とある原子崩し(偽)の英雄学園   作:NEAR LIGHT

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いつも誤字報告ありがとうございます!!

今話も週末に急いで書いたものなので、ワンチャンミスがありますがお許しを……!!


二十話 大胆不敵な宣戦布告

 

 

雄英体育祭までのとある放課後にて……

 

 

「な、何事だぁぁぁ……!?」

 

近頃、まったく麗らかじゃなかった麗日お茶子の声が教室に響く。それにつられてクラスの奴らが集まり、私も鞄片手にローファーの耳触り良い音を響かせて歩み寄る。

 

「なになに?有名人?」

 

「うーん?どちらかと言えばウチらが有名人?」

 

「どゆこと…?って、こういうことね」

 

イマイチ意味不明なお茶子の返答に疑問符を浮かべながらも、の視線の先に意識を向けると納得した。

 

A組前の廊下を人山人海と言わんばかりに他クラスの奴らが埋めつくし、その全員が私達に測るような視線を向けている。

 

「出れねーじゃん!何しに来たんだよぉー!?」

 

「敵情視察だろザコ。ヴィランの襲撃を耐え抜いた連中だもんな、体育祭の前に見ときてぇんだろ」

 

「うーん……やっても意味無いんじゃね?」

 

たしかに、実際の私達の姿を見て偵察するのは良いかもだけど、そんなのが通用するのは異形型だけ。

 

私や上鳴含む発動型はちょっとやそっと観察するだけで、個性が看破出来るもんでもない。

 

「見るだけじゃ物見遊山程度にしかなんないでしょ。脳無しなの?」

 

「だからバカみてぇに集まってんだろ、烏合のモブ共だな」

 

「あははッ!聞いたァ?頭カラッポの鳥頭さん達にはお似合いだね〜!」

 

ブチィ……!!!!

 

 

そんな効果音が聞こえそうなほどに、ものの数秒で群衆全員の殺気が高まり私と爆豪に向いたのを感じた。

 

「なにあの二人……なに…?あんなに仲良かったっけ?」

 

「尖った者同士波長が合うところがあるんじゃないかなぁ……?」

 

「聞こえてるぞー」

 

聞こえていないと思ってるのか、峰田と緑谷が背後でヒソヒソと話しているのを私の超人的な聴覚が察知する。

 

なんとなく爆豪と一緒にされるのは腹立つわね。まあ、理由は分かんないけどアイツの挑発とか悪口のパンチラインはちょっと好きなのよね。

 

「どんなもんかと見に来たが、ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのか?」

 

「「あァん?」」

 

「あ、ハモった」

 

「ハモりましたわね」

 

ツンツン頭の声の主は並み居る人と人とを押し退けて集団の前に来ると、一見気怠げな目元のまま臆せず続けた。

 

「こんな…だぁ?なーんか腹立つ言い回しじゃねーの」

 

「喧嘩売ってんのかァ!モブ野郎!」

 

「喧嘩?いやいや、俺はただ不思議に思っただけだよ。ヒーロ科はバカな不良でも受かるのかってね?」

 

「残念、私は入試首席よ。もちろん筆記実技共にね」

 

「首席がこれとは、お里が知れるな」

 

「俺が言うのもアレだがよォ!てめぇはそれ以下ってのを自覚してんのか?」

 

ツンツン頭の言葉選びと煽りも悪くは無い。緑谷とか飯田とかの真面目な類いがコイツの相手をしたら、ほぼ確実に口八丁に乗せられただろう。

 

A組でも邪悪と邪悪を煮詰めた権化みたいな私と爆豪を相手にしたのが全ての過ちだ。

 

ほら見ろ、見事に顔が引きつってるぞ。

 

「んで結局、鳥頭共は何しに来たのかなァ?」

 

重厚な威圧感と僅かな殺気を込めて軽く睨む。言葉よりも早く届くそれらで、集団は簡単にたじろぎ野次の一つも飛ばなくなる。

 

ただ、後ろの連中と違いツンツン頭の目はまだ戦意を宿して私達を睨み返した。

 

「……宣戦布告だ、予定は狂ったが教えてやるよ。普通科とかほかの科の奴は体育祭のリザルトによってヒーロー科編入も検討してくれる」

 

「ふーん、アンタはそれを狙ってると」

 

「加えて、逆も然りでヒーロー科から普通科に落とされる事もある……………つまりはだ。

 

足元ゴッソリ掬ってやるから覚悟しろ」

 

一触即発の雰囲気に呑まれてスルスルと流れ出てきたツンツン頭の言葉は、ヴィランとの戦闘を経験したA組のほとんどにすら肌を刺す空気に感じられた。

 

結果的に両集団の間には沈黙の帳が降りて静まり返り、あとには沈黙だけが残った。

 

「アンタ、名前は?」

 

「………心操人使だ」

 

それを破るのは当然私。空気を読んで黙っておくのが吉かも知れないが、私としても絶対に聞きたいこと、言っておきたいことがあったのだ。

 

困惑を表し躊躇いながらも心操は答えた。

 

「そう心操、私からも言っておくわ。

 

私は麦野沈利、今回の体育祭全力で勝ちに行くつもりよ。どんな障害が道理があろうとも、私は私の持ちうる全てでソイツらをこじ開ける。

 

そこんとこよろしく」

 

 

 

