風都探偵 The ANOTHER CASE 作:竜・M・美日
ガイアメモリ強化アダプター。
これをガイアメモリに装着するとメモリの能力が三倍に強化される。
俺がある事件で手に入れしばらくフィリップに預けていたが、
それをアクセルドライバーに差し、スロットルをひねる。
「ブースター!」
アクセルの装甲が金になり、マスクのシールドは黒鉄色のシャッターで覆われ、胸部アーマーも巨大なジェットエンジンのような形状に変化する。
バイクフォームへ変身するためのタイヤがなくなった代わりに、飛行用のブースターが全身に設けられ、爆発的な加速力により自在に高速飛行が可能となった。
さらに背面だけではなく、全身からジェット炎を吹き出すことで、空中での姿勢制御力が飛躍的に向上し、その機動性を活かした空中戦闘を得意とする俺の三つ目の力・アクセルブースターだ。
「な、なんだそれ⁉」
見たことのない俺の姿にあわてふためくアングリー。
「ふっ。これで貴様の
「と、飛んだ……あごっ⁉」
奴の顎に蹴りを一発お見舞いしつつ空に舞いあがった。
「要は電撃を受けないためには、地面にいなければいいわけだ」
「そ、そんなんで勝った気でいるのかよっ! グワァッ⁉」
地面に刺していたエンジンブレードを拾いあげると同時に奴を切る。
オウルのときに会得した技だ。
「何度も、俺に質問するな」
「ちくしょうが! これでもくらえ! 『
アングリーが太刀から無数の雷の刃を飛ばしてくるが、それを高い機動力でかわす。
ふとブレードの刃に静電気が溜まっていることに気づいた。
あることを思いついた俺はアクセルブースターに変身したことに合わせて、強化された金のエンジンメモリをブレードに装填する。
「エンジンアップグレード!」
引き金を引く。
「エレクトリック!」
ブレードに電気をまとい避雷針のようにして奴の雷を取り込んでいく。
「な、何⁉」
「スチーム!」
蒸気を使うことで巨大な雷雨を形成し。
「これは返すぞ」
「ジェット!」
噴煙で地面に落とした。
……ドドドドドオン‼
公園に仕掛けられていた地雷が誘爆していく。
「あ、ああ! 俺様の地雷が⁉」
気がそれた奴の正面にゆっくりと降り立つ。
「ちょっとした天候にまつわる化学実験だ。秋山」
「……俺様の完璧な計画が……許さねえぞぉぉぉぉ‼」
周囲の錨が光の玉になり雷雲に吸収されていく。
「何が完璧だ。この世に完璧なものなどない。人ですら多かれ少なかれ、光と闇を持つ」
俺はそんな人間を何人も見てきた。
「黙れぇぇぇぇえ! 俺様に説教するんじゃねぇぇぇ!」
街中の人間の怒りを集め終わったのだろう、腕を大きく開いた。
「落ちろぉ、怒りの雷‼ 『
アングリーの雲のような髪が逆立った瞬間、全身に太い雷が落ちる。
「ウオァァァァッ‼︎」
雷の刺激を受けてか身体を構成するパーツが一回り大きくなり、殺気と威圧感も先ほどとは比べ物にならなくなっている。
たしかに奴のいうとおり強くなったのだろう。
「これで終わらせてやるっ‼︎ 俺様の必殺技‼ 『
アングリーは太刀を頭上に振りかぶる。
待ち構えながらの一撃で終わらせる気だ。
「……上等だ。ならば、俺も新たな技で対抗させてもらう」
「エレクトリック!」「スチーム!」「ジェット!」
トリガーを三度引き、技を三つ同時に発動させブレードの刃先に電撃・蒸気・噴炎をドリル状にまとわせる。
フィリップに使いこなすように言われた技だ。
「エンジン! ブースター・マキシマムドライブ!」
そのままマキシマムドライブを追加発動すると、俺はいわゆる「霞の構え」を取った。
……キィィィィィン‼
刹那、背中のジェットエンジンを噴射し、奴との距離を一気に縮める。
「俺の怒り、くらいやがれぇぇッ‼」
「はああぁぁぁぁぁぁっ‼」
ガァツゥン‼ ……ザッシュ!
