バグったルーデウス   作:運動大好きマン

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人神 ヒトガミ

 

 

 こいつはすごいぞ。ルーデウス・グレイラット!

 

 こいつがいれば()()()()()()()()()()()()()()! 邪魔な蛆虫……龍神の()()にすら手が届く!

 

 ビタ、バーディガーディをすら超える逸材だ。剣神、水神なんて目じゃない、()()()()だが人を超えた魔力! 魔法とも言える魔術! ギースを使って使徒を増やしに増やし、不意打ちでこいつの魔術をぶつけ続ける! それだけで今の均衡が崩れ去るレベルだ。

 

 クフフッアハハハ。いやあ、ボクは運がいい! 「運命を見る」なんて魔眼(もん)も持っちゃいるが、これほど自分をバカヅキだと思ったのは初代龍神を殺した時くらいだ! (まさ)に運命的!

 転移災害とかいう珍事件がなければ……まあそれでも僕が勝てはするだろうが、まだ一世紀は続いた戦いに数年で終止符を打てる! それも余裕を持ってだ。

 

 どうやらボクの信頼の呪いがうまく作用しないようだけど、まあそんなのチョチョイのチョイさ。こんなでかいトラブルのおかげで見つけることができたし、説得材料なんて山程ある。家族と会わせてやるのもいい。まあ子どもは殺すけど、それまでに利用しきればなんの問題もないしね。救世主とか産む方が悪いんだし。

 

 あ! いや待てよ。魔石病にはかけて、母体だけ救ってやるか? そうすれば……うん! いける。これでずっとボクのコマだ。ネタバラシは最後にしてやろう。これからこんなに役に立ってくれるんだ。

 慈悲ってやつさ。

 いや……そうだ! 最後は元の世界に送り返してやろう。そんなことできっこないけど、そう言って消し炭にすれば変わらないでしょ。

 

 眦が下がりに下がっているのがわかる。

 

 ああ、いいね。

 今までの苦労が思い起こされる。

 

 あの傲慢なクソトカゲ、最後まで見下してきやがったあいつだ! こんな場所に閉じ込めたぐらいで勝ち誇ったような目をしやがって! 無様で、滑稽だよ。心底。

 今までは不快に過ぎなかったあいつの顔も、今では愉快だ。どこまで行っても、どれほど厄介だろうが運命はボクの味方をするらしい。世界を愛した龍も世界には疎まれている。ああ、生かしておいてやりたかった。オルステッドの首を見せつければ、あいつも枯れ果てたのだろうか。

 

 まさか、あいつも思うまい。龍神の子に匹敵する神子が、()()()()()()辿()()()()()()()()使()()()()()とは。

 

 ああ、見える。見えなくなるお前の姿が。遥か未来でボクに挑んでくるゴミの像が消えるのが。見えないことで見える。あいつの子が火にまかれ、水に沈み、土に還り、風に舞う姿が。

 なぜここまで執拗に敵対されるのか、可哀想な呪いだよねえ。ほんと。

 

 ボクが誘導しなくても戦うんだもん。

 

 龍神はどう死ぬのだろうか。流石に地力では勝てない。バーディガーディ入り闘神鎧を前衛にして、その他剣士達で囲むのだ。全員死ぬだろうが、オルステッドを取れれば勝ちだ。一秒稼げば、もうヤツは近づけない。

 

 剣神水神のツーセットで封殺されるのなら、オルステッドに食らいつくくらいは問題ないはずだ。後は削り殺すだけでいい。

 

 ……ふぅ。

 

 さて、そろそろかな。

 ファーストコンタクトが大事なんだっけ? うんうん、とびっきり親切にしてやろう。快く龍神の頭をかち割ってくれ。

 

 ボクはヒトガミ。神らしく唯一絶対にして、人らしいおおらかな神様だ。そういうことで。

 

 

「やあ、初めましてかな。こんにちわ、ルーデウス君。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔法陣が瞬いていた。

 二重の召喚魔法陣。周囲には無数の結晶が転がっていた。転移で跳ばされた少年を一人呼び込むためのものと、身体の魔力を精神に付随させる召喚魔術が刻まれている。

 

 そこはとある一軒家。とある深い山奥。大陸を横断するような山脈。

 

 

 

 ――名を。

 

 ――――龍鳴山という。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……………誰だい、君たち?」

 

 

 

 

 

 

 異様な状況だった。

 老人、青年、赤ん坊。

 本来一人だけの呼び込んだ精神が分かたれている。

 

 異様な風貌だった。

 枯れ木のような体、骨と皮膚だけに見える老人。ガタガタで剥き出しの刃のような皺が眉間に集約している。

 真っ白な髪、体格がなくとも鍛え抜かれた肉体を持つ青年。戦士のようでありながら杖を持っている。

 真っ赤な肌、開かれない瞼。産後のような姿の新生児が泣き叫んでいる。

 

「ぎあああああああっ!」

 

 ハッと。

 呆然としていた意識が戻ると同時に、奴らの思考がなだれ込んできた。

 

 腹が煮えくり返る。脳みそが湧き出す。彼らのマグマのような憎悪に感化されたかされないでか、全てを読み取ったことでその真意を知る。

 

「……っ負け犬共が!」

 

 ――その一秒で。

 

 全てを厭わない覚悟で、何よりも大切な仲間を殺すことを厭わない執念が作り出した時間で。

 

 青年は自身と老翁に回復魔術で体を創った。

 老翁は懐の魔法陣を開き、バチバチと光を放ち作動させた。

 

 そこから取り出された物体に衝撃を受ける。

 なぜ、どうして。尽きない不可解が自分を襲うが、すぐに氷解する。唐突な出来事になまじ理解できてしまうが故、反応が遅れる。破壊は間に合わなかった。

 

 装着されるそれは彼らの武器。どんな状況にも対応できる、最適な装備。

 

 

 

 ――黄金の鎧に身を包んだ二人の魔術師が、無の世界に降り立った。

 

 

 

 

 

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