初めは大陸の端にある名もなき小さな漁村、その漁村との交流が途絶えたことであった。
様子を見に行った者たちも帰らず、周囲は不気味がっては近寄らなくなっていった。
そんな、あまりにも地方すぎた集落との交流がそんなにない地の出来事となっていた。
そして、ソレは突然訪れた。
数か月後に、その地方の州都が陥落する始末となっていた。
州都周辺の交通網が閉鎖されて物流が停止した事に、何故かと原因を調査を始めていた国の元に、脱出した者たちによって侵略者らがやってきて占領したことを告げた。
そして、虐殺と簒奪、隷属して連れ去るという非道さが知らされた。
そう、侵略者が現れたと、ここにきて初めて知れ渡ったのである。
知らされたそのあまりにもな非道さに、国民の意見は「排除」へと一瞬にして一変、それまで重い腰だった連合国の軍もが素早く立ち回った。
だが、侵略者は侵略者で新たな技術体系を作り出していたため、そう簡単にはいかなかった。
相手は魔石を使った魔石科学というものだろうか、それらを利用した技術によって尖鋭化されていた。
こちらのハイブリット型とは異なる技術体系である。
扱える個人の能力を格段に引き上げては、超人たちすらもさらに手が付けられない。
抑えるためにと天災を使ってはみたが、これらにはあまり効果があるとも言い難くはあった。
だが、それはあくまでも個人での話。
集団における戦闘においてはやりようがあった。
基本的に魔石ありきの技術である。
この大陸には魔石を持つ魔物という存在がいないのが幸いした。
抑えている間にその魔石の供給元となる海路をまずは遮断し孤立させていった。
海上における軍事力はこちらの方が圧倒的に上であった。
なにせ、水上艦の性能があまりにも違いすぎたのである。
相手は遠洋航海に特化していた為か、海上での戦闘力が乗員がもつ個の能力が主というもの。
そんな帆船時代の延長上に対して、こちらは蒸気機関を搭載した鋼鉄製の軍艦といえる代物が対峙するのである。
こちらには、魔導型過熱水蒸気装置が成熟した射出装置(魔力を流すと一瞬で数百倍に過熱蒸気化する装置)も存在するために、艦砲としての威力も十分。
さらに海に関する氏族の能力が十二分に発揮できる場所においては、脅威とはなりえなかった。
そうして、次々とやってくる艦船を沈め、または拿捕しては補給路を絶って孤立させていった。
陸上では、包囲しては情報を絶つ形をとらせ、なおかつ補給をも絶つ方向となっていくと、いくら個人がすごくても、補給がなされなければ……もちこんだ兵站が尽き始める頃には、広がっていた戦線が徐々に狭まっていった。
数年後には、州都の奪還に成功する。
この時は、超人を抑えていたリソースを変更し、天の使いを差し向けては、人族以外を州都から避難させてはおいたが……
(天の使いを消し去る超人とのやり取りから、ひと悶着があったことは否めないが
そして元漁村であった場所、数十年かけて作られた(一大拠点とでもいうのか港湾要塞街とでもいうのか)その周辺まで戦線が後退する。
この時になって、相手方から外交としての特使が遣わされてきた。
それは、条約協定を結ぶ話ではあったが、あくまでも停戦の話であり、終戦の話はないまま進み、捕虜交換や損害への対応による休戦協定が決まる。
こちらも少なくない犠牲を払っていたがため、その処理に時間が追われていたこともあり、休戦協定は結ばれる形となった。
だが、それはこれから始まる、のちに護国百年戦争といわれる争いの序章でしかなかった。