とある原子崩し(偽)の英雄学園   作:NEAR LIGHT

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三十話 深いようで浅いこと

 

 

「上鳴、峰田。そこに正座」

 

「「ハイ……」」

 

峰田発案、協力者上鳴の下衆な企みは私こと麦野沈利の手によって白昼のもとに晒され阻止されたのであった。

 

下手人は私含めた女子全員で囲み折檻中、めでたしめでたし。

 

「女子全員にゴミを見るような目で見られ囲まれてる……これはこれでアリ」

 

峰田がこの状況ですら興奮してる。普通にキモイ。

 

「ケロ、反省の色が見えないね」

 

「潰しちゃう?」

 

「そうしよう」

 

蛙水や耳郎含め過半数の女子は極刑をお望みのようだ。

 

私的には未遂だった訳だし情状酌量の余地ありと判断して、執行猶予付けてやるのも良いんじゃないかと思う。

 

それに第三競技に出る上鳴を変に消耗させるのもフェアじゃない、峰田は知らん。

 

あと潰すって何を潰すのよ…

 

まさかナニを潰すって言ってんじゃないでしょうね!?

 

「チア服は見れなかったけど、これはこれで…」

 

「お前もう黙ってろよ」

 

ゴミを見る目通り越し、何か人では無い魑魅魍魎を見る目と殺意の波動を受け続けて尚も、峰田の勢いは衰えるどころか増している。コイツ無敵かよ。

 

「でもな、ヒーローたるものどんな状況でも平常心を保てるようにするべきだと、俺は思うんだよ。

 

それこそ非常時に着る物がチア服だけでもだ、俺はそんな心構えをみんなに学んで欲しいと思って…」

 

「そんな言い訳が通るとでも?」

 

この期に及んで見苦しいぞ峰田。男と読んで漢と書くならば、ここは潔く謝罪をすべき………いや、開き直って堂々とするのもある意味で漢か……?

 

どっちでも良いか、わたし可憐な女の子だし。

 

「オラ峰田。上鳴を見習え、正座してからずっと土下座の体勢で謝罪してるぞ」

 

「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」

 

これまた見事な土下座だ。私をキレさせる度に土下座してるだけの事はあるわね。

 

「もう…上鳴くんにならいつでも見せてあげるのに…」

 

んんッ!?葉隠サン、あんた何言っちゃってんの!?

 

表情見えねぇけど絶対顔赤いわよね。言われた上鳴に関しては土下座に集中してて聞いてねぇし、こいついい加減に気付けよ。

 

「……峰田さんの説、一概に間違ってるとはいえませんわ」

 

「アンタまで何言ってんのよ八百万……」

 

「チア服程度で恥じていては、コスチュームを着てのヒーロー活動など出来る筈もありません!

 

皆さん!ここは峰田さんの口車に乗せられてやりましょう!!」

 

 

 

 

 

 

 

「……という、それはそれは深い理由があったわけなんだよ尾白クン。分かった?」

 

「うん、想像以上に浅い理由って事は分かったよ」

 

最終競技前、タイマンガチンコマッチの組み合わせ表が発表され、尾白とB組の人が棄権を申し出た現在に戻る。

 

女子組おもに八百万にだが、不服ながらチア服を着せられレクで踊らされた私は、最高に羞恥で真っ赤に染め上げられ尾白にその経緯を説明していたのである。

 

上鳴はともかく、峰田は峰/田 通り越して ミ/ネ/タ にしてやりたい。

 

「えーと、組み合わせ的に私は…」

 

 

第一トーナメント

緑谷 vs 心操

轟 vs 瀬呂

 

塩崎 vs 上鳴

芦戸 vs 青山

 

第二トーナメント

飯田 vs 麦野

鉄哲 vs 切島

 

常闇 vs 八百万

麗日 vs 爆豪

 

 

「…初戦は飯田か」

 

チラリとこちらを見る飯田と目が合う。

 

先の騎馬戦では同チームでお互いに手の内はある程度割れている、そして二人共に高速度に自信があるスピードタイプ。

 

どっちがより速いかはその時々のシュチュエーションよるが、トップスピードなら飯田、瞬間加速力となると私に分がある組み合わせだ。

 

対戦相手としてはなかなか燃えてくるものがあるわね。

 

「なあなあ、俺の初戦相手の塩崎って子可愛いくね?」

 

「全くのんきなものね。別にいいけど、私と当たるまでは負けないようにしなさいよ」

 

「安心しろって、ほとんどの相手は放電でイチコロだからよ!」

 

「だと良いんだけどねぇ…」

 

『HEY!エブリイバディ!!そろそろステージ準備をしないとだから、観戦席移動しなァ!!』

 

 

上鳴が居る第一トーナメントの対戦表を見て一抹の不安を覚えながら、今は自分のことに集中すべきと不安を振り切って観客席に移動する。

 

 

「ねね麦のん!麦のんは緑谷と心操どっちが勝つと思う?」

 