「ダァァァッ⁉」
すさまじい音を立てて俺が奴の太刀筋を弾き返すと、その身体を斬撃が掠め大きく体勢を崩した。
俺は攻撃の勢いで身体が横に一回転していく。
「ま、まだ……終わってねぇッ‼」
そのとき、奴の二本角に電撃が集まっているのが見えた。
おそらく俺と所長の両方に放つ気なのだろう。
卑劣な奴だ。ならば。
正面へ体勢を戻す間に、開いていた右手でマキシマムクラッチレバーを握る。
「アクセル! ブースター・マキシマムドライブ!」
そのまま一回でも多く、スロットルを素早くひねり続ける。
光の速さは秒速約三十万キロメートル。ならば俺のやることはただ一つ。所長を救うためにそれを超える速さで……。
「振り切るぜ‼︎」
正面に向き合った瞬間、俺は左手のブレードを逆手に持ち左腰に置き「居合の構え」を取る。
キュィィィィィィン……!
全身に設けられた飛行用のブースターの炎が青色に変わり、細く一点に収束していく。
「どりゃぁッ‼」
奴の角から電撃が走る。精一杯の悪あがきだったのだろうが。
シュン……!
バチィン‼
俺が立っていた所を焦がしただけで、当たることはなかった。
「なっ……⁉」
ザシュザシュン‼
「……えっ?」
おそらく奴の目には不可解なことが起きていたはずだ。
「竜、くん……?」
「所長。大丈夫か?」
「うん」
俺の姿が消えたと思ったら、次の瞬間には所長とともに現れたのだからな。
「な、何が、起こった……?」
バキバキ……ボキン!
奴が音で振り返れば、所長を囲っていた檻は砕け、折れた電灯に電撃が当たり火があがっていた。
「まさか、あの一瞬で……⁉」
何が起こったのか把握するとともに、アングリーの身体に「A」の字の太刀筋が浮かびあがる。
タネを説明しよう。俺はあの一瞬、所長を助けるときに一度、助けたあとにもう一度、すさまじい速さで斬撃を浴びせていた。
「この技は、キューティクル・エースの『エーストラッシュ』を参考にした」
「……う、嘘つけ、エースにそんな技……!」
「貴様が警察病院にいる間に放映された記念映画『キューティークルセイダーズ・ストレートフラッシュ』で、成長したエースが編み出した技だ」
「えっ、マジで?」
俺にとって馴染み深い作品だったので確認していた。
「エースはそのときに現れた敵の
ブレードの撃鉄状のパーツを押し、排出されたメモリを手に取る。
「絶望がお前のゴールだ」
「は、ははっ……あんた、俺様以上に……ムカつく野郎だ……」
苦笑しながらアングリーは仰向けで倒れ爆発した。
雷雲に穴が開き光が射しこむと、炎の中からボロボロの秋山が現れる。
頭からアングリーメモリが排出され砕け散った。
「……なんで、また……俺様が、負けんだよっ……」
「おまえの敗因か? 答えは簡単だ」
俺は変身を解くと秋山を見下ろす。
「おまえが、俺を怒らせたからだ」
怒りを込めて言い放つ。
「……『悪党は……地面で、反省してなさい』ってか……ふぐっ!」
自嘲気味につぶやくと白目を剥き気絶した。
「秋山芥。略取・誘拐罪、加重逃走罪、及びガイアメモリ不法所持の現行犯で逮捕する」
秋山の手首に手錠をかける。
ここから先は警察の仕事だ。
例え、どんな外道であっても罪の償いはきっちりとさせる。
それが俺たち……仮面ライダーの流儀だ。
「竜くん、ありがとう……」
所長に声をかけられ振り返る。
その手が震えていることに気づく。
俺は彼女の傍に寄り抱きしめた。
「すまん、所長……」
「……こ、怖かったよぉ……」
普段は強気の彼女が安心したのか、涙を流しながら強く抱きついてくる。
「恐ろしい目に遭わせた」
「……それだけじゃないっ!」
「?」
「竜くんがまた危ないかもしれないと思ったら心配だったっ!」
所長が俺の胸を叩く。
「すまん。だが、約束する。『俺は絶対に死なない』」
「っ……馬鹿! わからず屋! アホ! おたんこなす!」
「そうだな……」
彼女のいうとおり俺は前しか見えない馬鹿だ。
それでも、俺は悪と戦うために前だけを向いて振り切り続けなければならない。
だが、それを言葉で伝えても彼女は納得しないだろう。
……なら、方法はこれしかない。
俺は彼女の肩をつかむと向かい合う。
「所……亜樹子」
「えっ? 竜く……んっ」
太陽の光に照らされて俺たちの影が重なった。
