とある原子崩し(偽)の英雄学園   作:NEAR LIGHT

25 / 29

勢いでこんな時間に投稿!私は寝ます!!


二十五話 かくして大争奪戦は幕を開ける

 

 

『第二競技、ルール無用の騎馬戦、スタートよォ!!!』

 

ブザーと歓声が入り混じる大音響を受けながら、私達は互いの頭上にあるハチマキを奪わんとする。

 

互いのというか、ほとんどの騎馬は単一のハチマキ…先の競技で一位を飾った緑谷の一千万ポイントを狙って動き出した。

 

私達の騎馬はとりあえずは動かずに全体の動きを把握しながら他チームの動きを見計らっている。騎馬の構成は、正面に飯田、右後ろに轟、左後ろに八百万だ。

 

「ま、皆当然トップを狙いに行くわよね」

 

「麦野君、君の判断を疑う訳じゃないんだが、どうして一千万ポイントを取りに行かないんだい?」

 

「簡単なことよ。一千万ポイントは取れば勝ち確定なだけに圧倒的に狙われる、こんな最序盤に取ったところで後半までに体力を削られて横からかすめ取られるだけ。

 

なら、かすめ取る側に私らが回れば良いのよォ…?」

 

「凄く悪い顔をしてますわ……」

 

序盤から終盤まで守り切れない事はないのだが、一位喪失のリスクを負ってまですることじゃ無い。その代わり、他の奴は序盤から終盤に掛けてでハチマキ全部奪ってやるよ。

 

『緑谷チーム!!囲まれた末に見出した逃走経路は空だぁ!!』

 

「よし、そろそろ行くわよ!全速前進!!」

 

大雑把な方向性は私が示し、飯田をメインに騎馬の舵取りを任せ、八百万と轟は合わせる形で騎馬は進む。練習も無しに騎馬戦なんて不安だったけど、なんとかなるもんね。

 

狙うは敵騎馬に囲まれ空中に逃亡した緑谷の騎馬………では無く。それを逃して呆けている下の阿呆な騎馬共!!

 

「八百万!カラーボール!!」

 

「はい!」

 

「轟!前方の馬共の足を凍らせちゃいなさい!範囲はアドリブで!」

 

「……あぁ」

 

八百万が『創造』したカラーボールを受け取りつつ、轟にも指示を飛ばす。轟を引き入れた最大の理由はこそ、攻防を可能にし妨害をもこなせる氷結能力だ。

 

その妨害性能を最大限に押し出せば、一千万ポイント以外のハチマキ全てを奪える。

 

「あ、足が!?」

 

「轟の野郎やりやがったな!!」

 

よし!三つ掛かったな!!

 

「踏ん張りなさい、最大速よ!!」

 

足元を凍らされ身動き取れないB組と葉隠の騎馬に対し、私達は二つの駆動力、飯田のエンジンと私の最低出力メルトジェットで氷上を滑る。

 

「アンタ首席の…!!」

 

「ひとォーつ!!」

 

速度が乗った私達を止める事も出来ず、ある騎馬からは拳を大きくする個性を発動させる事無くハチマキを奪い。

 

「ふたァーつ!!」

 

またある騎馬からは、切島の金属バージョンみたいな奴の鋼鉄の表皮を騎馬が崩れない程度に殴り付け奪い。

 

「麦野ちゃん!?」

 

「みいっーつぅ!!」

 

葉隠の騎馬からは、葉隠自身にカラーボールを投げ付ける事で個性を実質無効化して間合いを把握しながら奪う。

 

「悪く思わないでよ葉隠!!」

 

「ワァァ!?返してぇよぉ…!」

 

許せ葉隠、この世は弱肉強食なのだよ。

 

合計何ポイントか分からんけどザックザックねぇ!!

