とある原子崩し(偽)の英雄学園   作:NEAR LIGHT

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二十八話 重い………体重の話じゃないよ

 

 

心操人使……誰だったかしら?

 

確実に聞いた名前だとは思うのだけれど……

 

…ダメね、全く顔が思い出せない!

 

「まさかあの方が四位に食い込んで来るとは…」

 

「普通科の人だったか。同じ騎馬に尾白くんやB組の人が居るな、目立った活躍は無いようだったし堅実にポイントを増やしたのか?」

 

「へ、へぇ?なんか隠密系の個性でも持ってたのかしらね?」

 

休憩を挟んで一時間後に午後の部開始とのことで、控え室に戻りながら頑張って心操人使のことを思い出してみる。

 

うーん?そう目付きが悪かったような、そんで愛想が悪くて私に喧嘩売って来て…………これは爆豪ね。

 

「よぉ麦野ウェイ!またボロボロにされたな、さっさとリカバリーガールのとこ行こーウェイ!」

 

「またウェイウェイしてるわねアンタ。んじゃ、そういう事だから行ってくるわ」

 

「えぇ、お大事になっさてください」

 

「完璧に治して次の競技に備えるんだぞ!」

 

二人と別れ、軽くウェイウェイしてる上鳴と、障害物競走の時よりボロボロな私は肩を並べてリカバリーガールの元へ向かう。

 

「爆豪の直撃喰らっちまったか?色々と凄いことになってるウェイ」

 

「あ、これね。全くあの野郎、フェミニズムの欠片もないんだから」

 

「ほらよ」

 

爆破で随所が破けて中々にセクシーな事になってる私を見て、上鳴はさりげなく自分の上着を渡して来た。

 

こういうことするから意識無しにモテるのよね。

 

「凄いムカつく………ピャッ!?」

 

「ウェイ?」

 

殺気!?誰か私に向けて殺気ぶつけてる!?

 

誰が………あれ〜?おっかしいー?

 

なんか物陰から服だけがこっちを覗いて宙に浮きながらプルプル震えてるぞー?

 

「ジェラシーって感じね」

 

ここで来ない葉隠も葉隠だけど、気付かない上鳴もアホね。ていうか、上鳴は人体レーダーあるんだから気付けよ。

 

「さっきからどうしたウェイ?」

 

「ん、何でもないわ。それよりここまで爆豪とやってどうだった?」

 

どうだった、とは勿論戦ってみての感想だ。次の競技が何かは不明だが、確実に一人の一位を決めるのは分かっている。恐らくはトーナメント戦のタイマンバトルか総当り戦になるだろう。

 

現状、上鳴の次に脅威になりそうな相手だ。負けるつもりは毛頭無いが、念を入れて情報共有はしておきたい。

 

「んまぁ、全身爆弾野郎って感じ?間合いに入った瞬間即爆破、間合いの外でも距離を詰めて爆破。お前からフィジカルを引いて、攻撃力アップしたイメージだウェイ。

 

一番厄介なのが機動力ウェイ、爆豪は単体で空を飛べるし死ぬほど小回りも効く。ありゃ無差別放電じゃないと当てるの()()()()ウェイ」

 

「うん、概ね同意ね。改めて考えると……私を怯ませるレベルの威力をポンポン出す奴が飛び回るのはめちゃウザイわね」

 

「アレをウザイで済ませんのかよ。ウェイは相変わらずで安心したよ」

 

まだ『爆破』の出力に未知数な部分があるにしろ、射程に関しては爆豪の間合いから二メートルと考えていいでしょう。

 

機動力に関しては、トップスピードまでの加速力は私に分がある。小回りが効かない分はフィジカルと機動力で補うしかないでしょうね。

 

「今度はこっちが聞くウェイ、轟はどうなんだウェイ?組んだからある程度分かるだろ」

 

「それがねぇ………よく分かんないのよ」

 

「ウェ〜イ?組んだんだから何かしら分かるだろ」

 

私は先の競技中から準備時間までの光景を想起しながら唸る。何かしらって言われたらって言われたらそりゃあるけどねぇ……

 

「アンタも、轟が氷を使い過ぎたらデバフるのは知ってるわね?」

 

「まぁ……()()()()()なら」

 

うんうん、ガキの頃から私とお勉強(物理)しただけあって洞察力は鍛えられてるわね。

 

「なら、観客席から見たのと同等のことしか言えないわよ。広範囲に氷を張れてフィジカルもそこそこ。出力の上限下限も不明、左の炎を出す個性も見れなかった。

 

有用な情報と言えば、イケメンで天然なことくらいよ」

 

