とある原子崩し(偽)の英雄学園   作:NEAR LIGHT

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遅ればせながら、皆様のお陰様で日間ランキング5位になってました!

本当にありがとうございます!!!

みんなゴリ…バーサーカー麦野が好きなんですね!


個性把握テストは後々の展開のためにもサクサク進めます!





六話 Levelの違い

 

 

第一種目 50m走にて…………

 

 

そういう訳で迎えた50mだが、相澤の宣言は相当効いたみたいであれから全員が気を引き締め空気にも緊張が生まれていて、ちょっとピリピリしてるまである。

 

こんな空気じゃ実力を発揮出来ない奴も出てきそうだけど、その空気に耐えられない奴を振るい落す意図もあるのかしら?

 

 

『スタート!』

 

「直線だから調整も簡単ねッ!」

 

計器ロボットの合図と同時にメルトダウナージェットを噴射し、一般人なら間違いなく気絶する加速力で瞬く間にゴールへ滑り込む。

 

『1秒45!』

 

うんうん、幸先は上々ね。

 

私と上鳴は絶対に最下位になる事は無いし、梅雨ちゃんも跳ねて良い感じの記録だったけど、葉隠がちょい普通過ぎるなぁ………

 

うわっ、八百万の奴スクーター乗ってるし、一体どんな個性を使ったらそんなもん出せるんだよ………

 

 

 

 

第二種目 握力測定にて………

 

 

「すぅ………ふん!!!」

 

流石に指先レベルとなるとメルトダウナーの調整が難し過ぎるので一度深呼吸してから握力計を全力で握り込み、純粋な身体能力で勝負する。

 

「どうだ?200キロ超えたか?」

 

「216キロね」

 

「お、良かったな。前より20キロ上がったじゃん」

 

「ありがと、そっちはどうだった?」

 

「俺は磁力で引っ張って615キロ、計器が磁場で壊れても困るからこれ位が限度だな」

 

私のメルトダウナーとは段違いの応用性と精密性を誇る上鳴ならではの結果ね。

 

「二人とも凄いね…!」

 

「特にあの女子の方、素で握力200キロとは恐ろしい……」

 

「麦野さん!この尻尾の人がマウンテンゴリラって言ってたよ!」

 

「ちょ、芦戸さん!?何言ってるの!?」

 

「へぇ…良い度胸ね尻尾野郎……!!!その尻尾をてめぇ○○○に○○○んで!○○○するぞ!!」

 

「わぁぁぁ!?それは不味い麦野!ステイ!!ステイ!!」

 

 

 

 

第三種目 立ち幅跳びにて………

 

 

「そーれっ!!」

 

『76m87!』

 

メルトダウナージェットは推進力こそ一線級、問題は急な方向転換が出来ないのと、連続噴射時間は3秒までという制約だ。

 

今までも練習して噴射時間は伸ばして来たが、これ以上伸ばすと肉体の方が耐えられないので悩ましいところだ。

 

『3m56!』

 

「くっ…!」

 

着地地点から戻って来たタイミングで、私のすぐ後ろの番号のモジャ緑谷が苦虫を煎じて飲んだみたいな顔をしていた。

 

そういえばあモジャ緑頭、アイツが個性を使ってる所を一度も見たことが無い。

 

個性無しの記録としては良い記録を残しているが、周りが超人的な記録を残している中では悪い意味で目立ってしまう。

 

という訳で好奇心半分で話しかけてみましょうか!

 

「ねぇ、あんた」

 

「…は、はいぃ!!?」

 

声を掛けただけなのに何故か顔を背けられた挙句距離を取られてるのは、強靭なハートを持つ私でもほんのちょっぴりだけ傷付く…………

 

「取って食う訳でも無いんだから、そんなにビビらないでも良いでしょ………」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

筋肉はあるのになんか自信無さげでナヨナヨしてるわね、こんな奴が本当にあの入試を突破出来たのかしら……?

 

「えっと、たしか麦野さんだったよね?僕は緑谷出久、僕なんかに何か用?」

 

「そうね…好奇心で聞くのだけれど、どうして個性を使わないの?」

 

「……ッ!!」

 

えぇ……好きな食べ物は何?と聞く程度の簡単な質問のつもりだったんだんだけど、なんでそんな苦虫を煎じて飲んだみたいな顔するの…?

 

この手の質問ってそんなにデリケートな話題だっけ…??

 

「えーと……ちょっとデリカシー無かったわ。ごめんなさい」

 

「え!?いやいや全然大丈夫だよ!ちょっと答え困っちゃって……」

 

「と言うと?」

 

「実は僕の個性、最近発現した個性でね。まだ自分の個性って実感が無かったんだよ」

 

 

この声は…!嘘を付いてる「声」ね…!!

 

緑谷出久……!!!