 

『速い速い速い!!ここで麦野チームが大量得点!!』

 

「しゃっあ!この調子でどんどん行くわ…っとぉ!?」

 

滑り去ろうとしていた私の腕に巻き付いたのはワイヤー。メルトジェットとエンジンの馬力を上回るパワーは無いが、ワイヤーは騎馬のスピードを確実に落とす。

 

「麦野さん、大丈夫ですか!」

 

「問題ナッシング。アンタらも大丈夫そうね」

 

問題は後ろのアレだ。

 

「発目ちゃん!!巻き取り開始っ!!」

 

「了解です!!私のベイビーの活躍をご覧あれ!!」

 

轟が作った氷のフィールドをワイヤーを駆使して猛追を仕掛けるのは、先程ゼロポイントにした葉隠の騎馬だ。

 

葉隠の騎馬の前方を務めるゴーグルの女が射出するワイヤーが巻き取りを始め、更なる抵抗を生んで騎馬の速度を削る。

 

「覚悟してください首席さん!ベイビーの力はこんなもんじゃないですから!!」

 

「見慣れない顔と装備かと思ったら、サポート科の奴か。学生でもそういうの作れるんだな……

 

…轟は合図したら氷生成を止めて!飯田エンジン停止!あと全員、私を全力で掴んで踏ん張んなさい!!」

 

突拍子の無い指示にも何も言わず従ってくれるメンバーに感謝しながら、メルトジェットの出力演算。即座に終わらせた演算を実行に移す。

 

「そぉォれェ!!」

 

左右逆の光球から噴出するメルトジェットが私達の騎馬を180度反転させ、葉隠の騎馬と真正面から向き合う形となる。

 

「ハロー葉隠!可愛い顔を見れないけどビックリしてるでしょうねェ!!」

 

「び…び…びっくりしたぞ…!!」

 

「やる前に言って欲しかったですわ…!!」

 

「アハハッ!めんごめんご、でもこれで照準が定まるわァ!!」

 

バック走に必要なメルトジェットを残しつつ、左眼を見開き発目とか言った奴の装備へ照準を開始する。

 

後ろを向いたままじゃメルトダウナーなんて危ない能力は正確に使えない、だからこうして旋回して敵の騎馬を見据え、メルトダウナーをぶち込むのだ。

 

「貫け!!」

 

コンマ一センチも肌を焼かない、我ながら完璧な精度のメルトダウナーで発目の装備は破壊。巻き付いたワイヤーからの抵抗も消える。

 

「私のベイビーが!?」

 

「今よ轟!!」

 

「…!」

 

ここでメルトダウナーを逆噴射、運動エネルギーを一度殺し今度は逆方向へと、氷の上を滑り行く葉隠騎馬とニアミスして滑走して行く。

 

「よぉし撒いたわね!」

 

「ホントのホントにびっくりしたぞ麦野君!!」

 

「「………」」

 

「あー………ごめんなさいね。流石に何か言うべきだったわ」

 

え、なんか八百万と轟の二人がだんまりなんだけど。二人が凄く怖い顔でこっちを睨んでくる、怖い…………ハイスピード対応の飯田はまだしもあの加速度は流石にキツかったかしら……

 

「飯田、一旦速度を落として。二人が回復するまで防御に徹するわよ」

 

「了解だ」

 

ひとまずは二位圏内に収まったかしらね?

 

()()は緑谷の騎馬、あそこを取らない限りは一位になれない。

 

この競技中で一番速いと自負があり、質量攻撃の轟に万能の八百万が揃ったこの布陣に脅威など無いはずの騎馬が、なぜ緑谷騎馬を問題とするか。

 

理由は簡単。現在進行形で爆豪騎馬と争っている緑谷騎馬、その左翼に位置する男こそが、()()()()だからだ。

 

 

「休憩したら、次はトップを狙うわよォ……!」

 

 

 

Side 上鳴

 

 

 

 

「死ねェ!!クソデクぅ!!」

 

「させねぇよ!!」

 

『爆破』の個性で空中を駆ける爆豪に向け、俺の個性で操る砂鉄の触手が進路を阻む。

 

「チィッ…!!」

 

「ありがとう上鳴くん!」

 

「良いってことよ!このために俺は呼ばれたんだからな!」

 

