とある原子崩し(偽)の英雄学園   作:NEAR LIGHT

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麦野沈利は偽でもゴリラ、はっきりわかんだね()


三話 とあるチャラ男の超電磁砲

 

 

 

「オラァ!三十五体目!!!」

 

時間は少し遡り、麦野沈利が実技試験を行っている会場とは別の試験会場にて、上鳴電気はロボット達との戦闘を続けていた。

 

波の様に襲いかかる中学生相手には過剰な数のロボットに対し、上鳴は正確な電撃を頭部に浴びせることで中枢回路をショートさせ、少ない消耗でロボットを機能停止に陥らせる。

 

更には一般人レベルの機動力を、個性の応用である磁場操作を使って飛び回り、移動にも回避にも用いることで補っていた。

 

『おい…!アイツさっきから一人で捌き続けてるぞ……!』

 

『そりゃそうでしょ!対物最強の電気系個性なんだしさ!』

 

必死にロボット達と戦う外野の、僻み混じりの指摘も間違いでは無い。

 

 

生物、非生物問わずして圧倒的優位を誇る個性

 

 

それを自由自在に操れる上鳴電気は、有象無象のロボット共など指先一つ動かさずに殲滅する事が可能だ。

 

しかし、彼も初めから電気を操れた訳では無い。

 

麦野沈利と出会う前、上鳴電気はただ『電気を纏う』ことに満足している小さな少年であった。

 

身近な少年少女達が持つ個性の中でも突出した、謂わゆる『当たり個性』だった。

 

そんな個性を持っていたら当然調子にも乗るし、周囲に威張り散らすのが人の性であろう。

 

 

そんな時に出会ったのが麦野沈利である。

 

 

自分よりも高みに位置する能力を前にして、上鳴電気の自信は一度は砕かれ失意の底に堕とされたが、彼の奥底に眠る反骨精神が目覚めた。

 

 

そこから上鳴電気は麦野沈利と共に己を磨いた。

 

 

まずは電撃の強弱から、その内に部位に分けての個性の発動へと、麦野沈利との過酷を極める訓練に音を上げる事がありながらも、上鳴電気は歩みを止め無かった。

 

成長期にバランスの良い食事や適切な睡眠を行うことで身体が大幅に成長するように、‪個性も成長期に合わせて鍛えることで、より力を持ったものへと成長する。

 

 

ただ『電気を纏う』だけだった個性を、上鳴電気は己が意志と研鑽を一歩一歩刻み『電気を操る』個性まで育て上げたのだ。

 

 

 

「……っ!!」

 

個性が変質する程強化を重ねた事で、彼は常に微弱な電磁波を発するようになり擬似的なレーダー能力を手に入れていた。

 

上鳴の視界からは外れた方向に、生体レーダーで路地裏で瓦礫に足を挟まれて身動きが取れない者を察知する。

 

「しゃーねぇなっ!」

 

口で言いながらも迷い無く助けに向かう。

 

磨かれたのは何も個性だけでは無い、チャラい性格ながらもそのヒーローとしての素質は研磨を重ねられ輝いていた。

 

「おい!大丈夫か!!…ってアレ?」

 

「う…うん!ありがとう!」

 

上鳴が戸惑ったのも無理はない。

 

なぜなら助けるべき者の声は聞こえるのに、その姿が見えない……正確にはレーダー上では感じるが、視覚的にそこには何も無かったからだ。

 

「えーと……?」

 

「ご、ごめん!私の個性『透明化』なの!」

 

「あー!なるほどね!」

 

いまいち状況を呑み込めない上鳴に自身の個性を説明する。

 

「折角助けに来てくれたのにごめんね……」

 

表情は見えないが、シュン…と少し落ち込んだ雰囲気を感じ取った上鳴はすぐに行動に移す。

 

「いや、お前はなんも悪くねぇよ!それよりちょっと失礼して…」

 

「きゃ…!」

 

上鳴からは姿が見えない筈なのに、彼が正確に位置を捉えて瓦礫を退かし、素早くお姫様抱っこの体勢で自身を抱き上げた事に驚き縮こまる。

 

「わ、悪い!動かしたら痛かったよな!?」

 

「う、ううん!大丈夫…です……だよ」

 

「大丈夫か?頭でも打ったか?」

 

「わわわ…!だ、大丈夫だから!!!」

 

透明少女は見えないが頬を紅くして無意識に上鳴の首に腕を回してしまい、今度は反射的に上鳴の腕から離れてしまう。

 

「えぇ!?足ダイジョブ!?」

 