「ウェイ………」

 

なんだその目、「それが有用な情報か」なんて言わんばかりの目じゃない。仕方ないでしょ、アイツ全然自分のこと喋らない割には問題無く連携もこなしやがるし、それに競技は敵情偵察どころじゃなかったのよ。

 

「あ、そういえば。戦闘中に左側は絶対使わない、とか言ってたわね」

 

「炎に左側……アイツの親父ってエンデヴァーなんだウェイ。炎を出す左側を親父から引き継いだとして。

 

親父となんかあった可能性が…………反抗期か?」

 

「あながち否定出来ないのよねぇ…」

 

話が煮詰まって来た。スープと同じでこの手のことは煮詰め過ぎるとかえって悪影響を与えて本末転倒になりかねない。話はここら辺にして昼メシのことでも考えましょうか。

 

カツ丼に生姜焼きに……腹パンされたら吐いちゃうから汁物は無しで。タコ焼き辺りが……

 

ところで、さっきから歩いてるけどここはどこかしら?

 

 

 

「上鳴、いつになったらリカバリーのとこ着くの?私そろそろお腹空いて来たんだケド」

 

辺りを見渡さずとも分かる人気の無さと、明らかに保健室なんてある訳がない通路。なんならスタジアム外の様子まで見えている。

 

「え?お前が知ってると思って付いて来たウェイ」

 

「いやアンタが知ってるんじゃ…」

 

ここで二人共に喋ることを止めた。

 

いや、その………つまるところ。お互いにお互いが道を知ってると思って何となく歩いていたのだ!

 

何してんだよ私達、仲良くトコトコ歩いて道に迷いましただぁ?傍目から見たら物凄くバカみたいじゃん。

 

いやだって、上鳴から誘って来たなら場所は当然知ってると思うじゃない?

 

「お互いを信頼してるのが見事に裏目に出たウェイ」

 

「あんまし臭いこと言うんじゃないわよ。恥ずい」

 

「お前に羞恥心とかあったのか!?」

 

「次の競技の前に殴られたいわけ?」

 

「あ、殴るのは確定なんすね……」

 

しゃーないしゃーない、次の競技でタイマンするとしたら確実にやり合うことになるからね、怨みなんてナイヨ。ワタシウソツカナイ。

 

 

「お前、オールマイトの隠し子か何かか?」

 

 

……お腹空いてるから、聞かなかったことにしても良い?

 

 

 

 

 

 

 

「え…?」

 

「俺も他の誰もが、最初お前を警戒してはいたが真に警戒していたのは上鳴だった。それがどうだ、俺は麦野の下で遠くのお前に気圧されて左を使っちまいそうになった。

 

それはお前にオールマイトと同様の何かを感じた。」

 

「いや、隠し子っていうのは……つまりどういう」

 

「だからお前は、オールマイトの隠し子か何かか?」

 

そうはならんでしょ。

 

「そうはならんでしょ、仮にそうだとして天然こじらせ過ぎだろ」

 

「良く言えば天然だけど、天然で済ませていいのか…?隠し子どうたらはあまりにノンデリ質問じゃねか」

 

轟の奴、いつの前に消えてると思ったら緑谷と何してんのよ。開口一番、お前隠し子?って聞かれてまともに対応してくれる緑谷に感謝しなさい。

 

(にしても、なんでこのタイミングでそんな質問?競技前にも轟は緑谷に突っかかっていたけれど……それ以外に何か思うとこがあったか…)

 

盗み聞きしてる事実に全力で目逸らして考えてる内に、いつの間にか話は私の疑問に答えてくれる核心的な部分に踏み込んだ。鈍く重くヘドロのような部分に。

 

「なるほど、親との確執ね……」

 

「お前の左側が憎いと…母は俺に煮え湯を浴びせた」

 

「…!!」

 

「ウェイ」

 

確執なんて生易しい表現をしているが言ってしまえば人間スケールの品種改良と虐待だ。轟焦凍というサラブレットを生み出すために、母親の精神は破壊され父親は子に野心を託し、そして怨嗟だけが引き継がれた。

 

「……とんでもない事聞いちゃったわね」

 

どうりで炎と氷なんて作られたように相性の良い個性だったはず。その実、意図して生み出された『個性』だったんだから微塵も笑えない。

 

それに……

 

()()、と言って良いのかしら?まさか同じような生まれの奴が居るとはね」

 

 

ナントカはナントカと惹かれ合うとも言うしね。

 

 

 




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『曖昧な電子を強制的に動かす』、なんて個性が突然生えてくると思いましたか?

ハイッ!倫理観ドブカスの個性婚デスッ!!

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