 

 

……冗談はさて置き。

 

緑谷の返答には独特な緊張が介在していた………即ち嘘を付いているということである。

 

‪”‬最近発現した‪個性”‬この部分から顕著に独特な緊張を感じるのだが、緑谷が嘘をつく意味がよく分からない。

 

ただ辻褄を合わせている可能性もある、それでもこの緊張の度合いは明らかに異常だ。

 

緑谷出久…あんたは一体何を隠しているの……?

 

「超パワー系の個性なんだけど、調整がまだ出来ない上に下手に使うと体を壊すから迂闊に使えないんだ」

 

この辺りは本当だけど、これ以上の詮索は無駄だろうし緑谷にとっても嬉しい事じゃ無いから深掘りするのは止めね。

 

アナリティカルエンジンのこの機能も、人の本音が意図せず垣間見えてしまうし日常生活ではやっぱり封じておきましょうか。

 

「私の個性も調整が難しいし、似た者同士ね」

 

「そうそう…麦野さんの個性は緑色のエネルギーみたいなものだけど、調整が難しいという事は集中しないと自分も巻き込んでしまう個性なのか。それとも威力の下限ですら殺傷半径が大きすぎて使えない?それなら握力の時に使ってなかった理由にもなるな。もし攻撃に転用するならエネルギーを柱状のビームにして…いや、それじゃあ相手を殺してしまう可能性も……」

 

「いきなり饒舌になるわねあんた」

 

「あっ…ごめん……」

 

「ビームって言われるのは気に入らないし、私の個性はそう単純なものでも無いけど、お互い除籍を回避出来たら教えてあげるわ」

 

色々気になる事はあるが、別に悪い奴では無さそうな緑谷も、十人十色なクラスメイト達にも、誰にも消えて欲しくは無いものだ………

 

 

 

 

第四種目 反復横跳びにて…………

 

 

この種目もメルトダウナーの調整があまりにも難しいので個性無しでやってみたけど、モデル体型な美脚とアスリートな健脚で好成績を残せたので良しとしましょう。

 

 

 

 

第五種目 ボール投げにて…………

 

 

「「「「「無限!?!?」」」」」

 

ぐぁぁぁ!!!越されたぁぁぁ!!!

 

「いやそこかよ」

 

茶髪ショートボブの子……麗日お茶子って言ったかな…?

 

とにかくそいつが!

 

『無重力』なんて物理法則無視した個性で、無限なんて記録叩き出しちまって私の約1.6キロ越えられちまった!!

 

「マジかよぉ………無限なんて流石に越え様がねぇよぉ……」

 

「相当悔しがってるな君……」

 

「たりめぇだろエンジン眼鏡…」

 

「エンジン眼鏡!?」

 

「私の全力を簡単に越えられちまったのよ?そりゃ悔しがりもするでしょ!」

 

明らか人工物のエンジンが足から生えてる真面目眼鏡の飯田天哉に項垂れながら訴える。

 

「あはは…なんかゴメンやねー……」

 

ちなみに上鳴は超電磁砲の応用でボールを砂鉄で包んで射出して、1000メートル前後の記録を叩き出していた。

 

「でもちょっと安心したかも、麦野さんってどの種目でも凄い記録で雰囲気も高校生にしては大人っぽいし怖かったから、なんて話し掛けたら良いか分からんかったんよね」

 

大半のクラスメイト達、特に尾白と芦戸は、‪”‬怖かった‪”‬の部分に大変共感するのであった。

 

「それでね。今の麦野さんを見てたら、仲良くなれそう…って思えて来たの!」

 

「ふーん………まあ、悪くは無いわね」

 

麗の不器用ながらも優しいフォローに、私も頬を緩ませて滅多に人に見せない微笑みを浮かべる。

 

「む、麦野がデレた!?みんな目に焼き付けとけ、こんなの中々見れねぇぞ!!!」

 

「ギャップ萌えや〜!」

 

「キャー!こっち見て麦野さん!」

 

「う、うっせぇ!!こっち見んじゃねぇ!!」

 

上鳴に言われてクラスメイト達の視線が私に集中している事に気付き咄嗟に顔を背けても、自分が顔を真っ赤にしているのを自覚して更に恥ずかしくなる。

 

とりあえず上鳴のことは後で上/鳴にしてやろう。

 

「……おいビーム女ぁ…!!!てめぇの記録なんか俺もすぐに超えてやるからよォ!しっかり見とけや!!」

 

いつの間にか爆発頭の順番が回って来ていて、凶暴な口調で挑発紛いの宣言をしてからボールを持って円の中に入る。

 

「もー!爆豪!今良いとこだったのに!」

 

「うっせぇわビリビリ!てめぇの記録も軽く超えてやるわ!!!」

 

