 

時間は飛んで翌々日の朝、検査と念を入れての入院、それから負荷を掛けすぎた左眼の調整を終えて、私はいつもの調子で教室にやって来た。

 

「シズリちゃん!?」

 

「麦野さん!?」

 

「なに!麦野だって!?」

 

「みんな!麦野が来たぞ!!」

 

私と上鳴が並んで踏み込むと、元々あった教室の喧騒が私達へと一挙に集められる。

 

八百万や耳アンプ…もとい、耳郎を始めとしたクラスメイトがわちゃわちゃと押し寄せて来のだ。

 

そうそう、名前覚えが悪い私がクラスメイトの名前を理解してるのは、入院中やる事が無さすぎて暇だったので頑張って覚えてみたからだ。

 

「目から流血してなかった!?もう学校来ても良いの!?」

 

「安心しなさい葉隠、この通りバッチリよ」

 

「ケロ…あんなに傷だらけだったのに綺麗なお肌に治ってるわね」

 

「腕の良い医者に診てもらったからね、ピチピチお肌に舞い戻ったわ」

 

私が『メルトダウナー』とかいう危なっかしい個性で子供の頃から無茶してこれたのは、いわゆる‪”‬冥土返し‪”‬大先生のお陰。

 

左眼の調整もこの人がやってくれてて、美容外科医から脳外科医、果ては薬剤師に至るまで、患者のためにあらゆる役をこなせる。マジに凄い先生だ。

 

「ごめん…うちがあの時ヘマしたから………」

 

「おいおいそんな顔すんなよ、こうして五体満足で立ってんだからそこまで落ち込むんじゃないわよ」

 

「そうだぜ!暗い顔してちゃ美少女が台無だぞ?」

 

「………死ね」

 

「はいはーい。クソボケ上鳴くんは死にましょーネ」

 

「えぇ…酷くね……?」

 

このアホわざとやってんのか…?

 

それとも個性訓練させ過ぎたせいで側頭葉がイカレちまったのか……?

 

「遠くから見てたけど☆凄くエレガントな戦いだったよ☆」

 

「それ程でも有るわね!ほらみんな、青山を見習ってこういうポジティブなこと言いなさいよ!」

 

「なんであんな早く動けたんだ!?教えてくれ!!」

 

「強大なヴィランを圧倒したそうだな。都合が合うなら手合わせを頼む」

 

「みんな、麦野さんは病み上がりなんだぞ!質問攻めするのはやめないか!!」

 

飯田が話をぶった切り、一旦私達は各々の席に着く。

 

改めて教室を見渡してみても空いている席は無く、誰も欠けていない。親に学校を辞めさせられたとかの事案は発生してないみたいね。

 

死人が誰も居なかったとは言え、授業中にヴィラン襲撃されるなんて、親からしたらたまったもんじゃない。

 

だがそこは流石というかヒーロー科、そこら辺の危険も私の両親含め覚悟しているらしい。

 

ちなみに私の両親はI・ランドとかいう、ベリーマイルドな学園都市みたいなとこに居る。出発手続きに手間取っているらしいので、会えるのは数日後になりそうだ。

 

「はっ、女ゴリラは復帰も早いみたいだな。一週間は大人しくしてると思ったぜ」

 

「やっぱ、お前みたいな腐ったミカン見るとなんか安心するわ。居てくれてありがとう」

 

「あァん!?ぶっ殺すぞ!!」

 

「いつまでやってるんだ、静かにしろ。ホームルームの時間だ」

 

そうこうしてると全身グル巻きのミイラ状態な相澤先生が教壇に立つ。

 

いくらプロヒーローでもその状態で出勤するとは……

 

………プロ根性ってやつか。

 

いやプロ根性の一言で片付けて良いのか…?

 

「襲撃を受けた早々でお前らも心身共に余裕は無いと思う。

 

だが、まだ戦いは終わっていない。むしろこれから始まる」

 

相澤先生の一際低い声音と共に発せられた言葉に、皆は不安感を顕にしてざわめく。

 

今度は何かしら?

 

戦闘訓練なら願ったり、イレブンとのマジな実戦で私の欠点やらなんやらも再認識出来たから、記憶に残ってる内に特訓しときたのよね。

 

麦野沈利は弛まぬ努力を行う人間なのだ…!

 

「雄英体育祭が迫っている!」

 

「クソ学校っぽいのきたぁぁぁ!!!」

 

 

これは…楽しくなりそうねェ……!!!

 

 




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ちょーっと雄英体育祭のプロットをまとめてたら、投稿が遅くなってしまいました。

その代わり麦のんやクラス皆の大活躍も見られますので、次回からの雄英体育祭編をお楽しみに!

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  • ギャグ少なめ シリアス多め
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