バグったルーデウス   作:運動大好きマン

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処女作です。曖昧な認識のまま見切り発車したので平にご容赦を


パウロ・グレイラット

 

 ルディはすごい男になる。

 俺の子供ながら、俺とは似ても似つかない。

 顔立ちも頭がいいところも、母さんそっくりだ。

 俺が修羅場った時も、まあちょっと当たっちまったが、嘘ついて場を宥めるなんざブエナ村の……フィットア領のどのガキにもできないだろ。

 

 魔術だってすごい。

 ルディは本の虫だったが()()()()()()()()()()()()()、魔術はできないと思っていた。だから剣士にする予定だったってのに、とんでもない才能がありやがった。

 初めから無詠唱で中級をぶっ放した奴の話なんざ聞いたことがない。いや子供の時点で水聖級魔術が使えるんだから、それ以上だ。

 だからこそ、もしかしたらルディは最初の三剣士みたいな存在なのかもしれないと俺は思っていた。無詠唱の開祖、みたいな。

 

 ……俺が親としてできることは大人として道を示すことと一端の剣士との戦い方を教えることだけだ。

 だがルーデウスはもう俺より賢い。口じゃ言えねえがな。

 ルディは魔術もあれば剣も才能がある。だがまだ体ができてない。どうしても魔術中心の戦い方になる。

 魔術師と剣士の違い、泥臭さもつけさせてやらなきゃ戦うことはできない。そう、生き汚なさだ。

 

 ルディが何よりすごいのはしっかりしているところだ。

 俺が間違ったが、ソマル坊の一件だってあの毅然とした態度で信念を曲げなかった。だが、だからこそ心配になることがある。

 ルディは純粋すぎるのかもしれない。

 気付いたのはシルフィとルディの関係を見て、だったが思えばこいつはずっと大人しいやつだった。子供らしく探検もしない、悪い意味で世間を知らないんだ。

 なにより、シルフィと()()()過ぎだ。俺の血を感じるが、ガキの関係じゃない。流石にありゃあだめだ。

 だからこそ、だったんだ。

 だってのに……!

 

「ルディお前、どこで()()()()()()()()()()()()()()!?」

 

 庭に暴風が吹き荒れる。魔術じゃない……それもあるが、俺の太刀風だ。

 割と本気で振りかぶってる俺の木刀が当たらねえ!

 風の弾、剣、フェイント。全部使って紙一重で躱しやがる。

 

 戦いの才能は俺にそっくりだったな! その涼しい顔、歴戦の老戦士みたいな戦い方しやがって!

 剣は躱され距離を詰めればいなされる。

 魔術を使った剣術……北神流か? クソ、そこも俺似か。強いとは言わんが巧すぎる。

 

「フッ!」

 

 俺が木刀で斬りつければルディは右手で風を作り自分の体を間合いの外へ弾く。ついでに削り取られた土が視界を遮り、意表を突くつもりで突貫すればずぶりと粘着音が。

 

「泥沼!」

 

 両足とも沈みかけているのを四足になって抜け出し、飛んできている岩砲弾を斬ればまた仕切り直しだ。

 堂々巡りだな。

 ルディは両手で常に魔術を使う。

 俺への対応をなるべく片手で終わらせてもう片方で布石を打つ。かかれば儲け。隙ができれば両手で火力を出してくる……本当にどっかの老剣士に教わったとしか思えねえ戦い方を徹底してる。

 だが、何故か所々で反応が遅れたり間合いの取り方が甘い。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。あんま見ない癖だが、ルディだからだろうな。

 

 強い。

 その歳で……いや、現役のパーティでもそれだけできれば十分だ。

 これが実戦なら、とっくにお前は援護が入って火力に専念できる。

 もう何歩動いたかわからん。

 すごいぞルディ。

 

 ルディが微笑みかけてくる。

 伝わったか?

 

 俺は無音の太刀でカタをつけにいった。

 ルディの岩砲弾を断ち切る時に木刀が半分に折れてーーそのまま二刀流にして四足の型でルディの意識を刈り取った。

 体力のない子供の体では、どんなに戦えても消耗が激しかった。

 ぐったりとした体を抱き上げ、ゼニスに診せに行く。

 

 ーー家庭教師の仕事につかせてルディとシルフィを引き剥がし、依存しかけの二人を自立させる。家庭教師も、ボレアスを知ることも、俺への反発もこいつのためになるだろう。

 

『なあ、ルディよ。お前……さ。シルフィと別れろって言われたら、どう思う?』

『……』

『お前は大人より賢いが、子供よりずる賢くない。知り合いに頼んだからよ、狂犬躾けてこい。とんだじゃじゃ馬らしいがな』

 

 剣の稽古中、唐突に言われた少し目を剥いて、ルディは穏やかに笑うと首をふるふると振った。

 だから俺は気絶させたんだが……。

 

「本当はわかってたんじゃないのか。ルディ」

 

 これからしばらく会えないことを思うと、少しだけ腕に力がこもった。

 

 ……10歳の誕生日には、一緒にいてやるからな。

 




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