私を麦のんと呼ぶのはA組の隠れたフィジカルモンスター芦戸三奈だ。

 

「まぁ……緑谷には悪いけど、9割方で心操が勝つと思うわ」

 

「マジ?心操の個性が分からないから、どっち勝つかまだ分かんないと思うんだけど」

 

「それがねぇ。心操の個性については、ある程度目星が付いてるのよ」

 

さっき緑谷が心操と会話を始めようとした時に見せた尾白の反応、騎馬戦での心操のあまりにも目立とうとしない立ち回り、記憶が無いという尾白の証言。

 

ここから幾つかの候補に絞り、その中で最もこの状況と合致する個性を考えると、発動条件や効力は自ずと導き出る。

 

「ズバリ言うと『洗脳』。恐らく会話をトリガーとして対象者の行動を一方的に操る個性よ」

 

学園都市風に言うならば、劣化・心理掌握(イミ・メンタルアウト)。どこまでの行動を操れるのか、効果範囲も解除方法すらも全く不明。不明尽くしで強固性だ。

 

「あくまでも推測よ、間違ってたらゴメンね」

 

「いいや、合ってるよ」

 

緑谷へと心操対策や見送りを終わらせた尾白が後ろの席に座って答えた。

 

「身をもって味わった奴が後押しすると、説得力が増すわね」

 

「ハハ…なかなか笑えない冗談だね」

 

「で、でもさ麦のん!口をきかずにだんまりしてたら『洗脳』は使えないんでしょ?それだったらまだ勝負は分からないんじゃ…」

 

「それは心操も承知の上でしょうね。承知の上で奴は緑谷の口を開かせようとしてくるし、緑谷はほぼ確実に乗っちまう。だって緑谷は性格良いもの」

 

そうこうしている内に、司会進行プレゼントマイクの合図で緑谷と心操の試合が始まった。

 

始まったのだが、観客席とステージの距離が距離なので、お互いに何言ってるか分からないし絵面が地味だ。

 

一応、左眼拡張機能の読唇術で読み取れない事はないけど、それはそれで負担が掛かるのでやりたくない。

 

「アイツがどんな()()をしているのか気になってんだけどねー」

 

()()て、いやまあそうなんだけどさ」

 

「挑発に使えるなら取り込むのもアリじゃない。あんな風に」

 

唐突に動きを止めた緑谷、どうやら緑谷が応えて心操の個性が発動してしまったらしい。発動原理が不明な今、私でも喰らってしまえば即終了の超強力個性。

 

「さァ、どうする緑谷?」

 

緑谷には大き過ぎるかもしれない期待、それでもあのデメリットありきの超パワーでここまで切り抜けた彼なら何とかしてしまうのではないかと、そう思ってしまう。

 

回れ右して心操とは反対方向に歩いていた緑谷が、場外への最後の一歩を踏み出した直後、スタジアム内に突風が吹き荒れた。

 

『踏み留まったァァ!!緑谷、洗脳から脱しギリギリのところで場外負けを回避したァ!!』

 

「やるじゃァない…!」

 

あの突風に人差し指と中指の腫れ、あの超パワーを使ったらしいわね。

 

何がトリガーになったかは分からないけど、一瞬だけ個性を使えるくらいの隙はあるということね。それなら私にも突破出来そうかしら。

 

「予想が外れた割には、嬉しそうな顔してんじゃねぇか」

 

「えぇ、私も存外に期待していたらしいわね緑谷に。でも、勝負はまだ分からないわよ?」

 

隣の上鳴に声を掛けられ勝敗予想の続きを始める。

 

「緑谷は指二本がろくに使えない上、恐らく上がって来るだろう轟への温存としてこれ以上の損耗は避けたいはず。これ以上の超パワーは使わないでしょうね」

 

「心操はもう一度口を開かせれば勝ちの目はあるけど、一度引っかかった手前、緑谷がそう簡単に開くとは思えねぇな」

 

「ここからは、緑谷が指二本のハンディをどうやって埋めていくかに掛かってるわね」

 

「意外と緑谷もガッチリしてるからな、指二本を加味しても素の身体能力的にギリ緑谷優勢か?」

 

 

それもこれも、予想も推測も、あと一分もしない内に答え合わせとなる。

 

どちらも懸ける思いがあるのだろう、どちらも負けられない理由があるのだろう。強い信念がぶつかり合った末には、あのステージでは勝者が一人、敗者が一人生まれるだけだ。

 

 

『心操くん場外!!二回戦進出は緑谷くん!!!』

 

 

 




評価付与と感想お願いします!

以下収まりきらなかった絡み

麗日「なんか上鳴くん…ちゃんとしてる」

芦戸「ねー、もっと考えなしかと思ってた」

上鳴「俺そんな風に思われてたの…?」

麦野「たしかに上鳴は変なところで感が悪くて」

上鳴「麦野さーん?なんのフォローにもなってませんよー?」

どれが好き?

  • ギャグ要素多め シリアス少なめ
  • ギャグ少なめ シリアス多め
  • どっちも同じくらい
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