「……あーあ、急いで駆けつけたってのにこれかよ。心配して損した」
《中々の熱愛ぶりだ。これで倦怠期も仮面ライダーアレルギーも解決したことだろう》
「……なら、お邪魔虫はとっとと去るぜ」
Wは俺たちを見届けるとバイクにまたがり、去っていった。
「それにしてもまた、ボロボロになって!」
「ジャケットが少々破けただけだ」
「それで一々買い替えられたら家計を圧迫して困んねん! あとで縫っといてあげる!」
「すまん」
「すまん、じゃなくて、ありがとう! ほら、手見せて!」
手慣れた様子で傷ついた俺の手を止血した。
「ありがとう、所長」
「……どういたしまして!」
所長はいつもの太陽のような笑顔を見せてくれた。
俺にはもったいない。だが、俺だけの笑顔だ。
その後、逮捕した秋山を応援の警察官に預けたところで、所長に浅井と藍沢の件を伝え、急いで風都中央病院に向かったが……手術はまだ終わっていなかった。
あとから左たち三人も合流して、さらに数時間。手術室のライトが消え、中から浅井が出てきた。
マスクで表情が見えない。
「浅井先生!」
「鳴海さん……いや、照井さん」
「……どうだった?」
浅井は手術用のキャップとマスクを外す。
サムズアップし、いつもの笑顔を見せた。
「約束は果たしましたよ」
「……やったぁ! ふにゃあ……」
「あっ!」
安心して腰が抜けそうになった所長をときめが受け止める。
「あ、ありがとう。ときめちゃん」
「良かったね所長さん」
「うん。うん!」
左が俺の肩を叩いた。
「今回は、大手柄だな。照井」
「たしかに見事な活躍だったね」
「街のために……当然のことをしたまでだ」
「かぁーっ! カッコつけやがってこの野郎!」
「静かにしろ左。病院だ」
一転して
(しかし、スクリームのことだが、何かひっかかる……。マキシマムを放ったとき、たしかに手応えがあったはずだ……。それに街がパニックになっていたときに現れたということは……何か目的が? 彼女は、いったい何をしていた?)
この世界とは違う次元に存在する空間・裏風都。
風都とは違いまったく風が吹かないこの街に建てられた塔の屋敷部分に、二体のドーパントが戻ってきた。
「……一葉。私は今回の独断専行について、非常に怒っている。『ハイドープ』ですらない、ただの過剰適合者にメモリを渡した上、下手をすればこちらの意図を悟られかねなかった」
開口一番、オーロラがスクリームに対して蔑むように言った。
「独断専行って、丁度……万灯サンに頼まれた件で、SNSを見てたら役に立ちそうな人を見つけたから、メモリを渡してちょぉっと暴れてもら……」
「言い訳はいい。一葉、君の下手な思い付きで貴重なメモリを『二本』も失った」
「ジュ、エル……!」
オーロラの叱責に反応するように、スクリームのベルトの片方からジュエルメモリが排出され砕け散る。
「エクストリームのマキシマムから身を守るために防御特化のジュエルメモリをレイズしたのは評価に値する、が。それを差し引いても、完全な失態だ」
オーロラとスクリームはベルトからメモリを抜き取り、万灯と五条が人の姿に戻る。
「風都警察署に保管されたシザースメモリを回収するだけのはずが、わざわざW・アクセルと接敵するとは、ね。陽動にしてもやりすぎだ」
「それに関しては……新しい『オトモダチ』がうまくやってくれてるはずよ」
五条はふてくされた様子で柵を乗り越えると縁部分に腰をかけ足を投げ出す。
「Wに攻略法を編み出されてしまった以上、引き続き彼らとの接触は禁ずる。不必要に刺激しないことだ、一葉。次、私の言葉を無視したら……わかっているだろう」
万灯は最後通告とばかりに念を押す。
「……はーい。でもアクセルのほうは良いでしょう?」
「仮面ライダーアクセル・照井竜……。彼も並大抵の戦士ではないよ。不死身の異名をとる男だが、実質限りなく不死身に近い人間になっているのだろう。
鳥羽
「ハイドープ……ってコト?」
「アクセルは『加速』のメモリだ。それを使い続けているうちに変身前の彼の生体機能も加速度的に進化しているのかもしれない」
「だから手を出すな……ってコト?」
「そうは言わない。それを確実に打ち破れるという状況が来ない限り手を出すべきじゃない、という事さ」
「!」
(じゃあ、それができるならコロしても良いってコトよねぇ?)
