とある原子崩し(偽)の英雄学園   作:NEAR LIGHT

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ついにヒロアカ、ファイナルシーズン始まりましたね!私は今アニメでやっている範囲はうろ覚えなので凄く新鮮です!


十九話 特訓

 

 

雄英高校敷地内、体育館γ。通称をトレーニングの台所ランドとする一面にコンクリート張りの床が広がる訓練場で、緑色の閃光が咲き乱れる。

 

合間には高速の雷撃と影のモンスター、鋭角的な人体のシルエットやたまに紫の球体を添えて、色鮮やかな個性達が入り交じる。

 

 

その真っ只中で攻撃を避け、時には能力で防御する少女の動作は他のもの達より一際洗練されていた。

 

 

「ほらほら!そんなんじゃいつまで経っても当たらねぇぞ!!」

 

 

その少女こそ、私こと原子崩し、麦野沈利。

 

「あっッッたらねぇっ!!」

 

「くっそォ!速すぎだろ!?」

 

「ッ…今しがた電撃を弾いたぞ!?」

 

「いいから撃ちまくれ!晩飯賭けてんだぞ!!」

 

峰田、切島、常闇、上鳴、のそれぞれの悔しがる声が聞こえる。

 

今現在の私は体育館γの中を駆け回ったりメルトジェットで空中を跳んだり、全力で防御と回避に注力して男子共と耳郎の攻撃を避け続けている。

 

常人なら針山よろしく激しい十字砲火の餌食になりそうだが、私なら攻撃せず防御と回避だけに集中さえすれば、不可能な事でもない。

 

そもそも、なぜ私が袋叩きにされているのか説明すると、時間は30分前まで遡る…………

 

 

 

 

「麦野、特訓しようぜ!!」

 

雄英体育祭の開催が相沢先生の口から知らされた日の放課後に、上鳴は真っ先に私の元に来てそう言う。

 

「あら奇遇ね、私もそう言うおうとしたところよ」

 

「やっぱりな!体育祭やるなんて聞いたら、やる気出すだろうと思ったんだよ!」

 

「そうねェ…直接的な戦闘は無いだろうけど、なにか湧いてくるものがあるわね」

 

「その特訓俺も混ぜてくれ!」

 

そう言うのは、入学から間もないのに既に良い熱血野郎でキャラが固定されたツンツン赤毛の切島だ。

 

こいつの『メルトダウナー』を直撃させるには柔らか過ぎる、でも素手で殴るには向かない”硬さ‬”‬は、私にとって大きな課題だ。

 

それに根性あって性格も良いし、サンドバッグになれると思うから快く大歓迎ね。

 

「俺も先生の話聞いてたらすげぇ燃えて来ちまったんだよ!頼む、入れてくれ!」

 

「もちろん良いわよ、人が多い方が特訓の内容も幅広くなるものね。あとは暇そうにしてる奴を二人三人ほど…」

 

ギクッ…!

 

そんな擬音を響かせそうな位にあからさまに逃げ出す二人組が居たので、強化系個性顔負けの身体能力で跳躍して片方を捕まえる。

 

もう片方には目配せで上鳴を向かわせて、二人とも確保完了。

 

「離してくれ、麦野沈利……」

 

私が捕まえたのは常闇踏陰、『ダークシャドウ』とか言う実体がある幽波紋みたいな便利な個性を持つ、厨二病っぽい奴だ。

 

「麦野で良いわよ。それよりわたし達、特訓をすこーし手伝ってくれる優しいオトモダチを探してるんだけどぉ……」

 

「そ、そうか…!それでは失礼する…!」

 

「いやいやいや?戦闘訓練でも見たけど、アンタなかなか強いじゃない。是非とも私達を手伝って欲しいのよねェ?」

 

逃げようとしたので強く掴んで抱き寄せる。

 

「良いじゃない、体育祭に向けて切磋琢磨し合いましょうよ」

 

「そうだぜ常闇!拳と拳で語ろうぜ!」

 

