覚悟と決意をもって
第一話
「これにて卒業試験終了。
合格おめでとう、晴れてお前も下忍だな。」
「ありがとうございます、うみの先生。」
「遅刻ばかりで表情の暗かったお前が今年で卒業試験だっていうんだから、どうなることかと思ったが、その憑き物が取れたような顔を見れてうれしいよ。。」
大人に見透かされっぱなしの自分が恥ずかしくて頬を書きながら頷いた。
「お前で今期の生徒全員が無事合格だ、担任の俺も鼻が高いよ。」
「うみの先生の教えの賜物ですよ。」
「まったく調子のいい奴め、褒めても何も出ないぞ。
とはいえ、急に忍術が使えるようになったんだ、班発表までに週三回の訓練の進捗報告、忘れるなよ」
「はい、わかりました。」
あの日以来、俺の体に流れるチャクラは精彩を放ち始め、精神を考慮し延期してもらった卒業試験も、難なく合格できた。
全身を流れるチャクラを感じながら、遅れてしまった忍術の技量を押し上げるために、訓練に励む。
自分で言うのもなんだが、本来の俺には才能というやつがあったようで、基礎忍術の遅れはすぐに取り戻せた。
しかし、遁術に関しては一朝一夕では追いつくことができそうもない。
毎日を忙しく生きる間にも、時間はあっという間に過ぎ、班の発表の日になった。
騒めく同輩を眺めながら、教師を待つ。
腫物扱いだった俺も、合格を機に友を得られ
千手の生まれというだけで畏怖される中で、忍術以外はできる異端者が、父を失い、直後に受けた忍術の卒業試験をなぜか合格してくるという異常を、すんなり受け入れられる者はいなかった。
心配や奇異の視線、コネでの合格を疑う者たちの疑念の目こそあれど、話しかけてくる者は殆ど居なかった。
時折、心配で話しかけてくるものすら、にこやかに話を返せば、二三言葉を交わしただけで去ってしまう。
まあ、よい。
班さえ組んでしまえば強制的に話せるだろう。
「静粛に」
騒めいていた教室が、担任の一声で静まり返る。
「これより、班と班員を発表する。
今年度の班は13班、すべて上忍1下忍3のフォーマンセルだ。
一度しか言わないので心して聞くように。
まずは、第一班
違和感
今年度の卒業生は40人のはずだ。
13班ならフォーマンセルが二班、または14班でツーマンセル二班のはずだ。
第六班が呼び終わり、千手の名はいまだ呼ばれない。
いやな汗が背中を伝る
ここにいる卒業生の数を数えてみても、やはり40人。
この中にだれか不合格者がいるのか。
いや、うみの先生は、
「お前で晴れて全員合格だ」
と言っていた。
では誰が省かれているというのか。
いや、この自問は現実逃避だ。
ここにいるではないか、動かそうにも動かしにくい位置にいて不和を生む原因になりかねない駒が一枚。
第13班が呼ばれ終えた
これで今年度の班員発表は以上だ。
呼ばれなかったものは、後で校長室まで来るように。」
はしる
走る
奔る
目の前の邪魔な扉を蹴破る勢いで飛び込んだ
バゴン
「どういうことですか、校長先生!」
「あぁ、早かったね。」
「早かったね、じゃないですよ。俺だけ班なしってどういうことですか!」
「事情は今から説明するよ。
だから取り合えず、いったん座って、お茶でも飲んで落ち着きなさい。」
ハァハァ
いただきます、と言いながら椅子に腰かけお茶を飲み、息を整える。
「それで、一体どういうことなんですか。」
「それなんだけどね。
君、同期の下忍二人から四人と上忍一人でフォーマンセルを組む理由はわかるかい。」
「近いレベルの下忍同士でチームを組ませることで、学校で学びきれなかった連携を学び、それを上忍が指導するため、ですよね。」
「そうだね、それともう一つ。
現在すでに
「…じゃあ、俺はチームアップできないってことですか。」
「そこまでは言っていないよ。
ただ、今の同期と君を組ませることにメリットが少ないって話さ。」
「なら、上の代の班に編入するとかになるんですか。」
「いや、それも違う。
そういう方針なら、班発表の際に発表すればいい話だ。
君を班に入れなかった理由は、ここまで言ってきたこと以上に、君の能力の問題が大きい。」
「俺が下忍に不足だって言うんですか。」
「いや、そうはいっていない。
君の忍びとしての能力が
「それは、どういう…
そう言いかけてハッとする。
校長先生は、それを見透かしたように満足げに首肯しながら、
「そう、忍術ができないならそれもいい。
遁術に適性がないならそれも仕方ないことだ。
だが、君はそうじゃない。
忍術を使えるのにも関わらず、遁術の適正すらまともに図らぬまま死地に赴くことになる。
アカデミーとしては、それを許容できない。」
「なら、アカデミーに留年させればよかったじゃないですか。」
「それが、そうもいかないのさ。
遁術の得意不得意は、血継限界ほどではないけど、遺伝の影響が大きい。
たいていはアカデミー在籍中に親や親戚に教えてもらうのがメジャーだ。
一応、教師らにも遁術を教えられる者はいるが、君は千手だ。
里でも一二を争う一族に教えられるほど極めているものは、すでに前線に移ってしまっている。
なにより、矛盾するようだが、君を後ろでもう一年遊ばせてやれるほどの戦力がない」
「じゃあ、俺はこれからどうすれば、」
「ここまで長々話しておいてなんだが、すでに君のこれからは決まっている。
君はこれからある人に師事してもらう。」
コンコン
「じゃましますのぉ」
聞き覚えのある声だった。
親交はない、しかし、何度も聞いたあの夢の…
「おまえが、千手直樹であってるかのぉ。」
「はい、初めまして
霧の先から顔を出した
橙色の大ガマに
未来の明かりを感じながら