今回はちょーっと悪党な麦野が見れるのでお楽しみください!
あとアンチ・ヘイトにもご注意ください!
「それでは講評の時間だが………ぶっちゃけると今戦のベストは飯田少年だな!」
右手をズタボロにした緑谷が運ばれてから少しして講評が始まる。
私も何となく思っていたけど、やっぱり今回のMVPはエンジン眼鏡……じゃなくて飯田だった。
「勝ったお茶子ちゃんか緑谷ちゃんじゃないの?」
「ん~そうだなあ~何故だろうなあ〜?わかる人!!?」
「はい!オールマイト先生。それは、飯田さんが一番状況設定に順応していたからです」
爆豪はそもそも論外、緑谷はあまりにも乱暴、麗日は後半の動きが色々と雑、飯田は核を守りきれずともヴィランとしては十分な働きを見せた。
この点は私も概ね八百万と同意見だ。
「ヒーローチームの勝ちは、訓練だという甘えから生じた反則のようなものですわ!」
「個人的には爆豪も完璧だったと思うよ?ヴィランのロールプレイがね」
「あァ!?ぶっ殺すぞビーム女ァ!!」
「おー怖いコワイ、怖くてチビっちゃいそうね」
「舐めてんのか!!」
ククッ!緑谷とは違ってこっちは煽りがいがあるわね、三年弄りまわしてやりましょう。
「落ち着け爆豪少年、麦野少女も口が過ぎるぞ」
「はーい、すみません」
「チッ…覚えとけよ」
「さて!次の訓練の組み合わせは……
……ヴィラン側Cチーム!ヒーロー側Eチームだ!」
「おっ、私達の出番ね」
「他の追随を許さない、完勝を目指しましょう」
Eチームの面子は赤髪の切島と八本腕の障子だったかしら?
障子の個性はたぶん腕を生やせる異形系だと思うけども、切島の方はあんまし分かんないわね………
「手加減なんてしないから覚悟しろよ麦野!」
「ハハッ!それはこっちのセリフよ!」
「それでは両チーム配置に付いてくれ!」
先程の訓練とは別のビル屋内の部屋移動して、十分の短い準備時間の中で私と八百万は迎撃の用意を進めていた。
八百万はバリケード材を創り出して入り口と全ての窓にはめ込み、私はそれの手伝いをしつつ特殊軍刀を鞘から抜いて素振りする。
「八百万、あと二分で訓練開始よ。打ち合わせ通りあなたに防衛を任せるわ」
「私がこの部屋で敵を迎え撃つディフェンス、麦野さんが外で敵を打ち倒すオフェンスですわね」
「改めて聞いてみても斬新な作戦ね、二人でここを守らなくても本当に大丈夫なの?」
どうせ敵が核兵器を目標にして向かって来るのなら、戦力を割くんじゃなくて二人で敵に対処した方が確実じゃないだろうか。
「麦野さんという強力な戦力を盾として運用しても持て余すだけ………この状況なら、敵を突き崩す矛として運用するのが得策だと判断しましたわ」
「ヘェ……私が矛とは良い捉え方じゃない」
「……お気に召しませんでしたか…?」
皮肉に取られたのか、八百万はこれまでの自信に満ち溢れた表情を少し崩し、不安気な表情を晒して私に向ける。
それは今までのお高く止まったお嬢様の表情では無く、少しの可愛気を感じさせる学友としての八百万の表情であった。
「ぜんっぜん大丈夫よ!むしろ私としては大歓迎!」
「そ、そうですか?」
「そっちこそ、盾としての責務を全うしなさい!」
一言目に彼女は安心し、激励の言葉で八百万は活力の溢れる瞳で私を映す。
「えぇ……!勿論です!誰が来ても問題無い万全な防衛でヒーローを迎え撃ちますわ!」
「ククッ!頼もしい言葉じゃない!