「…ァタッテル……」

 

「え?悪い、もうちょい大きい声で頼むわ」

 

「ソノ…ムネガ…………いや、もういい。特訓に付き合うから離してくれ……」

 

「やりぃ!一人確保!」

 

『ダークシャドウ』がエネルギー状の存在か肉体の延長線上にあるものかはさておいて、『メルトダウナー』を直撃させたらどうなるか、物凄く興味がある。

 

うん、あとでやって良いか聞きましょうか。

 

「みーねーたー!やろうぜ特訓、麦野との特訓は抜群に効くぞ!」

 

「離せ上鳴っ!俺はまだ死ぬつもりはねぇ…!」

 

個性ってのは身体機能の一部、なら火事場の馬鹿力的なものが適応されるのでは?と、小学生のロリ麦野は考えた。

 

物は試しで自分をトコトン追い込んでみると、見事に『メルトダウナー』の出力が上がり、私の仮説は正しかったことが証明されたのだ。

 

まあ、実行難易度が高すぎるから、実際にする奴は上鳴以外居なかったんだけどね。

 

「大丈夫だって死なないって!だよな麦野?」

 

「ウン、ワタシウソツカナイヨ」

 

「ほら?」

 

「嘘つけぇ!!今の明らかにダメなやつだろ!」

 

うん、あくまで半殺し!

 

メルトダウナーはウソつかない!!

 

「もしかしたらラッキースケベが期待出来るかもだぜ?」

 

「その手には乗らねぇぞ上鳴ぃ……アレにそういう類のエロを期待するのは無駄だ」

 

「チッ、よく分かってるな」

 

「アホ鳴くん、お前だけぶち殺し確定ね」

 

 

 

 

 

こういう経緯で私は袋叩きにされていたわけだ。そして時間は現在に戻り、情けない男共がへばってる内にスポドリを一口に煽る。

 

良い運動になった、私が軽く息を切らす程度には猛烈な攻撃だったわね。流石というか、やっぱりコイツらは雄英に入学するくらいの実力者達だ。

 

「一発も当たらなかったな……」

 

「俺に関しては走り回って流れ弾に当たっただけだ……」

 

「不覚…理解したつもりでいたが、ここまで運動能力が高いとは……」

 

「ふっふーん!これで奢り確定ね、何を奢らせましょうか?」

 

やる気を出させるため、私に一発でも攻撃を当てることを条件に、飯を奢らせることを賭けにして特訓していたのだ。

 

もちろん賭けは私の勝ち、これで四日間は奢りで飯が食べられる。

 

「スルメで良いか?」

 

「ぶどうグミでも良いんじゃね」

 

「それじゃあ俺はチキンナゲットを振る舞おう」

 

「シャケフレークの瓶詰め渡しとけば喜ぶぞ」

 

「全員、食堂のシャケ定食奢りだバカ共」

 

か、完全に舐められてる!?

 

おかしいわね、予定だとここら辺りで私の強さに惹かれて多少の傍若無人ぶりは許されるはずなのに!?

 

入学した頃から思ってたけど、強い個性持ってるとレベル5みたいに自意識とか自我も強くなったりするのか……?

 

「疲れたけど、たしかに良い特訓になったな」

 

「でも、訓練自体は死ぬほどのもんじゃなくて安心した〜……」

 

「おっと、それはどうかしら?」

 

峰田が死ぬほどのもんじゃないという。馬鹿言うんじゃない、今まではただのウォーミングアップ、ここからが本番であり、格闘戦に重きを置いた特訓だ。

 

「今度は、1on1で殺り合うわよ」

 

「今なんかやり合うの意味合い違ってませんでした!?」

 

「何バカなこと言ってんのよ。手始めに常闇、あんたからよ」

 

体育館の使用と一緒に申請を出して持ってきた特殊軍刀をケースから出して構える。

 

「やりましょうか」

 

「来い、ダークシャドウ」

「アイヨ!」

 