叱られているにも関わらず、再び狂気じみた笑みを浮かべ肩を振るわせる五条。
その後ろ姿を見る万灯の目は……ひたすら冷めていた。
(また余計な事を思いついたのか。もう、一葉は潮時だな……仕方ない。
俺たちの決着のときは近い。
秋山は逮捕後、再び警察病院に送られた。
だが、メモリの後遺症で今度は無感情になってしまったらしい。
一度、聴取に行ったが何を尋ねても放心状態で一言も答えることはなかった。
何をする気も、怒る気力さえもなくなったようだ。
結局、五条、ひいては裏風都の情報は何も得られなかった。
また逃亡していた芦田だが……最悪の形で進展があった。
事件から数日後、浅井の懸命の手術の甲斐あって藍沢は無事に目を覚ました。
それから一週間ほど経ったころ。
藍沢が座る車椅子を浅井が押しながら、院内の吹き抜けの廊下を進む。
「傷は痛むかい?」
「いいえ、良好です」
「それは良かった」
「蒼助さんの手は?」
「もう、怪物は殴らないって心に決めたよ」
浅井が冗談を言うと藍沢はクスクスと笑う。
「……あんたたち幸せそうねぇ……」
「えっ。……芦田さん……?」
そんな二人の前に姿をくらませていた芦田が逃走したときと同じ服装で現れた。
「……遥は精神病院に行って……警察に追われて……滅茶苦茶ぁムカツクわぁ……!」
「……今度は何をする気だ!」
「遥のぉ、人生を、ぶち壊したぁ、あんたたちに復讐しに来たのよぉ!」
持ち出した包丁を二人に向けると、
「やめて!」
「あざみっ!」
二人は互いを抱きしめて目を閉じた。
「死ねぇぇぇっ‼ ……えっ?」
(……遥……)
「う、嘘……。な、なんであんたが⁉︎」
突然、芦田は何かに怯えだした。
「……?」
見れば、二人の背後を見ながら身体を震わせている。
(私だけじゃなくて……。今度は、私の大切な人まで傷つける気?)
「ち、違うの! あれは私のせいじゃないし! ……なっ、なんなのこいつら⁉︎」
芦田は包丁を取り落とすと何かを振り払うような仕草をはじめる。
(助けてくれえぇぇ)
(死にたくないよぉぉ)
(まだ生きてたいのにぃぃ)
(痛いよおぉぉ)
「やめて、触らないで‼ あ、碧! 遥たち友達でしょ⁉ 助けてよぉ‼」
「碧……?」
「何が……?」
芦田の不可解な言動にただ唖然とするしかない二人。
(学生時代に散々、言われたけど……。もうその手には乗らない。罪に向き合わずに逃げた遥が、罰を受けるときが来たのよ)
「いやぁ‼ 来ないでっ‼ 来ないでよっ‼」
焦った様子で芦田は手すりをよじのぼる。
「あ、芦田さん! 駄目!」
藍沢が手を伸ばしたが届くはずもない。
「あっ。い、いやあぁぁぁぁ……‼︎」
芦田は吹き抜けから十メートルほど下のエントランスホールへ落下した。
ボスン!
幸いクッションのシートがあったため、そこに落下して無傷だった、が。
「……あ、あひ……いひ、ひひひひ……」
口から泡を吹き、まるで幽霊を見たような青白い顔をしていた。
(……
「えっ……碧……?」
浅井はこのとき、亡くなったはずの妹の姿が見えた気がしたという。
血まみれでおどろおどろしい姿だった彼女は、一転して綺麗な姿になり穏やかな表情を浮かべた。
(……幸せになってね)
興味深いのは、その身体からガイアメモリが抜け出たように見えたことだ。
「……ゴースト」
次の瞬間、妹の姿は跡形もなく消え、その場にはメモリだけが残されていたという。
この突如として現れたゴーストメモリは風都署地下のガイアメモリの特殊研究施設・特殊研へ預けることになる。
ともかく、何が起きたのかはこの話を伝えたフィリップでさえ憶測の域が出ないままだ。
「幽霊がメモリ使用者などあり得ない。だとすると……まさかメモリが一人でに動いた、などとは考えたくはないが……。いちばんの可能性は芦田が疲労
その後、芦田は精神病院に運び込まれそのまま入院。
こちらも何かに怯えて会話すらままならず……廃人同然の日々を送っているという。
結果、心神喪失による錯乱状態で起こした自殺未遂というのが表向きの理由だ。
しかし、俺個人としては、かつての友人の怒りを買い、罰を受けた……というのが持論だ。
