とある原子崩し(偽)の英雄学園   作:NEAR LIGHT

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書きたいことが次々湧いて来て幸せ。

でも他に時間が喰われるので大変。


二十六話 フィジカル イズ ストロング

 

 

「掴みは上々!このまま攻めるわよ!!」

 

緑谷騎馬の攻防の要である砂鉄を狙いすましたメルトダウナーは見事にそのほとんどを消し飛ばす。

 

初手で砂鉄の塊を消せたのは幸いね、アレを面上に張られると点の破壊力に特化したメルトダウナーじゃ除去は困難。方法はないこともないけど、新技を解禁しないとだから二重の意味で上々ね。

 

『緑谷チームを狙う包囲網に割って入るのは、麦野チームぅ!!瞬殺された騎馬やその他の騎馬も続くぞぉ!!』

 

『現時点でも二位だが、さらにその上を狙いに行くか』

 

私達の他にも、全ての騎馬が一千万ポイントを狙う形となり意図せずして序盤の再現となった。

 

第一競技での五位以上のいわゆる主力級の面子。協力を必須とする騎馬戦でも、単一で多大な戦闘力を発揮する主力級は居る居ないで、正に超能力者(REVEL5)のようにその他の騎馬と大きな差を生む。

 

こんな風になァ…!!

 

「次はテメェだB組の脳ミソ!!」

 

「このっ…」

 

斜に構えるB組の金髪頭と互いに一千万ポイントを狙う事で並走するタイミングで強引に腕を左腕で掴む。

 

はい捕まえた!腕力は上鳴以下、余裕で取れる!!

 

物凄く不服だが上鳴に、リンゴをスライム感覚で潰す言わしめた私の握力で掴めば逃れることなんて不可能!!言った当時の上鳴には、この握力を楽しんで貰った()

 

「油断したね」

 

直後、下方から顎目掛けて()()が襲う。

 

「麦野さん!?」 「麦野くん!?」

 

脳が揺れている

 

顎に喰らった

 

演算が纏まらない

 

「モロに入ったんじゃないかな?

 

全く、どんな個性があるか分からないのに突っ込んで来るなんて、首席がこれならA組の連中もたかが知れるねぇ?」

 

衝撃と思考がピンボールのように脳内で跳ね回る。

 

「飯田さん!」

 

「支えるんだ!!」

 

「距離を離すぞ…!」

 

八百万と飯田の二人が騎馬が崩れぬよう支え、轟が咄嗟に個性を発動させようとした時……

 

 

 

 

 

 

 

「ペラペラと…早口でよく喋るなァ…?」

 

麦野沈利は1秒と経たずに復帰する。

 

「なァぁッ…!?」

 

「そらァ!」

 

爆煙が晴れる前に早口金髪の胸倉を掴み騎馬ごと引き寄せ、頭突きを一撃。早口金髪からしたら幸い、軸が大幅に外れた一撃で鼻血が出るに留まる。

 

クソ、踏ん張りが効かないわね。火力が出なかったじゃない。それともまだ脳が揺れてるからかしら?

 

「バカな!?『二連撃』と『爆破』を併用したんだぞ!なんで平気そうにしてるんだ!!」

 

「使い古されたテンプレ反応をどうもありがとう。後学のために教えといてやるわ、どんな個性があっても。

 

大抵はフィジカルでどうにかなるのよッ!!!」

 

もう一度、今度は両手で早口金髪の頭をしっかりとホールドし、大きく振りかぶった頭突きを全力でぶつけて意識を彼方へグッバイだ。

 

どんな強い個性を持ってようと、フィジカルを鍛えてないと近付かれたりゴリ押しで負けてしまう。私はこの肉体と弛まぬ筋トレによって、大抵の肉体強化系個性を上回ることが出来るのだ。

 

「ミゃッバぁ…!!」

 

「へッ…汚い断末魔ね」

 

「「「も、物間ぁぁ!!??」」」

 

物間というらしい早口金髪は、情けない顔と鼻血を晒して気絶し下の騎馬に支えられながら離脱して行った。

 

いい気味ね。この麦野沈利のご尊顔を傷付けた事をとくと後悔しないさい。

 

「おととい来やがれっての」

 

「麦野君スゴイな君!?原理は分からないが『爆破』が直撃したのに平気そうじゃないか!」

 

「平気じゃないわよ。しっかり痛かったし」

 

『爆破』なんて体に衝撃波が響くのがクリーンヒットだったせいで、大きい音聴くとまだ頭がガンガンする。髪も傷んでチリチリじゃない。あの野郎、次会ったら物/間ね。

 

「あと全員覚えておくことね、フィジカルはパワーなのよ。んでもってパワーが全てを解決するのよ!!」

 

「やはり脳震盪の影響が残っていますわね…」

 

「え、妄言扱いされてる?」

 

「妄言に近いな」

 

なんだよ轟そのジト目は、何にも言わないから納得したかと思ったのにその目は絶対納得してねーなオメェ。オールマイトだってフィジカルで全部解決してるんだから、コンマ一理くらいはあるだろ!!