「も、問題ないから!私なんかより試験を優先して!!」

 

「で、でも……」

 

「良いから!!!」

 

「………分かった!俺の名前は上鳴電気だからよ!また後で会おうぜ!」

 

片足を庇う透明少女を前に、少し迷ったあとに根負けし180°反転して上鳴は大通りに走り去って行く。

 

「上鳴電気くん……ね」

 

上鳴に触れられた箇所に残る微かな温もりを感じながら、走り去る上鳴の背中を見つめながら誰にも聞こえない程の大きさで透明少女は小さく呟く。

 

 

 

 

「さてさて、これからどうしたもんかな」

 

一度大通りに戻って来たものの、ロボット達の注目から上鳴は外れていて近くに倒すべきロボットは居なかった。

 

探しに行けばもっと居るのだろうが、これ以上は他の受験生のポイントを根こそぎ奪い取りそうだと、探しに行くのは止めにする。

 

少しの手詰まり感を感じる上鳴に、雄英高校は新たな刺客を差し向ける。

 

「ッ…!!この揺れは…!!!」

 

激しい揺れのあとに上鳴の位置から少し離れた、人が密集する位置に現れたのは0ポイントの巨大ロボットであった。

 

「あいつが0ポイントか………」

 

興味深そうに暴れる0ポイントを眺めながら上鳴は思考を巡らせ、彼は唐突に思い立つ。

 

「…他の受験生からしてもアレは迷惑だし、倒しても0ポイントだから…………

 

……やっちゃっても良いよな!!!」

 

そんな帰り道のコンビニにチキンを買うレベルのノリで、普通なら度台無理なことを軽々と言い、彼は直ぐさま行動に移す。

 

「距離およそ300m、視界良好っと、()()は………あれで良いか」

 

目測で測った0ポイントの頭部までの距離と射線上に障害物が存在しないことを確認し、辺りを見回して目に付いた、手頃な形のロボットの残骸を磁力で引き寄せる。

 

残骸を正面に置き、目標の0ポイントに向かう2本のレールをイメージ、それに沿って磁場を形成し腰を落として射撃体勢を整える。

 

徐々に電圧が上げるのに伴って磁場も強まり、遂には射撃に十分な磁界へと到達した。

 

彼がこれから放つのは、麦野沈利が発案し彼女と共に作り上げた最大の技であり、メルトダウナーの破壊力にも匹敵する恐るべき一撃。

 

「お前に恨みは無いけど喰らえッ!俺の全力!!

 

超電磁砲(レールガン)!!!!」

 

 

 

それは、未だ実用化に至っていない、火薬を用いず電磁気により弾頭を高速で発射する砲撃方法。

 

上鳴の超電磁砲(レールガン)の初速は音速の3倍以上で放たれ、圧倒的な速度と破壊力、貫通力を持ち、弾道上にある物を全て薙ぎ払う必殺技。

 

空気との摩擦熱で弾頭が溶けてしまうため、コイン程の大きさの物を射出した場合の射程は50m程度となってしまうが、金属の塊であるロボットの残骸ではその限りでは無い。

 

 

 

弾頭は空気との摩擦で融解しながらも突き進み、音速のまま瞬時に0ポイントの頭部を横あいから貫通する。

 

0ポイントは頭部から連鎖的に誘爆し、そのまま爆発四散して地上に咲いた花火の如く散る…………

 

 

 

 

………かに思われたが、一瞬だけでも停止した0ポイントは何事も無かったように動き出して再び進み始める。

 

「ウェ〜イ…?」

 

超電磁砲(レールガン)のワット数反動によりアホになり、アホ顔のまま表情を青くして額から汗を流し始めた。

 

 

当然と言えば当然である。

 

 

目標はビルよりも高く巨大なロボットなのだ。

 

いくら貫通力が高かろうとも弾頭のサイズが目標と比べて矮小なので、当然与えるダメージも微々たるものだろう。

 

『スマァァァッシュ…!!!!』

 

「ウェイ……!」

 

そして、ここからの光景が彼の目に鮮明に写った。

 

上鳴電気の目に写ったのは、地面から遙か上空まで飛び上がり、勇ましい雄叫びを上げ、0ポイントを殴り飛ばす、泣き虫で根性のあるタフな少年であった。

 

それから数十秒後、試験終了のブザーが鳴り響き雄英高校ヒーロー科の入試試験が終了する。

 




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この上鳴くんは超電磁砲を使えるけど、モノホンの超電磁砲より大幅に弱体化してバランスを取ってるよ!

次回!『クソボケに付ける薬など無い』

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