切り替わった私の意識に勘づいてか、常闇も意識を切り替えて静かに『ダークシャドウ』を展開した。

 

「言っておくが、そう簡単にやられるつもりは無いぞ」

 

「…そりゃ楽しみねェ…!!」

 

私と常闇の間に漂う雰囲気に触発されて離れて座っている上鳴達も黙り込む。

 

開始の合図は要らない、静逸なそれぞれの身体が沸き上がる瞬間に戦闘は始まる。

 

 

「行け!ダークシャドウ!!」

 

先に動いたのは常闇、ダークシャドウを真っ直ぐに伸延させて私を狙う。

 

黒く大ぶりな鉤爪をわざと軍刀で受けて一撃の重みを確かめる。

 

「良いパワーね…でも、これが全力でもないでしょう!」

 

軍刀の峰からのメルトジェットで鉤爪を一気に跳ね上げて、ダークシャドウの胴体をガラ空きに、そこに横凪の軍刀を食らわせて弾く。

 

「硬さと強靭性もまあまあ」

 

「随分余裕そうだな、その平常心を崩して見せよう…!!」

 

攻撃があまり効いていないのか、ほとんど間を置かずにダークシャドウは襲い掛かる。

 

パワーとスピード、ディフェンスは確かめた。ここまでやったら正面戦闘に付き合う必要は無い。

 

ダークシャドウの攻撃を軍刀で再び弾き、メルトジェットで上方に飛翔して本体の常闇を見据える。

 

「メルトジェット!!」

 

メルトダウナーの出力任せで体を加速させ一気に常闇に接近………したところで背後に気配を感じて攻撃をやめ防御に転じる。

 

受けた軍刀に強烈な重みが走り、防御の上から大きく吹き飛ばされ宙を舞う。

 

幸い、普段から三半規管は鍛えられている。手足を動かし重心を調整して無事着地する。

 

「メルトジェットと言ったか、その高速移動は直線的な動きしか出来ないのだろう」

 

「あら、バレたのね」

 

「聡い者なら気付くと言いたいが……ここまでの戦いから推測し導き出した。これなら対応するのも可能だ」

 

たしかに、私のメルトジェットは細かい調整が出来なくて一直線の移動だけだ。

 

ただ、最後の一言は余計だ。

 

「さっきが全力なんて、一言も言ってねェよなァ…!!」

 

そうだ、さっきのはUSJで戦った時の半分ほどの出力だ。実力を低く見積もられてるのは気に触る、こっからは全力で行くとしましょうか。

 

メルトジェットを最高出力に設定して噴射、ダークシャドウとすれ違いざまに三閃の斬撃を繰り出す。

 

「ッ…今のは!?」

 

「ギリギリ反応したなァ!ダークシャドウにも自意識があるのかッ?」

 

「くッ……!!」

 

地面に着き足を切り返して再度加速、今度は常闇を狙って振りかぶり接近する。

 

負けじと常闇もダークシャドウを即座に戻して私を迎撃しに掛かるが、また単調な狙いと動作だ。

 

それを全力の軍刀で弾きダークシャドウごとガードを打ち上げ、常闇と私との間を隔たる者は存在しなくなる。

 

軍刀から手を離し、全体の体幹を揃えたところで右半身からメルトジェットを噴射。

 

右回りで加速された体の勢いを全て乗せた回し蹴りを、胴体に直接ぶち込む。

 

「ドラァッ!!」

 

「グフッ…!!」

 

錐揉み回転しながら3mほど宙を待った後、地面に倒れてピクリとも動かなくなったので、恐らく失神したのだろう。

 

「さァ、次は誰が相手かしらァ?」

 

 

 

決着したが観衆は声をあげる暇すら無く、ただ結果を見届けた。ある者は恐れ、ある者は昂り、そしてある者は雷撃を弾かせた。

 

雄英高校体育祭まで約二週間、果たしてこの者達から彼女を撃ち破る者は現れるだろうか………

 

 

 

 




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