でも、安心してくれて良いわよ」
刀を静かに鞘に納め、バリケードが貼られてない場所から廊下に出て少し振り返り、私はただ悠然と当たり前に口にした。
「ここには誰も辿り着かせないから」
訓練という枠組みはある、それでも来たるべき闘いを前にして私の心は踊り、口角が自然と吊り上がるのを感じながら下階に降りる。
「さぁ、行きましょうかァ……!」
響くサイレンが訓練開始を知らせ、両チームは行動を始める。
「それじゃ、索敵頼むぜ障子!」
「あぁ、任せろ」
障子と切島のヒーローチームはヴィランチームが待ち受けるビル内に足を踏み入れる。
同時に個性を発動、障子は片方の触手から耳を複製して壁に押し当て建物内の音を詳細に感じ取る。
「最上階に一人、最上階の階段から一人がこちらに向かって来ている」
「こっちに来るのはお前の予想通り麦野だろうな」
共有しておいたお互いの個性、『硬化』と『複製腕』に基づき索敵を障子、前衛を切島と役割を分けて廊下を進む。
障子は一戦目の勝敗から得た教訓から、切島に麦野を抑えさせ、その内に自分が核兵器を確保しに行く、陽動作戦を講じていた。
「麦野の実力はさっき伝えた通りだ、あの個性を直接撃って来るとは思えないが油断はするなよ」
加えて入学試験で見た麦野沈利の大立ち回りを切島に伝え、油断無き磐石な構えで敵を迎えるつもりでもあった。
「おう!硬さには自信が有るし!それに油断なんてしねぇから安心してくれ!」
軽口を叩きながらも、油断無く尚且つ素早い動きで最上階へと進む。
二階から三階へと上がった頃、彼らの耳にゆったりとした足取りの靴音が聞こえた。
「ハァーイ。悪党様のご登場よ」
軍刀を腰に引っ提げ、悪魔の如く邪悪なる微笑みを見せるヴィラン役、麦野沈利である。
「来たな…頼んだぞ切島…!!」
「おうよ!!任せとけっ!」
切島は両腕を個性により硬化させて障子の前に立ちはだかり、障子は麦野の脇をすり抜ける機を見計らう。
「ふぅん……二人で掛かって来ないのね?」
「無策でお前に挑むほど俺達は強くないからな」
「まあ良いわ、私として願ったり叶ったりだものッ!!」
麦野は軍刀に手を掛けたと思えば、瞬きの内に抜刀し二人に向かって高速度で投擲する。
回転しながら飛来する軍刀に、刹那でも釘付けになった二人の行動は同一のものであった。
一方は多数の触手で胴体から頭にかけてを覆い、もう一方は上半身を全力で硬化させて味方の盾となり軍刀を弾く。
弾かれた軍刀は天井に突き刺さり、その威力を自然と物語る。
「そんなチンケな攻撃…!!」
「狙いはお前じゃねェよォ…!!」
軍刀を投げたこと自体は攻撃では無い、彼らの視線を誘導させる陽動であった。
メルトダウナージェットで瞬間的に障子の足元に潜り込んだ麦野は、超人的な身体能力を用いた足払いで屈強な彼を宙に浮かせる。
「ッ…!?」
「続けてドッバーン!!!」
突然の浮遊感に一瞬止まった思考の隙を、すかさず狙う麦野の拳は障子の脳を下方からの一打で強烈に揺らし、彼の意識を遙か彼方に吹き飛ばす。
「なっ…!?」
「バカみたいに呆けてどうしたのよ、一日中そうしてるつもり?」
「…クソぉッ!!」
「そんなチンケな拳が当たると思ってんのかァ?」
切島の激しい乱打を涼しい顔で捌く麦野は、前蹴りで切島との距離を離しつつ飛び上がって天井の軍刀を回収する。
「おい障子っ!起きろ!!」
「思っいきりぶん殴ったんだ、そう簡単にャ起きねェよ」
「なら、俺一人でもやってやる!!」
更に彼女は、別口のアプローチで彼の長所である竹を割ったような思考の切り替えを意図せず妨害し始める。
「あら良いの?気絶した味方をホッといて、目標に向かうのはヒーローとして失格とは思わない?ここは一度引くべきだと思うんだけどォー」
「それはっ…!」
「あっでもー、目標確保までの時間が無いのにここで引くのは愚策じゃないかニャー?」
「ぐぅ……!漢気の欠片も無いことを抜け抜けと……!それでもヒーロー志望か!!!」
「あらあらあらァ…!?勘違いしてるようだけどォ!アンタが今相手にしてるのは
麦野のテンションは乗りにノリまくり、悪党ロールプレイどころか悪党そのものに成る勢いである。
悪党の続く言葉巧みな口撃で切島は心を掻き乱され、ただ時間だけが過ぎていく。
この口撃には切島を惑わせ行動を単調にさせる目的があり、本人も意図しない無駄な時間を過ごさせるという副次的効果もあった。
「心を惑わし冷静な判断力を奪う、これも悪党の流儀ってやつよね〜」
「クッソォォォ…!!!」
彼が考え抜いた末に選んだのは、逆転を賭け希望に手を掛ける特攻………傍から見れば、破れかぶれなスーサイドであった。
「あと、セリフ違いだけど言っとくわァ……」
軍刀を鞘に収め、居合い斬りの体勢で再度その柄を握り込んで演算を開始する。
単純な演算はものの一秒の時間を必要とせずに終了し、その単純な演算結果を元に、悪党はメルトダウナージェットで加速し切島の間合いに滑り入る。
「こっから先は一方通行よォ…!!!」
さらには、軍刀の抜刀に合わせてメルトダウナージェットを峰を支点にして発動し、トドメの一閃を放つ。
喰らう本人が自覚出来ぬまま、凄まじき速度の抜刀剣の一閃が切島の意識を刈り取りその体を後方へと吹き飛す。
『……WINNER!!ヴィランチーム!!!』
遅れたオールマイトの宣言に満足し、麦野は軍刀と共に溢れる闘気を収める。
Tips:麦野沈利の持つ特殊軍刀
殺傷能力が高すぎる故、対人使用が困難なメルトダウナーを使わずとも敵対象の打倒を目指すために、とある研究チームにより作られた無刃の軍刀。
単純な強度だけで言えば、メルトダウナーの直射にも数秒間耐える程の超高硬度であり、麦野沈利の戦闘センスと組み合わせれば無類の強さを発揮する。
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不甲斐ないですがめちゃくちゃお世話になってます!
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ギャグ要素多め シリアス少なめ
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ギャグ少なめ シリアス多め
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