真偽は不明、されどあそこまで私の記録を越えられる事に絶対的な自信があるのだ。

 

手から爆発を起こす個性でどこまでやれるのか見物である。

 

「死ィねェ!!!!」

 

爆発頭は私と似た投球フォームでボールを振りかぶり、手の平から大迫力の爆発を起こし爆風にボールを乗せて吹き飛ばす…………

 

 

…………しかし、左眼で計測したボールの初速は私の投球よりも半分以下の速度であった。

 

705.2m、それが相澤先生の見せた端末に表示されている記録である。

 

『おぉ〜!!』

 

「ふざけんじゃねぇ!!!」

 

短い感嘆の歓声を押し潰す爆発頭の声が響き渡り一帯は静まり返る。

 

「なんでビーム女よりも記録が下何だよォイ!!」

 

「えぇ……そんなにキレる?」

 

「充分凄い記録だとは思うんだけど、麦野さんに負けた事がそんなに悔しいのかな?」

 

「あはは……かっちゃんらしいや」

 

決して低い記録では無い、それでも爆発頭からしたら心の底から屈辱的な記録に他ならないだろう。

 

それに爆発頭は勘違いしていたのかもしれない、私の『メルトダウナー』と、自身の『爆破』とのレベルの違いに。

 

「クソがァッ………!!」

 

冷静さを失ったからと言って記録が伸びるはずも無く、先程よりも初速が上がった代わりに激しくぶれた二投目のボールは一投目の記録を大きく下回る。

 

「次、麦野沈利」

 

「あれ以上が出るとは思えないのでパスで」

 

「それじゃあ次、緑谷出久」

 

「は、はい!」

 

次は緑谷なのだが、件の超パワーが如何程の威力なのか正直言って分からないので何とも言えないな。

 

「緑谷くんか……彼はそろそろマズいんじゃないか」

 

「そうやねー…ここまで特に良い記録無かったし……」

 

「たりめぇだ!アイツは無個性なんだからよォ!!」

 

「アンタよくそのテンションを保てるわね…………ちょっと尊敬しちゃうわ」

 

「やかましいわビーム女ァ!黙ってクソデクの惨めな結果を見てろやァ!!」

 

凶暴な爆発頭は置いといて、エンジン眼鏡の言う通り緑谷はこのままでは葉隠と最下位争い、体を壊す程の超パワー使うならこのタイミングだろう。

 

 

 

「なっ…!?今確かに使おうと」

 

 

「俺が個性を消した。じゃなきゃお前は再起不能になってたからな」

 

 

緑谷が覚悟を決めて投げようとした一投は、相澤先生によって不発に終わった。

 

あの反応から見て個性の発動を失敗したのでは無く、個性を使えなかったのだろう。

 

緑谷は相澤先生によって何やら薄汚れた布で引き寄せられ詰められている様だ。

 

「緑谷君…大丈夫かな?」

 

「大丈夫よ、無重力ちゃん」

 

「え……?」

 

「だって、緑谷の目はまだ死んでないもの」

 

直感で理解出来る。

 

緑谷のあの目は壁を前にしても勝ちの筋を模索する諦めの悪い奴の目だ。

 

大抵の場合、諦めが悪い奴の抵抗は虚しく終わる。

 

「スマァァァッシュ…!!!!」

 

だが、緑谷はその大抵から外れるからこそ、あいつは入試を突破してここまで来たのだろう。

 

緑谷の放った一投の初速は爆発頭の一投を僅かに上回る速度で放たれていた。

 

705.4m、それが緑谷出久の渾身の一投の記録である。

 

「先生……!まだ動けます…!!」

 

さらには緑谷は不格好な涙目の笑顔ながらも笑って、先生に宣言して動ける事をアピールする。

 

「やっとヒーローらしい記録出たじゃん!」

 

「指が腫れ上がってるな」

 

「下手しなくても折れてるだろアレ」

 

「良いじゃん緑谷……!!」

 

こいつには力や戦闘力以外の明確な‪”‬強さ‪”‬があり、それに私は強く惹かれる。

 

その後は爆発頭が緑谷に襲い掛かるハプニングもあったりしたが、上体起こしと長座体前屈は身体能力のゴリ押し、持久走はメルトダウナーと身体能力をフルで使い、個性把握テストは滞り無く終了した。

 

私の総合順位はめちゃくちゃ悔しく二位、一位はどの競技も幅広く好成績の八百万だった。

 

ビリは葉隠では無く緑谷………あの一投を見たからには緑谷を退学させる訳には行かない。

 

ここは校長に直接抗議を…「ちなみに除籍ってのは嘘だ」…先生じゃなかったら相/澤してやりたいわね…………

 

 




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更新遅れて申し訳ありません!

次はペア戦闘訓練にする予定なのでもうちょっと早めの更新になると思います!

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