雄英体育祭、第二競技騎馬戦。

 

今、俺は一千万ポイントというヤケクソなポイントを付与された緑谷の馬となり、襲い来る他の騎馬から緑谷を…精確に言えば頭上の帯を守っていた。

 

「いや凄いよ!対応力が高いとは思ってたけど、まさかここまでとは…!」

 

「ウチらの出番なんて最初の大ジャンプだけだったよぉ……」

 

「悔しいが、俺達の出番は皆無だ」

 

「いや〜、それほどでもぉ?」

 

緑谷と麗日、常闇が褒めてくれて思わず表情が緩んでしまう。

 

やべぇ、普段は連携なんて要らないゴリラとつるんでるから、素直に褒められてめちゃ嬉しいよ。

 

「本当に君が僕と組んでくれて良かったよ!」

 

なぜ、俺が緑谷と組んでいるか?

 

それは簡単、一番持ちポイントが高かったからだ。うん、麦野にアホだと言われそうな理由だが、しっかりとした理由があるのだ。

 

何点くらいが次の競技に進めるか分からんけど、少なくとも一位の緑谷は守っているだけで次へと進める。守るだけなら、俺の個性で十分に勝ち筋が見える。

 

「オラァ!近付いたら上鳴さんの電撃と砂鉄の餌食だぞ!」

 

「くっ、流石に硬いな…!」

 

「物間サン!どうするんデスカ!!」

 

「一旦待機だポニー!小大も、今は期を見計らうんだ!」

 

という訳で、超電磁砲は殺傷力が高すぎて使えず、電撃は騎馬を崩すかもなので、安牌の磁力操作で砂鉄を使って耐えてる訳だ。

 

積極的に攻めなくて良い。連携するB組勢の騎馬も、緑谷恨めしでガンガン来る爆豪騎馬も関係ない、ただ耐えるだけで良いんだ。

 

ちなみに、初手は敵のライバルからの狙いを絞るために、『砂鉄の大翼』と麗日の『ゼログラビティ』で大きく飛んだのだ。

 

「みんな警戒して!多分そろそろ、麦野さんと轟君が…」

 

言い終わる前に氷が地走り、俺達の足を微塵も動けないようにガチガチに固めた。

 

「今削るから待ってろ!」

 

「お願……いや、ダメだ上鳴君!」

 

視線を足元に向けた俺が緑谷の声に反応する前、頭上の砂鉄の塊から目を離した一瞬、()()()()()が纏めていた砂鉄を消し飛ばす。

 

やられたっ…!!砂鉄が八割がた消えちまった…!!

 

「常闇君はダークシャドウで氷を削って!」

 

「ダークシャドウ!!」

 

「マカセロ!!」

 

常闇の腹から飛び出したダークシャドウがエネルギー体の鉤爪で氷を砕いて行く。

 

「上鳴くんは全方位を警戒!麗日さんはいつでも個性を使えるようにして!」

 

「了解…!」

 

「分かった!」

 

たぶん、奴らの目的は俺達の足を止めた上で、砂鉄という防御手段を潰すこと、完全に逃走経路を潰しに来たな。外縁の土の地面に含まれていた物を限界まで集めた砂鉄は、残る拳大の量しか使えない。

 

悔しいけど狙いは完璧だよ………麦野!!

 

「みんなッ!ダークシャドウが氷を割るまで、ここで耐えるよ!!」

 

「耐えれるかなぁ…!?」

 

「耐えるしかない…!!」

 

強引に足を止められた俺達を見て、周辺の騎馬が一斉に襲い来る。B組勢に爆豪、そして猛スピードで氷上を滑る麦野の騎馬が、一千万ポイントを狙う。

 

 

拮抗は崩れた。

 

前哨戦は終わる、これからは総力を賭けた大争奪戦だ。

 

 

「やるっきゃねぇなァ!!」

 

 

 




評価付与と感想お願いします!

どれが好き?

  • ギャグ要素多め シリアス少なめ
  • ギャグ少なめ シリアス多め
  • どっちも同じくらい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。