私なりの宣戦布告を添えて、雄英体育祭の静かな前哨戦は終了した。この後は他の生徒に呼ばれたか、騒ぎを聞き付けた先生に叱られ全員が帰路に着いた………

 

 

 

 

 

 

雄英体育祭当日、一年A組控え室にて………

 

 

 

「ねぇ見た?観客席満員だったよ!」

 

「緊張するよねー!」

 

「だね…ウチなんて昨日あんまり寝れなかったよ……」

 

クラスメイトと私達が各々の特訓に勤しみ、戦いが始まる前から対決の気配が漂い火花を散らす雄英体育祭までの、この二週間は思いのほか早く過ぎて行った。

 

やれる事の全て…とは言わずとも、私の演算能力の思い付く限りの事はやったつもりだ。

 

みんなで特訓と称してのクラスメイトの個性把握、メルトダウナーの新技開発とそのブラッシュアップ、ある日の森の中のクマさんと戯れたり(戦闘)などなど……

 

「なんだ麦野、さっきから静かだけど緊張してんのか?」

 

「ちょっとした考えごとよ。それより、今日は左眼もメルトダウナーもフルスロットルで行くから覚悟しなさい」

 

「ひぇーそりゃ恐ろしい。超スピードでぶっ飛びながらメルトダウナーばら蒔いてくんのか」

 

「とか言って、全然ビビってないじゃない」

 

「ありゃバレたか」

 

「たりめぇだろ、アタシの‪”‬左眼‪”‬に見抜けない嘘は無いんだからな」

 

義眼である左眼の拡張機能、嘘を付いている時の特殊な声の波形を耳で認識し、その生体信号から左眼で判別する。

 

普段はオフにして負荷が掛かるのを避けてるけど、宣戦布告通りに本気で行くつもりなのでここ最近の会話中は常にオンだ。

 

「ここ数日は特訓に付き合ってくれなかったよな?

 

もしかして超電磁砲の他に必殺技とか作ってたりする?」

 

「バカにしすぎだ、流石に引っかからねぇよ」

 

「まあ、そうだよな」

 

今みたいな曖昧な返事には、左眼も曖昧な判定しか出さない。これは私の話術で対策するしかないな。

 

「客観的に見ても実力は俺の方が上だと思う」

 

「え!?う…うん」

 

 

「そこは言い返しなさいよ」

「まあまあ、面白そうだから黙ってようぜ?」

 

いつもクールで何考えてるか分かんないイケメソの轟、遠慮しがちながらも決める所は決める緑谷、二人の対面に控え室は水面下で湧き上がった。

 

「……お前オールマイトに目ぇかけられてるよな」

 

「っ!!」

 

「別にそこ詮索するつもりはねぇ……

 

……だけどお前には勝つぞ」

 

上鳴の言う通り面白いことになって来た。戦闘訓練で負けた上鳴を差し置いて、自分より実力が下だと断ずる緑谷に対しての宣戦布告。

 

オールマイト絡みなのは間違い無いでしょうけど、まだまだ真意が読めないわね。

 

「そりゃ君の方が上だよ、客観的に見ても……今の僕じゃ勝てないって事も理解してる」

 

「でも……皆、他の科の人も本気でトップを狙ってる。僕だって……今より前に進む覚悟はできてるんだ。

 

僕も本気で獲りに行く!!」

 

 

「…上鳴、お前にも言うことがある」

 

「え、俺!?何も言ってこないから、暗にお前は眼中に無いって言われてるかと思った……」

 

「いくら無愛想な轟でもそこまではやらないでしょ」

 

「俺は無愛想か………」

 

上鳴の軽いノリに戸惑ってか、それとも私の指摘に気付いてか……少し反応が遅れて轟は口を開いた。

 

「俺はお前に負けた、言い訳が出来ないほどにだ」

 

「いやいや、あんな俺に有利な状況の訓練じゃ負けとは言わねぇよ」

 

「それでも俺は負けた………だがな、今日は勝たせて貰うぞ」

 

「…ククッ!望むところだ!返り討ちにしてやるよ!!」

 

「……良いじゃない上鳴」

 

大昔の上鳴なら鼻で笑い茶化して返すところを勇ましく、相手を侮らない気配と眼差しで返した。

 

幼なじみとして何か込み上げて来るものがあるわ、これはアレね。闘争本能ってやつね。

 

「轟と緑谷に上鳴まであそこまで言うなんて、アタシもやる気出てきたじゃないのォ…!」

 

「私は沈利ちゃんが何か言い出さないかヒヤヒヤしたよぉ…」

 

「ハハッ!心配しなくても、ソレはあとに残してるから楽しみにしてなさい葉隠」

 

「え?」

 

先生から事前に話されてた入試首席で代表である私が行う選手宣誓、ここで一発印象付ける秘策あるのよ私にはねェ!!

 

「それはそうと、上鳴とはどうなのよ?」

 

「ドドド!?どうって何なの!?!?」

 

「隠さなくっても良いわよ。私は葉隠だろうと誰であれ、あのアホとくっ付くならニヤニヤしながら応援するから」

 

「うぅ…!!まだ少しも進展してないよぉ……」

 

私は上鳴みたいに無意識下で電磁波を照射してはいないが、今の葉隠の顔は真っ赤になって漫画みたいに蒸気を発しているのだろう。

 

進展してないのは残念、でもこれはこれでアリね!!

 

 

 

「入場の時間だ!!よし、行くぞA組!!!」

 

『おおォーー!!!』

 

 




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