 

「さぁさァ!!頭痛のせいで余計な時間喰ったわ、気を取り直してトップを潰しに行くわよ!!」

 

「主に君のせいだな」

 

「ですわね」

 

シャラップよ馬共。アンタらの休憩の時間でもあるから良いじゃない。

 

轟の個性は使わず飯田の『エンジン』のみの加速で激戦区へと突っ込んで行く。八百万には簡単に木刀を作って貰い、受け取って構える、気分はさながら一騎当千の騎馬兵だ。

 

「五時方向から障子さんが急速接近!!」

 

「喰らえモギモギー!!」

 

「ならこっちはメルトブレードよォ!」

 

八百万の報告から間を置かず、視界の端から多数のモギモギが飛来し視界を紫の斑点が埋める。

 

対するはメルトダウナーを纏わせた絶対溶断の木刀、メルトブレード。これを左眼と自前の演算能力を駆使し、軌道と排除優先度を予測する。

 

あのモギモギに触れたら機動力は大幅ダウン、ならばと私は一球の漏れも無く全て溶かし斬る。

 

障子は一人で馬役を行い、腕を変形させてポイントを守っている。組んでいるのは恐らく峰田とプラスアルファ誰かだろう。物理的にポイントをガードすると考えたものだ。

 

「どうする!!このまま一千万まで引き連れて行くのか!」

 

「どうせあの騎馬じゃこっちにゃ追い付けない!ガン無視決め込んでトップに突撃!!

 

轟は緑谷騎馬までの道を氷結、飯田はスピード上げて!」

 

「任せろ…!」「了解!」

 

 

消耗しているのか少し震えた声の轟に一瞬意識を向け、また前を見る。事情は知らんけど、コイツは戦闘中は頑なに左側の推定熱を出す個性を使わない。

 

だがコイツはいつか左を使う、そう断言出来る。

 

私も死ぬほど負けん気が強いタイプだからな、コイツの目付きの悪さと無愛想さから似たものを感じる。

 

どんな事情があれ、左側を親の仇くらい恨んでいたとしても、負けたくないという負けん気さえあれば、コイツの脳ミソは身体機能である個性を反射に使ってしまう。

 

だから左を使えだとかは今は言わない。勝手にやらせておくのが得策だ。

 

「上鳴くん!」 「りょーかいッ!」

 

「電撃の対処は私がやる!とにかく前に進め!!」

 

緑谷騎馬が私達の接近に対して本格的な迎撃を開始する。

 

当初の予測通り、飛んでくるのは高速の電撃だけで砂鉄は飛んで来る様子がない。初手で砂鉄の大部分を削ったのが効いている証拠だ、さらに言えば氷の拘束もギリギリ解除出来ていないようだ。

 

メルトブレードと簡単な『電子操作』を組み合わせ電撃を弾いて進む。電撃と電撃との僅かな合間、ドンドンと進撃する私達に向け、遂には役目を終えた黒い影が差し向けられる。

 

「ダークシャドウ!!」

 

迎撃のメルトダウナーを打ち放つより先に、ようやく氷の拘束を砕いた『ダークシャドウ』が迎撃に加わった。

 

「加勢するぞ上鳴」

 

「助かったぜ常闇!そろそろヤバかったんだ…」

 

『ダークシャドウ』自体は素のフィジカルでもギリ何とかなる性能でも、そこに上鳴も加わるとなると意識を演算にも割かなければならない。

 

だが、いずれも問題無し。

 

「私は一人じゃないのよ。八百万!カラーボール!!」

 

「はいッ!!」

 

八百万がカラーボールを創造し終わるのと、電撃と『ダークシャドウ』が襲い来るのはほぼ同時だった。

 

この場をしのぐため、ひとまず木刀を緑谷へ投げる。

 

木材から成る木刀は、上鳴では対処が出来ない。

 

急制動を掛け盾となった『ダークシャドウ』の奮闘で木刀は砕け散る。だからこそ、攻撃の手を急遽防御に回した今だからこそ、隙が生まれる。

 

「即席必殺 ジェットカラーボール!!」

 

受け取ったカラーボールを入学時のボール投げと似たジェットの演算で投げる。違いと言えば、今回は人に対して水平に投げることだ。

 

「ぴゃぁ…!?」

 

「麗日さん…!?」

 

狙いは麗日お茶子。騎馬戦は性質上、馬の息が合わなければマトモに移動出来ない。ここで一番戦闘慣れしていない麗日の目を潰すこと即ち、敵騎馬の足を強引に止める事と同義である。

 

「ご安心を、粘膜に触れても問題無い材料で作ってますわ!!」

 

オラ!八百万の配慮に感謝して一千万ポイント渡せ!!

 

「それと()()()もどうぞ!!」

 

()()()、倍化スタングレネードでございマース!!」

 

騎馬を組む段階で緑谷騎馬の騎馬のメンバーは割れていたから、対策を練らせて貰った。

 

麗日はともかく、上鳴と常闇を行動不能にしてポイントを取るのは不可能に近い。なら、ほんの少しだけでもスタンさせれば良い。

 

そんなこんなの、八百万印の倍化スタングレネード。超強力で映画みたいな威力が出る、私達の対閃光防御は私がメルトダウナーで壁を作るので完璧だ。

 

「頂きィ!!」

 

完璧なタイミングで刺さったスタングレネードは、私が腕を伸ばせば確実にハチマキを取れる致命的な隙を生み出した。

 

 

私の腕が今まさに一千万ポイントを掴み取ろうとした。

 

その時、早口金髪の『爆破』より遥かに強力な真なる『爆破』が私達、二つの騎馬を襲う。

 

 

 




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