また、この一件で考えさせられることがあった。
人間の善悪についてだ。
芦田のアパートから押収されたパソコンからは証拠となるSNSの投稿が確認された。
しかも芦田は浅井と藍沢について「友人だった自分のことを悪く言った連中」などと、根も葉もない嘘を
その投稿にはさまざまなコメントが付いており、大半が二人を誹謗中傷する内容で占められていた。
ところが事件が終わったあとでは、被疑者となった秋山と芦田を非難する投稿が散見された。
それを見たとき、被疑者二人はある意味で非難されるのは仕方ないとは言え、俺はここまでする世間・人々の闇に怒りを越え恐怖すら覚えた。
「……今回の件で思ったことがある。なぜ、人は見ず知らずの相手に対して真偽をたしかめず、ここまで容赦なく攻撃できる?」
俺は好き勝手な意見を言う世間に戸惑い、この疑問を左とフィリップにぶつけてみた。
「書いてる連中には正しいか正しくないかなんてどうでもいいんだろ。そいつにとって少しでも気に入らねーなら叩く口実になる。いうなれば、日ごろのストレス発散だ。そこに匿名っていう守りがあることで『正義感』という名の思い込みを暴走させるんだろうさ」
「人は、他人を傷つけてはいけないことを知っている。にも関わらず、そういった問題はあとを絶たない。いつか自分がそのしっぺ返しを食らうかもしれないとしても、止められない。なにがしかの中毒者のように。人の醜い部分の一つだと思うね」
二人の意見を聞いた俺は人の中に潜む心の闇に対して虚しさを覚えたが……だからこそ、そんな悪意を減らすために俺たちはいるのだと肝に
最後に余談になるが、芦田の逃亡の件について俺と刃野・真倉刑事には半年の
さすがに事件の容疑者の一人の逃走を許し、さらなる被害者を出しかけたことについて、お
だが、ガイアメモリ捜査に関して専門である俺たちを懲戒免職にするわけにはいかなかったようで、せめてもの
「警察組織お得意の
フィリップから冗談交じりに皮肉を言われる。
「ノーコメントだ。少し、苦労をかけるな所長」
「大丈夫! それより、そんな辛気臭い話はおしまい!」
「そうだな。すまん」
「切り替えて、今は二人の門出を祝わないと!」
珍しく黒いスーツを着た俺たちと、桃色と紫のフォーマルドレスに身を包む所長とときめ。
そう。今、俺たちは結婚式場にいた。
まさか人の結婚式に参列する日が来るとはな。
「こういうところに参加するなんて初めてだから緊張する……」
「せっかくの機会だ。慣れとけよ」
「二人もいつかやるかもしれないもんねっ」
「は、はぁ⁉ ちょ、おま! 亜樹子ォ!」
「ドレスか。じつに興味深い……」
「フィリップ、着る気か?」
「何度も言うが、ぼくにそういう趣味はない」
「あっ、静かに! はじまるよ!」
結婚式の主役である浅井蒼助と藍沢……いや、これからは浅井あざみだな。
緊張した面持ちの二人がそれぞれ入場し、俺たちは拍手で迎えた。
俺たちがさまざまな危機を乗り越えたように、彼らも過去を振り切れたと思いたい。
指輪を交換し口づけを交わすと、式場に割れんばかりの拍手が響く。
両人ともいい笑顔だ。
それを見て改めて思う。
彼らのような人間の笑顔を守ることが、俺たち仮面ライダーの仕事なのだ、と。
まだ多くの課題が山積みだが、俺たち夫妻を含む鳴海探偵事務所の面々は、友人たちの新たなる門出を祝うことになった。
~怒れるA・aたち~
おまけ
ヒーリングプリンセス
「今日も一日頑張ったね! 『ヒーリングプリンセスNEO』、パーソナリティのときめでーす! さあ、このコーナーから行ってみましょう! 『教えて照井さん!』」
パフパフ!
「ラジオネーム、『夫婦合わせて
「俺に質問するな」
「ですよね~」
「だが」
「!」
「心配してくれていることは伝わっているはずだ。そして、その男は君の所に必ず帰る。約束だ」
「ヒューヒュー! お熱いですねー!」
「いやん、竜くぅーん。えへへ……」
「……これははたして匿名の意味があるのだろうか?」
「これじゃあ、『答え』じゃなくて『ノロケ』じゃねえか……」
「次回もお楽しみに!」